酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

大谷石採掘場跡の幻想的で巨大な地下神殿の迫力に圧倒される

 暑い日が続いた7月の東京では、なぜか梅雨明けが宣言された頃からむしろ天気が悪くなり、雨こそあまり降らないものの、毎日どんよりと曇りの日が続いています。それでも気温も湿度も高くてあまり外をウロウロする気になれないし、夏休みシーズンとあって週末の道路も混雑気味。

 そんな中、天気に左右されず、しかも思い切り涼むことができて、写真を撮るのも楽しめるという素晴らしい場所へ行ってきました。その目的地とは、栃木県の宇都宮にある大谷石地下採掘場跡です。大正8年から70年間にわたって大谷石を切り出していた採掘場跡の地下空間が一般公開されています。

 東京都内からだと大体100kmちょっと。渋滞がなければ2時間もあれば着くので、ちょっとした日帰りドライブにもぴったりです。

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 「まるで地下神殿のよう」という噂は聞いていたのですが、そこは期待を遙かに上回る素晴らしい空間でした。

 ちょっと興奮してたくさん写真を撮ってきたので、いつもよりさらに多めに写真を貼っていますのでご了承ください。

大谷資料館と地下採掘場跡


 8月最初の土曜日、朝早くについても仕方ない場所なので、敢えてお昼前にゆっくりと出発。午後の到着をめざします。果たして東北道は順調に流れており、予定通りに宇都宮に到着しました。大谷石採掘場跡までは宇都宮ICから5kmほどです。

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 しばらくはのどかな田んぼが広がってたと思ったら、急に周囲をゴツゴツとした岩に囲まれていました。そんな中に大谷資料館なるものがあります。周囲はすでになんだかすごい光景。ゴツゴツした白い岩肌があちこち削られた跡があります。

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 一般用の駐車場に車を停めて5分くらい歩いたところに小さな平屋の資料館入り口があります。思ったよりも小さな建物です。

 資料館と言うからには一応、大谷石採掘に関わる様々な資料が展示されてる部屋が一つだけありました。しかし、狭くて暑くて暗かったので、ざっと眺めるだけにして流してしまいました。ちなみにこの展示室とこれから向かう地下採掘場跡の見学はセットで700円/大人です。

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 それよりもこの冷気が吹き出してくる入り口へ早く入りたいです。ここは出口も兼ねているので、見学を終えた人が出てきます。出てきたなり眼鏡が真っ白に曇って「暑い~」と口々に叫んでました。中はかなり涼しいようですね。早速突入してみましょう。

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 しばらく細い階段を下っていくと、いきなりこんな展望台へ出ました。おぉ! これはすごい。まさに地下神殿。四角い巨大な柱と真っ直ぐ緩やかに下りながら奥へ続く巨大な地下空間。真下には煉瓦のように小さく切り出された石積みが並んでいます。この絶景を眺めるだけでも入場料分の価値はあると思います。

 足下は暗いですが細い階段を慎重に下って奥へ入ってみましょう。

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 途中にいきなりこんな人がいてビックリしてしまいます。ここもこの手の人形攻めか?と思ったら、これ一体だけでした。それはそれでちょっと寂しいです。

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 途中天井を見上げると、こんな縦穴が開けられてれていました。明かり取りではなく換気用の穴だそうです。

 そう言えば駐車場から資料館入り口までてくてく歩いてるとき、ところどころ急にヒヤッとした冷気が流れてるところがあったのですが、その近くにはこういう換気口があったのかも知れません。

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 ちなみに坑内の気温は12℃でした。半袖では明らかに寒いです。私は一応長袖シャツを一枚持ってきたのですが、羽織らないで済ませてしまいました。この真夏の猛暑の中、こんな寒い思いをするのはそれはそれで楽しいですから。でも温度変化に敏感な人などは体調崩す可能性があるので上着は必須です。

 なお、当然ながら12℃というのは一年で最も気温が高いこの時期だけで、春や秋には一桁台に、真冬には1℃くらいになるようです。ということは冬の間は日によっては外よりも暖かいということもあるのかも知れません。いずれにしても夏は外と中の気温差が一番大きい季節ですから、このひんやりした空気感を味わうには絶好の季節だと思います。

 そしてこの説明書きにある通り、この安定した温度は天然の冷蔵庫として、お米やお酒類の保存に使われていたそうです。今は大勢人が出入りするので少し坑内も温暖化してるのではないかと思います。

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 さて、ぶるぶる震えながら一番奥まで行くと、先ほどより一層広い空間へ出ました。柱もより太く天井も高く感じます。地面が艶々光っているのは水です。ところによっては水たまりになっているところもありました。

 坑内は気温が低いだけでなく、かなり湿度が高いようです。地下水が染み出していて常に湿度100%なのだとか。しかし涼しいので不快には感じません。

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 なんかうっすらと水が溜まった池に時計の針のようなオブジェが立っています。そして左上には地上に抜ける穴。 ISO3200でF2.8、1/4secという撮影データからも分かる通り、実際には真っ暗で肉眼では何があるのかよく見えませんでした。適当にシャッター切ったらちゃんと写ってしまうデジタルカメラすごい!

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 ここで終わりかと思ったらさらにまだまだ奥がりました。最初入り口から見えた範囲だけかと思っていたのですが、こんなに奥深く広いなんて思っていませんでした。

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 坑内の柱や壁に刻まれた横方向の縞模様は手彫りの跡だそうです。人間の手によるものにしては結構規則正しい縞模様です。昭和30年代までは手彫りで彫られていたとか。

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 一方でこういう縦に鋭く深い溝が入っているのは機械掘りの跡。こっちの方がなぜかガチャガチャですね。

 ちなみに大谷石は軽石凝灰岩の一種で、軽量で加工しやすくその一方で耐久性もあるので、建物の外壁や塀を作るときの石材として利用されてきたものだそうです。大谷地区一帯に凝灰岩層が分布しており、地下採掘場は公開されているもの以外にもいくつかあって、現在は全て採掘されておらず放置されてるとか。それでも少量ながら現在でも大谷石は産出されてるそうです。

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 さて閑話休題。ふと上を見上げてみれば、壁は機械掘りで天井は手彫り? 良く見ると左の壁と天井は接しておらず溝がずっと上まで続いているようです。この天井はどこで支えられているのでしょう?

 これだけ壮大なものではありますが、これって絶対に崩れたりしないのだろうか?とか、余計なことを考えてしまいます。

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 じっくり壁面や柱の角などを観察してると、いろいろ複雑なディテールが見えてきて面白いです。触ってみると、ゴツゴツしていて見た目よりはずっと固いです。建築石材ですから当たり前ですかね。

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 要所要所でLEDによるライトアップが行われてる一方、通路の頭上にはこうした古ぼけた電球が並んでいました。LED電球ではなく白熱灯です。今となっては珍しいくらい。これは当時のものと言うよりは演出でしょうか。

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 この大谷地下採掘場跡は、こうやって一般公開するだけでなく、映画やドラマ、ミュージックビデオやイベントなどにも積極的に貸し出しているようです。そのいろいろな過去作品や過去イベントの写真が飾ってありました。

 公式WEBサイトにも作品一覧が載っています。

 例えば最近の代表作だとこれとか。坑内にも「ここで撮影されました」的な表示があちこちにありました。

 この辺もそうですね。

 ちなみに、ミュージックビデオや映画、ドラマだけではなく、アウディの新車発表会に使われたこともあるそうです。なるほど、そういうイベントもアリなんですね。かなり写真映えしそうです。

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 何気なくこんな幻想的な風景が転がっています。ここも外に向かって穴が開いており、坑内の湿気のせいかうっすらと霧状のものが浮遊しています。写真に写すのはすごく難しくて苦労しました。肉眼で見るともっと綺麗でした。

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 ポカーンと口を開けて上を見上げてしまう気持ちは良く分かります。こうして見ると本当にどこか海外の神殿で撮ったと言っても通用しそうですね。

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 それにしても湿気がすごくて鉄製のものは海辺でもここまで行くか?っていうくらい見事に錆びてます。天井からは時々水滴が落ちてきてビックリしてしまいます。

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 さて、たっぷり時間をかけてぐるっと一周してきました。かなり長居したつもりでしたが、ゆっくり写真を撮りながら一周して約1時間ほどでした。

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 なお、時間帯によっては観光バスが集中的にやってくることがあって、そうなると入り口および坑内の細い通路部分はかなり混雑します。奥は十分に広いので人が散らばってしまえば問題ありませんが、写真はいろいろ撮りにくくなるかも知れません。私は上手いこと空いてる時間帯に当たったので、週末だったにも関わらずかなりゆっくり自由に撮って回ることが出来ました。

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 地上へ戻ってくるとあまりの暑さに愕然とします。寒いと言いながら身体はすっかり気温12℃に慣れてしまっていたので、いきなり+20℃されるとかなり身体と精神に堪えます。

 が、それはカメラも同じですっかり冷え切っていたカメラとレンズは、30℃越えの熱気にいきなり晒されて激しく結露してしまいました。レンズや筐体が冷えてる間は無理に拭いてもまたすぐ曇るだけで意味ないので、じっくり温度が戻ってくるのを待つしかありません。

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 曇ったのを逆手にとって、天然ソフトフィルターで遊んでみたりするのもイイかも。真夏なのにまだわりと元気な紫陽花が咲いていました。

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 最期に大谷石とともにPEUGEOT 308SWの記念写真を撮っておきました。本当は標準ズームでフォルムが崩れないように撮りたかったのですが、24-70mmはなかなか暖まらず15-30mmのほうが先に曇りが取れたので、歪むのを諦めて広角で撮りました。

 ちなみに一般駐車場の周辺には公園があって、地上から大谷石のちょっとした崖の姿など色々を楽しむことが出来ます。しかし次に見に行きたいところがあったので、周辺散策は割愛しました。


大谷石で建てられた松が峰教会


 さて大谷資料館と採掘場跡を見た後向かったのは宇都宮の市街地方面。東武宇都宮駅のすぐそばにあるカソリック松が峰教会です。

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 こんな外観のかなり大きな教会です。そして明らかに外壁も塀もすべて大谷石っぽいです。建築は昭和6年。構造は鉄筋コンクリートですが、外観は全て大谷石が使われています。その後戦災も含めて幾度の修理を経て現在に至っており、国の登録有形文化財に指定されています。

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 使用されていない時は教会の内部も一般に公開されているので入ることが出来ます。カソリックの教会ですが内装はシンプルな方かと思います。

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 窓枠周辺はこの通り大谷石で出来ています。

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 そして柱も大谷石。

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 さらに祭壇周辺、パイプオルガンのまわりも全て大谷石で装飾されています。

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 観光客らしい人が自分も含めて数人訪れていました。とても静かなところでしばし座って休憩させてもらいました。ちなみにエアコンはかかっていません。

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 この教会は知人のオススメスポットで、直前にその存在を知ったのですが、採掘場跡とは違って大谷石の違った一面というか、採掘された後の使われ方を見るという点でとても興味深いものです。

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 これ以外にも宇都宮市内には大谷石を使った建築物が幾つもあるそうです。採掘場の近くには大谷磨崖仏や千手観音像など、見るべきものは色々ありますが、今回は半日しかなかったのでスキップしてしまいました。大谷石とは別に宇都宮城にもスタンプを押しに来ないといけないですし、またその際に大谷石関連の史跡に再訪したいと思います。


使ったカメラとレンズ

 今回使用したカメラはいつも通りのPENTAX K-1です。採掘場跡はかなり薄暗く、三脚等は一切使えないので、高感度に強く手ぶれ補正も強力なカメラがあるといろいろ捗ります。今回は撮影データにある通り、ISO3200を主に使用しました。RAWファイルから現像していますがNRはそれほどかけていません。ノイズ感とか全く問題ないです。

 レンズについては、ここは絶対超広角だろと言うことで15-30mmを主に使用しました。ですがそれだけでは飽きそうだったので標準の24-70mmも持って行きました。

 結果的にはそれで正解で、この2本をとっかえひっかえ使いまくりました。よほど固まったイメージが無い限り、望遠は不要と思います。

Pentax D FA 24???70?mm f2.8ed SDM WRレンズ(ブラック)

Pentax D FA 24???70?mm f2.8ed SDM WRレンズ(ブラック)