2009年F1第14戦 シンガポールGP

 まるでゲームの世界に迷い込んだかのような大都市の公道で行われるナイトレース。昨年から始まったシンガポールGPはその幻想的な風景と、他にはない特徴を持ったコース、そしてそこから生み出されるとても面白いレース内容で、世界中のF1ファンを魅了しました。一年経って、その想い出に冷や水が浴びせられる事件(= クラッシュゲート事件)が発覚したものの、シンガポールの夜を駆け抜けるF1マシンの美しさには陰りはありません。

 チャンピオン争いも大詰めで迎えた今回のレース、昨年の記憶から来る事前の期待が大きすぎたのか、あるいは不甲斐ないチャンピオン候補同士のレース内容のせいか、今ひとつ盛り上がりに欠けたように思えました。結構順位の入れ替わりの激しいレースだったはずなのですが、どうも記憶に残りません。

「全体的にレースはとても単純だった」 ルイス・ハミルトン/マクラーレン
 前戦イタリアGPでは惜しくもファイナルラップでのクラッシュにより、ノーポイントに終わりましたが、終盤まではしっかりと優勝争いをしていました。ハンガリーでの突然の復活優勝に始まり、出入りの激しいレース結果ながらも、ここ数戦では確実に優勝争いに絡んでくる強さを見せています。今回も上位陣ではわりと燃料をたくさん積みながらも、ポールポジションを獲得し、レースでもセーフティカーの混乱を切り抜け、実質的に一度もトップを明け渡さないままチェッカーへ。今年チャンピオン争いをしていないのが不思議に思えるほどの貫禄のレースでした。

 彼は来年もマクラーレンに残りそうですが、マシンさえちゃんと仕上がれば、手が付けられないほどの強さを見せるドライバーなのは確かです。ただし、エンジニアに的確なフィードバックをして、勝てるマシンを作り上げるのもドライバーの腕のうちなのですが、その辺の能力はまだ未知数です。

「この表彰台は家でレースを見ているはずのフラビオに捧げたい」 フェルナンド・アロンソ/ルノー
 昨年のシンガポールの覇者、アロンソは今回は3位に入りました。その彼の昨年の成績には思いもかけない泥がついてしまうこととなりましたが、少なくとも結果が剥奪されることはないようです。今回のレースでは予選からあまり目立たなかったようでいて、実は着実に良いポジションを押さえていました。スタート直後のウェバーとのバトルによって、ポジションを失ってしまいましたが、その後は着実にペースを上げ、気がついてみれば表彰台に上がるという、しぶといレースぶり。これが実は今シーズン、ルノーとアロンソにとっての初表彰台。マシンやエンジンに大きな進歩がない中では、望外の結果だったに違いありません。

 さて、そんな中で上の引用したようなアロンソのレース後の言葉。さすがです。クラッシュゲート事件において、ほとんど全ての罪をかぶせられ失脚したフラビオ・ブリアトーレへの感謝の言葉です。いったい悪者は誰だったのか? 関係者の間には深い傷を残したのは隠しようもありません。(いや、私個人的にはアロンソが本当に無罪だとは信じていませんけどね^^;)

「良いレースだった」 ジェンソン・バトン/ブラウンGP
 チャンピオン候補最有力のバトン。予選ではQ3に進むことができなかったことに始まり、ブレーキに問題を抱えるなど、満身創痍のレースでした。それでもちゃっかり5位までポジションを回復したのは、さすがと言うべきでしょう。と言うより、見た目よりも実は素晴らしいレースをやってのけたと言えるのかも。結果的にもライバルのバリチェロよりも、わずか1ポイントでも多く取れたのだから、悪いレースだったわけはありません。

 とはいえ、シーズン終盤戦の大詰めにきて、チャンピオン争いが5位、6位で行われるというのはやはり寂しいものがあります。空力、メカニカルグリップ、エンジンがものを言う鈴鹿は、ブラウンGPに合ってるのではないかと思われます。もっともっと良いレース、良いチャンピオン争いを展開して欲しいと思います。

「ポジティブな気持ちは変わっていない」 ルーベンス・バリチェロ/ブラウンGP
 一方のバリチェロはと言えば、マシンの調子の悪さはバトンと同じレベルだったようですが、渾身のアタックでQ3に残りグリッド順でバトンに大きく引き離したはずでした。しかもスタートもジャンプアップを決めたはずだったのに…。終わってみればバトンの後ろでフィニッシュ。

 ギアボックスの故障よるグリッド降格、ピットストップの失敗、ブレーキの不調などなど…。いつぞやのように、前を走っていたはずなのになぜか気がついたらバトンに先を行かれてしまう展開。コメントとは裏腹に、なにか釈然としないものを感じてるのでは?と想像してしまいます。


 さて、次戦は早くも今週末、いよいよ鈴鹿サーキットでの日本GPです。もう今日あたりから続々とドライバー、チーム関係者、そしてF1マシン等々が日本に到着しているはず。
 2年ぶりの”真の”日本GP、失って初めて分かる大切さをこの2年間に多くのF1ファンは感じたことと思います。無知で無恥で無智で無能で無責任で無神経な勘違い3流のオーガナイザから我々の日本GPを取り戻せたことを喜び、鈴鹿の地まで10年ぶりに出かけてきたいと思います!

—おまけ:クラッシュゲート事件
 さて、レースの裏で妙なスキャンダルや政治闘争が絶えないF1の世界。その泥沼はとうとう八百長レースにまで発展してしまいました。最初は誰もが「まさか!」と思い、フラビオとピケ親子の私怨私闘だと思われた事件は、ほとんどがピケ親子の告発通り事実だったことが判明。開いた口がふさがりません。

 モータースポーツに限らず、八百長ほどそのスポーツの意義を貶める不正はあり得ません。今回の件は正確には八百長(=あらかじめ関係者間で結果の取り決めがあった)ではありませんが、非常に不公正なやり方でレース結果に影響を及ぼしたのは事実です。

 F1界の背後を動く、巨額の資金とそれにまつわる権力闘争はまだしも(それも今夏の分裂騒ぎは行き過ぎですが)、八百長レースともなると、とうとうF1もそこまで落ちたか… とがっかりしてしまいます。今回の件が明るみに出たのは、F1の腐敗の証拠なのか、あるいはまだそれを公正に裁くだけの良心と自浄力があるとみるべきか…。

 ところで、以下はこの件に関する個人的自慢話です。事件の舞台となった昨年のシンガポールGPはどんなレースだったっけ?と思って、昨年自分が書いたシンガポールGPのエントリーを読み返してみました。すると…

ところで、個人的に疑問に思っているのですが、なぜアロンソは誰よりも早く1回目のピットインを行ったのでしょうか?燃料搭載量を自由に決められる予選15番手というポジション、抜きにくいコース特性、当然セーフティカーの導入が予想されることから考えて、軽タンクでひたすら飛ばすという作戦はどうにも考えにくいのです。いや、フラビオが何かスイッチを押したなんてことを疑ってるわけではありませんよ(^^;

 と書いてある。オレってすごい!すでにクラッシュゲート事件の存在をちゃんと見抜いていた!

 ってことを自慢したかっただけです。それだけです、はい(A^^;;

カテゴリー: F1

自動車保険再び乗り換え

 自動車保険の更新時期が迫ってきました。今年もまたあちこちで見積もりしつつ自動車保険選びをしました。いろいろ比較検討した結果、絞った候補は三井ダイレクトチューリッヒへです。三井ダイレクトは現在契約中。更新作業はお手軽にできます。一方のチューリッヒはダイレクト系では比較的補償内容が充実しています。特に気になったのはロードサービス。WEB見積もりによる両社の保険料の差はわずかです。一方、WEBから読み取れる範囲では補償・サービス内容には微妙な差があるようです。


 まず前提となる基本方針ですが、対人対物は無制限、搭乗者傷害と人身傷害つき、車両保険はフルカバータイプで免責は5-10万。念のため携行品補償10万円をプラス。年齢制限付きで家族限定はなし、その他弁護士費用とか代車費用特約、等級プロテクション、原付特約などは全てなしとします。

 また、ダイレクト系の自動車保険では年間走行距離によっても保険料が異なりますが、私の場合は直近の1年の実績で、年間走行距離は約4,000kmでした。ですので、3,000~5,000kmという条件にしておけば多分問題ありません。ちなみに免許はゴールドです。やや割引になる場合があります(A^^v

 以上の条件は共通として、三井ダイレクトとチューリッヒで補償、サービス内容に差があったのは主に四つ。自損事故保険、車両保険、運転者年齢条件、そしてロードサービスです。


 まず自損事故保険。その名の通り自損事故時の運転者本人のケガに対する補償です。三井ダイレクトは別途追加契約が必要ですが、チューリッヒは人身傷害特約でカバーされます。保険料次第ではあるのですが、付けておくに超したことはありません。自損事故の可能性って大いにありますので。

 次に車両保険。三井ダイレクトでは私の306に付けられる保険金額は45万円までですが、チューリッヒでは65万円まで可。車両保険についてはいろいろ考え方があると思いますが、まだ当面乗り換えるつもりはないですし、わずかでも車両保険をかけられるうちはかけておこうと思います。しかもやはり自損事故の心配もあるので、保険料はかなり高くなりますが念のためフルカバータイプで。

 次に運転者年齢条件の設定。三井ダイレクトでは年齢条件が35歳以上担保に設定できる代わりに臨時運転者特約が付けられます。チューリッヒの年齢条件は30歳以上担保まで。臨時運転者特約はありません。この点は三井ダイレクトのほうが補償内容としては良いのですが、現実に今のところ30歳以下の若者に運転してもらう可能性は非常に低いので、チューリッヒの条件でも問題はないと思います。

 そしてロードサービス。中でもレッカーサービスに注目しました。調子は良いとはいえ、車齢10年を迎えようかという状態のフランス車。どこかで動かなくなるかも?という心配は無視できなくなってきました。チューリッヒでは希望工場でも100kmまで無料で運んでもらえますが、三井ダイレクトのレッカー無料範囲は10kmまでしかありません。その他帰宅費用、レンタカーなどのサポートメニューはどちらも似たり寄ったり。
 実際には最近は遠出をすることは少なくなってきましたが、それでも年に何回かは車でスキーに行きますし、都内で乗る場合でも、メンテナンスでお世話になっている原工房さんまで10km圏内というわけではありません。なので、もしもの時のための安心料として、この点は重視したいところです。

 もちろん自動車保険のポイントはこれだけではないし、実際の対応だとかそういう面も色々あるとは思います。そして最終的には保険料次第なわけですが、ぶっちゃけてしまいますと、以上の内容で三井ダイレクトは約44,600円、チューリッヒは約44,200円となりました。その差約400円。自分的に重視している補償内容が優れている方が安いのだから、乗り換えるしかありません。


 が、このチューリッヒの安さには一つ落とし穴があるのは分かっているのです。チューリッヒはインターネット経由で他社からの乗り換え新規契約者に対する割引率が非常に高いのです。この割引率は来年の更新時には恐らく適用されません。なので来年になると多分、また他社がとても安く見えてくるでしょう。ま、来年のことはまた来年考えることにします。

 あとは実際の対応がどうか?なのですが、こればかりは経験してみないと何とも言えません。いや、経験しないようにしたいものですが。

ZOO

 上野動物園へ行ってきました。動物園を訪れるのはいったい何年ぶりだろう?…よく覚えていません。少なくとも上野動物園へ前回来たのは小学生の時。パンダを見た記憶があります。残念ながらいまはもうパンダは上野には居なくなってしまったそうですが。それでも動物園は子供に大人気です。パンダは居なくても他にたくさんの動物たちが居ます。

 一般料金は600円です。中学生は200円で、65歳以上だと300円。小学生以下は無料です。都営なので全体的に良心的料金です。この日は敬老の日と言うことで60歳以上の人は無料でした。もちろん私たちには無関係ですが。だからというわけではないのでしょうが、思ったよりも混んでいました。もちろんほとんどは子供連れの家族客です。が、意外に整然としていて、黒山の人だかりで人気の動物は見られない、という程ではありません。

 以下、またまた写真の羅列です。カメラはPENTAX K-7でレンズはSIGMA 18-250mm/F3.5-6.3DC OS HSM、JPEG撮りで、トリミングおよびレタッチありです。クリックすると大きくなります。

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250mm, 1/200sec, F6.3, AWB, ISO200 ゾウさんのドアップ。意外に近寄れて大迫力です。

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250mm, 1/200sec, F6.3, AWB, ISO200 ニホンザル。隙間に挟まって気持ちよさそうに寝てた一頭。

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250mm, 1/160sec, F6.3, AWB, ISO400 カピパラさん!ぬいぐるみのまんまです。ぬいぐるみかと思ったら欠伸してました。

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53mm, 1/50sec, F4.5, AWB, ISO100 ホッキョクグマの流し撮り(^^;

 上野動物園は東園と西園に分かれています。メインのゲートがあるのは東園。入場してすぐのところにパンダ舎がありますが、今は主たるジャイアントパンダはいません。代わりにレッサーパンダが暮らしていました。パンダ以外で東園の人気者と言えば、なんといってもゾウさん。上野動物園にいるのはアジアゾウが4頭ほどいるようです。ちょうど飼育係の人が掃除をしたり、ゾウさんの身だしなみを整えたりしていました。

 他にも東園には猿山があったり、ライオン、虎、ゴリラなど、動物園の定番とも言える人気動物たちがたくさんいます。いい歳して久しぶりの動物園で思いがけずはしゃいでしまい、いきなり休憩。大人の動物園なので、もちろんビールをいただきました(^^; うん、ビールはどこで飲んでも美味いです。

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18mm, 1/60sec, F3.5, AWB, ISO100 オウサマペンギンを見つめるカップル。ペンギンも子供達には大人気です。

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250mm, 1/80sec, F6.3, AWB, ISO800 ドールという犬科の動物。別名アカオオカミです。目つきが鋭くて怖そう(A^^;

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210mm, 1/50sec, F6.3, AWB, ISO800 ニシローランドゴリラ。ゴリラコーナーは小さな窓からしか覗き込めません。

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120mm, 1/80sec, F5.6, AWB, ISO200 アオメキバタンというオウムの一種。檻もなく完全オープンエアなところにいました。手を出せば近寄ってきて触れるほどです。

 さて無計画に歩き回っているうちにだんだん疲れてきました。この調子では全部見て回るのは到底ムリです。ということで、絶対見たい(写真を撮りたい)動物にターゲットを絞って、西園へ下ることに。東園と西園の間にはモノレールが走っていますが、十分に歩いていける距離です。

 ターゲットを絞るといっても、そこに動物がいれば、フラフラと見に行ってしまうのは仕方がありません。結局あれやこれや寄り道しながら西園を歩き回ります。ちなみにここの一番の目玉は「ハシビロコウ」だそうです(同行友人談)。日本には上野動物園含め3カ所にしかいない貴重な鳥です。

 でも…。ようやくハシビロコウの檻の前に辿り着いて、はしゃぎながら写真を撮りまくってる友人を見て、何事かと人がワラワラと集まってきたのですが、とある一家などはハシビロコウを見るなり「うわ、気持ちわりぃ~」と言って去って行ってしまいました。まだ時代はハシビロコウに追いついていないようです。

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148mm, 1/100sec, F5.6, AWB, ISO200 ベニイロフラミンゴ。どぎついくらいの蛍光色で超派手です。

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148mm, 1/25sec, F5.6, AWB, ISO800 仁王立ちのハシビロコウ。ジッと見学者をにらみつけています。思わず露出も失敗してしまいました。

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21mm, 1/20sec, F4.0, AWB, ISO1600 キリンさんは残念ながら檻の中に戻ってしまっていました。ものすごい難しいミックス光源…。

 休日の午後、およそ半日かけての動物園散策。上野動物園は意外に広大で、全部回りきれませんでした。他にもカンガルーとか、小獣館とか、両性爬虫類館とか、アイアイとかペリカンとか、おもしろそうな動物たちが一杯いたはずなのに。またいつかリベンジしたいと思います。

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250mm, 1/200sec, F6.3, AWB, ISO400 ゾウさんのお尻。

 東京都恩賜上野動物園
 東京都台東区上野公園 9-83
 TEL: 03-3828-5171
 平日月曜日、年末年始休業

西遊記:平岩弓枝

西遊記〈1〉 (文春文庫)

西遊記〈1〉 (文春文庫)

 

   西遊記と言えば、私たちの年代にとっては堺正章さんが孫悟空に扮するテレビドラマや、ザ・ドリフターズが声優を勤めた人形劇ドラマが思い出されます。もちろんその後も何度もドラマ、アニメ化されています。お経を求めて遙か西方の天竺へ向かう三蔵法師と、その旅に付きそう孫悟空、猪八戒、沙悟浄たち。道中に様々な妖怪が立ち現れて、それらと戦う旅の一行。冒険活劇、アクションドラマとしての西遊記は記憶にありますが、さてその背景がどうだったのか?という点については、全く思い出せません。

 三蔵法師はじめ、孫悟空や猪八戒、沙悟浄らは何者なのか?なぜ三蔵は天竺へ向かう旅に出なければいけないのか?結末はどうなったのか?などなど…。何となく大昔の中国を舞台にした伝説として語り継がれており、お釈迦様が登場するなど仏教に関わる物語であることは子供心にも分かってはいたのですが…。愛くるしい猿顔のスーパーヒーローが活躍するだけの、子供向けのおとぎ話ということで、その理解は終わってしまっています。

 西遊記の元々の成り立ちは、7世紀の唐の時代に実在した玄奘三蔵が取経の旅に出たことが各地に言い伝えとして残され、後に説話としてまとめられていったことにあるそうです。その後形を変え、姿を変え千年以上にわたって伝えられてきた壮大な伝説です。

 今回読んだ西遊記の作者は平岩弓枝さんです。御宿かわせみシリーズなどで有名な女流時代劇作家の巨匠。タイトルは何のひねりも飾り気もなく、そのものずばり「西遊記」です。2005年から約2年にかけて新聞紙上で連載されたものが、完結後に単行本化され、さらに最近になって文庫化されました。文庫版では全四巻。しかし文字も大きめで、文体も児童向けかと思われるほど平易で、とても読みやすい本です。四巻もありながらあっという間に読み切れてしまいます。そして挿絵もとても可愛くて和みます。

 残念ながら最終巻にも解説も何もないので、どういう理由で、どういうコンセプトでこの西遊記が書かれたのかは分かりません。しかし、三蔵の生い立ちはじめ、その立場、天竺へ向かう旅に出ることとなった経緯とその目的などなど、西遊記の成り立ちとなるいろいろな背景を、この本によって初めて知ることができました。

 それは三蔵に限らず、孫悟空や猪八戒、沙悟浄、そして三蔵が旅の間乗っていた白馬についてもそうです。西遊記の主人公は誰か?といえば、三蔵よりはむしろ孫悟空と言えるのでしょう。彼の生い立ちと過去、三蔵との出会い、そして旅に供する目的、三蔵との師弟の絆の深まりとその強さ、お互いの信頼感。それらを旅を通じて孫悟空自身が成長していく課程などは、数々の妖魔をいともなくねじ伏せる彼の強さ以上に印象的であり、とても感動的です。

 そしてもう一つ、今回この西遊記を読んでいて感じたことには、やはりこの物語は仏教の教えが柱になっていることです。それはもちろん三蔵が僧であり、天竺のお釈迦様のもとへ旅しているのだから、仏教の物語なのは当たり前なのですが、それだけではなく、一つ一つのエピソードが全てなにか仏教的な教えに関連しているのではないかと感じました。もちろん「仏教」そのものを詳しく知らないので、あくまでも「そう感じた」程度ではあるのですが。

 ”宗教的”というとなにかと色眼鏡で見たりして敬遠しがちですが、やはり根本的に宗教の言葉は人の心に訴えかけてくるものがあるのだと思います。ちっとも胡散臭くもなく、浮世離れしたきれい事だったりしないのです。例えば、以下は、牛魔王と羅刹女の息子、紅孩児が捕らえられた場面での、観世音菩薩の言葉です。

紅孩児よ。そなたは幸せ者じゃ。まず五体満足にこの夜に出生した。五臓六腑になんの病もなく、健やかに成長した。およそ、この世にはなんの罪もないのに、生まれ落ちた時から、さまざまの障りを背負って居る者がどれほど多いことか。少なからぬ弱みを自らに持ちながら、それでも親は必死で我が子を育てる。子も亦、力をふりしぼって障りを乗り越え、けなげにも、強く、たくましく生き抜かんとしている。それらの心の中をそなたは思いやったことがあろうか。それらの人々にくらべて我が身の幸せを神仏に謝し、合掌したことがあろうや。天地の恩、親の恩、人の恩を知らずして、なんの生き甲斐やあらん。我が命を助けよと乞うならば、まず、人の命を助けよ。生きんと願うならば、人をも生かせよ。然らざれば、永遠に金箍呪の中で苦しみ、痛みを知るがよい。この呪文にて死ぬことはない。真に命を大切に思う者は、死にまさる苦しみの中においても命の尊さを知る。金箍呪はそなたへの道しるべと思うがよい

 そして、命をかけて天竺へやってきた三蔵ら一行に五千八百巻あまりの大乗経の教典を託す釈迦如来の言葉。

東土、南贍部洲は天地の恵み厚く、豊かな風土に恵まれているにもかかわらず、人々の心は必ずしも善ならず、不忠不孝、不義不仁がまかり通り、欲望にまかせて無益の殺生を重ねる者、数知れず、まことにその行く末が案じられる。されば、わが三蔵に収めある教典の中、いくばくか東土へ持ち帰り、仏法を信ずる者達はそれを会得し、あまねく衆生済度に力を尽くすことを願うものである

 こうやって書き抜いてみると”いかにも”な感じもしますが、物語の流れの中でこの言葉に行き当たると、ゾクゾクと鳥肌が立ってきました。そして観世音菩薩や釈迦如来の心は、今の時代にはもう届いていないのかな?と少し悲しくも思います。もちろん西遊記はフィクションのおとぎ話ですが、この伝説を書き起こした何百年も前の仏教徒の人々が、そう考え願っていたことは間違いありません。そしてそれが人々に受け入れられたからこそ、これだけ長い間語り継がれてきたはず。その教えは今も残っているのでしょうか?
 さて、感動の結末を迎え、師弟四人と、白馬はどうなったのか? なるほど、こういう結末なのか、ととても新鮮な気持ちになりました。テレビドラマではどう描かれていたのか、全く記憶にないようです。もしかしたら最後まで見てないのかも?
 三蔵達の十四年にわたる旅の物語が結末に至るにあたって、ふとこの手の落ちはあちこちで読んだ気がしてきました。その後書かれた、使命を負った冒険の旅の物語はたくさんあります。指輪物語、暗黒の塔(そして銀河鉄道999も^^;)などなど。もちろんこれらは西遊記と比べるとずっと最近に書かれたお話です。全ての長編冒険もののルーツは、この西遊記にあるのではないかと思いました。

 お勧め度:★★★★★(誰にでもお勧めできるとてもおもしろくて素晴らしい本です)

居酒屋かあさん 水道橋店

 居酒屋かあさんは山手線沿線を中心に全22店舗を構えるチェーン店です。水道橋店はその中の一店舗に過ぎないのに、なぜか何度も通ってしまうお店です。元はといえば、東京ドームビアガーデンの帰りがけに、ちょっとだけ二次会のつもりで適当に入ったお店でした。何がそんなに我々を引きつけたかというと…。

 愛想の良い冗談好きな”大かあさん”はともかく、その娘あるいは妹と言う感じの”小かあさん”のほうが、やけに無愛想でツンデレ(やや死語かも)なこと。そしてメニューにはない、日替わりの美味しい手料理の数々。さらには日本酒が各種揃っていること。そして一番重要なのは日本酒を一杯飲む毎にカードにスタンプを押してもらえることです。

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料理の心は母心。手作り健康食品の店、居酒屋かあさん

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お目当てはこのスタンプカード。これは累計3枚目のカードです。

 このスタンプカード、各道府県の名前がマス目に書かれており、それぞれの道府県産の日本酒を飲むと、該当する県名にスタンプを押してくれます。そしてめでたく全道府県を制覇すると、なんと八海山の一升瓶がもらえるのです。

 居酒屋かあさんはチェーン店とはいえ、このサービスは水道橋店のみ。ついでに言うと、メニューにはない日替わり手料理も水道橋店オリジナル(他店にもオリジナル料理があるかもしれませんが)です。バカな我々酒飲み達はスタンプカードを満杯にすることを目的に、わざわざ大川の向こうから電車に乗ってこのお店に時々やってくるのです。

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前回までに満点にしたカードで八海山をもらいました!もちろん瞬殺で空きました。

 初めて来たのが今年の5月。それ以来今回で4回目です。ちなみに過去3回は二次会できています。今回は初めて1次会としてやってきました。前回までに満点にしたカードが1枚あったので、それで八海山を飲むことが今回の目的です。とは言っても、過去3回で満点に下カードはこれが2枚目。だいたい2回来れば1.5枚分くらいのカードが満点になってしまいます。無料でもらった一升瓶+別途新しいカードを埋めるだけ飲んでしまうと言うことです(A^^;

 今回の参加者は6人。まずはビールで乾杯してから早速カードと引き替えに八海山一升瓶をゲット。6人で一升瓶だと一人あたり300ml。ということは、グラスで2杯も飲んだら終わりです。あっという間に空いてしまいました。そこで引き続き通算3枚目のカード攻略に移ります。

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名物の魔女つくね。ボリュームがあってとても美味しいです。

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どこにでもありそうなハムカツ。居酒屋ジャンクフードの代表格ですが、美味しくてやめられません。

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かあさんの日替わり手料理、さんまの煮付け梅干し添え。

 料理は何でもないような居酒屋メニューが基本。が、まずは必ずカウンターまで行って今日の手料理を見なくては始まりません。カウンターにずらっと並んだお皿を眺めながらかあさんの説明を受けつつ、それちょうだい!と発注していく楽しみは、並のチェーン店では味わえません。今回はポテトサラダとか、豚肉とブロッコリーのピリ辛炒めとか、季節ものサンマの煮付けとかが並んでいました。ポテトサラダなんて、すごく薄味で正直なところものすごく美味しい!というわけではないのですが、その辺がかえって素人っぽくて本物の「かあさんの味」って感じでした(A^^; いや、そういうプレイをするお店って訳ではありませんよ、念のため…。

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この日もグイグイ飲んでしまいました。日本酒は本当に旨いです。

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あっという間に通算3枚目も満杯に。これは次回まで取っておきましょう。

 おいしい素朴な料理をつまみつつ、八海山の一升瓶を開けた後はレギュラーメニューの日本酒リストとスタンプカードの空きを見比べつつ、お酒を発注し続けます。で、結局あっという間に3枚目のカードも一杯になり、4枚目に突入してしまいました。満杯になった3枚目のカードは代表者が次回まで大切に取っておきます。4枚目のカードもきっとすぐに一杯になるでしょう。

 1次会からと言うことで、結構早い時間に入ったはずなのに、気がつけば二次会できたとき同様、閉店の時間になっていました。十分飲み食いしてかなり良い気分。お店を出た向かい側にあったカレー屋さんで〆のカレーを食べて本日も終了です。

 居酒屋かあさん 水道橋店
 東京都千代田区三崎町2-18-4 徳栄ビルB1
 TEL: 03-3288-5007
 16時~24時(土曜は23時まで)
 年中無休

100 colors, 100 styles

 いやいや、今日はビックリしました。何がって、PENTAXの新型デジタル一眼レフカメラ、K-xの製品発表がされたのです。今週になってから急にネット上に出回り始めた噂では、基本的にはK-mの正常進化版だという、主にスペック情報ばかりだったのですが。それが蓋を開けてみたら、スペックの話題なんてどこかへ吹き飛んでしまうくらいの衝撃的内容です。

 なんと、ボディとグリップ色の組み合わせで100色から選べるというのですから。おまえはランチアか!ユニクロか!と叫んびたくなります。カラーバリエーション展開やるにしても、せいぜいiPod程度で良かったのではないかと。

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PENTAX K-x 100種類の組み合わせの中からお好みの色を選べます。

 一眼レフカメラと言えば、金属ボディの手触りだとか、グリップしたときの剛性感だとか、50年の伝統だとか、とかく高級感演出路線や懐古趣味路線に走りがちな面がありましたが、K-xの100 colors, 100 stylesはその真逆を行き、そんな風潮をあざ笑うかのよう。いや、こういうノリは大好きです。あくまでも軽量コンパクト、ポップでカジュアルでチープ路線を行くと。デジタルになってからは一眼レフカメラとはいえ、消耗家電製品化していますし。

 一応スペックを見てみれば、事前の噂通り、12.3ピクセルのCMOSセンサー、11ポイントAFセンサー、ライブビュー&動画撮影対応、最高4.7コマ/secの連写などがK-mに対して目新しいところ。その他K-7ゆずりの”ほのか”モードやCTEホワイトバランスの追加などもされています。重量は10g軽くなり、ペンタミラーのファインダーやサイズ、デザイン、操作系、単三電池駆動など基本骨格はK-mをそのまま継承。k-mをベースに1年分のトレンドの変化を的確に反映した「正常進化」という言葉がぴったりのカメラです。

 で、話はまたまた元に戻ってボディカラーですが、PENTAXのサイトにはカラーシミュレーターというサービスが用意されています。買う予定はなくても、これでいろいろいじって遊んでいると楽しいです。PCのモニターで見る色合いと実物は違うでしょうが、その辺も想像したりしつつ。

 例えば、↓こんなのとかどうでしょう?かなりどぎついです。
 http://www.camera-pentax.jp/k-x/#/simulator/170801

 実際に買うなら… と想像すると、↓こんな感じでやや無難になります。
 http://www.camera-pentax.jp/k-x/#/simulator/020601

 でもせっかくだから派手目に、となれば↓こんなのもアリかな?
 http://www.camera-pentax.jp/k-x/#/simulator/100201

 ただし残念ながら白+黒グリップ、赤+黒グリップのレギュラーモデル以外は、レンズは通常の黒しかないそうです。レンズとのマッチングも考えないといけません。FA Limitedにはシルバーのレンズもありますが、通常は黒ばかりですからね。DA Limitedのパンケーキ系レンズならそこそこ似合うのではないかと思いますが。

 とはいえ、本当にこんな変な色のカメラを買う人がどれだけいるかと考えるとちょっと疑問かも。結局黒が一番売れるのでしょう。あるいは意外に白もいいかも。もしくは、逆にやっぱり赤とか黄色が売れて、黒が希少色になるとか? PENTAXの中の人には想像ついてるんでしょうか?携帯電話でさえ、人気カラーの予測は難しいと聞きますけど。

 ていうか、別に買おうなんて思ってる訳じゃありませんよ。K-7の高性能王道路線とあまりにも違いすぎて、むしろK-xの格好いいカラーバージョンを持ってても良いかも、なんてほんの少しは思ってるかもしれませんが、かといってやはりカメラなだけにお安いものではないですし。ボディ2台使い回すほどの使い方してないし。それにそんなお金があったらレンズが欲しいし。

 ってことにしておきます。今のところ(A^^;

 でも趣味ですからね…。必要とか不要とか言う基準は間違ってます。道具ありきでも良いんです(ボソッ


 縮小路線をたどっていて、撤退や事業売却などの噂の絶えないペンタックスのカメラ事業ですが、なんとか生き残って欲しいものです。こんな思いがけないバカなことを仕掛けてくるとは、むしろ少し安心してしまいます。余裕があると言うよりは、崖っぷちで自棄になってるのかもしれませんが。次はきっと来年の春頃、正常進化なK-7の後継機が出ることを祈って。

2009年F1第13戦 イタリアGP

 長かったようで短かったF1ヨーロッパラウンドが今回のイタリアGPで終了しました。舞台となったモンツァサーキットはもちろんフェラーリのホームサーキット。1950年から毎年イタリアGPが開催され続けてきた、伝統のオールドコースです。そこは現代F1ではあり得ないほどの超高速コースで、エンジン全開区間が75%もあり、最高速は350km/hを超えると言われています。

 そんなコース特性のせいでしょうか?今回のレース結果を眺めていると、不思議とエンジンの序列が見えてきます。上位を固めたのはメルセデス、中段がルノー、そして下位にトヨタ。それらの間にフェラーリとBMWが挟まっています。パワーと信頼性、そして燃費も優れるメルセデス・エンジンの威力炸裂です。

「僕がちょっとラッキーだっただけ」 ルーベンス・バリチェロ/ブラウンGP
 ヨーロッパGPに続き今季2勝目を挙げたバリチェロ。ブラウンGPの2台はKERS勢との直接対決を避け、1回ストップ作戦を取りました。その奇襲は見事に的中。ブラウンGPの2台は予選5-6位からうまくスタートを決め、4-5位のポジションでレースを開始すると、重タンクとは思えない驚異的なペースで周回を重ねます。2台はタイヤ選択以外はほぼ同じ作戦。ミスもなく完璧な戦略で大逆転劇を成し遂げました。

 優勝したバリチェロにとって幸運だったのは、予選でバトンよりもひとつ上のグリッドが取れたことかと思います。しかもレースではバリチェロのほうがピットストップが1周遅く予定されていました。レースを通してバトンに比べてペースも安定しており、今回ばかりはシーズン序盤に見られたように「気がついたらバトンが前にいた」という事態は起こり得なかったようです。

 その他にもブラウンGP勢にとって多くの幸運がありました。最も恐れていたコバライネンの序盤のペースがボロボロだったこと、後ろにいたKERS搭載のアロンソがジャンプスタートを決められなかったこと、そして1コーナーの混乱を無事に切り抜けられたこと等々。そう考えるとオープニングラップが勝敗の鍵を握っていたことになります。

「ネガティブな要素はほんの少ししかない」 ジェンソン・バトン/ブラウンGP
 絶好調の序盤戦に続く絶不調の中盤戦を過ごしたバトンですが、それでも彼は依然として圧倒的リードでポイントリーダーの地位にいます。今回のレースでは優勝はならなかったものの、ライバルチームを圧倒する完璧なレースによって2位となったことに、バトン自身もかなり満足し自信を取り戻したようです。

 しかしこれでチームメイトのバリチェロは、チャンピオン争いの最も手強いライバルとなりました。そのバリチェロに今回のレースでは負けたわけですが、その点はあまり気にしていないようです。チャンピオンシップの先行きを考えると、チームメイトの動向よりも、レッドブルの2台を完全に突き放したことが重要です。それが引用したコメントの意味するところかと思います。

 ライバル達にマシン性能で優位を保ち、今回のようにバリチェロと互角に優勝争いができるならば万事OK。優勝できるかどうかは時の運。仮にレースに負けても、チャンピオンは手に入ります。それがもしレッドブルに後れを取ったり、もしくはバリチェロだけが好調を維持するようだと、ガラスのハートはプレッシャーに耐え切れず粉々に砕け散っていたかもしれません。

「結果が全て」 キミ・ライコネン/フェラーリ
 ベルギーGPの優勝を含めて4戦連続表彰台を獲得したライコネン。シーズン序盤の悲惨な状況から見れば、目覚ましい復活を遂げているのは確かです。しかし今回のレース内容は、ブラウンGP勢を抑えるどころか、ハミルトンについていくスピードもなく、むしろ後ろをヒタヒタとついてくるフォースインディアのエイドリアン・スーティルを押さえるだけの我慢のレースとなりました。それは今のフェラーリにとって見た目ほど簡単なことではなかったのかもしれません。

 表彰台に上がれたことは本当にラッキーな棚ボタです。ライコネン自身にとって追加1ポイントはあまり意味がないかもしれません。しかしフェラーリのコンストラクターズ・ランキング3位獲得のためには大きな意味があります。そして何と言っても、モンツァのファンの前で表彰台に上がれたことには、フェラーリのエースドライバーとして、大きな意味があります。

「どうしてもキミを抜く方法を見つけられなかった」 エイドリアン・スーティル/フォースインディア
 ベルギーGPのフィジケラに続き、予選ではまたもフォースインディアがポールポジションか?というスーパーラップを叩き出してフロントロウを獲得。しかしやはりスタートでKERSを持つライコネンに仕留められてしまいました。しかしその後、チェッカーまでの周回でずっとライコネンの真後ろを走り続けます。本来のペースではスーティルのほうが速かったのではないかと思います。

 ブラウンGPの完璧なレース運びもあって、結果は4位。しかしベルギーでのフィジケラと同じくらい、素晴らしくて惜しいレースぶりでした。きっと来期に向けてのストーブリーグでは彼は目玉の一人になることでしょう。

「“ごめんね”としか言いようがない」 ルイス・ハミルトン/マクラーレン
 2回ピットストップ作戦で果敢にブラウンGPと戦ったハミルトン。一時は何とか逃げ切れるかも?というペースを見せましたが、結局2回目のピットインまでに十分なマージンは稼げず3位に陥落。終盤バトンに追いつけ追い越せと、焦ったのかファイナルラップでの痛恨のミスにより自爆。

 ある意味、チャンピオンシップを放棄したからできる、彼らしいレースだったと言えるのかも。こんなドライバーが一人くらいいても良いんじゃないかと思います。


 ヨーロッパラウンドが終わり、2009年のF1もいよいよ残すところあと4戦。これからはアジア、ブラジル、中東を巡るフライアウェイ戦です。次回は来週末、シンガポールGPです。昨年ファン達を魅了した、摩天楼のナイトレースです!そしてその翌週はいよいよ・・・鈴鹿にF1が帰ってきます!

ろばた焼き 海賊@錦糸町

 夏が過ぎ去り、残暑が残りつつも何となく空気に秋の匂いを感じるようになりました。秋と言えば読書、食欲、スポーツ、芸術…. いや、なんといっても「冷やおろし」の季節です。ということで、春に書いたエントリーのコメント欄に誘われて、地元で日本酒が美味しく飲めるお店としは一二を争うと言える、ろばた焼き海賊へ繰り出してきました。

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海の幸、山の幸、磯の香りと土の匂い、ろばた焼き海賊。冷やおろしを飲むぞー!

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はまぐりのガーリックバター焼き。小さいけど美味い!

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ニンニク揚げ!この店に来たら絶対に外せない逸品。

 金曜の夜、友人がぬかりなく予約をしておいたのですが、お店は相変わらず混んでいます。小さなテーブルに小さくなって座り、脇の狭い通路を店員さんが行き交います。まさに袖擦り合う状況。相変わらず活気があります。まずは生ビールで乾杯しつつ、料理を発注。縞鰺のお刺身とか、はまぐりのガーリックバター焼きとか、ニンニク揚げとか、じゃがバターとか、トウモロコシ焼きとか、ニシンの塩焼きとか、お酒に合いそうにないようでいて、実はとてもよく合う料理が運ばれてきたところで、いよいよ日本酒にスイッチ。

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じゃがバター。何の変哲もないようで、焼き加減が絶妙です。奥はにしんの塩焼き。

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定番中の定番、トウモロコシ焼き。猛烈に美味いです。

 友人は「今日は4,5杯飲む予定なので、お勧めの冷やおろしを順番に持ってきてください」という、初心者のようでいて上級者な発注をしました。私はざっとその場合のコースの流れを聞いて、わざと逆順で行くことに。ここの店員さんは誰もが酒飲みらしく、自らの経験でお酒の説明をしてくれます。今月のお勧めメニューには、石鎚(愛媛)、松の寿(栃木)、東洋美人(山口)、而今(三重)などなど、魅力的なお酒が並んでいました。そして十四代(宮城)が今回もありました。私は飲まなかったのですが。中でも一番しっかりしていると言われた而今がかなり美味かったです。最初の一杯目に選ぶと「いきなり行きますか?本気ですか?」と確認されてしまいましたけど。

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なみなみと注がれた魔法の透明な飲み物。日本酒って本当にうまいです。

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この石鎚もかなり美味しかった。です。途中で瓶が変わるときはグラスも分けてくれる丁寧さ。

 途中で生グレープフルーツサワーとかで休憩しながら、最初の宣言通り各人5杯は飲み干したようです。いや、正確なところは数えていません。

 このお店、下町錦糸町にある庶民的居酒屋として、一つ一つの料理屋お酒のお値段はそれほど高くありません。カウンター席にはフラッとやってきて、数品の焼き物とお酒を一二杯飲んで去っていくような格好いい人たちも少なくありません。が、我々はいつものことですが、ここへ来ると馬鹿みたいに飲んで食べて長居してしまうのです。今回も「お客さん達、よく飲みますねぇ」と半ば飽きられてしまいました。

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炉端焼きカウンター周辺。焼き物の食材がおいてあって、良い眺めです。

 ということで、お会計を聞いてびっくり。いや、心当たりは十分すぎるほどあるのですが。毎度のことで、ここでは飲み過ぎ食べ過ぎてしまいます。だって、お酒も食べ物も美味しいのだから仕方がありません。全然飽きが来ないし。

 ろばた焼き 海賊
 東京都墨田区江東橋3-11-2
 TEL: 03-3631-1583
 17:00~25:00(金曜は26:00まで、日祭日は24:00まで)
 年中無休


 日本酒飲みすぎてかなり酔っぱらったのですが、まだ終わってしまうにはもの足りません。ということで、これまた錦糸町で二次会と言えば定番のPublic AVIONへ。駅の南口から北口方面へ移動です。ここで飲むと言えばもちろんギネスビール。個人的に全てのお酒の中で最も好きなお酒と言っても過言ではありません。いや、それこそ日本酒よりも好きかも。

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海賊からは一転して、お洒落なバーです。

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ギネスビール。美味しくて美しいです。

 でも、今回は海賊でかなりお腹いっぱいになっていて、飲み干せませんでした。いや、お腹いっぱいと言うよりは、本能がこれ以上飲まないように、というサインを出していたような気がします。なのにピザとかフライドポテトとか頼んでいる馬鹿な酒飲み達。だんだん記憶が薄れて行きます…(A^^;;

 いや、ちゃんと誰にも迷惑をかけずに家に辿り着きましたけど。忘れ物もしていないし。二日酔いにもならなかったし。

あなごや吉五郎@日本橋

 だいぶ前に行ったお店なのですが、なかなか良いお店だったので記録のためにもエントリーしておきます。この日は本当は三越の屋上ビアガーデンに行こうと思っていたのですが、平日の午後5時という時間にもかかわらず、もう満席でいつになったら入れるのか分からない、という状況でした。なので早々にビアガーデンは諦めて、三越周辺を散策しつつ見つけたのがこのお店です。穴子がメイン料理というのが、居酒屋的にはなかなか珍しいです。

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穴子のお刺身。まるでふぐ刺しみたい。初めて食べた気がします。

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そして穴子料理としては蒲焼きと並んで定番中の定番、白焼き。

 やけに薄暗い店内に入ってまずはビールで乾杯。看板に偽りはなく、メニューを見てみれば穴子料理が定番から名前だけでは想像できないようなものまで、ずらっと並んでいます。もちろんそれ以外の料理もあります。ここは基本的には和風居酒屋であって、本格的な高級料理屋ではありません。なのでお値段も含めて気楽に飲み食いできます。

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穴子のくりから焼き。これも初めて食べました。

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穴子の骨せんべい。こんなにたくさん来るとは思いませんでした。

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だし巻き玉子にも穴子が入っています。

 穴子と言えばやはり日本酒。日本酒はちょっと変わった銘柄がいろいろ揃っていました。”死神”とか”悪乃代官”とか、ネーミングがユニークなものばかりで、思わず名前で選んでしまいます。美味い穴子料理と美味い日本酒。暑い夏にさっぱりとしたこの組み合わせはぴったり。どんどん飲み食いが進みます。

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死神… 縁起でもない名前ですが、味わいもちょっと変わっています。

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夢かなふ… こっちは縁起良い名前。

 店員さんの感じも良くて、なかなか雰囲気の良いお店です。もう少し内装というか照明をどうにかすればいいと思うのですが。日本橋三越周辺はあまり行き慣れている場所ではないですが、チャンスがあればまた行ってみたいお店です。ただし土日がお休みなので平日限定です。

 あなごや吉五郎
 東京都中央区日本橋室町1-6-7 蛇の市本店ビル3F
 TEL: 03-3241-8897
 17:00~23:00
 土日祝日定休

まほろ駅前多田便利軒:三浦しをん

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

 

  友人から借りた紙袋一杯の時代小説の束の中に紛れていた一冊がこの本です。次に読む本がなくて困っているときに、とりあえずこれでも読んで間をつなぐか、と消極的に手にしました。もちろんこの本は現代物ですし、三浦しをんさんの作品を読むのも初めてです。過去の経験上、どうも現代物はイマイチ相性が良くないけれど… と思いつつ期待せずに読み始めました。

 ”まほろ”というのはもちろん架空の地名。ただしどうやら多摩や町田周辺の東京・神奈川西部の住宅地をイメージしているようです。そこで便利屋さんを一人で営む男の名が多田啓介。この人物、どうやら今の自分とほとんど同年代の設定ではないかと思われます。便利屋という客商売をやりつつも、どことなく世捨て人のような雰囲気を漂わせ、訳あり感がプンプンします。

 そしてそこにさらに登場するもっと訳あり風な男、行天晴彦。エキセントリックというかリアル世界ではお目にかかれないくらいの突き抜けた変人です。多田と行天とは、切っても切れない腐れ縁がありました。物語はその辺の事情説明から始まっていきます。と、実はここまで読みかかったところで、「やっぱりか・・・」という印象を最初は持ちました。その印象とはどちらかというとネガティブなものです。

 やたらにタバコをスパスパと吹かす登場人物達。どことなく古くさい昭和的イメージ。そして訳ありな過去を持ちつつも正義漢で何とか社会に踏みとどまっている主人公。さらにそこに完全に逝ってしまった凡人には理解できない変人という組み合わせ。それらの設定がありふれているというわけではありませんが、何となく思ったとおりというか、先が読めるというか、万が一お話としては面白くても、私個人的には到底そこに共感を見つけることはできないだろうと思えてしまうものでした。遙か昔を舞台にした時代小説のほうが、よほどリアリティや身近さを感じてしまいます。

 が、読み進むに従って、そんなネガティブな予感はことごとく裏切られてしまいました。不覚にもこの物語の中にのめり込んでしまったのです。この二人の男に加えて、出てくる登場人物は誰も彼もリアルには存在するとは思えないくらいの変人ばかり。むしろそこが良かったのかも。そんな、変人達はあり得ないのではなく、自分や周囲の人々にあるちょっとした正確や感情や境遇を、大げさに強調しただけだったようです。いわばちょっとした小説的な誇張。

 展開が予想通りだったかどうかよりも、便利屋の多田が最後の依頼人のエピソードへと巻き込まれ、過去と現在と未来が複雑に絡んでいく物語力には、純粋に思い切り引き込まれてしまいました。そして最後の落ちの付き方もスッキリです。純粋に、久しぶりに楽しめた現代物小説です。

 ということで、この物語のテーマというか結論は、わりと序盤に出てくるこの言葉にあるのではないかと思いました。ちょっとくさい台詞ですが、まぁ、そういうことです。きっと。

 「犬はねえ、必要とする人に飼われるのが一番幸せなんだよ。」  「誰かに必要とされるってことは、だれかの希望になるってことだ。」

 もちろん、それが当てはまるのは犬だけではありません。

 お勧め度:★★★★☆ (アリではないでしょうか)