酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

夕日と残照に映える飛行機を撮るため夕暮れの成田と羽田をめぐる

 冬は鉄分が不足しがちな季節です... という書き出しを思いついたものの、もちろん何も根拠はありません。ですが、空気が澄んでいて冬は飛行機の写真を撮るには絶好の季節だと思っています。特に真冬特有の低い太陽の光が生み出す陰影と色合いは、夏の夕暮れとはまたひと味違った雰囲気になります。

 また冬は日没が早いので、午後4~5時に夕景を撮ることができます。ダイヤ変更が多少あるとは言え、国際線では同じ時間に飛んでくる機体も、全く違った景色の中で撮ることができますし、もう一つ大きいのは、日没を迎えてから家に帰っても、まだたっぷり時間があると言うこと。さっきまでファインダーで見ていたイメージが褪せないうちにRAW現像に取りかかることができます。

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 ということで、日没前後に黄色く染まる飛行機を撮ってきました、実はこれ、ここ2年ほどの間ずっと狙ってきたテーマだったりします。成田と羽田の両方に行ってきましたが、同日にハシゴしたのではなく別々の日に出かけてきました。

成田空港:ひこうきの丘


 まずは成田から。訪れたのは1月の下旬です。お昼過ぎに良く晴れてるのを確認し、午後になってから出かけてきました。北風が吹くとても寒い日だったので、滑走路はもちろん北風運用中。ということで、着陸機を狙うためにA滑走路南側の「ひこうきの丘」へ。

日暮れを待つ

 現地に到着したのは午後3時半ごろ。日没までまだ1時間半ほどあります。空は雲ひとつ無く午後の光を浴びた機体もきれいなので、夕暮れに向けてウォーミングアップのつもりで撮り始めました。

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 大韓航空のB787-8Fです。旅客型のB747は遂に成田からも消えてしまいましたが、貨物型は飛んでいます。やっぱり4発機は良いですよね。

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 かと思えば、成田の定期便では最小クラスのボンバルディアDHC8−Q400が飛んできました。見ての通りターボプロップ機。ANAが新潟−成田線に飛ばしています。伊丹では良く見る機体ですが、東京圏ではあまり出会うことがありません。

 プロペラが止まってしまわないように、シャッター速度をなるべく落とさないといけないので、実はこの手のプロペラ機は撮るのがちょっと難しかったりします。

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 今の時代、成田を発着する旅客機で一番多いのはこの手の双発機です。ワイドボディならB767とかB777とかB787とかA330とか。ナローボディならB737かA320のどちらか。現在はこの6機種でほとんどを占めてると思います。

 そんな中、ANAやJALのB787は見飽きてきましたが、海外の航空会社のB787はまだちょっと珍しい感じがします。なかでも個人的に好きなのはアメリカン航空。昔からシンプルなカラーリングでしたが、この新塗装もいかにも「アメリカン」な感じが良いです。成田でもB滑走路を使うことが多いのに、珍しくA滑走路に降りてきてくれました。

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 そう言えば、今回はやたらに機体だけをアップにするのではなく、地上の風景と絡める... みたいなのを考えていたのですが、成田空港というかひこうきの丘周辺はこんな感じで何もないのでちょっと難しいです。桜の季節なら、さくらの山とかさくらの丘あたりに行けば、色々やりようがあるのですが。

 いや「何もない」と言っては失礼ですかね。畑と林が広がるのどかな風景の中、大型機が次々にアプローチしてきます。新鋭機なのにうっすらと煙を吐きながらやってくるのはタイ航空のA380です。

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 A380は一時期と比べると成田への就航が減ってしまい、今ではレア機の部類ですが、タイ航空のA380はずっと運行が続けられている成田ではもうおなじみの機体。時間帯的にもちょうど良い便なので成田にやってくると毎回必ず撮っていると思います。

 ちなみにANAのA380が成田に就航するのは来年でしたっけ? ハワイ便なので到着時間帯はやはり夕方になるとすれば、撮影するチャンスもありそう。楽しみです。

いよいよ夕暮れ

 さてこれからが本番です。夕日に黄色く染まった機体を頭の中でイメージしていますが、撮れるでしょうか?

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 西日を浴びたANAのB787。その特徴的な翼の形状がよく分かるこの角度から見た姿が結構好きです。日中はあまり光を浴びないエンジン後部からギアまわりがよく見えます。

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 普段あまりシャッターを切る気になれないLCCのA320。バニラエアと言えば黄色というイメージがありますが、自社発注の新造機からはなぜか白いシンプルな姿のまま飛んでいます。塗装もコストダウンでしょうかね。いや、これ結構好きです。白い機体は夕日が映えますし。

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 以前もそうだったのですが、日没直前のちょうど良い時間帯にぽっかりと到着機が途絶えてしまいました。そしてやっとやってきたのがシンガポール航空のB777-300。機体の下側まで光が回っていることから分かるように、太陽はもう地平線スレスレ辺りにあるはず。機内左側の窓際からは沈みゆく夕日がよく見えていることでしょう。

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 遠くのB滑走路にアプローチしていくのはニュージーランド航空のB787ですかね。地上右に見える丸い展望台は航空科学博物館です。屋外に展示されているB747の機首部分もちらっと見えています。この航空科学博物館も良い撮影ポイントだそうですがまだ行ったことがありません。

 さらに左に見えるモスク風の建物は三里塚平和塔という仏塔です。成田空港建設反対運動の象徴的な建物でもあり、もともとは現在のA滑走路敷地内に建設されたそうですが、その後色々あって、滑走路脇の現在の場所にやや小型化して再建されたものだとか。成田空港周辺の風景には空港を巡るさまざまな「歴史」が垣間見えます。

本命のA380がようやく到着

 さて、この日の千葉県成田市付近の日没時刻は午後5時ぴったり。ひこうきの丘から見える限り太陽はほとんど沈みかけています。実はこの日没時刻ギリギリに到着しそうなある飛行機をずっと待っていました。

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 それがこれです! エミレーツ航空のA380。タイ航空とともに成田に就航する数少ないA380です。ドバイ発のEK318便はちょうど午後5時戦後に成田に到着します。Flightradar 24でずっと追いかけていると日没直前、5時少し前にアプローチしてくるはず! と見込んでずっと待っていました。

 直前で順番待ちが入ったのか、Flightradar 24の見込みより少し遅れて午後5時過ぎにいよいよ着陸と言うことで、太陽の光は失われ、夕焼けの残照に照らされた巨体が南の方からやってきます。

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 夕焼け空をうっすらと反射した機体が美しいですね。色合いが微妙でとても難しい条件でした。ブレで失敗しないためにISO感度は1600まで上げてしまいます。K-1ならこのくらい現像でなんとかなりますから。ノイズだけでなく、実際現像でかなり追い込みましたが、K-1のRAWは情報量が本当に豊かで助かります。

 あまりの巨体でワイド端(150mm)に引いても全体はフレームに収まりません。ならば中途半端なことするよりは思い切り寄ってしまうしかない! ということで、機種部を切り取ってしまいます。もうちょっと光がある中をイメージしていましたが、思いがけず出くわしたこの微妙な残照の色合いもなかなか良い感じです。

 このカットはFlickrでExploreにも選ばれました。その割にFavは多くないのですが、写真としては被写体がちょっとマニアックすぎたのかも知れません(A^^;


羽田空港:城南島海浜公園


 次に2月になってから羽田へ行ってみました。羽田は空港内にも撮影ポイントがたくさんあるのでどこに行くか迷ったのですが、天気が良い感じだったある休日、またもやFlightradar 24を見ていたら、冬には珍しく滑走路が南風運用されていました。 ということはやはりB滑走路への着陸機が近くをかすめていく城南島海浜公園へ行くしかありません。

 夏はバーベキューなどで混雑するこの公園も、冬は駐車場が満杯にならない程度に空いています。

青空と海の反射が織りなす不思議な光景

 少し気が早くて到着したのは午後2時過ぎでした、日没まで3時間あるのでさすがにまだ日が高いです。

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 なので空も明るくて雲も白く夕暮れはまだまだ先。飛行機がやってくる東の方の空にはちょうど良い感じに雲がわいてくれました。これは良い背景になります。

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 頭上を掠めて行く機体をほぼ真下辺りから撮ると、明るい青空に対し機体下面は影になるのですが... なんだかこの日は面白い感じに撮れました。これはANAのB787-8なのですが、何とも言えない質感です。787の胴体は炭素繊維複合材だったと思うのですが、まぁ金属にしか見えないですね。もちろん表面に塗装がしてあるわけですが。これ、特別ゴリゴリと現像して弄ったわけではありません。どうやら、太陽の光を反射する海面が機体に映り込み、こういう不思議な質感を作り出しているようです。

飛んでいるA350を初めて捕らえる

 夕日狙いと言いつつ、こんな早い時間に出かけてきたのには、暇だったから以外に訳があるのです。

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 と言うのは、実はこの飛行機を撮りたかったから。対岸にあるガトリング・クレーンとゲートブリッジの上空を旋回し、城南島海浜公園の上空を経てB滑走路に向かってくるのこの機体は何者か?と言うと...

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 エアバスの最新鋭機A350−900です。ボーイングのB787よりも新しい機体で、商業運行が始まったのは一昨年のこと。この1年ほどの間に各航空会社へのデリバリーが進んでおり、日本にもすでにいくつかの航空会社が飛ばしていますが、そのひとつがハノイ-羽田線のベトナム航空。なんとも言えない緑色のカラーリングが美しいです。

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 そして羽田に飛んでくるA350はこれだけではなく、ベトナム航空の約30分後にやってきたのがシンガポール航空。この時間帯はアジア便の到着ラッシュのようです。シンガポール航空は新しい物好き(と言っては何ですが)な航空会社なので最新鋭機を真っ先に導入するんですよね。

 興味ない人が見たら他と見分けが付かない普通の双発機ですが、クルッと巻き上がった翼端がとりあえず見た目の特徴です。主翼は787のように極端な上反角を生む"反り"は付いていません。

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 来年にはJALがB777の後継としてA350を国内線から就航させる予定です。JALはANAと違ってB787を国際線専用にしているため、国内線機材の古さが目立ってきましたが、それも今年いっぱいの我慢。楽しみですね。

特別塗装機

 さて、初めて見る(撮る)機体と言えば、特別塗装機も2機ほど出会いました。

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 東京オリンピック・パラリンピックに向けたANAのB777-200特別塗装機です。一般公募したデザインの中から選ばれたもので、つい先月から運行が始まったばかりです。色合いが派手で見栄えがしますね。遠くからでも「なんか来る!」というのが分かります。私も最初はスターウォーズ・ジェットかと思いました。近くにいた人は「ポケモンジェット!」と言ってました(A^^;

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 そしてもう一機はスカイマークのこれ。写真ではチラッとしか見えていませんが、機体上部には「東京大田区から世界へ」と書かれています。機体の反対側にはジャマイカカラーのボブスレーの絵が描かれています。

 この件に関しては色々ゴタゴタしているようですが... どうなってるのでしょうか? 19日にはこの機体を使って韓国へチャーター便を運行する(乗客はプロジェクト関係者?)という計画があるそうですが、それもこれも含めて一体どうなるのやら? 外装は塗装ではなくラッピングだと思うので、いざとなったらベリッと剥がしてしまったりして。そうなったらごく短期間だけ運航された伝説の特別塗装機になります。

地上の風景と絡める

 さて、成田でも少し挑戦しましたが、飛行機をフレーム一杯に入れて撮るのではなく「飛行機のある風景」に再度挑戦してみましょう。羽田空港は都心湾岸地区にあるだけあって、写真映えしそうな風景には事欠きません。特に城南島海浜公園から見える東京湾岸の眺めは抜群です。

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 東京港に出入りする貨物船とANAのB787とか。意外に船の速度は速い上に、飛行機は時々しかやってきませんから、ピタリとこの位置関係になったのはラッキーでした。

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 でもやっぱり人を入れた方がそれらしいかな?ということで、砂浜を散歩する楽しそうな二人と、ガトリングクレーンと上海航空のA330とか。

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 かと思えば、砂浜を静かに一人で散歩する人と、滑走路誘導灯とJALのB737-800とか。

 これ以外にも上に貼ったA350の最初の一枚もそうだし、トップの写真ももしかしたらそうかも? これ以降でも「飛行機のある風景」を少し意識して撮りました。撮り慣れたロケーションと被写体といえども、まだまだ色々な撮りようがあって飽きることなく楽しめます。やっぱり城南島はイイ!

いよいよ日没が近づく

 さて、そうこうしているうちに陽が傾いてきました。そろそろ良い感じに機体も黄色く染まってきたでしょうか。

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 うん、良い感じになってきました。城南島海浜公園の人工砂浜は午後5時までしか開放されていません。その砂浜の端っこにある岩場の上には、同じようなことを考えているであろう同業者たちがずらっと並んでいます。やっぱり狙うならこの時間帯ですよね。

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 サブで持っていったK-3 IIにはDFA28-105mmを付けてあったのでちょっと使ってみました。砂浜の上を通過していく機体は標準域のレンズでも撮れます。このカットで約68mm相当ですから決して広角ではないですが、超望遠で撮るのとは明らかに違うパースが付いて飛行機写真としては新鮮です。

 しかし夕日を受けたB787は黄色くなってきましたが、上空の雲はまだ白いですね。雲も黄色く焼けてくれたら良いのに...

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 砂浜のずっと向こう、遠くの海上を見てみれば遙か沖合にあるD滑走路にアプローチする飛行機が見えます。肉眼では小さくてよく分かりませんが、超望遠で覗いてみればOne World塗装がされたJALのB777-300ってすぐ分かりますね。

 対岸は千葉県の木更津から袖ケ浦、市原あたりの工業地帯です。地平線(水平線?)がきれいに見通せるのも冬ならではかも知れません。

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 そして、さらに良い感じに全体が焼けてきました。東の方の空にあった雲の帯も夕日を浴びてなんとも言えない色に焼けてきました。黄色と言うよりピンク色です。その中をやってくるのはJALのB767-300です。気がつくとランディングライトの明かりが目立つようになっていました。

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 ANAのB787-8もランディングライトを付けて飛んできます。ピンク色の雲と青さが残る空と、黄色い機体。これらの色合いのバランスは時々刻々と変化していくので、過密空港の羽田といえどもやってくる飛行機の動きが遅くもどかしく感じてしまうこともあります。今、今ちょうど良い光なのに!早く来て~!と。

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 頭上を通過していくソラシド・エアのB737-800。高度はかなり低いですが、お腹当たりまで日が回り込んでいます。すでに海上は日陰になり、波の反射はなくなってしまったようです。

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 そしてB滑走路方面。日没の方角に近い南西の空には雲が無く、こんなに黄色く焼けてきました。しかしこれもほんの一瞬のことで、この後すぐに色は濁ってきて急速に光を失っていきます。

 これが今日最後のカットだな... と納得して終了です。


夕日×飛行機は2年越しで狙ってきた

 ということで、実は夕日に映える飛行機というテーマは2年越しでずっと狙ってきたものでした。ちょっと飛行機写真の記事を振り返ってみましょう。
 昨年秋に城南島に来たときもそれなりに満足しましたが、今回の方がよりドラマチックでした。雲があったおかげなのか、季節のおかげなのか?

 さらにそれよりも前、ほぼ一年前に成田に行ったときも、夕日に照らされた飛行機を狙ったのですが、一番良い時間帯に一機も飛んでこないという事態に陥りがっくりしてしまいました。

 さらに遡ること1年、現在から見ると2年ほど前のこと。やはりこの時もちょうど良い時間帯にぱったりと飛行機が飛んでこなかったことを思い出します。

 ちょっと番外編的ですが、羽田空港内から富士山のシルエットと空港の風景を狙ったこともありました。

 いずれにしろ、今回で2年越しの狙いはようやく達成できたと思うのでひとまず満足です。次は苦手な朝方とか狙ってみようか?と思います。

使ったカメラ

 なお、使用したカメラはPENTAX K-1です。旅客機は動きがそんなに速くないので、私的にはK-3 IIほどの連写速度でも持て余してしまいます。それに今回はISO感度を上げる必要もあるかも?ということで、高感度性能的にはやはりK-1のほうが圧倒的ですから。

 レンズはもちろんDFA150-450mmのみ。城南島やひこうきの丘くらい飛行コースに近ければこれで十分です。

RICOH PENTAX 望遠ズームレンズ HD PENTAX-D FA150-450mm F4.5-5.6ED DC AW 21340

RICOH PENTAX 望遠ズームレンズ HD PENTAX-D FA150-450mm F4.5-5.6ED DC AW 21340