酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

駒形どぜう@浅草

 先日久しぶりに浅草に飲みに行ってきました。浅草と言えば必ず泥酔して帰ってくるというジンクス(?)のある町。でも今回こそは大丈夫!と根拠のない自信が沸いてきて、時々どうしても行きたくなります。いや、行かねばならなくなるのです。今回の目的地は駒形どぜう。どぜう料理と言えば深川育ちの私にとっては、高橋の伊せ喜と決まっているのですが、大川を越えたお江戸浅草にもどぜう料理で有名なお店があります。一つは駒形どぜう、そしてもう一つが飯田屋。この二軒に伊せ喜を加えて"江戸三大どぜう屋"と呼ばれています。これらの中でも駒形どぜうは、江戸時代後期の享和元年(1801年)に創業したという、長い歴史を持つ由緒正しいお店。今でも暖簾をくぐれば木札を持った下足番が出迎えてくれます。

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入り口からして風情のある店構え。

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どぜう料理の基本のいわゆる"まる鍋"。

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煮えてきたらゴボウとネギを乗せます。ちなみにゴボウは有料トッピング。

 店内はテーブル席と座敷がありますが、お勧めは座敷のほう。座敷と言っても畳も座卓もなく、広い板の間に莚(むしろ)が敷かれ、分厚くて細長い木の板をテーブル代わりに置き、その両側に座布団が敷いてあるだけ。そしてどぜう料理の王道はやはり鍋ということで、その火種は伊せ喜ではガスでしたが、ここ駒形では炭火という本格派。で、そのどぜう鍋は、下ごしらえがされたどぜうを特製のつゆで煮込み、ネギやゴボウを山盛りして頂きます。シンプルな料理ですが、随所にお店の秘伝があるらしく、おなじどぜう鍋でも高橋の伊せ喜と同じようで同じじゃない。店の雰囲気も含めて、両者甲乙付けがたい特徴があります。

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乾杯はとりあえずのビール。ここ浅草ではビールと言えばもちろんアサヒ。

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でもやっぱり江戸の食べ物であるどぜうに合うのは日本酒。升酒のうまいことうまいこと。

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結局四合瓶を頼んでしまうわけで...。京都からの下り酒です。

 夕暮れの浅草寺にお参りしつつ、お店に着いたのは午後7時過ぎ。この日は天気が良くて暖かい日でしたが、お店はあまり混んでいませんでした。どぜうを食べに来るには少し時間が遅いのかもしれません。入り口近くの座敷を陣取り、早速どぜう鍋をつつきます。伊せ喜ではお代わりを頼むと、鍋はそのままで追加のどぜうだけを持ってきて、鍋にざっと投入してくれるのですが、ここ駒形では鍋ごと交換されます。こういう細かい仕来たりも少しずつ違います。でも、ネギを山盛り盛るのはどちらも同じ。ゴボウのトッピングがあるのは駒形。オープンな座敷では、周囲の人の食べ方を盗み見するのも楽しいものです。時折、いかにも江戸っ子な上級者と思われる老夫婦が、あっと驚くぐらい格好いい独創的な食べ方をしてたりします。そういう技は是非盗んで真似なくてはなりません。

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さらしくじら。味噌を付けていただきます。

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豆腐とこんにゃくの味噌田楽。

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大山地鶏のつくね。これが絶品!

 どぜうは鍋だけでは、お腹いっぱいにならないし飽きてくるので、いろいろサイドメニューを頼みます。柳川や蒲焼は基本ですし、伊せ喜だと鰻料理があるのですが、ここ駒形では鯨料理が色々ありました。今回はさっぱり系でさらしクジラとか頂いてみました。そのほかに隣で発注していて美味しそうだった田楽とか、メニューを見ていて適当に決めた鶏つくねとか。鶏つくねは出てくるまでに時間がかかり、うっかり忘れていて会計を先に済ませてしまったのですが、最後に出てきて駆け込みで食べた鶏つくねは絶品でした。とてもどぜう屋さんが片手間に作ったものとは思えません。これだけでもウリになりそうなくらい。

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七味と山椒はお好みで。小道具もとても凝ったものが使われています。

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店内の様子はこんな感じ。この日は空いていました。

 お酒はまずはビールで乾杯。もちろん瓶ビールです。しかも浅草と言えばアサヒビールのお膝元。ということで駒形どぜうもご多分に漏れず、メニューにはアサヒのビールしかありません。あっという間に数本あけた後、いよいよ日本酒へ。升で飲むお酒は久しぶりです。このお酒は"ふり袖たれ口"という京都のお酒。駒形どぜう限定品です。さすがにどぜう料理によく合います。とりあえず升で一杯飲んだ後、結局四合瓶を追加してしまいました。今思えば、この時点で今夜の運命はほぼ決まっていたのかも...。

 ということで、久しぶりの浅草で久しぶりのどぜうを堪能しました。高橋も良いけど、やっぱり浅草も捨てがたいです。次は江戸三大どぜう屋の最後のもう一軒、飯田屋に行ってみなくては。

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浅草寺の宝蔵門と五重塔。浅草の夜は更けていきます...。



 駒形どぜう  東京都台東区駒形1-7-12  TEL: 03-3842-4001  11時~21時  大晦日、元旦のみ休業

---二次会と三次会  さてお次は二次会です。駒形どぜうはその名の通り、駒形橋の近くということで浅草寺からは少し離れています。しかし、歩き出した我々は何の相談もないまま再び浅草寺方面へ。ここはいつか来た道、伝法院通り。西に進んで右を見れば懐かしの赤提灯街です。結局またもやここへやってきてしまいました。浅草で必ず泥酔するのは、ここへ来るからだと頭の隅では分かっていたはずなのに。

 うろうろして見つけた小さなお店の名は"居酒屋マルサ"。間口の狭いお店はあまり繁盛してないようです。奥にはどう見ても客とは思えないおばあさんが座ってテレビを見ています。そして寒空の下入り口付近の席に陣取って二次会開催。まずはホッピーで乾杯です。

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シンガポールからやってきた旅行者と国際交流。日本は良い国キャンペーン展開中。

 そして気がついたら隣の席に座っていた人たちと仲良くなってしまいました。彼らはシンガポールからの旅行者。日本語が読めず、かといって英語も通じず、注文に困っていたようなので、親切心から助けてあげたのをきっかけに一気に打ち解けていきました。酔っぱらいは国際交流に貢献するのです。勝手にYokoso Japanキャンペーンを開始! 「英語が通じる人がいる!」とホッとする様子の彼らの顔が忘れられません。とか言いつつ、よくもこんなディープなところに入り込んだもんだと感心してしまいますが。

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最後はシャンパンで乾杯。ここまで来るとかなり記憶が薄れています...。

 結局、そのシンガポール人達と連れだって三次会へ。奢り奢られつつの宴会はなかなか終わりません。向かったのは酒の大枡が経営するワインバー。ここでシャンパンで乾杯です。この辺から記憶がだんだん薄れてきました。酔っ払いは気が大きくなって、みんなしきりに喋っていましたが、何を言って何を聞いたのか、通じていたのかどうか、話の内容も覚えていません。しかし時間だけは確実に経過してゆき、はっと気がつけばもう日付が変わっています。シンガポール人の二人を浅草界隈の渋いホテルまで送り届けて、本日の飲み会&熱烈歓迎日本キャンペーンはようやく終了。

 残されたいつもの酔っぱらい達は、タクシーに乗り込み帰宅の途へ。そのタクシー車内でしきりに運転手さんがクスクス笑っていたのが気になります。それだけはなぜか覚えています。何がおかしかったのやら?多分、相当に変な酔っ払いトークを繰り広げていたものと思われます。

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誰もいなくなった深夜の雷門と仲見世。

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もはや何が撮りたかったのか分からない。


---反省文  ...で、翌朝。ちゃんと家にたどり着き、着るべきものも着て布団にくるまっていました。が、どうも右手が痛いのです。ふらつく頭を持ち上げて原因を探してみると... 右手の指という指が傷だらけ。何カ所かは絆創膏が貼ってあります。自分で貼ったようです。でも途中で絆創膏が足りなくなって諦めたらしく中途半端。よく調べてみると足もすりむいていました。状況からすると、どこかで転んだと思われるのですが... いったい何をしでかしたのか心配です...。すっぱりと忘れてしまうのはいつものことなのですが、今回ばかりはちょっとまずい気がしてきました。深く深く反省しています。

浅草恐るべし。

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