酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

四ッ谷三丁目にある一見さんお断りの会員制日本酒バーで新春の「通風鍋」祭りを堪能する

 年末年始は怠惰にダラダラと過ごしていまい、胃腸もすっかりなまってしまいました。このままでは社会復帰ができない!と危機感を感じ、年明け早々1月4日になって新年初飲みに出かけてきました。と、大げさなことを言うまでもなく、要はただの新年会なわけですが、今年は派手にパーッといこう!と言うことで、いつもとは少し毛色の違うお店へ行ってきました。

 というのはタイトルにも書いたとおりで、そのお店は関西を中心に数多くの日本酒を揃えた日本酒バーなのですが、誰でも気軽に入れるわけではなく、紹介者を必要とする会員制となっています。私は会員でも何でも無いのですが、友人がお店の人と知り合いと言うことで、宴会メンバーに混ぜてもらうことができました。

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 普段はお酒に合う料理を個別に提供しているそうですが、この日は新年特別営業と言うことで、料理は通風鍋を含めた5品のコース、そしてなんと日本酒は飲み放題という、お正月とお盆が一緒に来たような状態でした。

 さて、お店の場所は地下鉄の四ッ谷三丁目駅から徒歩2分ほどです。会員制だからといって格別存在を隠しているわけではなく、今の時代のことですからネットで調べれば電話番号とともに出てくるのですが、現地では看板も出ておらず、その存在はまったく外からは見えません。

 「隠れ屋」という言葉で表現する居酒屋は数あれど、ここは本当に実態がそのまんま「隠れ屋」です。

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 入り口はこんな階段で、普段は突き当たりの扉は閉まっており、インターホンで来店を知らせるとドアが開くというシステム。と言ってもドアに鍵がかかってるわけではなさそう。いずれにしろ初心者にはかなりハードル高いです。

 この日はコース料理+飲み放題の定額制だったので、入り口で支払いを済ませテーブルへ。カウンター席と6人くらい座れそうなテーブルが4つと、思ったより広々とした店内でした。

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 最初はお店からのおすすめと言うことで、こんなお酒で乾杯です。岡山にある白菊酒造の「WinterBomb」という名の純米にごり生酒。しゃれたボトルのイメージぴったりで爽やかなシャンパン風味のお酒でした。

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 さて、席に着いた時点ですでに目の前にはこんなすごい鍋が用意されていました。ウニ、あん肝、白子、牡蠣がたっぷり入っています。ちなみにこの鍋で3人前! 我々一行は計6人いたのでこの鍋が二つありました。壮観です。

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 さて、ここは通風鍋が名物... というわけではなく、日本酒がメインです。そして料理的には牡蠣料理が得意だとか。

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 鍋が出来上がるまで小皿をつついて待ちましょう。と言っても、それぞれ結構な量があって、しかも猛烈に美味く、まさに日本酒に合いそうなものばかりでした。

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 飲み放題の日本酒だからといって銘柄不明の安酒が出てくるわけではなく、普通はなかなかお目にかからない、銘柄種がたくさん取りそろえられており、こうしてテーブルに次々にやってきます。

 最初に頂いたのは兵庫の「竹泉 山廃純米生酒」です。冬季限定のお酒で一口目はトロッとくる甘さを感じますが、二口目には日本酒らしいキリッとしたキレが感じられてくるから不思議です。

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 基本的には関西のお酒が得意と言うことですが、関東や東北のお酒もあります。他のテーブルも同じ状態で一升瓶が並んでおり、それらを店全体でシェアし、ぐるぐるとローテーションしてる状態。

 ここに写ってるお酒は左から岩手の「酔右衛門 特別純米 無濾過」、奈良の「篠峰 純米吟醸」、富山の「有機 曙 初嵐」です。どれもお店のマスターが厳選して集めているお酒です。

 ちなみに、はやくもこの辺りからはひとつひとつの銘柄ごとにお酒の味を表現できません。酔っ払ったわけではなく、単純に色々試しすぎて覚えていないのです。そもそも私はあまりアルコールの味を繊細に嗅ぎわけられる舌を持っていないので...。

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 もちろん、これだけのお酒が揃うとおちょこに一杯ずつでもあっという間に泥酔してしまいますから、狙いを決めて厳選して数種類に絞るか、ほんの少量ずつ、出来るだけ多くの銘柄を舐めていくか、どちらかにする必要があります。飲んだ気になるのは前者ですが、私は後者の作戦でいきました。

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 さて、お鍋の様子はどうでしょうか? 基本的には店員さんが鍋奉行をやってくれているので、我々は待っているだけ。だいぶ良い感じに煮えてきたところで、具材を混ぜてくれました。

 そこで店員さん曰く「あん肝は全て潰してしまいますね。あん肝は塊で食べるよりも飲み物にした方が美味しいですから!」とのこと。

 「○○は飲み物」という言い方はたくさんありますが、まさに目の前であん肝が鍋の汁に溶かされていく様を見て、「あん肝は飲み物」は比喩でも何でもなく、事実であることを見せつけられます。

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 あん肝が汁と化した通風鍋はグワーッと煮立ってきました。もういつでも食べられるようです。最後に隠し味のバターが出てきましたが、まず最初は普通に頂いてから、途中でバターを投入すると味が変わって鍋を二度楽しめます。

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 そんな折、追加のひと皿のアジフライとともに、通風鍋に合いそうなお酒が回ってきました。ちなみにアジフライはソースではなく塩で頂きます。これが揚げ物とは思えないくらいにさっぱりしていて、日本酒に猛烈に合うおつまみです。いえ、おつまみと言うには身がたっぷりあって、これにごはんとお味噌汁があれば立派な食事になりそうでした。

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 ということで、まずは一杯取り分けてみました。あん肝の溶けた汁に、つやつやの白子と、豆腐とキノコと野菜類に紛れて、大粒の牡蠣がウニにまみれている... という贅沢すぎる食べ物です。

 もちろんこれで一人分というわけではなく、これを4杯くらいたっぷりと頂くことが出来ました。もうウニとかたくさんです! 牡蠣も飽きた!とか、そんな罰当たりなことを口にする日が来るとは思いませんでした。

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 ここで出てきたのは、お店お勧めの一本。先ほども出てきた富山の曙ですが、今度は純米大吟醸です。この大吟醸の上品な風味を楽しむためには器にこだわると良い、ということで、2種類のグラスを用意してくれました。日本酒もワインのように「ひらく」みたいなことがあるんでしょうか。

 そう言われて口を付けてみると、鼻への香りの抜け方が違うような気がしてきますが、正直なところ私にはイマイチよく分かりませんでした(^^; 普通のおちょこで飲んでも猛烈に美味しいフルーティなお酒でした。

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 日本酒はラベルも色々凝っていて、それも表だけでなく裏書きもこんなに懇切丁寧に情報に溢れていたりするやつもあります。仕込み水の硬度214ってのがすごいですね。特に私は硬水が苦手なので、この仕込み水は飲めないと思います。でもお酒になると飲めてしまいます。

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 純米大吟醸がこれでもかとやってきました。ここにも「開栓後は瓶を建てて冷蔵」という注意書き付き。一升瓶を立てて入れておける冷蔵庫は、なかなか一般家庭では難しいですよね。

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 良い日本酒というと「冷や」や「冷酒」という思い込みがありますが、もちろんものによっては燗にするとより楽しめるお酒もあります。いやー、この時期ですし燗酒は良いですね。もちろん、このお店では燗の温度も完璧な状態にしてくれます。

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 ということで、お酒も人お降り楽しんだところで、鍋の方は〆のうどんが投入されました。さいごはやはり炭水化物です。ウニと白子とあん肝にまみれ、牡蠣の出汁が出た汁でいただくうどんというのは、これまた背徳の味わいです。

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 ということで鍋はこの通り完食しました。というか、最後はこの汁だけをスープとして飲み干してしまいました。だって勿体ない... というより旨味の塊で美味しくれやめられないですから!

 ということで、年初からひどい贅沢をしてしまいましたが、これ以降は節制をし健康第一で(しばらくは)慎ましく生活していきたいと思います。

 ちなみにお店の名前は「鎮守の森」と言います。敢えて地図などは貼りませんが、大手グルメサイト始め情報は普通のお店並みにネットに出ていますし、メディアの取材記事なども見つかります。例えば以下のようなぐるなび系のサイトにも出ています。


 一見さんお断りではありますが、厳密に客を選んでいるというような感じではなく、最初は紹介者を通して... ということを徹底しているだけのようです。上の記事にある通り、Facebookなどを通じて予約することもできるかもしれません。