東京スカイツリータウンの「すみだ水族館」で水に棲む美しい生き物たちをRICOH GR IIIで撮ってみる

投稿者: | 2019年3月25日

 RICOH GR IIIを手に入れて2回目の週末、GR IIIをポケットに入れて東京スカイツリー近辺まで散歩に出かけてみました。何か「これを撮ろう!」と言う目当てがあったわけではないのですが、東京スカイツリータウンは、写真のことなんか忘れてただブラブラしてるだけでもかなり暇つぶしが出来るし、そう思っていると不意に思いがけない被写体に出会って「あ、これいいかも? 撮っておかなくては!」みたいなこともあります。

 カバンの片隅にもポケットにも入ってしまうGRは、あらかじめ撮る写真のイメージを膨らませてギラギラした目でシャッターチャンスを探すよりも、たまたま出会う思いがけない光景、あるいは何気ない光景サッと撮るのに適していそうです。それこそがスナップ初級編かな?と、GR初心者は思っているところです。

 と、なんだか偉そうなことを書きましたが、現地に行って思いついてしまったのは「そうだ!久しぶりにすみだ水族館に行こう!」ということです。GR IIIで薄暗い水槽に浮かぶクラゲや、かわいいチンアナゴや、綺麗な水槽に泳ぐ金魚とか撮ってみよう!と。さっき自分で言ってた「スナップ」とは全然違うことを思いついてしまいました。

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 それに、薄暗い水族館の中はカメラの高感度性能の確認にもうってつけですからね。と言っても、あらゆる設定を網羅して詳細な機能/性能レビューを、ということはありません。ただ、水族館の中で目についた綺麗な水に棲む動物たちをパチパチと撮ってきました。

ユラユラと癒やしのミズクラゲ

 まずはクラゲです。海や海に近い川に浮いてると怖いというかグロいというか、嫌な気持ちになるミズクラゲも、水族館の中ではなぜか綺麗でかわいいと思えてくるから不思議です。

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 ブルーの幻想的な照明に照らされたミズクラゲの水槽は本当に綺麗で超写真映えします。で、一方でAFとか高感度とかホワイトバランスとか、カメラに厳しい被写体でもあります。むしろスマホで撮った方が綺麗かも?なんてこともあります。

 かなり薄暗い水槽でしたが、露出補正を-1EVに設定してISO感度はAUTO、ホワイトバランスもAUTOです。感度AUTOにしていると、シャッター速度が自分で設定した下限値の1/30secで張り付いてしまうということに気付いたのはだいぶ後になってからでした。これは失敗だったかも。

 ユラユラしているミズクラゲもわりと動いてるので、1/30secでは被写体ブレしてしまいます。あとで触れますがGR IIIに限らず最近のデジタルカメラはISO1600とかISO3200なんて普通に使えるので、高感度を躊躇なく使った方が良い結果が得られる、というのは何度も経験して分かってるはずなのに。

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 ちなみに一番苦労したのはAFでした。薄暗い上に一面ブルーで透き通った身体を持つミズクラゲはコントラストに乏しくピントがなかなか来ません。背景やガラスの反射に引っ張られたり、迷った末に結局合わないという動作が頻発しました。なるほど、GR IIIのAFに厳しい評価があるのはこういうことか?と思いつつ、でもこれかなり特殊な条件だから仕方ないよね?とも思います。

 ちなみにミズクラゲ本体中心部の四つ葉のクローバー状の部分よりも、周辺のヒダヒダの方がAFは捕らえやすいようです。実際ミズクラゲはそこにピントきてる方が見栄えしますし。

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 ミズクラゲよりハッキリした姿のこんなクラゲならAFもだいたい問題ありません。

 露出とかホワイトバランスはとても正確で、JPEGのままでも問題ないし、RAW現像すれば14bitで保持されたデータは情報量多くて発色もダイナミックレンジも十分であることを実感します。

キモカワイイ? チンアナゴとニシキアナゴ

 ミズクラゲに続いて、これまた良く見るとキモいはずのチンアナゴ。でもその小ささと、そこはかとないユーモラスさから、これまた大人気です。

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 相変わらずニョキニョキ生えてます。

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 黒い点々の肌を持つこいつがチンアナゴ。水槽のガラス際にいたやつをマクロモードで撮ってみました。ピントはやっぱり”目”ですよね?

 チンアナゴはそんなに動きは激しくないとは言え、ユラユラ揺れているのでやはりピント合わせが難しいです。タッチパネルで目に合わせたらすかさずシャッターを切らないとずれてしまいます。

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 黄色いカラフルな方はチンアナゴの仲間なれども、正式名称はニシキアナゴというそうです。

 彼ら彼女らはいったい毎日何を考えて生きているんでしょうか?

 

水族館の華! 東京大水槽

 次は水族館のメイン展示物と言っても過言ではない巨大水槽。沖縄の美ら海水族館ほどではないにしても、すみだ水族館にも巨大な水槽ががあり、鮫とかエイとか大きな生き物が優雅に泳いでいます。名付けて「東京大水槽」。水槽内には東京の海(小笠原など)に棲む海の生き物たちが展示されてるそうです。

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 2階から見下ろすとこんな感じ。おや?人が泳いでますね。何かの作業中だったのか、これもひとつのショーだったのか?

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 下に降りて見上げて見るとよりり迫力があります。光源はもしかして自然光だったりするのでしょうか?

 青一色だしかなりコントラストがきつい場面ですが、ISO1600でも変に白飛びもせず、シャドウが潰れてしまうこともなく、さすが大型センサーの威力を発揮していると思います。そしてやっぱりホワイトバランスが優れているのか、青が鮮やか! で妙な色かぶりも感じません。ちなみにここも相当暗いですが、距離があるしクッキリハッキリしたパターンがあるので、AFはまったく問題ありませんでした。

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 この大水槽には子どもたちががぶり寄りです。その距離で見ると自分が水のそこにいる気分になってくるかも知れないですね。でも、この水槽は少し離れてみた方が綺麗だよ!って、言ってもまだ通じないか(A^^;

すみだ水族館一番の人気者 ペンギンプール

 さて、すみだ水族館で一番広い面積を使って展示されているのがペンギン。完全屋内のプールはなかなか珍しいのではないかと思いますが、どうなのでしょう? 真夏でも涼しく過ごせてペンギンさん達にとっても良いかもしれないですね。

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 ゴツゴツの岩場を再現した巨大なプール。上から下から見放題です。さすがペンギンは文句ナシにかわいいですし、人気者とあって人だかりが一段とすごかったです。

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 下に降りて少しでもペンギンさんに近づこうとしたのですが… 28mmの画角を持つレンズでは苦しいです。望遠が欲しい!と思ってしまいました。

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 で、ペンギンプールはこうしてさらに水面下の目線から見ることもできるようになっています。一面透明のガラスになっていてとても見通しが良いです。

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 だからガラスにへばりついていると、人なつっこいヤツはこうしてサービス精神発揮して近寄ってきてくれたりするのですが、何しろやはりペンギンは運動量がクラゲやチンアナゴとは比べものになりません。いくらスナップシューターとは言え、動体撮影能力なかりはどうにもならないです。そういうカメラじゃないですから!

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 ってことで、水中を泳いでるところとか闇雲にシャッター切ってみたのですが、ほぼダメでした。あまりにひどい出来映えだったので、白黒にしてごまかしてます。

 また機会があれば「動体」に挑戦してみます。

インスタ映えポイント! 江戸リウムの金魚水槽

 すみだ水族館の隠れた必見ポイントが江戸リウム。ペンギンプールの裏にあるので、うっかりすると見ないまま出てきてしまう人もいるのではないかと思います。しかし、そこにある金魚の水槽は素晴らしく綺麗で写真映えもします。

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 この水槽はかなり暗いので、ISO1600以上は必須です。しかも金魚もわりと被写体ブレしやすいのでここではちゃんとISO AUTOのまま低感度で粘らずに、ISO3200に設定してみました。でも、もう一段高くしても良かったかも。

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 出目金!かわえぇ! 水槽底の柄も良いですね。

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 真っ黒な出目金! 目玉デカすぎだろ! どっち見てるの?

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 あたまが赤いのは丹頂? 真っ白な動体も綺麗です。

 ということで、久しぶりの水族館を堪能しました。カメラの性能や使い心地を知るにはかなり特殊な条件ですが、色々と状況が極端であるが故に分かってくることもあります。AFやWE、AWBの素直さとか、ISO AUTOの粘り方とか、もちろん高感度時のノイズやダイナミックレンジなどなども重要な点です。そういった諸々を試してみると、 GR IIIはやっぱり色々考えながら使うとそれに応えてくれるカメラであり、だからこそ使っていて楽しいんだろうな、ということがだんだん分かってきました。

東京スカイツリーはいつ見ても格好イイ

 さて、以下はほぼおまけなのですが、水族館を出たらやはりカメラを向けてしまうのは東京スカイツリーです。真下から見上げる634mのタワーは何度見ても圧巻で格好良いです。

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 こんな吹き抜けからもチラッと見えてるあいつ…

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 青い空、白い雲! 東京スカイツリー!

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 押上駅側にあるエスカレーターから。ちょうど夕方でド逆光ですが、GR IIIはまったくこんな条件でもビクともしないですね。シャドウまで完璧にコントラストを保ってます。これだと逆光表現がむしろ難しくなるんじゃないかと心配になります。

せっかくなので、高感度と手ぶれ補正に関するおまけ

 さて、あまりレビューらしいことはしないと、冒頭でエクスキューズしておいたのですが、せっかくなので最後に中途半端なテスト結果をまとめておきます。一応、すみだ水族館内のペンギンプールで、ISO感度を変えながらほぼ同じシーンを撮ってきました。

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 ISO感度の比較に使ったシーンはこんな感じ。色味が地味であまり高感度性能全般を見るのに適したシーンではないですが、ゴツゴツした岩の質感がどのくらい残るのか?という観点でやってみました。

 ちなみに↑これはISO200でシャッター速度は0.3秒。手すりに肘を乗っけていますが一応手持ち撮影です。なのでこの辺の低感度域は高感度性能というよりは、スローシャッター時の手ぶれ補正に効き具合を見ることができます。28mm相当という広角系のレンズと言うこともあってか、0.3秒くらいならちょっと気を使えばそこそこ止められます。

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 一方、いくら最近のデジタルカメラは高感度に強いとはいっても、なかなか使うのに勇気が要るISO12800あたりではこんな感じ。ちょっとシャドウ部のザラつきが目立つし、先鋭感もかなり曖昧ではありますが、ブログに春くらいのサイズでは全然普通に使えます。

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 ちなみにGR IIIで設定可能な最高感度のISO102400はこんな感じ。PENTAX機でおなじみのアクセラレーターも搭載されているようですが、PENTAX KPやK-1 MarkIIと比べるとその効きは大人しいように思います。

 アクセラレーターは単にRAWにNRをかけてるわけではない、という話なので処理の味付けを高感度重視とは違う方向に割り振っていたりするのかもしれません。いずれにしろ、最高感度がISO102400に抑えられてる当たりからも、GR IIIは高感度番長を狙ったものではないということなのでしょう。いえ、これでもう十分に高感度には強いと思いますが。

 ということで、中心付近を等倍切り出ししたものを以下に貼っておきます。プルダウンメニューから感度を選ぶことができます。


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 ISO100(0.6秒)は手ぶれ補正でも抑えきれずにブレてしまいましたが、先に別途貼ったとおりISO200以上はちゃんと止まってます。ISO1600で1/25secですが、この辺は高感度性能という意味でも手ぶれ補正という意味でも、まったく躊躇なく使える範囲です。

 ISO3200からは急にエッジが崩れ始めますが、それも等倍拡大すればというレベルで、一般的にはISO6400までは普通に使えるんじゃないかと思います。ISO12800以上は明確にザラつきが出てきてシーンを選ぶ感じになってきますが、ISO51200を超えたところでもう一段崖があるようで、ISO102400は明確にそれまでの傾向とかわって、とりあえず写ってるという状態になります。

 各感度毎オリジナルの撮影結果はFlickrのアルバムにまとめてありますので、別の箇所をじっくり見たい方などはどうぞ。

 以下、さらにおまけとして高感度およびスローシャッターで撮った別のカットを貼っておきます。全部手持ちです。

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 ISO1600で撮った錦糸町駅南口。良く見るとノイズはあるんですが、ビル壁面のタイルとか細かい文字も解像してます。

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 ISO3200, 1/15secで撮った地下鉄のトンネル。

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 ISO6400で撮影した品川港南口のビル街。

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 敢えて感度をISO100に低く抑えて0.6秒シャッター。手すりに肘を置いて固定してしまえば、あとは手ぶれ補正に頼って何枚か撮ればなんとかなります。

 ということで、手ぶれ補正もよく効くし、一方で高感度にも強いので、露出値選択による表現の幅が広いカメラだと思います。

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