予行の日の観客はスタンド席が埋まる程度ですが、本番のこの日はその前のシート席までぎっしり埋まるほど。およそ3万人の見物客が入ったそうです。実際ものすごく混んでいました。しかし幸いにも天気は曇りと晴れがめまぐるしく入れ替わるものの、雨に降られることなく、日焼けにやられるだけで済みました。
今回は初めての一般見学日に参加ということで、その様子がよく分からず、午前7時半ごろに会場に着いたときには、もうスタンド席は満杯。Dスタンド前のシート席、最前列から15列目くらいになってしまいました。
残念ながら色々な見込み違いと不運が重なって、私が座った位置からは自由に写真を撮れるような状況になく、演習中の撮影はほとんど諦めました。ファインダーを覗くのをやめたら、自分の目と耳と身体全体で演習をまさに「体感」してきました。なので、以下はわずかに撮影できた演習中の様子と、演習が終わってから装備品展示までの様子です。
戦車など
まずは「陸上自衛隊」と言えば戦車です。それだけでなくたくさんの車両や装備類の演習や展示が行われました。
最新鋭の10式戦車です。一昨年から総火演に登場しました。いまや総火演の、いや陸上自衛隊の主力装備と言っても過言ではないでしょう。見事なスラローム砲撃を今年も披露してくれました。まるで空力を意識しているかのような先鋭なデザインの砲台部が特徴的です。演習場を走り回るその姿は、見るからに動きが俊敏です。さすが最新鋭の戦車です。
そして90式戦車。ある意味冷戦時代の最後の落とし子ですが、まだまだ陸上自衛隊では主力の戦車です。上の写真は演習が終わって会場から引き上げるときに、アンコールというかサービスで90式4台縦列でスラローム走行を披露してくれたときのもの。戦車としても最大級の巨体が高速でコーナリングしていく様子は迫力があります。そして目の前を通り過ぎていく姿をみると、10式よりも明らかに大きいことがよく分かります。
そしてもはや老兵と言っても良いのかも。74式戦車です。私くらいの世代だと、頭の中にイメージとしてある戦車そのものの姿をしています。その名の通り、もう40年も昔に造られた戦車ですが、まだ現役。
運良く人波の隙間から砲撃シーンを撮れるチャンスが一度だけありましたが、残念ながらK-3の秒間8.3コマをすり抜けて、火炎は捕らえられず、煙だけ写っていました(^^; 残念。
74式戦車の履帯(所謂”キャタピラー”)部。こういうディテールも、演習後の装備品展示では間近に見ることができます(触れるけど触ってはいけません)。
89式装甲戦闘車を流し撮りしてみました。これも演習が終わって引き上げるところなので乗務する隊員さんが旗を掲げ満面の笑みで、会場のお客さん達に大きく手を振ってくれました。
上に紹介した3世代に渡る戦車もそうですが、この手の車両はほとんどが三菱重工製です。
戦車ばかりに目が行きますが、もちろん陸上自衛隊の装備品は戦車ばかりではありません。実に様々な装備があってそれぞれ役割を持っています。そういった一つ一つをこの総火演では見ることができて、本当に興味深い体験です。
そういえば、前段演習の名物のひとつ、複数の榴弾砲による富士山型砲撃は大成功。写真も撮れました。が、肝心の本物の富士山はこの瞬間、雲の中に隠れてしまっていました。
ヘリコプター
陸上自衛隊には様々な種類のヘリコプターが配備されています。特に後段演習ではヘリコプターは戦車並みに次から次へと登場し大活躍します。
戦闘ヘリコプターAH-64D、通称アパッチです。ローター上部におまんじゅうみたいなやつが乗っかっているのが目印。機体もかなり大型に見えます。いろんなところが出っ張っていてかなり無骨な姿。ゴツゴツで格好いいですね。
左右のスタブウィングに取り付けられたランチャーからロケット弾機体下部に取り付けられたチェーンガンを発射中。薬莢がポロポロと落ちて行ってます。
アパッチよりもかなり細身なのが対戦車ヘリコプターのAH-1S、通称コブラです。エンジンも単発でローターも二枚羽根。身のこなしも軽やかです。
後段演習中の一幕です。多用途ヘリコプターUH-60JAからファストロープで隊員を素早く地上へ降ろし、完了すると即座に離脱していきます。攻撃用ヘリコプターと比べるとかなり大型です。
地味ながらも演習中に何度も登場するのがこのOH-1。川崎重工製の純国産機で偵察用です。
コブラよりもさらに小さな機体はひらひらと舞うように飛び、急上昇急降下もお手のもの。宙返りなども可能だそうです(演習中はそこまでやりませんでした)。
UH-1は例年通り後段演習でバイク部隊を載せて登場しました。地上に降りたバイクはそのまま走り去り、観客の目の前で華麗なジャンプを見せます。
ちなみにこれがそのジャンプ台。もちろん観客席は右側です。そこまで珍しいものではないと思いますが、なぜか装備品展示が始まるとここに人だかりが出来ていました(^^;
そしてど迫力の巨体をもつCH-47JA チヌークです。もちろん輸送用で、人をたくさん運ぶこともできるし、ちょっとした車両を機内、あるいは機外につり下げて運ぶことも出来ます。
前段演習の最後には、本当なら空挺隊降下があるはずだったのですが、ちょうどこの時間帯に会場上空は雲に覆われてしまい、キャンセルとなってしまいました。さらに後段演習始めには海上自衛隊からP-3C、航空自衛隊からF-2がやってきて会場上空を飛行したのですが、これまた雲に遮られて音しか聞こえませんでした。残念。
装備品展示準備のために演習会場に降りてきた姿を撮ってみました。300mmの単焦点をつけていたので画面からその巨体ははみ出てしまいます。そしてこれまた巨大なタンデムローターが巻き上げる砂や小石の粒がこちらに向かって飛んできて痛いくらい。レンズにもバチバチ当たっていました。
装備品展示ではCH-47Jの機体には近寄れないようにロープが張られているのですが、長いローターはその規制線を越えて目の前まで伸びてきています。綺麗な翼型をしているのが分かります。
その他隊員さん達の姿
この演習ではヘリや車両よりもむしろ本当は隊員さんたちが主役のはず。実際、たくさんの隊員さん達が働いています。
車両の誘導をしたり。
機体の点検や整備をしたり。
装備品展示のために看板を設置したり。
そしてもちろん、戦車やヘリを動かしているのも隊員さん達です(当たり前のことですが)。
今回の機材はカメラはK-3に、望遠レンズはDA★300mmF4、それと便利ズームのDA18-135mmを主に使いました。それに加えてK-30とDA★60-250mmもバックアップで持って行きました。雨が降る可能性もありましたし、晴れたら晴れたで砂塵が舞いますので、DA★レンズの防塵防滴は頼りになります。DA18-135mmは簡易防滴だけですが、そもそも使い倒すための常用レンズですので気にしません。
ということで、演習中の写真がほとんど撮れず、イマイチ不完全燃焼ですが今年の総合火力演習のエントリーは以上です。 また次回、チャンスがあったら是非見に行きたいと思いますが、こればかりは運次第。どうなるか分かりません。今回はsayaさんが当てたチケットを一枚分けてもらうことができて幸運でした。ありがとうございました。
さて、以下はその同行させていただいたsayaさん、およびgomaさんのブログ記事です。お二人とも私が撮影を諦めきっていたあの状況の中で、すばらしい砲撃シーンなどをしっかりと抑えられていました。迫力あるシーンはこちらをご覧ください。
平成26年度富士総合火力演習を観てきました | Digital Life Innovator
富士総合火力演習 2014 – an album on Flickr
より大きな地図で 東富士演習場 を表示
迫力のあるイベント&写真共有ありがとうございます。
10式戦車の近代的なフォルムには時代を感じます。
TAMIYAの1/35リモコンプラモデルや戦国自衛隊で最新鋭だった74式戦車が老兵の域とは…自分も老いたものだなと(苦笑)
アパッチの掃射は薬莢が見えるので、ロケットランチャーよりも30mmのチェーンガンのような気がしますがそれにしても間近で見れるなんて羨ましい…。
zingoさん、コメントありがとうございます。
何年か前までは最新鋭だと思っていた90式も、もはや配備開始から20年以上経ってますからね。一昨年あたりに10式のデビューが見られたのは幸運だったかもしれません。
間近で「見る」もそうですが、音がすごいんですよ。文字通り身体が揺さぶられます。F1も生で見ると音がすごいですが、こちらはそれに加えて空気の振動を感じます。
アパッチの件はご指摘ありがとうございました。本文修正しておきました。