東京スカイツリー

 来るべきデジタル地上波放送完全移行の時代に向けて、東京スカイツリー(=新しい東京タワー)が建設されています。デジタル放送のありかたと、今更新しい電波塔を建てることの是非はさておき、他にない超大型建造物ということで、新しい東京のシンボルになる可能性は大です。ついこの間まで用地選定をやってたと思ったら、すでに建設は開始され、すでに215mの高さになってるとか。完成を待たずに、その建設中のスカイツリー自体が、あらたな観光名所になってるようです。ということで写真部の仲間とともにカメラを持って見物に行ってきました。

画像
押上駅と業平橋駅の間に建設中の東京スカイツリー。現在の高さは215m。
画像
東武伊勢崎線の線路とスカイツリー。
画像
古い団地の敷地に咲いていたエンジェル・トランペット。またの名を朝鮮朝顔。綺麗ですが猛毒があるそうです。

 建設地は墨田区の押上付近ということで、地元と言える場所です。最寄りの錦糸町駅から地下鉄半蔵門線に乗って一駅行けば押上駅に到着。地上に出るといきなりスカイツリーが聳えていました。とりあえず計画としてはぐるっと建設地を一周すること。押上駅を起点に反時計回り方向に歩きます。

 さすがにこれだけの大型プロジェクトとあって、周辺の街路にもスカイツリーの建設情報があちこちに張られていました。しかし基本的この辺は古くからの下町。派手で先進的なデザインのタワーとは正反対にある古い小さな建物がひしめいていたり。とても対照的な風景が広がっています。

画像
スカイツリーとクレーンと飛行機。
画像
おしなりくん(”押”上+”業”平橋)。今流行のゆるキャラ? スカイツリー周辺の商店街が作ったイメージキャラクターだそうです。
画像
飛行船も飛んできました。意外に速度が速いです。

 行ってみて驚いたのは人出の多いこと多いこと。見学ポイントとなる北十間川にかかる二つの橋の上と、川沿いの道には人だかりがしていました。まだ建設中だというのに、こんなに人気があるのかとちょっと驚きました。と言ってもまだ観光地化されているわけではなく、普通に人が暮らしている生活感のある地域。もしかしたらこんなに人がやってきたりして、住民は迷惑してるんじゃないかと心配になります。まぁ、自分もそんな中の一人なわけですが(A^^;
 見学、撮影ポイントとしては時間帯によるかもしれませんが、やはり人がたくさんいた北十間川周辺がベストかと思います。スカイツリーの南側に当たります。北側は東武線が走っていて、ポイントによってはカメラを持った人がいたりしましたが、障害物が多く逆光になりやすく、あまりいいポイントはないかも。

画像
構造物マニアな人たちの気持ちがちょっと分かってきます。
画像
友人から魚眼レンズを借りてみました。完成したらこのくらいのレンズじゃないと全景入らないかも。
画像
浅草からも墨田区役所、アサヒビール本社ビルとともにスカイツリーが見えます。

 11月末現在の高さは215m。完成すると高さは634mになる計画だそうで、現在の約3倍になるとか。計画を聞いたときからその高さにピンと来ませんでしたが、こうして途中まで出来上がってみてもまだその3倍になると言われると、その高さの感覚がよく分かりません。それって高すぎるんじゃないだろうかと。周辺にはまだ超高層ビルもそれほど建っていないので、こんなに近寄らなくてもスカイツリーは東京中のあちこちから見えるはず。実際、自宅からもすでに現時点で見えていることに気がつきました。

 工事スケジュールによると、来年の夏頃には350mの第一展望台まで、再来年の春にはだいたい外観は完成し、2012年春に周辺施設含めて開業するそうです。ということで、建設中の姿はまだ1年半くらいは見られそうです。

 東京スカイツリー  東京都墨田区押上1丁目

二眼レフカメラ:初撮影

 自作、というか自分で組み立てた二眼レフカメラ(大人の科学Vol25に付属)にフィルムを詰めて早速試写してみました。24枚撮りのネガフィルムを入れて、近所を散歩しながら何も考えずにバシャバシャとシャッターを切った結果です。被写体がどうのとかフレーミングがどうのといったことは、とりあえず抜きにして。

 とりあえず、何も写っていない!という事態は避けられました。写真としての中身は不問とはいえ、一応アップするに耐えうる写真を何コマか選んでみました。フィルムをEPSONのプリンタ複合機PM-A900でスキャンしたものです。細部を見ても意味はない写真ばかりなので、クリックしても大きくはなりません。

画像
強い逆光で撮ってみたらこんな結果に。ゴーストともフレアとも何とも言えない模様が写り込みました。周辺光量の落ち込みもかなり激しいようです。
画像
二眼レフならではの超ローアングル。ピントは適当に至近距離に設定。背景はちゃんとぼけてます。
"画像
カメラを横にして横位置撮影。ファインダースクリーンはかなり見にくくなりますが、適当に勘で撮りました。周辺は露光間ズームしたかのように流れます。

 とまぁ、こんな感じです。何をどうしても「画質」を語るような映像ではありません。ピントはかなり甘く、周辺はぼけぼけ、しかも光量落ちもかなりあります。逆光には弱いどころの話ではなく、まともに被写体が写らないほど。

 でもそれはむしろこのカメラの特徴というか味として楽しめる部分です。何しろ見た目通りに写らないのですから。何が出てくるか分からない魔法の箱です。しかもデジタルのようにすぐに結果を見て、いらないからといって消すこともできません。数打ちゃ当たる戦法で何百枚も撮ることも出来ません。

 こんな不思議な「写真」を撮るために、考えて思い悩んで意を決して貴重な一コマを撮影するのです。フィルム時代の感覚を思い出すと、不便ながらもとても面白いです。

画像
友人が同じカメラで撮ってくれた写真。K-7構えてるのは私です。右肘上がりすぎですね(A^^;; このカメラで撮れる写真の正しい作例。


 ちなみに、この二眼レフカメラの作成とともに、思い出して引っ張り出してきたプラモデルカメラ。こっちにもフィルムを入れて撮ってみました。カメラとしての質は似たようなものかと思ったのですが、撮ってみて、比べてみてびっくり。プラモデルカメラは大人の科学の付録二眼レフカメラに比べてずっと綺麗に写ります。こちらは必ずしも遊び”だけ”ではなく実用性も考えたカメラのようです。

画像
普通に写ります。写ルンです並かな?十分に記録用または記念写真用カメラとして使えそう。
画像
少々逆光ぽくても問題なし。パンフォーカスなので手前から遠景までくっきり。

 このプラモデルカメラも最初に試し撮り結果を見た時には、その味わい深さにびっくりしたものですが、上の二眼レフカメラの撮影画像を見てからだと、ごくごく普通に綺麗に撮れてるように見えてしまいます。ピントは来てるし、クリアで四隅までそこそこ見られます。このカメラもプラスチックの単玉だったはずなのですが。


 こういうカメラで遊ぶのも面白いですね。トイカメラの面白さってこういうことなんでしょうか。フィルムを買い足して引き続き遊んでみようと思います。

月島慕情:浅田次郎

月島慕情 (文春文庫)

月島慕情 (文春文庫)

 

 

 久しぶりの浅田次郎の短編集です。この本は時代物ではないのですが、タイトル作品となっている「月島慕情」が大正の吉原を舞台にしていると言うことで、何となく心惹かれて買ってみました。読んでみれば各物語の時代設定はばらばらで、大正だけでなく明治から昭和、平成の現代ものまで含まれています。しかし、そこは浅田次郎氏の筆の力によるものなのか、あまり各話の時代の違いというものは気になりません。どれをとっても浅田ワールドです。もちろんすべて号泣ものです。

 第一話の「月島慕情」は大正時代の花魁が見た先々の人生の夢、第二話の「供物」はある女性が過去へと遡る旅、第三話の「雪鰻」はとある自衛隊の師団長の忘れえぬ過去の記憶、第四話の「インセクト」は学生運動が活発な時代に東京に出てきた学生の焦燥、第五話の「冬の星座」は96歳で大往生を遂げたある老女の心意気、第六話の「めぐりあい」は山深い温泉街のマッサージ師とあるひとりの客との一期一会、第七話の「シューシャインボーイ」は大成功を遂げた男の人生の目的…。どれも素晴らしく心温まる物語ばかりです。

 面白いことに巻末には浅田次郎氏自身が語る、これらの一つ一つへの作品の解説が付いていること。そういえば以前に読んだ「お腹召しませ」も作者による解説付きでした。スティーヴン・キングのように上手い解説は、作品の勘所を説明するような野暮にはならず、これらの一つ一つの物語の印象を強くします。興味深いことに、浅田次郎氏は短編を構成するに当たり、ちゃんと各物語のつながりや抑揚というものを考えている、みたいなことが書かれていました。音楽のアルバムと一緒で、同じような曲ばかりにならないように、少しスパイスを混ぜたりするものなんだな、と何だか納得してしまいました。

 で、全編にわたって泣けるわけですが、この中で私が一番強く印象に残ったのは、第三話の「雪鰻」です。変なタイトルですが、中身はいたってシリアスな物語。太平洋戦争を題材にしているという時点で、そりゃ泣けるに決まってるだろう、という気もするのですが、そんなに単純なものではありません。戦争という極限状態に置かれた人々を傷ついたヒーロー的に扱ってはいるようにも一見思えるものの、やっぱりはりこれは浅田次郎氏らしい「格好良い人間の心意気」の物語です。それは決して命を捨てることの潔さを称えるきれい事ではないし、ましてや軍人や軍隊を賛美するものでもなく、逆にただひたすら戦争の残酷さを書き連ねているだけでもありません。

 ところで「雪鰻」とは何なのか?それは読んでのお楽しみと言うことで。でも、それについてこの物語のとある登場人物は以下のように語っています。

あれは実にうまかった。どのくらいうまかったかというと、ひとことで言うなら、日本そのものだった。我が国の二千年の文化は、鰻の蒲焼きに凝縮されているといってもいい。しかも俺は、その二千年間に焼き続けられた無数の鰻のうちの、多分最高傑作にちがいない蒲焼きを食ってしまった。

 そんな鰻があるなら食べてみたい… と思うかどうかは、この物語を読む前と読んだあとでは、考えが変わるはずです。

 この本は全編にわたって泣けると書きましたが、中でもクライマックスはやはり最終話の最後にやってきます。最終話の「シューシャインボーイ」は現代の物語。登場人物とその周辺の事情は、浅田次郎氏の現代物らしく、何となく成り上がりの胡散臭さが漂う人物が主人公。何となく予想が付くような展開。しかし最後は… 理屈抜きです。泣けます。絶対に号泣です。

 お勧め度:★★★★★ (感動して心温まりつつ泣ける、贅沢な小説。これは誰にでもお勧めです。)

二眼レフカメラ:組立

 二眼レフカメラを買いました。新品でお値段は\2,500でした。というか、写真でもうお気づきと思いますが、学研が発行している大人の科学という雑誌(?)の先月号の付録に、組み立て式の二眼レフカメラがついていました。一部で大人気のようでして、私も冷やかし半分に買って作ってみました。

 パーツはほとんどがプラスチック。組み立てはねじで、接着剤等は一切使いません。もちろん必要なねじとドライバーが付属していますので、何も用意しなくても組み立てられます。説明書は文章が非常にわかりにくいのですが、絵と実物を見比べて勘で組み立てていけば何とかなります。一部、シャッターのチャージ機構の部分はかなり悩みましたが。

 

画像
組み立て前のパーツの箱。プラモデル式ではなく、全部品がすでに小分けされています。
 
画像
シャッター機構を組み立て中。3つのプラスチック部品とバネから構成されます。
 

 やり始めれば簡単に作れるのだろうと思っていたのですが、何かいやな予感がして平日は手を出さずにおいたのですが、正解だったようです。完成までに思ったよりも時間がかかってしまいました。と言っても。多分1時間程度だと思いますが。工作はなかなか楽しいものです。

画像
だいぶ形になってきました。
 

 組み立てで苦労したところと言えば、まずはシャッター。特にバネCの組み込み方が説明書を読んでも分からず、いろいろ仮組みしながら、どうすればシャッターとして機能するか試行錯誤してしまいました。分かってしまってから説明書読めば、なるほど、そういいたいのか!と分かるのですが。この部分は問い合わせが多かったのか、現在はWEBにシャッター部の組み立て方が動画で載っています。コレを先に見るべきだったかも。

 あとは、ミラーやスプロケットの組み込み前にサイドカバーのねじを締めすぎてしまったり、スクリーンのはめ込みに苦労したり、ファインダーの遮光板を左右間違えてしまったり、といった程度です(A^^; でもまぁ、なんとか出来上がりました。

画像
完成!
 

 このカメラ、スペックがよく分からないのですが、レンズの焦点距離は多分50mm前後ではないかと思われます。プラスチックの単玉で絞りも固定。絞り値は分かりませんが、しかし結構明るいようです。最短撮影距離は50cm。シャッター速度も固定で約1/150秒程度だそうです。スクリーンにぼんやり浮かび上がる画像ではピント合わせは簡単ではありませんが、2m以上はパンフォーカスになります。

 フィルムは35mm幅の135フィルムを使用。縦方向に装填するので、普通に二眼レフスタイルで構えると縦位置写真になります。もちろんフルサイズです。フィルム送りとシャッターチャージが連動しておらず、多重露光し放題。フィルム送りとシャッターの順番を自分で決めておかないと、訳が分からなくなります。さらに、フィルムカウンターも着いてないので、何枚残っているかも分かりません。

画像
GRD用のA&A製高級ストラップをつけてみました。右は昔作ったプラモデルカメラ。
 

 この二眼レフカメラを作って思い出したのは、4年前に友人からもらって作ったプラモデルカメラです。こちらは普通のコンパクトカメラスタイルですが、シャッターロック連動のレンズカバーがついていたり、シャッターチャージと巻き上げが連動し、フィルムカウンターも付いていたり、もう少し実用性のあるカメラです。

 それに対して、この二眼レフカメラは不便さ丸出し。この不便なカメラで写真を撮る行為そのものを楽しむためのカメラです。もちろん、どんな絵が写るかは想像も付きません。本編の雑誌の方にも「上手く撮ろうと思ってはいけない」と書かれているくらいです。

 早速ISO400のネガフィルムを買ってきて装填してみました。ついでに久しぶりにプラモデルカメラの方も使ってみることに。さてさて、どんな不思議な写真が撮れるでしょうか? 続きは後日!

PENTAX K-7 :5ヶ月インプレッション

 発売日にK-7を手にしてから約5ヶ月。あれよあれよという間にレンズも4本に増え、この間の撮影枚数も既に9,000カットに達しました。こんなに良く写真を撮るようになったのはとても久しぶりです。購入直後のウキウキ感も収まりつつあり、冷静な目でもう一度このカメラの評価をしてみたいと思います。このカメラを買って正解だったのか、これから先末永く使えるのか?どこが長所でどこが弱点なのか?

画像
プレミアム・スモール K-7

○デザイン&コンセプト
 そもそもこのカメラに惹かれた一番の理由はそのボディデザインです。ここで言うデザインとは見た目の形状というだけでなく、製品仕様も合わせたエンジニアリング・デザイン的な意味で、です。あるいは製品コンセプト+ボディデザインと言ってもいいのかもしれません。

 K-7のカタログの表紙に書かれた「プレミアム・スモール」という言葉がこのカメラの性格を全てを表していると思います。出来る限りの高性能を出来る限り小さく…。K-7は他の同クラスのデジタル一眼レフカメラの中では、圧倒的に小さなボディサイズを持っています。しかしK-7の小さなボディからは、こだわりは感じられても割り切りは感じられません。

画像
DA21mmF3.2AL, A mode, 1/30sec, F4.0, ISO400, AWB, ハイライト補正:ON, シャドー補正:中

 角張った線で構成され、一見古臭く見えるような外観も、ディテールを見てみれば意外に凝っており、それはデザインのためのデザインではなく、機能から必然的に導かれています。それは持ちやすさ、操作しやすさ、手触りのよさに繋がります。そしてこの小さなボディは防塵防滴性能というタフネスさも備え、実用重視が徹底的に貫かれています。

 LXへの回帰、とも言われましたが、実際のK-7自体にはLXの影はないし、そういう広告戦略もとられていません。PENTAXの成り立ちからすれば、過去の栄光を持ち出すことは簡単でしょうが、K-7はそんなに底の浅いカメラではありません。他にあるようでなかった小さな高級機。これは正に私が欲しいと思っていたカメラかも?と勝手に思い込んでしまいました。

○感触&雰囲気
 小さいとは言っても”中上級機のわりに”小さいと言うことであって、一眼レフカメラとして絶対的に小さいわけではありません。マグネシウム合金の外装は、そうと言われないと気づかないかもしれません。実物はいたってオーソドックスで飾りっ気なし。しかしガッチリとして剛性感のあるボディ。握りやすいグリップ。欲を言えばもう少し奥行き方向が小さければいいのにと思います。高さ方向は個人的に小指がはみ出すくらいでちょうど良い感じです。

 大きさからすると意外に感じるほどずっしりした重量感。重量は軽すぎても重すぎても弊害がありますが、個人的には許容範囲ギリギリの重たさ。もう50gくらい軽ければベストかな?と感じます。

画像
DA70mmF2.4, A mode, 1/500sec, F8.0, ISO100, -1.0EV, AWB

 小さなコンパクトカメラのように、いつもカバンに忍ばせておく、と言うわけには行きませんが、写真も撮ろうかな?と思ったときには持って行く気になる大きさ、重さ。近所なら、カバンにも入れずむき出しでストラップを首にかけて行く、というスタイルもあり。そんな気軽さも持ち合わせています。

 一眼レフカメラにとって命のファインダー。覗いて真っ先に感じたのは「暗くてザラザラだな」ということ。しかし、その暗くてザラザラなファインダースクリーンには、何ともいえない立体感を持った映像が浮き立っています。懐かしい昔のマニュアルカメラのように、ピントが合ったところと外れたところが綺麗に見えます。フルサイズのような視界の広さはないけれど、視野率も100%。変な色づきもなくて、しばらく覗いているうちに、しっくりと目に馴染んできます。

 そして次にシャッターをそっと押してみます。程よいところでキュッという音を立ててAFが作動。ボディモーター駆動のノイズと振動はありますが、ほとんどの場合一瞬で合焦完了。特にストレスはありません。その後に続くシャッター音は意外なほどにソフトです。二つのモーターで個別に駆動されるミラーとシャッターチャージの動作はキビキビしていて、変な振動が残ったりボディ内に共振するような、安っぽい音や感触はありません。かといって、

 シャッターの動作音や感触は、ニコンのような鋭いキレの良さとは対極にあります。どちらが良いというわけではないですが、K-7の小さなボディにはこのソフトなシャッター感触は似合っています。

○機能&性能
 1507万画素のCMOSセンサー、4段分の効果を持つ手ぶれ補正、1/8000秒までのシャッター、11ポイントAF(うち9点がクロスセンサー)、77分割測光、最高5.2コマ/秒の連写スピード、視野率100%、倍率0.92倍のペンタプリズム・ファインダー、超音波方式のセンサークリーニング機構、GN13の内蔵フラッシュ、ライブビュー、HD動画撮影、水平補正、構図補正、ダイナミックレンジ補正、デジタルフィルターなどなど。スペックは中高級機として妥協のないものとなっています。

画像
DA70mmF2.4, A mode, 1/40sec, F2.4, ISO800, AWB

 スペック上で私にとって不足は全くありません。むしろオーバースペックなくらい。それよりも、手にしてみて、実際に使ってみて分かったK-7の”性能”のポイントは、カタログスペックからはわかりにくい部分にありました。初期のデジタル一眼レフと違い、K-7はデジタルであることを積極的に利用した、デジタルらしいカメラに仕上がっています。それも押しつけがましいのではなく、あくまでも自然に、しかし明確に。

 まずはホワイトバランス。これは過去に使ってきたコンパクト機含めた多くのデジカメの中では群を抜いた精度を持っています。複雑な光源下でもほぼ撮って出しのままで見た目の印象に近い色調になり、失敗したり補正を必要としたりすることがほとんどありません。その一方でオートと逆の働きをするCTEという新しいホワイトバランスモードがあります。このCTEモードがまた面白いのです。空の色、夕陽、新緑などなど、被写体色の色がそのまま再現されます。オートとCTEを切り替えるだけでも十分に楽しめます。

 次にカスタムイメージ。色調やコントラスト、キー、シャープネスを組み合わせた画像処理の仕上げを決める機能です。K-7ではダイレクトにアクセスできるボタンを用意し、ホワイトバランスなどと同じ重要な扱いになっています。特徴的な5つのプリセットを持ち、もちろんそれぞれのプリセット内容を好みに応じて細かく変更することも可能。PENTAX独自のファインシャープネスも使えます。”ほのか”みたいな極端な面白いプリセットもあり、まさにフィルムを交換するかのような感覚。

 さらにデジタルフィルター。撮影後の写真に特殊効果を施す機能です。K-7は基本的に硬派な中上級機なのに、このお遊び機能は搭載しているというアンバランスさ。しかし使ってみてその面白さが分かってきました。これは、カメラ内レタッチの延長上にある機能です。特にアマチュアにとっては、どうにもならない失敗作みたいなものも、デジタルフィルターをかけることで、面白いイメージに仕上がったり。使用頻度がすごく高いものではありませんが、素直にこれは面白いと思ってしまいました。

画像
DA35mmF2.8 Macro, A mode, 1/30sec, F2.8, ISO400, +0.3EV, AWB

○欠点&弱点
 K-7を使っていて気になることが2点あります。まずはAF周り。精度は問題なくAF任せで安心して撮れるのですが、しかし時々妙にAFが迷うことがあります。必ずしも暗いところに弱いというわけではないようですが、キラキラとした強い光源がAFフレームに入ると、高い確率でピンぼけになります。また、AFエリアは11ポイントもあるのですが、実際に撮っていると、AFエリア間の隙間が気になります。場合によってはそこに被写体が落ち込んでピントが抜けてしまったり。

 さらに、AFモードをコンティニュアスにした場合のAFロックができません。コンティニュアスモードで被写体を追いかけていても、とっさにAFロックをかけたくなる時があるのですが、その場合はいちいちシングルモードに切り替えなくてはいけません。ファインダーから目を外すと、チャンスは逃しているし、撮る気が一気に失せてしまいます。 (AFボタンでAFロックできることが分かりました→ AFボタン -酔人日月抄 :2009/12/11)

 そして、もう一点気になることと言えば、K-7の弱点としてよく言われているノイズ感。高感度の場合だけでなく、場合によってはISO200でも感じられるほど。高感度はかなり苦手な方で、個人的にはISO400以上に設定するのは勇気がいります。ISO1600はもうほとんど使いません。とはいえ、ダイナミックレンジや色再現性などの点では、ISO800までは十分実用になる粘り強さもあったりして不思議なところです。ノイズ発生の傾向が分かれば使いこなしできるのですが、いまだによく分からず、仕上がりを見てびっくりすることがあります。

 ということで、もう少しノイズリダクションの設定が柔軟にできれば、と思っています。たとえば感度適応で3段階に設定できるようにするとか。ISO200まではNRオフ、ISO400まではNR弱、ISO800まではNR中、ISO1600からはNR強、みたいな感じに。ファームアップでのサポートを期待したいところです。

画像
DA★60-250mmF4ED, A mode, 1/800sec, F5.0, ISO200, CTE

○長所&強み&その他
 画質はノイス感の問題はあるにしても、総じて撮れる絵には満足しています。色乗りはPENTAXらしく鮮やかで、露出も非常に正確かつ安定しています。ファインシャープネスと15Mピクセルのセンサーが吐き出す解像感は十分すぎるほど。カスタムイメージやホワイトバランスを上手く調整すれば、思った通りの絵を撮ることができます。

 手ぶれ補正の効果は期待以上です。光学補正ではないのでファインダーで効果を見ることができませんが、確実に手持ち限界シャッタースピードは、感覚的には2段分くらいは稼げていると思います。標準域のレンズなら、高感度に設定することなく1/15secくらいは普通に切ることができます。

 意外に気に入ったのが水平補正機能。手ぶれ補正の機能を使って自動的にカメラの傾きを補正するもの。水準器表示を最初は使っていたのですが、それに気を取られるようになってしまうので、最近は自動モードに設定しっぱなしです。効果がどのくらいあるのか比較はしていませんが、水平が気になるような場面でも、気軽に撮れます。

 ダイナミックレンジ補正とレンズ収差補正は期待していたのですが、結局今は使っていません。ハイライト補正は効果が今ひとつわかりにくく、シャドー補正はノイズ感を増加させやすい気がするので。HDRは試し撮りしただけ。三脚必須なので気軽に使えません。レンズ収差補正は撮影後の数秒の処理時間が我慢できないので使っていません。

 これらはHDRを除いて、RAWで撮っておけば後処理でできるので、必要な場合はRAW撮りするようになりました。付属のソフトウェア、PENATX Digital Camera Utility 4もSILKYPIXをベースにしてあるだけあって、現像機能は非常に充実しています。ちょっと重たくて不安定ですが。

画像
DA21mmF3.2AL, A mode, 1/20sec, F3.2, ISO800, AWB, 白黒(コントラスト+4, シャープネス+4)

 操作性も良くできています。メニューとは別にコントロールパネルがあり、画質や撮影に関わる重要な機能の設定状態を一覧で確認し、そのまま変更することができます。撮影時にメニューにアクセスする必要はほとんどありません。また、最後に撮影したデータは電源を切るまでバッファにそのまま保管され、RAWモードでなくても撮影後に撮影パラメータを変更して保存し直すことができます。これもとても便利。間違った設定で撮ってしまったカットを救済できますし、逆にとりあえずシャッター切っておいて、後から色々パラメータをいじって仕上がりを確認しながら変更、保存することもできます。

 動画とライブビューはちょっと試してみた以外はほとんど使っていません。あるに越したことはないけど、私にとってはどうでも良い機能です。

○レンズ
 PENTAXのデジタル一眼レフシステムの一番の特徴でもあり弱点でもあるのがレンズラインアップ。絶対的な本数が少ない代わりに、他にはない特徴的なレンズが揃っています。

 特徴的なのは単焦点レンズが豊富なこと。特に小型軽量な単焦点シリーズのDA Limitedレンズ。パンケーキ型を中心に面白いレンズがそろっています。私はこの中から、21mm、35mm、70mmの3本を手に入れてしまいました。金属筐体で小型軽量なDA Limitedレンズは、K-7に合わせたかのようなレンズです。暗いけれどピントがよく見えるK-7のファインダー特性にも合っています。これらのレンズに興味があるならば、K-7はベストなカメラといえるでしょう。

 一方で残念に思うのは ズームレンズのラインアップの少なさ。いや、スペック、サイズ、値段などの点で、絶妙な補完関係にあり、必要最低限なラインアップなのですが。しかし他社にあるようなF2.8通しの明るい望遠ズームや、高倍率ズーム、400mm程度までの超望遠ズームなどはありません。単焦点レンズでも大口径の望遠レンズのラインアップはありません。何しろ、あこがれのレンズの代表格だったサンニッパ(300mmF2.8)すら純正にはないのです。

画像
DA35mmF2.8 Macro, A mode, 1/13sec, F8.0, ISO200, AWB

 サンニッパはともかく、現実に目を向ければ問題となるのはサードパティのレンズの選択肢の少なさ。運良くPENTAX用があっても、手ぶれ補正がないとか、超音波モーター駆動はないなどの機能制限があったりするのです。最新のレンズの場合発売日も後回し。販売店の在庫が切れていることも。この点はじっくりと検討、または覚悟が必要です。

 一方で、中古やオールドレンズにまで目を向けてみれば、Kマウントのこのカメラに取り付けられるレンズは、実は非常に豊富。そういう方面の楽しみ方をするという手もあります。

○5ヶ月使用感まとめ
 結論から言って大満足です。久しぶりに写真を撮ることが面白い!と思わせてくれるカメラに出会いました。それは機能や性能、スペックで説明できるものではなく、このカメラの持っている雰囲気によるものです。

 手にして、ファインダーを覗いて、露出や撮影パラメーターをいじって、ピントを合わせて、シャッターを切る。そして再生ボタンを押して仕上がりをチェックする… と言った、一連の当たり前の動作がとても自然に、楽しく感じます。思ったように撮れれば満足、思った以上に綺麗に撮れていれば大満足、思ったように撮れなければ反省し、次回に期待する。そんな一連の、趣味としての写真撮影の過程を楽しませてくれる道具です。

 デジタルカメラの陳腐化はすごいスピードで進んでおり、昔のカメラのように長い間その満足感が保てる保証はありません。でも、きっとそうやって古くなっても、K-7はずっと使い続けられるような気がします。最新のカメラが欲しくなったり、買ってしまったりするかもしれませんが、K-7は手放さずずっと手元に置いて使い続けたい、使い続けられるカメラだと思います。いえ、飽きっぽくて浮気っぽいので、その保証は全くありませんが(A^^;;

画像
DA★60-250mmF4ED, A mode, 1/180sec, F4.5, ISO200, -0.3EV, AWB

 もともとはF1を撮りたくて買おうと思ったデジタル一眼レフカメラ。どうせ滅多に使うものではないと思い、できるだけ安く済ませようと、ある意味醒めていたのに、気がついてみればすっかり写真にのめり込んでしまいました。デジタル一眼レフは初めてではないし、フィルムの時代から数えればたくさんの一眼レフを触ってきましたが、こんなに写真を撮ることが楽しく思えたのは久しぶりです。多分15年ぶりくらい。

 それはK-7のおかげ、とまでは言いませんが、少なくともこのカメラを手にしたことがきっかけになったのは確かです。しかもその気持ちを醒ますことなく5ヶ月たった今でも持ち続けていられるのは、このカメラが「その気にさせる何か」があるからだと思います。

 結局あまり冷静なレポートにはならなかった気がしますが… (A^^;

最近買った音楽2009

 前回、音楽ネタを書いたのがほぼ1年前。ということで、ここ最近1年で購入した音楽の中からめぼしいものを備忘録としてまとめておきます。ちなみに相変わらずCDは買っていません。全てはiTunes Store経由での購入です。インターネット万歳!でもこれじゃぁiPodから離れられないですね。まぁいいか。

 今月になってお気に入りのアーティストのニューアルバムが立て続けに3作も発売されたりしています。ファンとしてはうれしい限りですが、こんなに一気にこなくても良いので、こまめに新曲を出して欲しいものです。

THE PURSUIT: Jamie Cullum
 彼の4枚目となるアルバム。前作”Catching Tales“から実に4年ぶりですので、ずいぶん待たされました。急速に売れて人気が出てきて疲れたしまったり、早くも燃え尽きてしまったのではないかと心配していました。しかしこの新作の出来を聞いて一安心。オープニングの”Just One of Those Things”は、まるで1stアルバムの頃を思い出したかのような、バリバリの古典ジャズです。彼はポップシンガーでもロックシンガーでもない、正真正銘のジャズシンガーであることを証明しています。その他の曲は、彼らしく良い具合に現代化され耳当たりの良いポップ+ジャズ。メロディも歌詞も耳に残る粒ぞろいの曲ばかり。過去4作の中では一押しとも言える出来だと思います。待った甲斐がありました。

 日本版はまだ未発売らしく、巷のCD店には輸入盤だけが出回っているようです。iTunes Storeではトップページにも出てこないのですが、試しに検索してみるとこっそりと輸入盤仕様が売ってました。

Pursuit

Pursuit

 

 
The Fall: Norah Jones
 彼女のニューアルバムも約3年ぶりと、かなり待たされました。そしてやっぱりこれも4枚目のアルバムです。しかし彼女の音楽は少しずつ1stアルバムの衝撃から遠ざかっていくようです。もはや今作はジャズなのかどうなのか分かりません。かといってポップスというほどでもないし。なんか、どの曲も耳に残りません。もしかしたら聞き込めば味が出てくるのかも?すごく難しくなったというか、少し先へ行ってしまったような気もします。声は相変わらず綺麗で艶っぽくて迫力もあるのだから、カジュアルなファンとしてはもっとわかりやすい音楽を歌って欲しいと思うのですが。

ザ・フォール

ザ・フォール

 

 
Battle Studies: John Mayer
 来ました!待望のJohn Mayerの新作です。これもずいぶん待ちました。前作”CONTINUUM“は2006年秋の発売なので約3年です。今でこそ彼はすっかり大物アーティストの仲間入りをして、色恋沙汰のゴシップニュースに名前が登場したりしていますが、そんな中で出来上がったこのニューアルバムはもう何というか、感動的ですらあります。ジャケット写真はどことなくイヤらしいですけど。初期の2作は清々しくて若さが全体から出ていましたが、前作からはかなり大人の雰囲気。今作ももちろん大人の雰囲気で、すごく洗練されています。彼のギターとメロディーと声が冴え渡る良い曲ばかり。なんというか、これぞ彼にしかできない音楽、という感じです。あの奇跡のライブが思い出されます。もうあんな贅沢な経験はできないだろうなぁ。

 ちなみにこのアルバム、今日アメリカで発売されたばかり。日本でも輸入盤は少量出回っているようですが、日本のiTunes Storeにはありませんでした。ちょっとゴニョゴニョしてアメリカ経由で購入してしまいました。ちなみにこのアルバム、なんとアナログレコード盤でも発売されるようです。

BATTLE STUDIES

BATTLE STUDIES

 

 
Box Emotions: Superfly
 最近TVで良く耳にするSuperflyですが、耳に残って買ってみようと思ったきっかけは、何かのCMで流れていた”Alright”を聞いたためです。で、検索してみて驚いたのですが、てっきり新しいバンドだと思っていたら、ずいぶん古くから活動しているバンドなんですね。初めてのアーティストだし、1曲だけ買うというのも寂しいので、最新のこのアルバムを買ってみました。なるほど、こういう音楽なんですね。結構気に入りました。けど、何となく聞いてるにはちょっと疲れるかも。結局今はiPodのヘビー・ローテションからは外してしまいました(A^^;

Box Emotions

Box Emotions

 

 
21st Century Breakdown: GREEN DAY
 ある日、クルマの中でInter FMを聞いていたらGREEN DAYの特集をやっていました。音楽はそんなに耳に残らなかったのに、そこで紹介されていた、昔の日本公演でのエピソードみたいなのがとても印象に残り、買ってみる気になってしまいました。どうやら彼らのライブは色々と面白い仕掛けというか、演出がされていてずいぶん楽しめるんだとか。紹介されていたエピソードというのは、その面白さが上手く文字にできないので割愛します(A^^; で、有名なわりに初めてアルバム買ってみたわけですが、良いですね、これ。こういう音楽も結構好きです。そんなにじっくりとは聞き込んでいないのですが、シャッフル再生していて、たまにこのアルバムの曲がかかると「おっ!これなんだったっけ?」と、いちいち気になって確認してしまいます。いい加減な動機で適当に買ったわりに、良い買い物でした。

21st Century Breakdown

21st Century Breakdown

 

One Chance: Paul Potts
 今年の春先、スーザン・ボイル人気が沸騰していたときに買ったアルバムです。スーザンが歌う映像をネットで見て、へぇ、すごい!と思っていたときに、関連動画として出てきた彼の動画を見たのがきっかけ。確か昔に見たことがあったけど、スーザンの映像と合わせて、改めて彼が初めてあのオーディション番組で歌った映像を見ると、鳥肌が立って仕方がありませんでした。ということで、そのまま高揚した気持ちの勢いでお買い上げ。ネット恐るべし!これらのことがパソコンに向かったまま瞬時にできてしまうとは(A^^;  普段はオペラやクラシックなんて絶対に聞かないのに。でも、あの映像の記憶と併せて彼の歌声を聞いていると、あの感動を思い出せます。まぁ、気に入って繰り返し繰り返し聞くと言うことはないですが、一つくらい持っていても良いかも。極たまにシャッフル再生中に彼の歌声にぶつかると、ホッとしますし。

ONE CHANCE

ONE CHANCE

 

赤ひげ横町:池波正太郎ほか (縄田一男 選)

赤ひげ横丁―人情時代小説傑作選 (新潮文庫)

赤ひげ横丁―人情時代小説傑作選 (新潮文庫)

 

 長屋シリーズに続く、縄田一男氏選による時代小説短編のアンソロジーシリーズの新巻です。長屋シリーズが3作で終了し、「素浪人横町」というタイトルで今年の夏前に新シリーズがスタートしました。そのときはてっきり「浪人」シリーズが始まったのかと思ったのですが、そうではなくて「横町」シリーズでした。よく考えてみれば「長屋」シリーズに対応するのは、「浪人」ではなくて「横町」ですし。

 で、前作の「浪人」の横町に対して今作はどこの横町かと言えば「赤ひげ」の横町がテーマです。「赤ひげ」とは池波正太郎作の「赤ひげ診療譚」で有名なあの「赤ひげ」です。つまりは医療を扱った短編を集めたシリーズものとなっています。最近も医療の現場を扱ったドラマや小説は人気です。やはり人の生命が関わってるだけにドラマになりやすく、人びとに共感や感動を呼び青子しやすいという面もあります。

 時代小説の場合は、そこに更に江戸時代の医療事情、医療政策、ときには人びとの宗教観といった、現代とは全く違ったものが見え隠れします。鎖国によって大きく遅れていた日本国内の医療事情。免許も試験制度もなく、その気になれば誰でも医者を名乗れた時代。それでも当時の医師達は、やはり社会のエリートであると同時にボランティア心を持ち併せていました。

 今作は、山本周五郎の「徒労に賭ける」(赤ひげ診療箪より)に始まり、池波正太郎の「鬼熊酒屋」(剣客商売)に終わる五編からなります。この医療の理想と現実のギャップに思い悩み、自分の努力が報われないことに苛立ちながらも決して諦めない医者の姿に始まり、人の一生の締めくくり方と終末医療のあり方で終わる編纂は、相変わらず冴えきっています。

 第二話は菊池秀行の「介護鬼」。老人介護に関わる人びとの深層心理を不思議なファンタジーでくるんだ、とても変わった時代小説です。薄っぺらな介護問題提起ではなく、どんなにシステムが拡充しても、避けることの出来ない人の心を抉り出している気がします。

 第三話は乙川優三郎の「向椿山」。心の病をテーマ氏にした恋愛小説です。第四話は杉本苑子の「眠れドクトル」。明治維新直後、日本にやってきて遅れている医療事情の改善に取り組んだアメリカ人医師と、それを支えた日本人医師たちの奮闘の物語。ともすれば長編になりそうなテーマを、実に見事なまでに短編に仕上げています。

 そしてやはり、いつの時代にも通じる医療の本質は、赤ひげ診療箪の主人公、小石川診療所の医師、小出法定の以下の有名な言葉にあると思います。

現在われわれにできることで、まずやらなければならないことは、貧困と無知に対するたたかいだ、貧困と無知とに勝ってゆくことで、医術の不足を補うほかはない、分かるか?」

 やはり「医療」ドラマには現代物も時代物もなく、心に響くものがあります。こうしていろいろな作家の、いろいろなテーマ、いろいろな表現方法、いろいろな考え方を集めた短編集というのはとても面白いものです。わずか200ページちょっとの短い本であり、通勤途中に読んでいても2,3日で読み切ってしまいますが、読後感はもっと長い小説を読んだかなのような充足感があります。

 お勧め度:★★★★★ (長屋シリーズ含め過去のこのシリーズのなかでは一押しです)

レンズ交換式コンパクトカメラ

 うーん、何でしょうね、これ。久々にとっても変なデジタルカメラがリコーから発表されました。

 最近はマイクロフォーサーズが大人気だそうで、一眼レフではないレンズ交換式カメラは今後注目の市場になりそうです。ということで、今回発表されたリコーの変なカメラとそのライバル達について、ちょっと思ったことを書き連ねてみました。若干(かなり)毒舌かもしれませんが、ご了承のほどを。

○RICOH GXR
 リコーがレンズ交換式のカメラを開発しているらしいという噂はかなり前からあったのですが、当初はマイクロフォーサーズのような成り立ちの、APS-Cサイズセンサー+オリジナルマウントなレンズ交換式コンパクトカメラではないかと言われていました。それが最近になって噂が二転三転し、ふたを開けてみれば出てきたのがGXRです。

画像
世界初!ユニット交換式デジタルカメラ RICOH GXR

 で、どうなの?これ、という点ですが、正直なところ微妙…。面白い発想だとは思うのですが、なんかしっくり来ません。確かにレンズと撮像素子を一体化してしまうと、マウント規格による制限がなくて、最適化が個々に出来るんだろうな、と思います。もともとリコーのコンパクト機はGRDシリーズ含め、レンズモジュールと撮像素子は一体ユニット化されています。発想としては前々からあったんだろうと思われます。

 レンズ交換式カメラのメリットに加え、このカメラの場合さらに撮像素子も取り替えることで、まるで別のカメラに仕立てることが出来るわけで、後々新しいレンズと新しいセンサーを搭載したユニットが出てくれば、最新のカメラに化けたりするわけです。しかし画像素処理エンジンまで含めてレンズ+撮像素子ユニットに入ってるとなると、事実上この交換レンズユニットこそが”カメラ本体”ということになります。

 少なくとも今回発表された2種類の交換レンズユニットは、サイズも重さもそれなりで、お値段も結構するようです。となると「それって新しいカメラを買うのと何が違うの?」という元も子もない疑問にぶつかります。さらに”GXR”と名前がついてるボディは、グリップと電池とメモリスロットと液晶と操作ボタン類、各種I/Fがついてるだけ。こうなるとカメラとは何なのか?と思わずにいられません。少なくともボディそのものに”拘る”理由は見つけられそうにありません。

 しかも、技術の進化が激しいのは撮像素子と映像エンジンだけではありません。電池や液晶だって5年もすれば確実に別物になっています。ならば本体の”GXR”だけ使い続ける理由って何? 新しいレンズが欲しいと思ったら撮像素子がくっついてきてしまう、という不効率。逆に、このレンズ気に入った、と思っても撮像素子は変えられないというジレンマ。

 このカメラ、システムカメラとして今までにない面白い試みですが、これが受け入れられるスイートスポットは極めて狭い気がします。ある意味リコーらしい究極のニッチ向け商品。後年、”昔あった変なカメラ”の代表格になる危険性がプンプンします。いや、RICOHなので応援してますけど。

 ということで、この際変なスペックの交換レンズユニットがたくさん出てくることを期待します。味のある大口径単焦点レンズ+大型センサーはもちろん、逆にトイカメラユニットとか、激しくズームするユニットとか、高感度特性だけをひたすら追求したユニットとか、立体カメラユニットとか。発売がアナウンスされている動画対応ユニットも必須かと。そういう、ユニークな仕様のユニットが増えれば、この変なシステムが生きてくるのではないかと思います。

 とりあえず… 現状では全く欲しくありません(A^^; ある意味ちょっと安心しました。

○Olympus PEN E-P2
 今年の7月にE-P1が発売されたと思ったら、もうE-P2の登場です。今後も両機は併売されるそうですが、機能的にはE-P2はE-P1の後継機と思えて仕方ありません。というのも、E-P2はE-P1にEVFユニットの接続を可能にしただけのように見えます。あ、あとボディカラーも変更されてます。

画像
早くもマイナーチェンジ? Olympus PEN EP-2。EVFをつけると頭でっかち過ぎるかも。

 E-P1は発売以来大人気のようです。確かにこの手のレンズ交換式カメラは多くの人が求めていたものなのでしょう。マイクロフォーサーズの規格はそこにぴったりとはまりました。E-P1は手ぶれ補正をボディに内蔵し、思い切ってストロボも省略し、EVFも(もちろんOVF=光学ファインダーも)省略し、ライブビューに特化したカメラです。

 潔いと言えば潔いのですが、せめて後付けEVFは欲しかった、という声が大きかったようです。ライブビュー前提のカメラとはいえ、じっくりとファインダーを覗いて撮りたいこともあると。趣味性の高いカメラなので、その必要性も分かる気がします。E-P1に外付け光学ファインダーをくっつけてしまうよりは、筋が通っています。

 で、E-P2。E-P1の潔いボディはほぼそのままに、EVFを後付けできるようにコネクタを追加しました。肝心のEVFユニットも144万画素の高画素液晶を内蔵。かなり本格仕様のEVFになっています。もちろん、実物見てみないと分かりませんが。

 ということで、これはなかなか良いのではないでしょうか? ブラックボディもありますし、E-P1からの買い換え組も相当出るのではないかと思います。最初からこれ出せよ、というもっともな恨み節はさておき。

 ただ、やっぱりフォーサーズはフォーマットが小さすぎると思います。対角線で135フルサイズの1/2、面積比で1/4。短いフランジバックを生かして、マウントアダプタが豊富とはいえ、やはり画角が倍になると言われると、魅力半減です。かといって、望遠系には向かないですし。せめてAPS-Cサイズが欲しいところです。

 が、個人的にはこのカメラに魅力を感じない理由はそこではありません。というのは、”PEN”を名乗っていることが気に入らないのです。オリジナルのPENには特に思い入れはありません。しかし、ほとんど忘れられていた昔のブランドを引っ張り出して伝統を詠う営業戦略が鼻につくのです。実際、このカメラとPENの共通点は全くないですし。それに、消費者にミスリードを誘うために敢えて”一眼”を名乗るのも気に入りません。

 それでも、カメラとして魅力的でモノが良いのだから、営業上の都合はそれはそれ、と割り切ることも出来るでしょう。ボディに”Olympus PEN since 1959″なんてプリントしてさえなければ。製品名を書くならまだしも、よりによって”since 1959″とは?いったい何が1959年から続いているのか、理解に苦しみます。PENよりもよほど記憶に残っているはずの”Olympus OM”を名乗らずに、PEN since 1959とはちゃんちゃらおかしいです。

 おっと、口が過ぎました。申し訳ありません。

○Panasonic Lumix GF1
 ということで、やっぱりマイクロフォーサーズの中で選ぶなら、Lumix GF1だよなぁ、と思います。Olympus PEN E-P1/2に比べると、フラッシュも内蔵し、最初からEVFもサポートしていますし、サイズも重量も値段もそこそこ。デザインも変に凝ってなくて、シンプルでむしろ好感が持てます。Panasonicらしく便利機能満載ですし(使うかどうかは別にして)。

 そしてE-P1/2にはない特徴が動画機能。いや、EP-1/2にももちろん動画モードはありますが、さすが家電メーカーだけあって、Lumixシリーズの動画機能はAVCHD Liteをサポートするなど、単なるおまけではない本気度が伺えます。動画向きな専用レンズもあるくらいですし。

 この充実した動画機能に価値を見いだすなら、それだけでもこのカメラを買う価値はあると思います。動画主体となるならばGH1のほうが更に高性能ですが。

 で、このカメラの場合、「女流一眼隊」とか「ファッションムービー一眼」とか、意味不明なキャッチコピーの広告戦略はかなり萎えるものですが、まぁそれはそれとして割り切ることが出来る程度かと思います。製品に罪はありません。

○LEICA X1
 M9発表のどさくさに紛れて一緒に発表されたこのLEICA X1。レンズ交換式ではないのですが、APS-Cサイズの大型センサーを搭載したコンパクトカメラです。同様の成り立ちのカメラはSIGMAのDP-1/DP-2しか今はありません。X1は沈胴式の単焦点レンズを搭載。バルナックライカを思わせるボディデザイン。PENと違って、過去の自社製品へのオマージュとしては非常に洗練されています。

 ライカのコンパクト機と言えば、最近はLumixベースのカスタム仕様機でしたし、過去はFinepixをベースにしていたこともあります。しかしこれは基本的にライカ独自開発だそうで、その意気込みのほどがうかがえます。機能的にも文句ないのですが、唯一残念なのは手ぶれ補正が電子式である点。効果はあるそうですが、何となくそこまで画像処理されてしまうのが釈然としません。レンズも焦点距離は絶妙ですが、明るさがもう一歩欲しかったかも。あと、レンズ部だけ普通のデジタルカメラっぽくて、ボディデザインから浮いてる感じもしてしまいます。

 で、これは素直に欲しい!と思ってしまいました。とはいえ予想実売価格はなんと20万円。そんなお金をコンパクトデジタルカメラには払えません。いや、それだけの価値があるのは分かるのですが。なので、ライカである必要はないので、同じような構成、スペックで日本メーカーが安く作ってくれないかな?と期待します。それでも、個々までしっかり作ると10万円とか値付けされそうな気がしますが。5万円くらいなら何とか…(A^^;


 何となくネガティブな内容ばかり書いてしまいましたが、この手のカメラは今後も、ソニー(今月中に発表との噂あり)やニコンなども製品を出すという噂がありますし、富士フイルムがマイクロフォーサーズ陣営に入ったという話もあります。ソニーはともかく、フジのセンサーを積んだマイクロフォーサーズだったらちょっと欲しいですし、ニコンがX1みたいなカメラ作ってくれたら、思わず買ってしまいそうな気もします。変なカメラじゃなければ(A^^;
 でも、最近はすっかりPENTAX派になってしまった身としては、PENTAXにこの手の噂がないのがちょっと寂しいところ。開発リソースの問題で、そんなにあれもこれも作れないのでしょう。Auto110の再来を望む声もありますが、もうそんな体力はないだろうなぁ。

さむらい劇場:池波正太郎

さむらい劇場 (新潮文庫)

さむらい劇場 (新潮文庫)

 

 

 次に読む本を買わなくてはと、いつもの通り本屋さんを徘徊していたある日、普通は文庫本コーナーを一巡りもすれば見つかるこれと言った本に、なぜかなかなか出会えず二周か三周書棚をウロウロしてしまいました。そんな時は有名大御所作家の作品の中から、未読のものを適当に選んでおけば、まず間違いはありません。と言うことで、今回狙いを定めたのは、あまりにも作品数が多く、今までなかなか手を出せていなかった池波正太郎です。

 で、その膨大な作品群の中からどうやってこの一冊を選んだかというと… まさに”ジャケ買い”ならぬ、”タイトル買い”してしまいました。まったく何の情報も持たずに適当に本を選ぶ基準としては、意外に意識しなくても”タイトル買い”していることは少なくないのですが、今回は特にこの本の「さむらい劇場」という語呂にピンと来てしまいました。「侍」でも「士」でも「サムライ」でもなく「さむらい」。いったいどんな劇場で、どんなお芝居が繰り広げられるのでしょうか。

 帯に書いてある範囲で内容を紹介しますと、主人公の名は榎平八郎。七百石取りの歴とした旗本の家に生まれた三男坊。しかし彼は妾腹の生まれで、ただの三男よりもよりさらに立場の弱い冷や飯食いです。物語は彼が21歳になったところから始まりますが、この出だしの時点で彼は相当にハチャメチャな暴れん坊であることがすぐに分かります。背表紙の要約にあるように、まさに「酒と女に溺れる家中の鼻つまみもの」なのです。

 と、ここまで書いて思い出したのですが、ちなみに最終的にこの本を買うに至った最後の一押しは、帯に書いてあった「お色気も満載の清秋時代小説」という一言。良いですよね、このコピー。かなり楽しげな冒険活劇っぽい雰囲気が溢れています。米村佳伍さんや佐伯泰英さんの小説のような爽やかなヒーローものを彷彿とさせます。

 文庫本で600ページを超える長編大河ドラマなのですが、そのほぼ中間地点まではまさに当初の印象通り、平八郎の破天荒な活躍による冒険活劇の様相。そのストーリーは一見脈絡がなく、いったいストーリーがどこへ向かっているのか分からなくなるほど。なんだか連続ドラマの脚本のよう。そして設定も荒唐無稽とも思えるハチャメチャぶり。そう、文体こそ違いますが、まさに米村佳伍あるいは佐伯泰英作品のような世界観です。

 しかし、後半から急速に物語の様相は変化します。いや、流れに不自然さを感じるようなことはないままに、いつの間にかこの物語は、榎平八郎という不安定な立場に生まれた、一人の男を通して人生論を語った物語であることに気づかされます。

 この本を読んでいる間、榎平八郎はもちろん読者である私のとってのヒーローですが、彼が暴れ回っていた時代から、歳を経るごとに成長し、自分の生まれや両親について、そして家について、己の人生について考え、気づいていく過程をともに感じていく同士でもあります。

 時代は徳川吉宗の統治時代。江戸時代のバブルが過ぎ去り、鎖国政策による政治や経済のひずみが溜まってきて、漠然と未来への不安が社会に漂い始めた頃。その空気感も見事に感じられます。日本の歴史上初めて百年以上にわたって戦争というものがなく、平和をもたらした徳川幕府の統治の強固さ、一方でこのままでは先が続かないという閉塞感。その中で一人の”さむらい”に出来ることと言うのは何なのでしょうか?
 後年、平八郎はこう思い、悟ります。

信長や秀吉ごとき英雄にしても、彼らのおこなった破天荒な種々の行為や、すさまじい権謀や戦闘や、それらのものさえ、煎じつめてみると、  (われらとおなじことだな) そう思えてならない。大事も小事も、ひとのすることは、みな同じようなものではないか。

 しかしこれは、人生何をしたって所詮全ては無駄だ、と世を疎んでいるのではありません。この本の解説を書いている佐藤隆介さんは、この作品についてこう解釈しています。

私たちの歴史教科書によれば、江戸時代は封建制度の時代であり、一部の特権階級が全てを独占して、それ以外のすべての人びとはおよそ非人間的な屈従の生活を強いられていた・・・はずなのだ。ところが、どうだ。
人生に限りない可能性を信じて生きていたのは、榎平八郎と彼を取りかこむ人びとである。伸びやかに生きる喜びを謳歌しているのは遠い昔の、封建時代の人びとである。

 もちろん、この小説はフィクションです。事実、この榎平八郎のように生き抜いた人がいたかどうかなどと言うことは誰にも分かりません。でも、私が時代小説のなかでも、戦国時代物ではなく、特に江戸時代物が好きな理由は、この佐藤氏の言葉にあるのではないかと、思いました。

 お勧め度:★★★★☆ (さすがは池波作品、誰にでも安心してお勧めできます)

DA★60-250mmF4EDで撮りヒコーキ

 DA★60-250mmF4ED(IF) SDMで撮ってみました。スペック的には、望遠端は同じ焦点距離ですが、明るさが1段以上違います。また、SIGMAのレンズは光学手ぶれ補正内蔵でしたが、DA★はボディ内手ぶれ補正に頼ることになります。重さは400gほど増加。しかし、シャープで歪みもなく、抜けの良い描写性能で前回よりも綺麗に撮れるはず… と期待して撮ってみました。

 以下、写真は全てPENTAX K-7 + DA★60-250mmF4、RAWで撮影しPDCU4で現像、Photoshopでトリミング、リサイズ、場合によっては少々レタッチをしています。クリックすると1500x1000pxで開きます。

画像
A300は翼の付け根がスリムです。JAL/Airbus A300-622R/JA8377
250mm, 1/250sec, F5.6, ISO100, AWB, -0.3EV

画像
やっぱりB747は美しい!ANA/BOEING B747-481D/JA8960
153mm, 1/500sec, F5.0, ISO100, AWB, -0.3EV

画像
ANA/BOEING B777-381/JA754A
250mm, 1/800sec, F5.0, ISO100, AWB, -0.3EV

 目的地はまずは今回も城南島海浜公園です。この日は非常に空気が澄んでいて絶好の撮影日より。C滑走路は16Lからの離陸に使われていました。羽田から北へ向けて離陸した飛行機は、都心上空に達する前にすぐに右旋回して東京湾方面に抜けていきます。が、B747やB777などの大きな機体は城南島上空をまっすぐ進み、だいぶ行き過ぎてから旋回を始めますが、B737やA320などの小さな機体は、城南島上空にやってくる前に、B767やA300クラスだとちょうど真上で旋回していきます。

 午後は基本逆光になるのですが、日没の少し前は夕日が綺麗ですし、機体によって通過コースが変わるので、あちこち移動しなくても、意外ににいろいろなバリエーションの写真を撮ることが出来ます。APS-C機+400mmクラスのレンズがあれば、滑走路を直接狙うことも可能ですが、残念ながら250mmだとかなり足りません。今回も夏の時と同様、落ちかけた夕日をお腹に浴びながら上昇していく飛行機の姿がやはり一番撮りやすくて絵になりやすい条件だと思います。

画像
空のECOジェット。JAL/BOEING B777-246/JA8984 ホワイトバランスが変かも
250mm, 1/320sec, F4.5, ISO100, AWB, -0.3EV

画像
夕陽をいっぱいに浴びて上昇していくJAL/BOEING MD-90-30/JA8062
250mm, 1/400sec, F4.5, ISO200, AWB, -0.3EV

画像
ちょうど頭の真上を通過するAIR DO/BOEING B767-381/JA8258(元ANAの機体)
128mm, 1/400sec, F6.3, ISO200, AWB, -0.3EV

 また別の日には羽田の撮影スポットとしては基本中の基本となる、展望デッキにも行ってみました。この日もC滑走路は16Lの離陸に使われていたので、ANAが発着する第二ターミナルの方へ行きました。古い昔の羽田空港の展望デッキには行ったことありますが、沖合展開してからは実は初めてです。とても広々としていて、見送り、単なる行楽、デート、そして写真撮影目的など、いろいろな人が遊んでいました。ここからC滑走路方面は午後は順光になります。バックは東京湾が広がっていて、多くの船舶が行き交い、天気が良くて空気が澄んでいれば、東京や幕張方面が一望となります。写真撮るには確かに良いポイントです。

 展望デッキには背の高い金網が張り巡らせてあります。しかし所々にカメラ用の穴が開いています。休日の午後、それっぽいカメラを持って写真を撮っている人はいっぱいいましたが、探せば空き穴はすぐに見つかりました。ただし、位置によっては照明灯など障害物があるので、それなりに人気/不人気のポイントというのはあるようです。

画像
夕陽を浴びて… ANA/BOEING B777-281/JA8199
250mm, 1/160sec, F4.5, ISO100, AWB -0.3EV

画像
16Lから離陸するJAL/Airbus A300-622R/JA014D
250mm, 1/500sec, F5.6, ISO160, AWB

画像
マーシャラーに従ってスポットインするANA/Airbus A320-211/JA8382
250mm, 1/500sec, F4.0, ISO160, AWB

 それにしてもその撮影用の小穴、かなり小さいのです。DA★60-250mmF4だとなんとか鏡胴は入りますが、フードは駄目でした。太陽は背後にあって完全順光なので、フードは外して撮影。とはいえホールディング等々考えるとかなり撮りづらいです。左右にカメラを振るのも一苦労。そして何より高さがイマイチでした。まぁ、空港内の施設ですので仕方ありません。場合によっては撮影穴にとらわれず、諦めて金網越しに撮影したくなるかも。上手く撮らないと影になりますが。大口径レンズが欲しくなります。

 さてこのレンズ、やはりとても良いレンズだと再認識しました。うっかり衝動買いして良かった(A^^; 機体の金属および塗装の質感と背景の抜けるような青空が綺麗なコントラストで写ります。絞りも開放F4なので、通常十分に光がある場合は、ISO100でもシャッタースピードを稼いだまま少し絞れますし、暗くなってきて解放にしても周辺まで解像感も光量は十分。また、カメラ側のレンズ補正も不要です。倍率色収差は等倍で撮影結果を隅々まで見ても、ほとんど気になりません。

画像
離陸するANA/BOEING B777-381/JA757A バックは多分お台場・有明方面
250mm, 1/400sec, F5.6, ISO160, AWB

画像
夕空の雲へ… ANA/A320-211/JA8396
250mm, 1/640sec, F5.0, ISO250, AWB

画像
駐機中のB777の機種ドアップ。パイロットの方の顔が見えます
153mm, 1/30sec, F4.0, ISO800, AWB

 今回はAFエリアをオートにしてコンティニュアス・モードで撮影しました。F1の時はAFエリアがオートだとかなり迷っていましたが、今回場合は全く問題ありませんでした。多少フレームを外しても、あるいは手前にあるポールをAFエリアが横切っても、釣られることなく安定してAFします。F1よりは距離が遠いのですが、無限遠固定で間に合う訳でもありません。しかし移動量が少ないのでAFスピードは全く問題ありません。もちろん無音。何もない空にAFエリアを向けてしまって、ピントを大きく外してしまった場合は、クイックシフトAFを生かして手動ですぐに無限遠付近に戻してやれば即復帰可能です。

 撮影ポイントの状況的に、あまり一脚や三脚が使える場所ではありませんので、今回も全て手持ち撮影です。三脚座は最初から外していきました。ボディ内手ぶれ補正はもちろんONに、あとは水平補正もONにしました。展望デッキからの撮影だと、上昇中の機体につられて水平が傾きやすいので、この機能はとても助かります。ただし、城南島でカメラを煽って上を向いて撮影するような場合は、何が水平なのか分かりませんが。こうなるともちろん水平補正は効きません(手ぶれ補正も効いていない?)。

画像
ANA/BOEING B777-261/JA701A を流し撮り
220mm, 1/60sec, F4.0, ISO250, AWB

画像
ANA BOEING B737-881W/JA52AN を流し撮り。これはちょっと失敗
250mm, 1/40sec, F4.0, ISO640, AWB

画像
空港らしい一枚。ANAのB747-481DとB767-381とA320-211
108mm, 1/800sec, F5.0, ISO160, AWB, -0.3EV

 ということで、またベタベタとたくさん似たような写真を貼ってしまいました。望遠系のレンズで撮る被写体としては、飛行機はなかなか面白いですね。とっても美しいですし。ネットを徘徊してるとアマチュアで凄い写真を撮る人がたくさんいるのが見つかります。そういうの見ると、純粋に同じような写真撮りたいなぁ、と思います。写真を撮る上での大きなモチベーションの一つですね。でも飛行機の場合、本気を出すともっともっと長いレンズがほしくなってしまいますが(^^; また時々遊びで撮りに行こうと思います。