読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

東海道新幹線でEOS M5の動体撮影能力を試してみる

 キヤノン独自のデュアルピクセルCMOSを搭載したEOS M5は、全画面の全画素が像面位相差AFセンサーとなっており、高速な合焦とともに秒間7コマの高速連写にも対応しています。しかもバッファ量もそこそこあって、EVFのブラックアウト時間なども十分に短縮するなど、今までミラーレス機が不得意としていた動体撮影をむしろ得意とする仕上がりを目指しているとのこと。

 製品発表時に短時間だけ体験させてもらった時も、まずは動体撮影性能を体験してくれとばかりに、模型の列車が用意されていたくらいですから、やはりこれは実際に動体撮影を試してみなくてはなりません。

 ということで、久しぶりに新幹線を撮りに行ってみることにしました。動体対応性能を確認するのに不足はない被写体だと思います。

IMG_0403.jpg
 と言っても、私は真面目にミラーレス機を動体撮影目的で使ったことがないので「いままでのミラーレス」と比較するわけにはいきません。むしろ一眼レフ派としては、「ミラーレスには無理だろ」という強い先入観があります。

 その辺の思い込みがどうなるのか、敢えて比較対象としての一眼レフは持たずに、EOS M5とEF-M 55-200mmだけを持って行きました。



このレビューで使用されている商品はWillVii株式会社が運営するレビューサイト「みんぽす」 が無償で貸与しています。本レビュー掲載は無報酬です。また、WillViiは掲載内容に一切関与していません。(本情報開示と事実誤認時の修正を除く)レビュー商品無償貸し出しサービス 「モノフェローズ」に関する詳細はこちら
(WillVii株式会社みんぽす運営事務局)

設定を確認する

 新幹線を撮るにあたって、まずは設定を確認してみます。ポイントはオートフォーカスと連写モードです。

DSC_4720.jpg
 AF動作の設定は「サーボAF」にします。いわゆるコンティニュアスモードと言うか、AFロックされずにシャッターを切るまでずっとピントを合わせ続けるモードです。

 その前にEOS MシリーズのAFには注意点があって、それは電源を入れてシャッター半押ししてない場合も、AFモードに関わらずAFは常に作動し、フレーム内に入ったものにピントを合わせ続けています(キヤノン用語ではこれを「コンティニュアス動作」と読んでいるようです)。

 「AF動作設定」で変わるのは、シャッターボタン半押ししたときの挙動であって、「ワンショット」ならAFロックがかかるし、「サーボ」ならそのまま追い続けるという動作になります。

 EOS M3を試用したときは、何もしなくてもAFが動き続けることに面食らいました。シャッターを半押ししたときにはほとんどピントが合っているという意味では良いことなのはわかるのですが、電池の無駄遣いではないだろうか?と心配になります。ちなみにAF関連の設定でシャッターを半押ししてないときのAF作動をオフにすることも出来ます。というか、オフにしました。

DSC_4722.jpg
 次にAFフレーム設定は、1点、スムーズゾーン、顔認識+追尾優先という3種類から選択できます。普段は1点AFが良いと思うのですが、高速で走り抜ける新幹線を撮る場合は、もう少しAFフレームを広げて面で捕らえたいところです。

 「スムーズゾーン」とはなんぞや?ということをまだちゃんと理解していないのですが、とりあえず、AFの対象範囲がある程度の広がりを持って(1点AFのフレームが3x3=9フレーム分)、その中でピント合わせをしてくれるようなので、今回は「スムーズゾーン」に設定してみました。

DSC_4725.jpg
 ドライブモードは高速連写に設定します。この場合ワンショットAFだと約9コマ/秒に、サーボAFだと約7コマ/秒となります。また低速連写モードに設定することも可能で、その場合はAF動作設定にかかわらず約4コマ/秒となります。新幹線相手では連写は速いほど良いので、高速連写を使いました。

いざ小田原へ


 ということで、撮影ポイントとして向かったのは小田原駅。東京近郊で駅構内から手軽に撮ろうと思ったら、最も条件が良い駅とされています。というのは「のぞみ」の通過駅であり、緩くカーブしているため。それに東京から近いというのも大きいです。新幹線に乗れば30分、東海道線や小田急などでのんびり行くことも出来ます。今回は東京駅から「こだま」に乗っていきました。

 撮影結果を以下に貼っていきます。

IMG_0355.jpg
 撮影するにはカーブの外側に当たる上りホームが適しているようです。これは東京方面の眺め。微妙に高低差があってなかなか面白いです。位置取りとレンズの画角の問題で、左下にホームの柵が入ってしまいましたが。あと、線路上の設備が邪魔なのは駅撮りでは仕方ありません。

IMG_0449.jpg
IMG_0391.jpg
 で、面白いのは名古屋側。すぐに短いトンネルがあって、向こうまで見通せます。もっと超望遠があれば面白い写真が撮れそうですが、如何せんAPS-Cでも200mmではちょっと難しいです。

IMG_0443.jpg
IMG_0625.jpg
 遠くは諦めて駅構内を通過する「のぞみ」を狙ってみましょう。これなら200mmでも十分です。その代わり猛烈なスピードで走り去っていくので、AF性能と連写に頼って、とにかく数打つしかありません。流してる余裕もないのでシャッター速度も速めにします。

IMG_0699.jpg
 トップに貼った写真と似ていますが別のカットです。午後それほど遅い時間帯ではなかったのですが、この季節は日が傾くのが早くて、少しアンダー目に撮るとすっかり夕日の雰囲気で、良い感じになります。

IMG_0433.jpg
 小田原に停車する「こだま」。700系もまだ現役ですが、すっかり数が減ってきました。引退するときにはまた騒ぎになるのでしょうか。

IMG_0303.jpg
 小田原駅を出発していく新幹線の車掌さん。これはスピードは遅いのでもともと難しくはないのですが、去って行く動体にもちゃんと追従します。

EOS M5の動体撮影実感

 さて、最後にEOS M5での動体撮影能力はどうだったのか?という点について感想をまとめておきます。

IMG_0327-Edit.jpg
 これは1回の連写で撮れた一連の20コマを並べたもの。一枚ずつ拡大は出来ないのであくまでもイメージに過ぎませんが、体感的にはほんの一瞬で通過していく新幹線をこんな感じで撮る事ができます。

AFは?


 肝心のオートフォーカスについては、実のところ、途中でやや怪しい動きをする(背後にピントが抜ける)場合があるのですが、画面に占める車体の割合が一定以上になった至近距離になると、突然ガチピンになります。

IMG_0343.jpg
 かなり至近距離まで来たときの一コマはこんな感じ。200mmでも完全にフレームアウトするほど至近距離ですが、ピントはちゃんと付いてきているところがすごいです。

 というか、ここまで来ると、ピントを合わせる場所は鼻先なのか、ライトなのか、運転席の窓なのか? という問題が出てきそう。

IMG_0697.jpg
 一方で、まだ少し距離があるところだと、こんな感じでちょっと怪しくなる場合があります。いや、これほとんど合ってると言っても良いのだけど、レンズの性能としてもう少しキリッと撮れるはずだろ?と。

 そもそもキラキラと光る被写体は位相差AFが苦手としているところだと思うので、今回の条件が悪かったのかもしれません。あるいは、AFフレームを、1点AFにするか追尾優先というのを試したほうがいいのかもしれません。

 今回の結果から言える結論は、デュアルピクセルCMOSによる動体追従AFは、相当にポテンシャルが高いことがわかりましたが、ちょっとコツと言うか癖があるようで、それをつかむには試行錯誤がいると思います。が、それは一眼レフでも同じことですから、当たり前の話でもあり、一眼レフと近いレベルまで来た、と言えるのだろうと思います。

EVFは?

 連写中のEVF表示を見ていると、シャッターを切り始めた最初の瞬間のみ一瞬ブラックアウトし、その後は私の目に見える限りはブラックアウトしていません。しかし表示は滑らかではなくコマ送りのようになりますので、露光している間は直前の表示をそのまま保持しているのだろうと思われます。

 最近のEVFはみんなこうなっているのかどうか分かりませんが、上手いこと制御しているなとは思います。そして実際のところこのEVFなら、高速で走って行く新幹線を秒間7コマで撮影しながら追いかけていくことは、そう難しくはありません。


IMG_0417.jpg
 一眼レフも露光中はブラックアウトしているわけですが、見えてる間は必ずディレイゼロです。EVFは表示に必ずディレイがある一方、露光中に表示がフリーズするだけ(そのフリーズ時間が問題ですけど)とも言えるわけで、理屈上は一長一短ですが、やはり実感としては違和感があります。ただ、これは慣れの問題なのかも知れません。

連写速度は

 AF追従で秒間7コマという連写速度は、とりあえず及第点だと思います。というか、ペンタックスユーザーからすれば、羨ましい限り。来月にはオリンパスからもっと高速連写が可能なOM-D EM-1 IIが出てくるそうで、俄に数字競争が勃発しそうな勢いですが、実用上動体撮影で意味があるのはメカシャッターでAF追従の10コマ/秒あたりまでではないかと思います。

 なのでEOS M5の「AF追従でメカシャッターで秒間7コマ」というのは、クラスを考えれば非常に良く出来ていると思います。

まとめ

 ということで結論としては、確かにEOS M5は動体撮影にも十分対応できるミラーレス機に仕上がってると思います。AF性能だけでなくEVFの表示やバッファ量など含め、周辺機能もちゃんと動体撮影を考慮して真面目に作られていることがよく分かりました。さすがに一眼レフEOSでこの分野には十分な実績と経験のあるキヤノンだと思います。

KONE9087.jpg
 そう考えると問題はレンズで、EF-Mには望遠レンズはEF-M 55-200mm F4.5-6.3 IS STMしかありません。キットレンズのようなチープさはさておき、テレ端が200mmしかないという点が問題ですが、その辺は豊富なEFレンズをアダプター経由で使うことを前提にしているのかも知れません(上の写真の組みあわせだと結局テレ端は200mmですけど)。

 EFとEF-Mはアダプターを介しても、AF性能などの点でほとんどペナルティはないようなので、その辺の心配はないにしても、EOS M5が本当に本気のミラーレスなのだとしたら、動体撮影だってこれで出来ると胸を張るのであれば、EF-Mの白レンズは用意するべきなんじゃないのかな?と、思います。既存のEFユーザーだけをターゲットにしてるのでなければ。

 ボディがよく出来ているだけに、今後EF-Mのネイティブレンズの拡充に期待したいと思います。

Canon ミラーレス一眼カメラ EOS M5 ボディー EOSM5-BODY

Canon ミラーレス一眼カメラ EOS M5 ボディー EOSM5-BODY

Canon 望遠ズームレンズ EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM ミラーレス専用 EF-M55-200ISSTM

Canon 望遠ズームレンズ EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM ミラーレス専用 EF-M55-200ISSTM