前回の桜のエントリーに貼った写真の中にPENTAX K-1ではないカメラで撮った写真が混ざっていたかと思いますが、その話です。タイトルの通り、富士フイルムのXマウント最新鋭機X-H1を買ってしまいました。
Xマウント機とは実はそこそこ縁があって、以前利用していた製品モニターサービスを通じて、初代X-Pro1以来何機種か試用させてもらったこともあり、とても馴染みがあります。借りて使ってみるたびに欲しい欲しいと思いつつ、しかしなかなか自分でXマウント機を買う機会(というか理由)がありませんでした。
しかしいよいよそのときが来ました! ボディ内5軸手ぶれ補正と高性能なEVFと動体追従性能を改善したAFを搭載したX-H1がCP+ 2018の直前になって発売されました。
これはもしかして買いじゃないのか? Xマウントに多数用意されてる単焦点レンズでも手ぶれ補正が効くXシリーズのカメラが欲しかったんだろ? という内なる声に背中を押しまくられました。
Unbox !
まずはいつも通り実機を見ていきましょう。それと同時にどの辺が「買い!」なのか見ていきたいと思います。
いきなりどうでも良いことですが箱です。つや消し黒でシンプルなデザイン。Xシリーズはパッケージもそこそこ凝っています。
X-H1は特にレンズキットは用意されておらず、ボディのみで販売されています。なので最初の一本は自分で好きなレンズを組み合わせることになります。そのレンズについては後ほど…。
付属品はこんな感じ。最近の製品にしては結構多いです。ボディ本体の他に電池と充電器、ストラップは良いとして、それ以外に小型のフラッシュ、ストラップ取り付けの三角環とカバー、さらに三角環取り付け補助工具一式(写真左上)、そしてケーブルプロテクターなる謎のプラパーツ(写真右上)がひとつ入っていました。
これに加えて分厚い紙の取扱説明書が付いています。最近PDF配布を前提に省略されることが増えてきたので、へぇ~と思ってしまいました。
なお、ストラップやフラッシュ、謎のプラパーツは使わないと思うのでそのまま箱に入れてしまっておきます。さらにピークデザインのアンカーを釣り金具に直接付けるので、ストラップ用の三角環も使いません。
ではボディ本体をよく見てみます。X-T2に似た系統のデザインで、レンズ光軸上部にEVFを搭載した一眼レフ風味。X-Tシリーズと大きく違うのはグリップが大きくなったこと。これは大きくなったとネガティブに捕らえることもできますが、逆にしっかり握れるようになったという意味ではポジティブな面の方が大きいと思います。
正確なサイズは幅139.8mm、高さ97.3mm、奥行き86.5mm、重さはバッテリー込みで673gと、Xマウントでは最大最重量級ですが、APS-C一眼レフの上級機と比べるとまだまだ小型軽量と言えると思います。
最も特徴的なのは右手側のグリップ部。従来のXマウントでは露出補正ダイヤルがあった部分に、GFXみたいな正方形に近いモノクロ液晶が搭載されています。デフォルトでは黒バックですが、設定で白バックに切り替えられます。またこの液晶は電源オフでも表示されたままになるのですが、電池を食ってるわけではないそうです。
シャッターダイヤルとその根元には測光モードレバーがあって、後で紹介する左肩部にはISOダイヤルとドライブモードレバーがあるなど、ダイヤル操作にこだわったXマウントらしい操作系ですが、そのダイヤル操作系の中でも最も重視していたかに思えた露出補正ダイヤルをあっさり廃止したのはどうしたことでしょう。液晶表示と露出補正ダイヤルのどっちが欲しいかと聞かれたら… 私は露出補正ダイヤルを選ぶかも。
さて、その液晶に追いやられた露出補正は、ボタン+ダイヤル式のごく普通の方式に改められました。なお、デフォルトでは露出補正ボタンを押しながら後ろダイヤルを回すと露出補正ができるのですが、これもカスタマイズ可能なのでK-1に合わせてボタン1回押すと露出補正モードに入り、前ダイヤルで補正値を動かすように変更しました。
電源スイッチがシャッターボタン回りにあるのは、ペンタックスやニコンの一眼レフユーザーにとってはなじみ深く、違和感がありません。これマルチマウントで使う上では地味にとても重要な部分です。
そしてボディ左側はこんな感じ。機種名は左側背面にひっそりと書かれているだけ。ダイヤルは上下2段式で上がISO感度設定、下はドライブモードです。
ISO感度のベースがISO200なのは相変わらずXマウントの伝統です。最高感度は標準でISO12800まで、拡張感度としてISO25600またはISO51200が使えます。同時に低感度側も拡張扱いでISO100まで設定が可能。X-T2/X-Pro2から拡張感度でもRAW記録が出来るようになったと思っていたのですが、X-H1はなぜか拡張感度はJPEG記録専用に逆戻りしています。これは何でですかね? ファームで何とかなるなら直して欲しいです。
いずれにしても高感度がISO51200までというのは、今時のカメラにしては物足りないですが、実際には役に立たない超高感度があっても結局使うことはありません。ISO12800がしっかり使えるならそれで十分、という考え方なのかもしれません。
連写モードはH/M/Lと3段階ありますが、ボディ単体ではCHで8コマ/秒が最高ですが、パワーブースターグリップを取り付けるとメカシャッターで11コマ/秒、電子シャッターで14コマ/秒まで上げられるとか。いずれもAF固定みたいな但し書きがないので、AF使用が前提です。バッファサイズもJPEGで50枚、RAWで30枚程度あるので、最低限のところはクリアしてると思います。
ミラーレスらしさを生かしてもっと超高速なカメラは他にもありますが、あとのOKカット選別やディスク容量のことも考えると、現実的に取り扱いができるのはこの辺じゃないかと思います。欲を言うならもう少しバッファがあると安心です。いずれにしろ憧れの秒間10コマが手に入りそうなところまで来ました。
背面液晶は3インチ104万画素とごく普通のもの。チルト機構付きでスッキリ収まっています。タッチパネルは私個人的にはどうでも良いと思っています。ライブビュー前提のカメラならいざ知らず、EVF機には不要じゃないですかね? 操作性がこれで良くなることも希ですし。誤作動が嫌なのでタッチ機能はOFFで使うことになると思います。
秀逸なのがこの縦位置に対応したチルト機構です。PENTAX K-1があんなに複雑な機構を使ってやっと実現しているものが、こんなにスッキリ収まるなんて。しかも捻れることがないので、チルトするときに水平が取れなくなることもありません。ただし縦位置時のチルトはローアングル対応のみで、ハイアングル側には対応していません。K-1方式にも一理あると言うことでしょうか。
背面右手側のボタン類はこんなにスッキリしています。十字キーに一切シルクがありませんが、これはっすべてのキーがファンクションキー扱いになっていて、機能割り当てがカスタマイズできるためです。自由度が高いのは良いことですが、何の機能がどこで操作できるかまったく見当も付かないというのは、慣れるまでちょっと大変です。今のところデフォルトのままにしてあります。今後じっくり考えていきたいと思います。
あと、操作性で秀逸なのが小さなジョイスティック式のレバー。これはAFポイント(またはAFゾーン)の移動用です。最大で25×13ポイントに及ぶAFポイントをEVFを覗いたまま自由自在に動かすことができて、これはとても秀逸な操作系だと思います。
さて肝心のCMOSセンサーはFUJIFILM独自のX-Tranxs CMOS IIIでAPS-Cサイズで約24Mピクセルです。画像処理エンジンはX-Processor Proが組み合わされており、この点はX-T2などと同じで特に新規デバイスではありません。
しかしX-H1ではXマウントでは初めてボディ内手ぶれ補正が搭載されました。他社と同様に磁気浮上駆動式なので、5軸補正に対応しています。
すでに発売済みのXマウントのレンズは、ズームを中心にレンズシフト式の手ぶれ補正が搭載されていますが、特徴的な単焦点シリーズは小型軽量あるいは光学性能にこだわって手ぶれ補正は搭載されていません。これらのレンズが手ぶれ補正とともに使えるメリットは非常に大きいと思います。
ペンタックス機同様に5軸の手ぶれ補正が搭載されたことは、すっかり手ぶれ補正があることを前提に写真を撮るようになってしまった私にとっては非常に大きなポイントです。
もう一つチェックしておかないといけないのがEVFです。0.5型369万画素の有機ELパネルを搭載し、フルサイズ換算で0.75倍のEVFです。実際に覗いてみると、EVF嫌いな私から見てもこれならなんとか使えるかな?と思わせる出来です。フレームレートや表示ディレイもトップレベルですし、カメラを振りながら連写したときの表示コマ落ちの様子もそこそこ良い感じで、これなら動体追従もなんとかなりそうと思います。特にブーストモードに設定したときの表示はなかなか良くできていると思います。
そして一番ポイントだったのはコンティニュアスAF時の表示です。AF性能やレンズサーボも含んだシステムトータルの動きによるものだと思いますが、コンティニュアスAF時に急に解像感が落ちたり、微妙なウォブリングを繰り返してEVF像が揺れるカメラが多い中で、このX-H1のEVFはまるで一眼レフのOVFのように通常時と何ら変わりない安定した表示を続けてくれます。
これらは店頭デモ機など、限られた条件下で確認しただけのもので、実際の現場で使ってみないと分からないことはたくさんあると思うのですが、とりあえずX-H1を買おうと思った最後の決定打になりました。
カードスロットはUHS-II対応のダブルスロットです。連写速度とバッファ量に加えて、快適に使用するには非常に重要な部分です。
なお、スロットの番号割り振りは背面側がスロット1でグリップ側がスロット2です。だからなんだという話ですが、ペンタックスと逆です。混用する場合は注意が必要ですね。
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なおようやく念願のUHS-II対応カメラを手に入れた!ということで、UHS-II対応のSDXCカードを買おうと思ってアマゾンで物色したところ、その値段の高さにビックリしてしまいました。考えてみれば当たり前のことなのですが…。とりあえず64GBを1枚だけ買ってみることにしました。
電池室は底面側にあります。なお唯一にして最大のX-H1の欠点はこの電池だと思います。従来機種と互換性を保っているのは良いのですが、容量は1260mAhしかありません。その結果X-H1の電池寿命はカタログ上310枚と大変心許ないもので、これがブーストモードになると200枚台まで落ちてしまいます。
センサーやプロセッサはそのままに、ボディ内手ぶれ補正も搭載しEVFも強化されるなど、消費電力はX-T2などから増えているでしょうから、そろそろ新型の大容量電池を用意した方が良いのではないかと、旧機種を持っていない新米ユーザーは思ってしまいます。
なので予備電池は何個か必要だし、最終的にはパワーバッテリーグリップは必須かな~と、悩んでいるところです。
カードスロットの反対側は一通りの外部コネクタがあります。上からマイク入力、USB3.0、ミニHDMI、そしてリモート端子です。なおUSB充電には対応していません。
さて、一応PENTAX K-1と並べてみました。片やフルサイズの一眼レフ、片やAPS-Cのミラーレス。この2台はマウントもメーカーも全く違うのに、どことなく似たような部分を持っていて、しかもお互いに持ってないところを補完し合う良い組み合わせではないかと、勝手ながら自己満足しています。
大きさはこの通り。奥行き方向はさすがに一眼レフは分厚くて体積差は明らかですが、X-H1はそれほど小さくないことが分かります。すでに手放してしまいましたが、K-3 IIあたりと並べてみたら、もしかしたらX-H1の方が大きく見えるかも?
最初のレンズは悩んだ末に…
さて、このX-H1にどのレンズを組み合わせるかが問題です。やはり1本持っておくとしたら標準ズームだろ、とは思うのですが、いろいろ思うところあって、最初の一本は単焦点レンズにしてしまいました。
それも本命はXF23mmF2だったのですが、気がついたら全然違うレンズを買っていました。
これです。6年前にX-Pro1とともにXマウントが発表された当時からラインナップされたXマウントの標準レンズXF35mmF1.4Rです。このレンズを手ぶれ補正機能とともに使える唯一のカメラがX-H1であり、CIPA基準で5.5段分の補正能力があるとされています。
クリック感までこだわったという絞りリングが付いていますが、実態は完全電子制御ですから機械連動機構はまったくありません。鏡胴のほとんどを占めるピントリングも同様で、ボディから外した状態ではうんともすんとも言いません。
このレンズの特徴は、今時のレンズだというのに光学性能にこだわって全郡繰り出し式であること。デジタル補正を前提としない本物の高性能レンズであると、謳われていました。ですからAFスピードは決して速くないし、AF音もガタガタと結構賑やかです。
付属のフードは↑こんな姿で格好イイのですが、このフードと組み合わせるラバー素材のキャップが不評です。実際、私は颯爽なくしてしまいました。どこかでポロッと落ちてしまったのだろうと思います。
付属品はこんな感じで、本体と前後キャップとフード、それに一軒繰りニー忍具クロスかと思わせるようなレンズポーチが付いています。ポーチは持ち運び時の嵩張らなくて良いのですが耐衝撃性はあまりなさそう。とりあえず使わずに仕舞っておくことにします。
ファースインプレッション
まずは何でもない無限遠の風景。ほぼデフォルト設定なのでフィルムシミュレーションはPROVIAです。ボディ内JPEG記録です。うむ、普通ですね。
ヌメッとしたボディとか、ライトのアクリルの質感とか。
近所の公園のど真ん中でたたずんでいた猫さん。毛並みはちょっとギラギラしすぎかも。あと背中のハイライト部が飛んでないけど飛びそうな感じ。ちなみにダイナミックレンジはDR100固定です。
高感度はどんな感じかというと、これはISO3200程度なのですが、まぁ高感度っぽさはみじんも感じないです。APS-Cの24Mピクセルでこれは素晴らしいと思います。そしてシャッター速度は1/10sec。かなりラフに撮ったのですが、ちゃんと手ぶれ補正も効いています。
なおこのカットはRAWで撮影しLightroom CC Classicで現像しました。
Lightroom CC ClassicではすでにX-H1のカメラプロファイルがサポートされており、Xシリーズの特徴であるフィルムシミュレーションもLightroom上で再現可能です。もちろんカメラ内で生成するJPEGと同等かどうかは検証が必要です。
さらにXシリーズでは、パソコンとカメラを接続した上で、カメラ内の画像エンジンを使用してRAW現像を行える FUJIFILM X RAW STUDIO という純正ソフトウェアもあるので、これも試してみないとと思っています。
XシリーズはJPEGで撮ってナンボと言われていますが、私は頑なにRAWで撮るつもりでいます。一応JPEGも同時記録しますが。
さて閑話休題。桜の色も鮮やか! Velviaで現像してみたらかなりくどい色になりました。でも桜はこのくらいやっても良いかも。
これは前のエントリーでも使いましたが、普通にPROVIAで現像しました。これでも十分コッテリな感じがします。ペンタックス機とは違っているのは明らかなのですが、混ぜてもそれほど違和感を感じないのはどうしたことでしょう?
もっとしっとりしたASTIAとかPro Negaとか、あるいは渋い発色のクラシッククローム、そして動画用にX-H1から追加されたETERNAなど色々ありますので、今後徐々に試していこうと思います。
ちなみにこのカット、これだけ光がある中でF1.4開放にしたのでシャッタースピードが大変なことになっています。もちろんこれは電子シャッターを使用しています。X-H1に限りませんが通常はメカシャッターで、このようにメカシャッターが追い付かない明るさになったときのみ電子シャッターに自動的に切り替わるので、大口径レンズの開放も心置きなく使えるようになりました。もちろんこの場合、ローリング歪みに注意が必要です。
まだほとんどお試し程度にしか使っていないのですが、とりあえずの感想としては「まぁまぁかな?」という、やや醒めた感想が偽らざるところです。
とりあえず使用感で戸惑っているのは、シャッターストロークの浅さ。ほとんど指を乗せただけでシャッターが切れてしまうこともしばしば。いくら何でもこれは軽すぎないか?と思っているのですが、一方でこれに慣れてしまったらもうやめられなくなるような気もしています。
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電池はいまのところ心配したほどあっという間になくなるという感じはありませんが、まだそんなに本気で使ってないのでこれも今後もう少し見ていく必要があります。取り合えず予備電池は買っておいて損はないでしょう。
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バッテリーグリップを追加するなら電池は計3個必要ですしね。
今後の抱負
何はともあれレンズの拡充が急務な訳ですが、実は次の一本としては標準ズームよりも先に望遠ズームが欲しいな、と思っています。「X-H1はK-1にないものを補完するカメラ」と上で書きましたが、それは純粋にK-1のサブカメラとして使うというだけの意味ではなく、連写が必要な動体撮影用として考えています。つまりは先日手放してしまったK-3 IIの代わりと。だからあくまでもメインがK-1なのは変わりなく、ペンタキシアンをやめるつもりはありません。
さて一眼レフ信奉者として、動体撮影にミラーレスで良いのか?という根本的な疑問があるのですが、とりあえず試しみる価値はあるだろうと思っています。
動体にもっと強いミラーレス機は他にあるのかもしれませんが、どんなに性能が良くても手に馴染まないカメラでは仕方ありません。今のところ私にとって、使ってみようと本機で思えるミラーレス機はX-H1しかないし、カタログにサーキットで撮影した写真を使う程度にAF当含めた動体対応にメーカーが自信を持っているということなら、一つ乗ってみようじゃないかと思っています。
そして期待通りX-H1がすっかり気に入っていればそのままXマウントを拡充していけば良いし、やはり一眼レフでなくては… と思ったならK-3 II後継機を待ってまた考えたいと思っています。
ということで、タイトルの問いかけに対する答えはまだまだ出ていません。今後じっくり使ってみて答えを探していきたいと思います。
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