少し前の話題ですが、富士フイルムの「写ルンです」が発売以来30周年を迎えたそうです。「写ルンです」をはじとする「レンズ付きフィルム」製品は、デジタルカメラとスマートフォンの普及によって、今となってはすっかり影が薄くなり、そのうちひっそりと市場から消えていく運命になると思うのですが、まだまだ現役で販売されています。
ある意味「いつでもどこでも手軽に写真を撮る」を30年前から実現した製品であり、スマートフォン内蔵カメラの先祖とも言える存在ではないかと思います。
そんな「写ルンです」の30周年を記念して、富士フイルムから「アニバーサリーキット」なるものが数量限定で発売されました。フイルムからすっかり遠ざかっていたところですが、懐かしくて思わず買ってしまいました。
アニバーサリーキット
ということで、まずはどんなモノなのか見ていきましょう。
これが外装パッケージ。初代「写ルンです」の復刻版風。緑と金に赤と白い横線の色合いは、アラフォー世代以上の人々なら一目で「写ルンです」だと認識できるものだと思います。
箱を開けて中から出てきたものはこんな感じ。本当に30年前の初代写ルンですを復刻したわけではなく、本体は現行製品の「写ルンです シンプルエース」となっていて、それに初代風の着せ替えカバーが付いています。そしてストラップと小さな紙切れ入り。ストラップは全3色あるそうで、ランダムに入っているので何色にあたるかは運次第。私は2箱買ったのですが、一つはグリーンでもう一つは白でした。
小さな冊子には過去の写ルンですシリーズの写真がずらっと並んでいます。これがよく見るとクイズになっていて、「古い順に答えてみよう!」という無茶ぶり。こんなのすぐに分かるマニアがこの世にいるのかどうかが分かりません。それにしても色々あったんですね。「写ルンです望遠」とか「写ルンですゴルフ」とか「写ルンですセピア」とかとか。
初代はISO100のフィルムが入っておりフラッシュも付いていませんでした。その後フラッシュが搭載され、ISO400やISO800と言った高感度フィルムが使われるようになり、一時期はAPSフィルムが使われていたと記憶しています。
ということで、早速着せ替えカバーを付けてみましょう。組み立てはハサミも糊もテープも要らず簡単です。結構しっかりしています。
あっという間に完成。真四角の箱になっていかにも初代風。格好良いですね、これ。コンパクトデジタルカメラやスマートフォンと比べると大きいですが、これフルサイズですから。
ちなみに中身の現行「写ルンです シンプルエース」はの仕様は以下の通りです。
フィルム | ISO400 135フィルム |
撮影枚数 | 27枚/39枚 |
レンズ | f=32mm F=10 プラスチックレンズ1枚 |
シャッタースピード | 1/140秒 |
撮影距離範囲 | 1m~無限遠 |
ファインダー | 逆ガリレオ式プラスチックファインダー |
フラッシュ | 内蔵(有効撮影距離:1m~3m) パイロットランプ付スライド式フラッシュスイッチ |
電池 | 単4形 1.5Vアルカリマンガン乾電池内蔵 |
寸法 | W 108.0×H 54.0×D 34.0mm |
重量 | 27枚撮:90g / 39枚撮:93g |
レンズは単玉単焦点、シャッターはフルメカニカルで固定。露出の調整はなくネガフィルムのラチチュード(っていう言葉なくなりましたね。ダイナミックレンジみたいなもの?)でカバーします。フラッシュも調光はなくて常にフル発光です。ピント合わせもなくていわゆるパンフォーカスです。
画角は32mmと使いやすいところに設定されています。感度はISO400なのでそんなに高くありません。基本的に日中屋外用で暗くなってくるとかなり露出不足になってくると思われます。どアンダーのプリントって独特の仕上がりになりますよね。懐かしいです。「ISO6400のノイズが…」とか、いかに贅沢なことを言ってるか再認識します。
細部を見てみましょう。右手側は巻き上げダイヤル。ガリガリ回すとフィルムが送られるとともにシャッターがチャージされます。この感覚も懐かしいです。ちなみに「写ルンです」のフィルムはプリロードされていて、巻き上げに従ってパトローネに巻き戻されていくタイプだったはず。今も変わってないでしょうか? 現像後のフィルムを見れば分かるかもしれません。
ファインダー上部にはフラッシュのチャージランプが付いています。
フロント側。レンズは上に書いた通りプラスチックの単玉。ファインダーはちゃんと光軸上に置かれています。なお、初代のファインダーはなんの光学系も持たない素通しの覗き穴だったと思うのですが、いつの頃からかちょっとしたレンズが入るようになったようです。
ちなみに現行品のファインダー、135フィルムフルサイズにしては横長に感じるのですがどうなんでしょう? 当初今でもAPSフィルムを使ってるのか?と思ってしまいました。ですので、フレーミングはかなり適当になります。仕上がりがどうなっていることやら。
背面側には取扱説明書付き。フラッシュは3mまで、ピントは1m〜無限遠で合うようになってると。昔の感覚では当たり前ですが、デジタルに慣れた最近だと、最短撮影距離1mというのはいかにも遠いです。つい無意識に近くのものを撮りたくなってしまいます。
ということで、続いてこんな「写真が撮れました!」と続けたかったのですが、それは次回以降で。デジタルだと平気で何百枚もシャッター切れるのに、フィルムだと27枚撮るのにそれなりに時間がかかります。そして撮り終わったらDPEに出して現像してもらわないといけません。プリントと同時にスキャンしてデータ化もしてくれるようなので、それをやってみたいと思います。
写ルンですの思い出
私は昔から「一眼レフ以外で写真なんか撮れるか!」というカメラ小僧だったのですが、写ルンですも使った記憶があります。たしか最初は高校時代の修学旅行。まだ写ルンです自体が物珍しい時代で、旅行先でネタ半分のつもりで思わず買ってしまいました。
…と言うことを思い出して止めておけば良いのに古いアルバムを引っ張り出してきました。なにか「これが昔の写ルンですで撮った写真です!」って言えるような一枚はないかな?と。
確かこの辺に写ルンですで撮った写真が混じってるはず。ていうか若い!ていうかみんなどうしてるんだろう? あー、ここ行った行った! この時あいつがアレやらかしてこんなことになって…(以下略)
初めて使ってみたとき、その性能というか実用性はほとんど信用しておらず、どうせまともに写っていないだろうと思っていたのに、仕上がりを見てびっくりした記憶があります。「これでいいじゃん」と思わせるには十分なクオリティでした。修学旅行などの学生時代の記念写真なんて「画質」が問題になるようなものじゃないですから。それよりもどんな瞬間が写ってるか?が重要です。スマホがない時代のこと、写真はそれなりに貴重でした。そういう意味で「写ルンです」は、何気ない一瞬が切り取れる、当時としてはとても斬新なカメラ(本当はフィルム扱いですけど)だったと思います。
結局のところ30年前のアルバムを眺めてみても、もはやどれが写ルンですで撮ったものか覚えていませんし、見分けも付きません。でも確かにこれらの写真の多くはかなり初期の写ルンですで撮ったものが混ざっているはず。と言うか、久しぶりに開いたアルバムは色々衝撃的で、いつの間にか写ルンですのことなんか忘れて、食い入るように古い写真を見ながら色々思い出してしまいました…。
懐かしさで「写ルンです」30周年アニバーサリーキットを手にしてみたら、思わず大昔の甘酸っぱい思い出に浸ってしまった、というどうでもいい話でした(A^^;
今回撮った写真は現像から仕上がり次第また記事を書きたいと思います。
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写ルンですは今また密かなブームなんよ?
デジカメしか知らない世代には新鮮なんだって。撮ってすぐ結果を確認できない事が。
チェキといいこれといい、富士フィルムは巧いねぇ。
変人になると撮影後にモノクロフィルムを詰めるんです。
私は昔、しかも100フィート缶の手巻きフィルムを詰めてました。
そういう暇人は結構世の中いたようです。
ふさん、
チェキの人気は知ってましたが、写ルンですも流行ってきたんですか?知りませんでした。知らない人には確かに新鮮かも。ブームに乗ったのか作ったのか分かりませんが、確かにうまいですね。
Y2さん、
分解してフィルムだけ取りだして自力再利用って話は聞いたことありますが、なるほど、モノクロ100フィート巻から詰めるんですね。暇人というか変人というか(A^^;