酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

高倍率ズーム選び(18-250mm/F3.5-6.3)

 またかと(もしくはバカかと)お思いの方も多いかと思いますが、またまたレンズを買いました。いや、言い訳をさせてもらえれば、今回のは当初から予定していた買い物です。決してレンズ沼に深く深くはまり込んだ末の行動ではありません。その証拠にDA70mmF2.4の衝動買いなど若干手違いもありましたが、デジタル一眼レフ購入計画は、今回の買い物でほぼ完了です。多分、恐らく... 当分は(A^^;
 で、今回の買い物は200mm程度の望遠ズームなわけですが、50mmくらいから始まるいわゆる3~4倍望遠ズームは、小型でお値段もお手頃なものが純正はじめいろいろ出ています。機能とコスト重視で選べば良いのですが、どうもその手のズームには惹かれるものがありません。かといって純正の60-250mmはあまりにも高くて(市場価格約15万円!)とても手が出ないし、大きくて重たすぎます。

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TAMRON AF18-250mmF3.5-6.3 Di II。K-7のコンパクトなボディに合っています。

 そこで目先を少し変えて、望遠ズームではなく、標準域からの高倍率ズームを物色することに。18-200mmクラスの高倍率ズームはPENTAX純正にはありませんが(18-250mmがなぜかディスコンになってます)、レンズメーカ製は力を入れているらしく、新製品も出てますし、選択の幅が広がります。

 いろいろ調べて考えた結果、候補に残ったのはタムロンのAF18-250mmF3.5-6.3 Di II(A18)シグマの18-250mm/F3.5-6.3 DC OS HSM。これらのレンズはフルサイズ換算だと、28~380mmズームに相当し、広角から望遠までを1本でカバーする超便利なお手軽レンズ。どちらも明るさはF3.5-6.3で、最短撮影距離も45cmまで。シグマはPENTAX用もHSM(超音波モーター)駆動で、レンズ内に光学手ぶれ補正が搭載されています。タムロンはそう言った新機能がない代わりに、シグマより小さくて軽量で少しお安くなっています。

 K-7はボディ側の手ぶれ補正を積んでいますが、光学手ぶれ補正があるとファインダー像が安定するし、HSMのなめらかで高速なAF動作にはとても惹かれます。しかし結局K-7のボディに合うと言うことで小型軽量を最重要視し、タムロンのA18を購入しました。実はこのレンズ、今はなきPENTAX純正の高倍率ズーム、DA18-250mmのOEM元と言われています。であれば、PENTAXのボディとも相性は良いはず(と思ったのですが)。

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50mm, 1/100s, F5.6, ISO320, AWB 大雄山最乗寺の入り口。マイナスイオン浴びまくりです。

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250mm, 1/125s, F6.3, ISO640, +1.3EV, AWB 最乗寺敷地内に咲いていた百合の花。

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65mm, 1/60s, F6.3, ISO400 AWB 巨大な杉の古木の並木が見事でした。

 タムロンA18の全長は約84mm、重さは430g、フィルター径は62mmです。さすがに単焦点のDA Limitedレンズと比べると巨大で重たいですが、13.8倍のズームと思えば大きくはありません。望遠側にズームすると鏡胴が激しく伸びて倍くらいの長さになります。ピント合わせはIFなので、前玉が回転したり全長が変化したりはしません。ガタつきもなくしっかりした手応え。

 ズームリングとピントリングの回転方向はPENTAX純正に合わせてありますが、クイックシフトフォーカス(AFモードでもシームレスにMFできる)には非対応です。この手の高倍率ズームはズームリングの回転角が大きく、しかも鏡胴内のカムが複雑なためか、ズームリングの回転トルクが一定でなく、ギクシャクしてしまうものが少なくありません。が、このレンズはその点も非常に優秀。自重で伸び縮みしにくいように回転トルクはかなり重いですが。ちなみに18mm時にズームリングを固定するロックスイッチがついてます。

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100mm, 1/400s, F8.0, ISO200, AWB 山中湖の釣り人。

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18mm, 1/500s, F9.0, ISO200, -0.7EV, WB: CTE 山中湖から望む夏の富士山。

 AFは通常のボディ側からカップリングを介しての駆動。ピントリングの回転角は小さいため、思ったほど遅くはありません。しかしギアの減速比がかなり高いようで、ギア音は盛大に鳴ります。DA Limitedレンズだと、ボディモーター駆動であることを忘れるほど上品にAFするのですが、このレンズはなに振り構わず一生懸命回している感じ。「ぎゅい~ん」というAF音は久々に聞きました。20年前のカメラみたい。

 もう一つ心配していたのはファインダーの見え具合です。K-7のファインダースクリーンは、今時の一眼レフとしてはかなりざらつきが目立つ方なので、F6.3などという暗いレンズではまともにファインダー像が見えないのではないかと。ですが、心配するほどではありません。暗い屋内で望遠端を使うことはそうそうないと思いますが、普通に写真が撮れる屋外なら、まずファインダーの見え方に問題はありません。ピントも相変わらずよく見えます。

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130mm, 1/320s, F5.6, ISO200, -0.7EV, AWB 夕焼けの富士山のアップ。

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29.4mm, 1/30s, F5.6, ISO200, WB: CTE 本栖湖から眺める紅富士。CTE効き過ぎかも。

 で、問題は画質。さすがに高倍率ズームなので単焦点のDA Limitedレンズ並とはいきませんが、少なくとも中心部はそこそこ写っているはず...。と思って試しに撮った写真をPCに取り込んで見てみると... 軒並み等倍では見てられないほどボケています。撮影しているときから何となく気づいていたのですが、どうも前ピン気味なのです。特に50mm以下では顕著(広角の方が同じ被写体に対して等倍観察時の解像感は低くなりがちですが)。無限遠にピントを合わせても、ピントリングは2mを指していたり。ピントリングの目盛りが信用できるとは思えませんが、何となくファインダーで見ていても今ひとつしっくり来ないものがありました。

 ということで、いろいろ実験をしてみました。詳細は省きますが、その結果やはりこのレンズとK-7の組み合わせではかなり前ピンになるらしいことが分かりました。特にワイド側。同時にチェックした純正のDA21mmとDA70mmではこういうことはありません。ですので、ボディ単体のせいではなくレンズ側の問題か、またはレンズとボディの組み合わせの問題と思われます。

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テストチャートを使って簡易テスト。18mmでピント位置-10補正時。厳密にテストするまでもなくかなり前ピンです。

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K-7はレンズごとにピント位置の微調整を登録しておくことができます。

 K-7には「ピント位置微調整機能」があるので、まずはそれを試してみました。マイナスに補正するとピント位置が後ろへずれます。レンズIDごとに20本まで個別の調整値を覚え込ませることができるので、一度調整すればそのレンズを付けただけで、自動的に補正が行われます。また他のレンズを使用したときに影響しません。

 で、この機能を使ってめいっぱい後ピンに補正してみた結果が上のチャートです。AFフレームは中央固定にして、中央の黒い横線にピントを合わせています。これでもようやく後ろ側の深度の端っこにかかった程度で、圧倒的に前ピンです。ワイド端開放で無限遠を撮影してみると、-10補正ありと無しでは明確に解像感に差が出ます。望遠側では一応ピント位置は深度に入っているのですが、全体的にやはり前ピン傾向。

 ググってみると、交換レンズのピント位置ずれというのはそれほど珍しい現象ではないみたいです。メーカーで調整してもらうと直る場合もあるとか。もちろんボディ側の問題の場合も多々あります。ということで、販売店に相談しにいきました。そこで、同じレンズの在庫品と、K-7の展示機も比較で触らせてくれたのですが、どの組み合わせもあまり違いが感じられません(同じテストをしたわけではありませんが)。これは偶発的な不具合品ではなく、製品全体の傾向なのか、もしくはやっぱりボディ側の問題なのかも...。

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結局SIGMAの18-250mmF3.5-6.3 DC OS HSMに交換してしまいました。

 とりあえず別の個体と交換してもらう、またはメーカーに調整出す、返金&別製品に交換、も三つの選択肢がありましたが、結局いろいろ悩んでSIGMAの18-250mmに交換してもらいました。問題解決手法としてはやや荒っぽいですが。

 ということで、手元には結局SIGMAの同スペックのレンズがあります。こちらは全長101mmで主さは630gとかなり大柄。その代わり、光学手ぶれ補正機能を内蔵し、AFもHSM駆動となっています。これ、お手軽便利ズームと思うとかなりもてあましますが、広角まで撮れる望遠ズームだと思うとそれほど気にならないかも。強力な手ぶれ補正ついてますし。レンズ側の手ぶれ補正を使う場合は、ボディ側の手ぶれ補正をOFFする必要があります。どちらが性能良いかは別にして、ファインダー像がピタリと安定するのは、やはり非常に大きな利点です。AFも静かでスムーズで高速。

 ただしこのレンズ、ズームリングのトルク感に段差があります。それよりも一番の欠点は、ピントリングとズームリングの回転方向が、PENTAX純正(=Nikon式)とは逆(=Canon式)なことです。SIGMAのレンズってこうでしたっけ? HSM内蔵したせいかな? これは地味に効きます...。まぁ、ズームレンズはコレ一本でもう十分なので、これに慣れれば良いだけかも。

 ピントチェックもしましたが、やはり18mmワイド端は前ピン傾向があるのですが、タムロンのA18のように深度を外したりはしていません。微調整でなんとかなる範囲かと思います。

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 なんとなくですが、やはりボディ側のAF精度の問題もあるような気がしてきました。位相差検出方式のAFの精度がどのくらいあるのか知りませんが、600万画素クラスの時代なら問題なかったけど、1400万画素ともなると、そもそもAFセンサーの精度(被写界深度)と実際に撮れる画像の被写界深度は一致しているのか疑問になってきます。それにフィルムの時代からAFはワイドレンズを苦手としていたような気もします。

 とはいえ、TAMRONのA18とSIGMAの同スペックのレンズと、純正DA Limitedでは明らかに差ががあるので、なにかレンズとの相性もあるのだと思いますが。謎です。

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 さて、以上で怒濤のカメラ関係お買い物月間は終了です。これからしばらくの間はこれ以上レンズを買う予定はありません。幸い身近にPENTAXの一眼レフ仲間ができましたので、持ってないレンズをちょっと借りてみたりもできそうですし。ちなみに、超便利ズームを買いましたが、私的常用レンズはあくまでもDA21mmのつもりです。

 せっかくこれだけ買ってしまったことですし、今度は飽きないように細く長く、趣味として「一眼レフで写真を撮る」ことを続けていければ良いなぁと思っています。

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