パワーユニットは基本的に変わりはないものの、マシン(シャシー)はリアウィングの幅が広く背が低くなり、タイヤも大幅に太くなりました。そのためグリップが大幅に増え、コーナリング速度が上がったことで、4輪トップカテゴリーとしての貫禄を取り戻し、各コースでコースレコードの更新が続いています。そしてこの鈴鹿でも久々にコースレコードの更新が期待されていました。
そのためにはドライコンディションであることが必須なのですが、日本GP期間中の鈴鹿では、台風の心配こそないものの、雨雲を伴った前線が金曜日から土曜日に掛けて通過するために、かなりの雨量が予想されていました。予選と決勝に先立って行われる3回のフリー走行は、その雨をかいくぐって行われることとなりました。
実際にところ、金曜日午後のFP2は大雨に見舞われてほとんどの時間がコースクローズとなり、まともに走ったチームはありません。なので今回は実質フリー走行は2回だけとなりました。その2回分、FP1とFP3で撮った写真を貼っていきたいと思います。
金曜午前のFP1はかろうじてドライコンディションを保った
金曜日は一部の高額チケット席を除いて自由席なので、どこにでも入れます。私は毎年恒例のカメラマンチケットを持っていますが、最初に向かったのはCスタンドの常設席。1コーナーに近いあたりです。
ここからは↑このように、2コーナーを回ってくるF1マシンの姿が、縁石絡めて良い感じで撮ることができます。上はルノーワークスの救世主、ニコ・ヒュルケンベルグ、下はパスカル・ウェーレインです。ウェーレインは昨日間近で(一方的にこちらから)挨拶した仲です。
さらに、遠くにはピット出口付近から1コーナーまでのメインストレートエンドも見通せます。かなり距離があるので、超望遠レンズでもマシンだけ大きく切り取る頃は難しいですが、むしろ広めのフレームを利用して、シャッター速度を一段と落として流してしまうのも面白くて嵌まってしまい、何百枚もシャッター切ってしまいました。
特に1コーナーに向けてのブレーキング期間では、レッドブルのマシンから激しい火花が上がります。しかも特にリカルドよりもフェルスタッペンのほうが火花の上がり方が派手だったように思います。
この火花はフロア下に取り付けられたスキッドブロックと路面が接触したときに上がるものですが、以前は安全性(スキッドブロックが外れたときに後続マシンに与える影響)を考慮して木製だったため火花は上がりませんでしたが、2015年からチタン製になったため、派手に火花が上がるようになりました。
さて、Cスタンドの下の方の席はフェンスがあるため、観戦はともかく写真を撮るにはあまり向かないので、基本的には上の方の席から見下ろす形になります。コース内に入れないアマチュアが撮れるアングルは決まってしまうので仕方ありませんが、極一部にフェンスの切れ目から2コーナーが見通せる場所があります。
こんな感じの場所です。ここからだと比較的低いアングルから2コーナーを立ち上がってくるF1マシンを撮ることができます。ということで、スペースを見つけてこのフェンスの隙間から撮ってみました。
撮ってみるとこんな感じになりました。上はセバスチャン・ベッテル、下はエスティバン・オコンです。最初の方に貼ったヒュルケンベルグやウェーレインのカットと比べて、視線が下がっているのが分かってもらえるでしょうか。F1写真好きな人にとってはこの差は結構気になるところかと思います。私的にはかなり自己満足しています。
なおこれまでの経験から、シャッター速度1/125secでの流し撮りを基本にしています。コースまでの距離とレンズの焦点距離、そしてマシンの速さなどで実際に像面で流れる量は変わるので、本当は小まめに調整すべきなのですが。このダニエル・リカルドの場合は、速度はそれほどでもないですが、かなりアップにしているし真横の流し撮りなので1/125secでも十分な感じです。
でも昨年あたりから少し基準シャッター速度を落とし、1/100secから1/80secくらいでいろいろ試してみたりしています。少し引き気味だとこのくらいじゃないと迫力ないかな?と。上のカットで言うと、ルイス・ハミルトンの方は1/100sec、下のセバスチャン・ベッテルは1/80secで、私的にはまぁまぁ撮れたと思ってるカットです。細かく見るとブレてどこも止まっていないので、拡大はしないでください(A^^;
さて、天気は下り坂でしたが、最後まで何とかドライのまま路面は持ちました。日曜日の決勝は晴れが予想されているし、この後のFP2やFP3はウェットの可能性が高いので、ドライコンディションでタイヤの感触などを試せるのはFP1だけかもしれないとあって、トップチームも含めかなり精力的に、ひっきりなしに周回してくれました。なので写真もたっぷり撮れて満足です。
大雨に見舞われた金曜日午後のFP2
逆バンクオアシスに並んだ屋台は「肉」フェスティバルと言うことで、色んなお店が並んでいます。みんな雨具を着ていますが、それほど雨は強くありません。まぁこの時はまだ何を食べるか悩む程度の余裕がありましたし、屋根のないところでハラミ丼にかぶりつける程度でした。
その程度の雨ならペンタックスの防塵防滴性能を信じて、裸のまま写真を撮るつもりでいたのですが、そのうちちょっとこれはまずいかも?という雨量になり、カメラに専用のビニールを被せます。
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ちなみに私がいつも愛用しているのはOP/TECH製のこれ↑です。薄手で邪魔にならないし、150-450mmとK-1クラスのカメラもすっぽり入ります。ファインダー覗き窓もちゃんと穴が開いていて、アイカップで挟み込む方式で装着も簡単、固定ももしっかりしています。が、概ね数回使ったら傷んでしまうので、半使い捨てとなります。
さて閑話休題。FP2は人気のDスタンドから撮ろうと思い、場所も確保したのですが、いつの間にか雨量はかなり増えてこんな状態になってきました。分かりにくいかも知れませんが、かなりの雨です。この感じだとフォーミュラカーは走れそうにありません。諦めて帰った人も多く、スタンドも閑散としてきました。
FP2開始時刻の午後2時には、かなりの大雨となり、コース上はウェットどころかほぼ水浸し。ウェット時に逆バンクのコースを横切る鈴鹿名物の「川」ももはや見分けが付かないくらいの水量。
セーフティカーが周回し、コースインスペクションを行いますが、この状態ではF1の走行は不可能と言うことで、コースがオープンされないまま時間が過ぎていきました。
そしてフリー走行2回目開始から30分ほど経過して、もはや嵐と言っても良いくらいの雨風がやってきたところで、私自身の心が折れて、この日はもうF1が走ることはないだろうと判断し、退散することにしました。
でも実際には午後3時前に少し雨が弱まり、その隙にコースオープンとなったそそうです。ベッテルなど数台が一応様子見で出てきたそうですが、クラッシュの危険を冒してまでヘビーウェットのコースを走る意味はないので、ほぼファンサービス的に数周ゆっくり走って終わってしまったそうです。それでもウォータースクリーンを引くF1マシンを撮っておきたかった、とやや後悔しています。
でも、ホテルに戻ってレンズを見てみたら、前玉がこんなことになっていました。150-450mmの深いフードでもこれだけ水が吹き込んでしまったわけで、これじゃぁ結局写真は撮れなかったかも。
なお、ペンタックスのレンズはSPコーティングがされていますので、この状態でも一拭きで綺麗さっぱり元通りになります。レンズクリーニング専用のペーパーがなければ、タオルやティッシュでもOK。超便利です。
何とか回復し始めた土曜日朝のFP3
この日の撮影場所は昨日FP2を撮ろうと思っていたのと同じ、Dスタンドの上部です。S字を抜けて来るマシンが正面に見えます。Dスタンドは高さが低く、そもそもS字コーナーから下ってきた先にあるので、スタンド最上段と言ってもコースに対してはかなり低い位置になります。スタンドの場所によっては、マシンのフロアが抜けて見えるアングルになったりして、アマチュアにも人気の撮影スポット。カメラマンエリアのなかでも人気なので、場所取りはかなり激しいです。
逆バンクの進入部だけ切り取っても、良い感じに縁石が流れてくれます。
なお、ホンダに最後通牒を突きつけたアロンソはそれでも鈴鹿で大人気です。ホンダをドライブするアロンソを見るのも最後かも知れないと思い、狙ってたくさん取ったのですが、なぜか足性が悪くて成功カットが非常に少なかったです。実は写真を撮っていてけっこうドライバー/チームとの相性というものがあって、今回で言うとルノーとフォースインディアはなぜか良く撮れることが多かったです。
下の写真はルノーのパーマーですが、そのホンダとマクラーレン手切れ騒動の余波を受けて、今回の鈴鹿で一応最後のレースとなってしまいました。
そして逆バンクコーナーといえども、それほどきついコーナーではないので真横を向いたときはこんな感じで側面の流し撮りが可能。ここはCDスタンドよりもさらにコースが近くて、フルサイズで200mmくらいで十分にフレーム一杯になります。それだけにカメラを振るのが大変なのですが。
なお上はこれまたホンダ騒動の余波でトロロッソからルノーに電撃遺跡となるカルロス・サインツ。下は典型的ペイドライバーと揶揄されつつも、今年表彰台に上ったことのあるランス・ストロール。来年のシートは危ぶまれています。
ここでもシャッター速度落とし気味にしてがんばってみました。ただ、やはり1/80secが限界のようです。1/60secはほとんど全滅してしまいます。それにやはりちょっとズームは引き気味にしてしまいますね。
なお、このフリー走行3回目ではわりと早い段階でフェラーリのキミ・ライコネンがデグナーでクラッシュしてしまいました。しばらくセッション中断になったりしたのですが、そのためほとんどライコネンの写真が撮れなかったのがちょっと残念です。いえ、ベッテルも大好きですけど。
さて、冒頭でコースレコードが期待されてるという話を書きましたが、やはりその記録を打ち立てる筆頭候補はルイス・ハミルトンです。FP1は路面温度が低く、FP3はウェットパッチが少し残る状態でしたし、フリー走行はタイムアタックではないということもあって、結局フリー走行中のコースレコード更新はありませんでした。
これまでのコースレコードはなんと10年以上遡って2006年にミハエル・シューマッハがフェラーリで記録した1分28秒954でした。今回のFP3までに記録された最速タイムはハミルトンのチームメイト、バルテリ・ボッタスの1分29秒055でした。あと1/100秒程度ですので、予選で更新されるのは間違いないところでしょう。
空は雲が多いながら青空も覗き始めました。場所を移動して予選に備えましょう。(予選編につづく)
使用したカメラとレンズ
動きものはK-3IIで、と決心したはずだったのですが、結局F1にはK-1を持ってきてしまいました。少しでも良い画質で撮りたいと言うのが、主な理由です。トリミング耐性もあるので画角についてはそれほど問題は無く、問題は連写速度とバッファ量だけでしたが、同時JPEG記録を止めてRAWのみで1スロットだけ使うようにすれば何とかなります。いえ、何とかするしかないと諦めることにしました。
レンズはもちろん150-450mm一択です。他のレンズは使いません。なおAFは中央一点のコンティニュアス、ピント優先でホールドオフ、手ぶれ補正は流し撮りの場合誤作動が多いので全てオフで撮りました。
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