嵐の前の静けさ:F1 2014 第15戦 日本GP 観戦記(前編)

投稿者: | 2014年10月7日

 今年もF1日本GPを生で観戦するために鈴鹿サーキットへ行ってきました。カレンダー中屈指のドライバーズ・サーキットと言われると同時に、マシンの総合力も試されるトラックでもあります。レギュレーションによりすっかり様変わりした今年のF1マシンが鈴鹿を走る姿はどんなものなのでしょうか?

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 例年通り写真もたくさん撮ってきたのでそれを中心に観戦記をまとめたいと思います。まずは前編としてフリー走行の様子です。

 今年も「カメラマンエリア」のチケットを入手しました。このチケットは各所に設定された専用エリアに自由に出入りできます(ただし決まったシートはありません)。
 専用エリアは写真撮影に向いた場所ばかり。芝生ののどかなポイントが多く、半分は自由席のように楽しむことが出来ます。

フリー走行1回目

 まずは金曜日。午前中のFP1は10時から90分間行われます。始発の新幹線に乗ってやってくるとちょうどぴったりなタイミングです。天気予報は曇りのち雨でしたが、それを大きく裏切る快晴の鈴鹿は、気温も高くて真夏のようなコンディションでした。

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 マルシアのジュール・ビアンキ。

 午前中のFP1はCスタンドへ。金曜日は一部のシートを除いてほとんどの観戦スタンドが自由席となっています。Cスタンドは横にずいっと長いですが、S字1個目のあたりに適当に入ってみました。

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 今年3勝もしているレッドブルのダニエル・リカルド。

 ここからは2コーナーの進入からS字を抜けていくまで、見渡すことが出来ます。スタンドからコースまでの距離も近く、フェンスなども低いので写真も撮りやすいです。主にマシンの左側面を流し撮りすることになります。ただし、S字コーナーなのでマシンの進路と速度がめまぐるしく変わるところがなかなか難しいところでもあります。

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 チャンピオン候補、メルセデスのニコ・ロズベルグ。

 初めて生で聞く今年の「パワーユニット」の音ですが、確かに静かです。これまでの耳をつんざくような勇ましい排気音はかなり抑えられ、代わりにタービンの高音が聞こえてきます。

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 弱冠17歳のマックス・フェルスタッペンはFP1限定でトロロッソをドライブ。

 このトロロッソと同様に、我らが小林可夢偉は残念ながらFP1には出走せず、代わりによく知らない誰か(ロベルト・メルヒ!)が乗っていました。

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 現代の鈴鹿マイスター、レッドブルのセバスチャン・ベッテル。ヘルメットが渋いです。

 今回鈴鹿で使われるドライタイヤは、プライムがハード(オレンジ)で、オプションがミディアム(ホワイト)。FP1中はほとんどのクルマが終始オレンジ色のハードタイヤで走行していました。

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 2コーナーを立ち上がってくるウィリアムズのフェリペ・マッサ。

 フリー走行1回目はマシンの確認、基本的なセットアップなどが主な作業であり、タイムはあまり参考になりませんが、一番速かったのはロズベルグで1分35秒中盤でした。

フリー走行2回目

 FP2は午後2時からやはり90分。カメラマン専用エリアの目玉の一つ、Iスタンド下にやってきました。ここは人気があるので、土曜日以降はなかなか入り込めません。金曜日なら何とか隙間を見つけることが出来ます。

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 日本にはファンが多いフェラーリのキミ・ライコネン。

 このポイントからはデグナーを抜けてヘアピンを通過し、200Rへ向けて加速していくところまでが見えます。写真が撮れるのはほぼヘアピンの立ち上がりのみ。コースに一層近くてしかも低い位置からヘアピンの立ち上がりが狙えます。ここは本当にアマチュアには夢のようなすごい場所です。

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 昨年は優勝争いをしたのに今年は絶不調のロータスに乗るロマン・グロージャン。かっこわるい今年のF1マシンの中でもひときわ歪な姿をしています。やはり速いマシンは美しいというのは真理だと思います。

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 その点レッドブルは今年のレギュレーション下でも美しいマシンです。これでルノーPUがまともだったらメルセデスともっと戦えたはずなのに。ベッテルはFP1からヘルメットを変えてきました。これが日本GP用の本物のようです。

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 マクラーレンに乗る今年のルーキー、ケビン・マグヌッセン。

 それにしても目の前すぐのコース上をF1マシンが全開で加速していくので、ものすごい迫力がありますし、昨年までだと耳栓をしないと大変な目に遭いましたが、今年の静かなパワーユニットは耳栓なしでも普通に過ごせる程度でした。その辺はやはり若干味気ないです。でもスピードは健在。すぐそばを猛烈に加速していくF1マシンをファインダーに収めておくのも大変です。

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 表彰台の常連になりつつある今年の大注目株、ウィリアムズのバルテリ・ボッタス。

 この写真は標準ズームで撮りました。焦点距離は68mm、フルサイズで言っても100mm程度の中望遠相当です。それでこれだけ撮れてしまうくらいコースが近いのです。

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 いよいよ登場したケータハムの小林可夢偉。

 FP1を走れなかった小林可夢偉がコースインするとサーキット内からは歓声があがりますが、その興奮もさめやらぬうちにマシントラブルでストップしてしまいます。S字走行中に急にリアがブレークするという異常事態。マシンはタイヤバリアに当たってしまい、万事休す。結局小林可夢偉は我々の前を2回しか通過しませんでした。

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 現在のポイントリーダー、メルセデスのルイス・ハミルトン。

 FP2の終盤には、さっきまで快晴で暑かったのが嘘のように、急に雲がわいてきてパラパラと雨粒が一瞬だけ降り、微妙な光線状態となりました。メルセデスやのような渋い塗装は不思議な姿になります。

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 クリップを通過したばかりのジュール・ビアンキ。
 
 FP2ではぼちぼちオプションタイヤで走るマシンが増えてきました。しかしタイムはそれほど伸びず、一番速かったハミルトンが1分35秒フラット付近。

フリー走行3回目

 明けて翌日土曜日。台風接近が心配される中、この日も穏やかに晴れていますが、昨日よりはやや雲が多いようです。午前中は11時からフリー走行3回目が行われました。

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 この日、話題の中心人物となったレッドブルのセバスチャン・ベッテル。

 というのは、FP3開始直前に場内アナウンスで最新ニュースが伝えられました。なんとベッテルが今季限りでレッドブルを去るそうです。来季に向けてストーブリーグも俄に盛り上がってきました。

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 フェラーリのフェルナンド・アロンソ。フェラーリでもチャンピオンを取れない彼は来季移籍の噂があります。ベッテルの動向とともに注目されています。

 さて、FP3の観戦場所は西コースの一番端、スプーンコーナーです。東コースとは様相が一変し、自然豊かでのどかな雰囲気。場内放送もあまり聞こえず、大画面スクリーンもありません。この難しい複合コーナーはマシンの挙動、ドライバーの腕の差が出やすい場所で、観戦にはなかなか面白い場所です。

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 今年のルーキー、トロロッソのダニール・クビアト。ベッテルの後にレッドブルに乗るのは彼だそうです。ある意味レッドブルらしい新人抜擢です。

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 トラックの暴れん坊、フォースインディアのセルジオ・ペレス。今年のフォースインディアはメルセデスPUのおかげもあってそこそこ好調です。

 このポイントからは、スプーンコーナー進入から裏ストレートへ立ち上がっていくところまでが見通せます。ここもS字同様に、マシンの進路と速度がめまぐるしく変わる上に、ドライバーによって微妙にライン取りが変わるので、カメラで追いかけるのが大変です。

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 今シーズンは説不調でケータハムと同じくここまでノーポイントのザウバーに乗るエイドリアン・スーティル。

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 昨日ほとんど走れなかった小林可夢偉。セットアップを追い込むには余りに時間がありません。しかもエリクソンのマシンと違って、アップデート前の古いスペックのマシンで手こずります。

 ということで、フリー走行は大きなクラッシュなどもなく(ハミルトンがFP3中にどこかでクラッシュしたそうですが、スプーンにいるとどこで何が起きてるのかよく分かりませんでした)、天候にも恵まれたまま無事に終了しました。

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 マルシアのジュール・ビアンキ。

 FP3ではいよいよ予選に向けた本気セットアップが進み、前日と比べてタイムが一気に上がりました。トップはメルセデスのロズベルグで、タイムは1分33秒台に入ってきました。

 土曜日の午後からはいよいよ公式予選、そして翌日曜日は決勝です。(後編へ続きます)

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嵐の前の静けさ:F1 2014 第15戦 日本GP 観戦記(前編)」への2件のフィードバック

  1. YAMAGEN

    毎年楽しみにしております。
    ほぼ300mm単焦点縛りは凄いですね!
    とにかく「カッコいい」写真ばかりです。
    BIGMAはどうされたんでしたっけ?

  2. hisway306

    id:YAMAGEN さん、コメントありがとうございます。そう言っていただけるととても嬉しいです。
    レンズは悩んだのですが、300mmF4と1.4xテレコンのみ、あとは念のため18-135mmだけを持って行き、60-250mmは置いていきました。現場では意外にレンズ付け替えてる暇ないですから。
    BIGMAは一度SIGMAで見てもらわなきゃと思いつつ、今はまだそのまま家に眠っています。

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