ただし今年は冬の訪れが早くて、紅葉も全体的に巻き気味で進行していました。なのでほぼ昨年と同じ日取りだったにも関わらず、六義園の紅葉はほぼ終わりかけており、昨年と比べても少し寂しい状態でした。こればかりは自然の都合で決まることですから仕方ありません。
さらに残念なことに朝のうちは綺麗に晴れ渡っていた東京の空は、お昼にはモクモクと雲がわいてきて、なんとも言えない微妙な空模様に。終わりかけている紅葉はますますくすんだ色に写ってしまったかも。
でもこれが今年の紅葉見納め撮り納めとして、状況はイマイチなりに楽しんでゆっくり散歩&写真撮影してきました。
六義園は都内の庭園の中では別格
東京都営の公園はいくつもあって、中でも古くは大名庭園だった場所は現在でも庭園として整備されています。浜離宮、小石川、清澄、旧古川邸などなど。そんな中でも私個人的には六義園が一番好きです。と言っても春と晩秋にしか訪れないのですが、桜も紅葉も他では見られない見事な風景が人工的に作られています。
ちょっと過去記事で振り返ってみましょう。
前回訪れたのは春。正門のすぐ近くにある見事なしだれ桜のライトアップを見に行きました。この桜の圧倒的な姿は本当に素晴らしいです。来年は昼の姿も見に行きたいです。
そして昨年のやはり12月初旬に訪れたとき。今年よりもより最盛期に近い、素晴らしい紅葉が見られました。これで一気に六義園ファンになりました。
始めて訪れたのは4年前のやはり秋でした。この時はPENTAX K-3のシェイクダウンでライトアップの時間帯に来ましたが、ものすごい人出で紅葉を楽しむどころではありませんでした。
六義園は徳川綱吉の側近だった柳沢吉保が造成したと言われています。綱吉の時代と言えば江戸初期で、忠臣蔵とか生類憐れみの令とか、そういう時代のこと。現在の六義園はオリジナルからそうとう変わっているのだろうと思いますが、吉保はもちろん綱吉も、もしかしたら桂昌院もこの庭園に立って、こんな感じの風景を眺めていたのかも?と思ってしまいます。
さて、そんな歴史ロマンはさておき、今年の紅葉見納め写真を以下に貼っていこうと思います。
見所はツツジ茶屋周辺
既にトップにも貼ったのですが、茶屋と言っても小さな茅葺きの東屋が小高い丘の上にあって、その周辺は鬱蒼とした紅葉の木に囲まれています。
これだけ見てると十分綺麗ですが、去年は↓こうでした。
天気が良かったこともあって色もクリアだし、そもそも紅葉の状態が違います。これでも散り始めだったと思うので、本当に11月末とか最盛期だともっとすごいのかも。
でも、もしかしたら完全に散ったり枯れたりしてるかも?と覚悟していたのですが、想像していたよりはまだまだ見応えがありました。特に元気な部分を切り取ってしまえば最盛期と言い張れるかも。
茶屋のそばには渓谷が作られていて、山陰橋という名のこんな風情ある土橋が架かっていたりします。でもこのアングルだとやはり紅葉の状態はちょっと寂しいですね。
ここも去年は↑こんな感じでしたから…
なお、ツツジ茶屋と紅葉の取り合わせが最も美しく見えるが山陰橋の上です。なので、多くの見物客やカメラを持った人は当然山陰橋の上に集まります。そして、中央の女性のようになんとなく低い位置にカメラを構えたくなる気持ちはよく分かります。
渡月橋と周辺の水辺の景色も捨てがたい
渡月橋は渡ることもできますが、幅が狭いらしく一方通行です。工事で片側通行になっている道路のように、両端に誘導員がいて、人の流れを整理しているので、こうして一方向に綺麗に整列して人が渡っていくのが面白いです。
人がいないバージョン。でもこれじゃ味気ないですね。それはFlickrで付けていただいたFavの数にも表れています。(人がいるバージョンの方が人気!)
残念ながらこの渡月橋をちょうど良い感じ眺めることができる場所は、端の北側にあるので日中は常に逆光になるので、露出とか難しいですけど。
渡月橋が架かるのは、園内北側にある渓谷から中央の池に注ぐ河口付近です。その川を遡っていくと…
どこか山奥までドライブに行ってきました的な、本格的渓谷の風景もあります。吉保!お主やるな! と綱吉も感激したことでしょう(妄想)
水辺と紅葉という最高の組み合わせがそこかしこにあります。でも良い写真を撮るのはかなり難しいです。
それ以外も園内全部が見所
こうなるとどこで撮ったのかまったく不明なただの紅葉写真になってしまいますが、こういうのを肉眼で実際に楽しめます。こうした赤く黄色く染まった木々の下でリフレッシュできる場所が、都心からそう遠くないところにあるのが素晴らしいです。
桜の木は紅葉が早いし、色づくそばから散ってしまったりするので、あまり「木」として紅葉を楽しむって感じにならないのですが、葉っぱはよく見るととても綺麗なんですよね。
ちなみにこの葉っぱ、置いたわけではありません。本当にここにこうして引っかかっていました。
あとこういうのも撮りますよね。もうちょっと綺麗な苔があれば良かったんですが、そういうところには落ち葉がないという状態で、なかなか難しいです。これも置いたわけじゃありません!
と、いちいち言い訳しますが、私個人的には、そこにありもしない落ち葉を持ってくるとか、まだ木に付いてる葉っぱを引きちぎるとかするわけでなければ、その辺に落ちてる落ち葉を少し加えたり、邪魔な落ち葉をどけたりするくらいは、あり得る演出の範囲だと思っています。
実はここまでの写真はほぼFA77mmとDFA100mmという中望遠で撮ったものばかりでした。やはり私はこの辺のが角が一番しっくりきます。
と言うことで、今年の六義園の紅葉の様子でした。
すでに夜のライトアップも終えており、シーズンは完全に終了したものと思います。また来年を楽しみにしたいと思います。
傍若無人なカメラマンについて
さて、今回は六義園で撮影していてちょっと気になることがありました。大したことではないのですが、以下Twitterでつぶやいたような出来事に遭遇しました。
オレが撮ってる間はそこをどけ、て言うおじさんがいた。みんなお構いなしだけどね。そんな我が儘が通ると思ってるんだろうか? なお肝心の紅葉はほほ終わりかけでした。 https://t.co/2wJ89p8HIo pic.twitter.com/HPrzgDNuIt
— Hi (@hisway306) 2017年12月4日
そこどけよ!
場所は写真にある渡月橋ではなく、ツツジ茶屋がよく見える山陰橋のあたり。上に貼った写真にあるように、ここは絶景ポイントなので、多くの人がその景色を楽しみ、写真を撮ってる人もたくさんいます。そこで上のつぶやきのように「ちょっとオレが撮ってる間は橋の上からどいてくれ」っていうおじさんがいました。
私は自分が言われてるのか?と思いつつ、同じように思ったらしい周囲の人達と顔を見合わせて「???」ってなってしまいましたが、これだけ多くの人がいるところでそんなこと無理だろう… というのは明らか。中には海外からの観光客もいて彼ら彼女らは恐らくおじさんが何を言ってるのかも分かっていないはず。結局みんなで無視してしまいました。本人は「どいてくんないかな〜」「全然撮れねぇなぁ…」とかつぶやきながら、しばらくグズグズしていましたが、そのうち諦めたようで、それ以上のトラブルにはなりませんでした。
カメラを持った人が公共の場所で横柄に振る舞うというこの手の話はいくらでもあります。今回のおじさんのようにハッキリと口に出さなくても、次から次にやってくる人達に対し、あからさまにイラついていたり、大げさなため息ついたり、舌打ちしたり、という場面も含めれば、有名な撮影スポットでは必ず体験することと言っても良いかも知れません。
勝手に通行止め
それとは別に、Twitterには書きませんでしたが、もう一つ変な経験を最近しました。
先日行った養老渓谷での出来事なのですが、川沿いの遊歩道を占領し紅葉の渓谷を背景に子どもの写真を撮っているお父さんとお母さんらしき人に出会いました。もちろん、そこでは遊歩道を両側からやってきた人達は、私も含めて足を止めて撮り終わるのを待つわけですが… いつまで経っても撮り終わりません。設定に迷ってるというのではなく、バシバシとシャッターは切っているのですが、いつまでも撮り続けているのです。
お父さんは夢中になって周囲が見えてないかもしれないけれど、お母さんはカメラを構えてるわけではなくそんな写真撮影の様子を見ています。当然撮影が終わるのを待って足を止める人がどんどん増えてくるのが見えているはず。そしてそのまま数分経過し、我慢できなくなった人が隙を見て通行を再開し、なし崩し的にその撮影は終了しました。
突然目の前を横切り始めた人の波を見て、お父さんは何か言うかと思えば、結局終始周囲のことはガン無視で「スミマセン」の一言もありませんでした。子どもの写真を撮るくらいみんな協力するんだから、ここまでの多くの人の善意を受けたことに対してなんか言えよ… と腹を立てたというのが偽らざる私の気持ちです。
この二つの出来事は全く違うことのようでいて実は「他人のいない写真を観光地で撮りたい」という個人の我が侭はどこまで通るのか?という点で、同じような出来事だと思っています。
口に出して「そこをどけ」と我が侭を言うカメラおやじには誰も協力しないけど、子どもの写真を撮ろうとしているお父さんにはみんなある程度協力的です。しかしそれにも限度があります。
それは当然と言えば当然なのかも。しかし最終的にどちらがより不快な経験だったかと言えば、後者のお父さんの方が不快に感じました。それも厚意を無にされた、という自分勝手な感情なのかも知れません。そしてその閾値は恐らく人によって全く違うのだろうと思います。
とまぁ、まとまりもなく結論もないのですが、多くの人が訪れる観光地で「他人の入らない写真を撮ろう」という考えは持つべきではない、というのが私の意見です。
ちょっとだけ、少しだけ、オレ様だけ…
それ以外にも最近は↓以下のようなニュースがありました。
本当にこんな無法地帯なの? 写真の件は想像付くけど、紅葉の葉っぱを拾うのではなくて木から引きちぎる人って本当にいるの? って信じられない気持ち。:【特集】もみじをちぎらないで! 京都のお寺が悲鳴(MBSニュース) – Yahoo!ニュース https://t.co/2xKZye0Ygz
— Hi (@hisway306) 2017年11月28日
木から葉っぱや花を引きちぎるなんて言語道断ですが、写真を撮るためにルールを守らず、周囲を顧みない人達のことも書かれています。あと一歩前に出られたら、という気持ちは分からなくないですが、それをやると、そのうちそもそもそこへカメラを持っては入れなくなったら元も子もありません。
人が写らない方がいい写真なの?
既に上に貼ったりTwitterでも使った写真ですが、これは人がいないと写真にならないと思います。
昭和記念公園の銀杏並木だって人を避けようがありません。というか人がいないと寂しいと思います。
このザワザワした感じがないと、ネモフィラの丘の雰囲気は出ません。よね?
この圧倒的な大藤の前には、人が写ってるかどうかなんてもはや関係ないです。
ということで、偉そうなことを言わせてもらえば、場所を貸し切れたりするわけではない我々アマチュアは、多くの観光客が訪れる有名観光地で写真を撮る場合、人が写りこむことを前提で考えなくてはなりません。もちろん肖像権とかそういうことも気になるので、SNSやブログなどネットで使う場合はあくまでも脇役として、ですけど。
フォトショという強い味方
どうしても理由があって人が写って欲しくない場合、人の少ない時間帯を狙うとか、可能なら借り切るとか、そういう努力をするしかないでしょう。それも適わない場合、現代の私たちにはPhotoshop(またはそれに準じたレタッチツール)という強い味方があります。それを使うしかありません。
この2枚は全く同じ写真から異なる現像というかレタッチを経て書き出されたものです。左はほぼ撮って出しですが、右はPhotosopを使って人を消すという作業を加えました。かなり雑にやったので、良く見ると人のいた辺りは不自然ですぐに分かってしまいますが、丁寧にやればそれなりの仕上がりになると思います。
やり方は… ご存じの方多いですよね。Photoshop CCで対象の写真を開き「多角形選択ツール」か「マグネット選択ツール」で消したい人の輪郭を選択し「コンテンツに応じて塗りつぶし」を実行するだけです。
これ、フレームに写り込んでしまったちょっとした邪魔物(人に限らず)を消すのに超便利で、結構よく使っています(A^^; 使ったことない方は是非試してみてください。コピースタンプより強力で簡単です。
使ったカメラとレンズ
カメラはいつも通りのPENTAX K-1ですが、今回レンズは単焦点縛りにしてみました。最近ズームばかり使いすぎだな、と少し反省していたところです。本文に既に書きましたが、持って行ったのはFA31mmとFA77mm、そしてDFA100mmの3本です。FA43mm始め50mm前後を飛ばしてしまいましたが、少し中望遠偏重のこの組みあわせもなかなか良いものです。
これらの単焦点レンズはK-1に良く合います。F2.8ズームトリオと違って機動性抜群、超軽快。今度出ると言われているDFA★50mmF1.4はバカみたいにデカくなるそうですが、このFA LimitedのコーティングやAF駆動まわりをリニューアルしてくれるだけでも良いのになぁと思います。それこそ他社にはない特徴的な一眼レフシステムになるのに。
でも単焦点は難しいです。特にFA31mmは画角的にも難しいし、描写性という店でもじゃじゃ馬でAFも77mmよりシビアな気がします。久々にこの感覚を味わいました。これからすると、F2.8トリオ含めた最近のズームは何をしてもビクともしない安定感があって、使いやすいということを実感します。
うん、やっぱり本気で作った最新設計の単焦点レンズも欲しいかも。
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