酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

FUJINON XF56mmF1.2 Rでピント面極薄の世界を覗く

 FUJIFILM X-T1レンズキットに続き、Xシリーズの最新レンズXF56mmF1.2 Rも追加で貸していただきました。開放F値がF1.2というレンズを触るのは初めてです。センサーサイズはAPS-Cとはいえ、56mmという焦点距離も考え合わせると、相当にピント面は薄いはず。果たしてどんな写真が撮れるのでしょうか?

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 大口径レンズを手にする素人は、とりあえず何でもかんでも開放で撮ってしまうという罠に陥りがちですが、喜んでその罠にかかってみたいと思います。開放同盟上等!ってことで。


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外観を眺める

 まずは届いた荷物を開けてみます。

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 箱は黒基調のXシリーズ共通デザイン。大口径レンズとは言え、そのサイズはかなり大きめです。

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 中から出てきたレンズはこんな感じです。さすがF1.2。前玉は巨大です。フィルター径は62mmもあります。鏡胴のほとんどはピントリングが占めています。XF14mmやXF23mmなどと違ってAFとMF切り替えのクラッチ機構も、距離目盛りも深度目盛りもありません。むしろこのレンズにこそあった方が良いのに。

 ピント合わせは全群繰り出しではなく、IFまたはRFのようです。しかしAF時にはXF35mmのようにガコガコとわりと大きな音がします。

 56mmという中途半端な焦点距離ですが、画角的にはフルサイズ換算で85mm相当の中望遠レンズになります。と、この数字を見て、なるほどそれで56mmなのね、と納得。そういえばPENTAXにも55mmF1.4というレンズがありましたっけ。

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 マウント側です。後玉もかなり大きいです。そしてもちろん絞りリング付き。単焦点なので目盛りに数字も入っています。最小絞りはF16まで。7枚羽根の円形絞りです。レンズ構成は8群11枚と単焦点のわりに豪華な構成。非球面レンズとEDレンズが使われており、かなり気合いが入った光学系のようです。

 残念なのは最短撮影距離が70cmとかなり遠いこと。せめて焦点距離の10倍、つまり56cmくらいまでは近寄れれば良いのにと思います。もちろん贅沢を言えば30cmくらいが理想です。また、このレンズのマクロモードは謎の動作をします。マクロOFFでは70cmから無限遠、マクロONでは70cmから3mの範囲でしかピントが合いません。どっちにしても最短撮影距離は変わらないのです。そしてマクロONのままだと遠景にピントが合わなくなるという、いつの時代のカメラだよ!と突っ込みたくなるような動作をします。やっぱりXシリーズのマクロの扱いはどうにも納得がいかないというか、理解ができません。

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 箱が大きかったのには訳があって、それは付属の専用フードがレンズに負けず劣らず大きいから。バヨネット式で逆さ付けするとこんな状態で、もともと大柄な鏡胴をすっぽり覆い隠してしまうほどです。金属製でひんやりした感触の本体に対し、このフードは普通にプラスチック製。XF18mmやXF35mmはフードも変わった形をしていましたが、このXF56mmでは当たり前すぎるほどの円筒形です。いえ、もちろん実用性重視でこれで良いのだろうと思います。

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 早速X-T1に取り付けてみました。なかなか様になります。XF56mm単体の重量は約400g強。X-T1と合わせても1kgになりません。手に持った感じもバランスは良いと思います。

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 撮影時にフードを付けるとこんな感じに。ただでも大きいレンズですが、さらに押し出しが強まります。

F1.2に翻弄される

 さてさて、F1.2のピントの薄さはどんなものでしょうか。早速写真を撮りに出かけてみました。

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FUJIFILM X-T1, XF56mmF1.2 R, 1/4000sec, F2.0, ISO200, AWB
 五分咲きの河津桜。遠目に見ると色が濃いのに、一つ一つの花は思ったより淡い色をしています。大振りで押し出しが強くて、あまり桜としては好きな種類じゃなかったのですが、こうして咲き始めの河津桜を見ていると、派手なのもそれはそれで良いかも、と思ってしまいます。

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FUJIFILM X-T1, XF56mmF1.2 R, 1/2900sec, F2.8, ISO200, +0.3EV, AWB
 八分咲きの梅。まだまだ梅の季節も終わっていません。以前は梅なんかより断然桜... と思ってましたが、最近は梅の良さが分かってきたような気がします。歳ですかね(^^;

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FUJIFILM X-T1, XF56mmF1.2 R, 1/3000sec, F2.8, ISO100, AWB
 近所に咲いていた小さな菜の花の花壇。雑然とした周囲を切るため、ローアングルで空背景にしてみました。前ボケが激しすぎて何が何だか分からないですね。背面液晶のチルト機構を使ってライブビュー撮影しました。こういう場合は確かに便利です>チルト機構。

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FUJIFILM X-T1, XF56mmF1.2 R, 1/3800sec, F1.8, ISO100, AWB
 マイ自転車、プジョーPacific-18。散歩は本当に歩きで行くことがほとんどですが、この自転車でカメラ背負って出かけることもたまにあります。もうこの自転車も12年以上乗っています。

 と、ここまで結局開放F1.2を使っていません。最初から分かってはいたのですが、晴天の日中はF1.2では明るすぎて露出オーバーになってしまうのです。X-T1の最高シャッタースピードは1/4000sec。ISO感度も拡張モードでISO100まで下げることができますが、基本はISO200。これでF1.2は無理ですしF1.8でもきついところ。欲を言えば1/8000secシャッターと、ISO100ベースでISO50まで拡張モードで下げられると良いのですが、それでも場合によっては厳しいかも知れません。だったら潔く、晴天下で開放付近を使いたければ4倍程度のNDフィルターを用意した方が確実でしょう。自腹で買ったカメラとレンズだったらNDフィルターも買ってるかも。

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FUJIFILM X-T1, XF56mmF1.2 R, 1/600sec, F1.2, ISO200, AWB
 木陰に佇む野良の黒ネコさん。適切かどうかは関係なくここぞとばかりにF1.2開放で撮ってみました。いやぁ、ピント薄いです。背景もボケボケ。やり過ぎ感がありますがこう言うの楽しいですね。

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FUJIFILM X-T1, XF56mmF1.2 R, 1/850sec, F1.2, ISO200, +1EV, AWB
 もう一匹の野良猫さん。別のエントリーでもK-3で撮った写真を貼りましたが、X-T1+XF56mmでも撮ってみました。もちろん開放で。そしてこれも背面液晶のチルト機構を使ってローアングル、というかほとんど地面にカメラを置いた状態です。AFロックとか使わずに、AFエリアを適切に選んでやればピントは心配なさそうです。こういう場合はさすがにチルト液晶付きのライブビュー機の方が簡単確実に撮れますね。

 このレンズを使っていて、EVF(あるいはLV)の良いところをひとつ発見しました。というのは、設定絞り値がファインダー像に常に反映されることです。X-T1の場合、シャッターを半押しすると、AFが作動したあとに絞りが設定値まで絞り込まれます。シャッター半押ししたまま絞りリングを操作すると、絞りが作動しファインダー像もそれに追従してきます。つまりボケ具合や被写界深度をほぼリアルタイムに確認可能なのです。そんなのEVF的には当たり前のことなんでしょうけど、OVF派としては「なるほど!」と思ってしまったところです。

 こういう大口径レンズにおける微妙な絞り選択では結構重要なことかも。と言っても、所詮縮小画像を見ているだけなので、本当に厳密にチェックするならやはり撮影後に拡大して見るのが確実なので、実際には気持ち程度にしか役に立たないと思います。

 ということで、X-T1とこのXF56mmF1.2で大口径の世界を楽しんでみたいと思います。