酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

15年間ノーメンテナンスで使い続けたロレックスExplorer IIをオーバーホールした顛末

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 15年ほど前のことになるのですが、その頃はカメラではなくて腕時計がやたらに欲しくていろいろ買いあさっていた時期がありました。良い腕時計が欲しいというのは、ファッションや装飾品として魅力を感じるとか、純粋にメカとしての腕時計の機能美に惹かれるとか、いろいろ理由はあると思いますが、私の場合、半分くらいは見栄と虚栄心と自己顕示欲の発露、つまりは中二病であったとも思います。

 そうは言っても普通に会社勤めのアラサーの若造に手が出せる範囲は決まっているし、にわか腕時計ファンの範囲を踏み外すほど深い沼には填まらず、自然とその熱は冷めて今に至ります。

 そんな15年前、一時的な熱病にうなされていたときに手に入れた腕時計の一本が、誰にでもわかりやすい王道の一本、ロレックスです。まさに煩悩の象徴とも言うべき高級腕時計ブランド。高級モデルは車どころか家が買えるクラスのものがあると聞きますが、私が手に入れたのは、ボーナスをつぎ込めがなんとか手が出る範囲で、比較的スポーティ仕様のエクスプローラーⅡ Ref.16570 の白文字盤仕様でした。

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 その後15年間、時計熱が冷めてからも実用品としてそれなりの頻度で使ってきましたが、先日とうとう壊れて動かなくなってしまいました。機械式時計を15年もメンテナンスせずに放置したのだから当然です。反省しています。

時間が巻き戻る

 普段使いしている時計は何本かあって、気分でローテーションしているのですが、ある日何気なくこのExplorer IIをして出かけ、出先でふと時間を確認すると、明らかにおかしな時間を指していることに気づきました。「なんだって!?」と思ってよくよく見てみると...

 秒針がぎこちなく逆回転しているではないですか! 時間が巻き戻るのはSF小説の世界ではあるかも知れませんが、残念ながら私が暮らす世界はそんなことはなく、このExplorer IIが壊れているだけのようです。

 あぁぁ... 「機械式腕時計は5年ごとのオーバーホールが必須」とされているのを知っていながら「まだちゃんと動いてるからまた今度...」と、メンテナンスを先延ばしし続けて気がつけば15年。そりゃグリス切れはおろか、ゼンマイも破断し、ギアの歯も欠け、ネジの一つも外れてもおかしくないだろうと...

 ちなみに不調をうかがわせるような前兆はあまりなくて、ただ精度面では24時間で30秒程度進むという状態でした。Explorer IIは本来クロノメーター認定を受けているので、この状態でいろいろ劣化していたのは確かですが、機械式時計は時間が進む方向にずれていく、という定石通りだったので正常なズレ方だと勝手に納得していました。

ロレックスのサービスセンターに駆け込む

 さて、機械式時計は一生ものですから、すでに時計熱は冷めてるとは言え、これは修理に出す以外の選択肢はあり得ません。

 たしかこのExplorer IIは新宿のヨドバシカメラで買ったと記憶していますが、すでに15年前のことですし、機械式時計のメンテナンスの場合(特にロレックスの場合)は、販売店の窓口経由では実際の作業がどこに回されるか分からないのでちょっと不安です。


 幸いロレックスは都内に正規窓口がいくつもあるので、直接ロレックスのサービスカウンターに持ち込むことにしました。どこにあるかは上のページで調べられますが、都心部であれば八重洲、銀座、日本橋、六本木、新宿、池袋など、便利なところに複数あります。私は生活圏内に近い日本橋のタカシマヤ・ウォッチメゾン内にあるサービスセンターへ持ち込みました。

 おずおずと「これ、壊れて逆回転するようになってしまったんです...」と白衣を着たおじさんに差し出すと、慣れた手つきで懇切丁寧に受付対応してくれました。

 どうやら秒針逆回転はメンテナンスを怠ったロレックスでは良く発生する症状らしく、通常のオーバーホールで直る可能性が高いそうです。15年も何もせずに使い続けたことを責められることもなく、ホッとしました。

見積もり10日、実作業20日、費用は64,000円(税別)

 以下、備忘録として発生イベントを時間経過順に箇条書きしておきます。

  • 3月5日:日本橋タカシマヤ・ウォッチメゾン内にあるロレックスのサービスセンターへ持ち込み。シリアル番号を確認し仮見積もりを作成してもらう。この時点でオーバーホールのみ64,000円とのこと。なおシリアル番号はベルトを外したところに刻まれていて普段は見えない。
     この後ロレックスのメンテナンス工場(日本国内)に送り、分解して本見積もりを行うと説明を受ける。もし分解後、偽物あるいは非純正部品で修理された痕跡が見られた場合は、その後の作業は受けられないとの注意あり。
     なお新品で購入時に付いていた保証書の提示は特に不要だった。
  • 3月16日:郵便で本見積もりが届く。仮見積もり通りでオーバーホールのみで大丈夫ということで、特に追加部品交換の必要はないとのこと。タカシマヤのサービスカウンターに電話して見積もり内容を了解したので作業を進めるように依頼する。
     場合によっては見積もりが何十万円という単位になることがあり得るためか、見積もり受諾連絡は必須で、勝手に進めるということはできないらしい。
  • 4月11日:見積もり受諾から約1ヶ月かかると言われていたオーバーホール作業が、実際には22日で完了し引き取りに来るようにとの電話が来た。早速日本橋に出向いて受け取りおよび支払いをする。
     なおタカシマヤが窓口代理になっているためか、支払時はPontaカードが使えるので1%分はPontaポイントで還元さてちょっとお得。

 とまぁ、以上のような経緯です。だいたい1ヶ月半かかると見ておけば間違いありません。もちろん追加の部品交換等が必要になれば、もっと時間と費用はかさむはずです。

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 なお、ロレックスのオーバーホールというのは分解清掃と調整だけでなく、いくつかの部品交換があらかじめ含まれています。作業伝票によれば交換されたのはリューズまわりとバネ棒関係のようです。内部部品交換というのは何を指しているか分かりませんが、特別な追加部品ではなく、オーバーホールの基本セットに含まれているものです。

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 見積書にはこんな厚手の冊子も同封されていました。中にはオーバーホールで何をするかが書かれています。分解洗浄、消耗部品の交換、注油と外装磨き、再組み立ての後精度調整そして防水テストも行われると。うん、これはそれなりに費用がかかっても仕方ない、と納得させられます。

ROLEX Explorer II ref.16570 White

 ということで、先週になってようやくオーバーホールから戻ってきたので、15年前に清水の舞台から飛び降りるつもりで買ったときの気持ちを少し思いだして、もっと大切にしなくてはと思い直し、写真を撮ってみました。ついでにこのExplorer IIがどんな時計なのか簡単に振り返りましょう。

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 私のExplorer IIは3代目のref.16570のY番(2002~2003年製)白文字盤仕様です。年式によって細々とした仕様の違いがあるそうですが、私のは特にレア品でもなんでもありません。2012年にモデルチェンジした現行のref.216570よりも一回り小さい40mm径で、典型的日本人体型の私の腕でも大きすぎず小さすぎずちょうど良いサイズだと思います。

 なおExplorer IIにはブラックダイヤル(黒文字盤)とホワイトダイヤル(白文字盤)の2モデルがあります(レア品でアイボリーというのもあるとか)。この手の時計はやはりシックな方が好まれるのか、基本的には黒文字盤仕様の方が人気があるそうですが、私は白文字盤のスッキリした明るさというか軽やかさの方が気に入っています。

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 ベゼル外周の24時間制の数字はプリントではなくちゃんと彫り込まれています。オーバーホールではこの文字の墨入れもちゃんと直されるとか。この目盛りは24時間で回転する赤い針とセットで使うGMT機能用で、第2時間帯を表示できるので、時差を気にする必要がある海外旅行時にとても便利です。

 カレンダー窓はぽっこりと凸レンズになっています。完全自動ではないのでいわゆる「小の月」の月末を超えると、手動で修正が必要です。

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 バックルはダブルロック式。わりと薄いプレス板で作られていて、一見安っぽいのですが、実際は15年使ってもほとんどガタも出ず、機械的な精度と強度は素晴らしいです。でも、オーバーホールから帰ってきたらカチッとはまりが良くなったので、やはり以前のは少し緩みがあったらしく再調整してくれたようです。

 機械式時計だとわざとメカを見せるために裏蓋がガラスになってるものもありますが、Explorer IIというかロレックスのほとんどのモデルは普通にステンレスの蓋になっており、刻印の類いもなくとてもシンプルです。腕から外したあと無造作にその辺に平置きすると、バンドのバックル部と当たったりして傷だらけになるのですが、これもオーバーホールでかなり磨かれてきました。今後はもう少し気にしたいと思います。

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 リューズ部分は防水性にも関わるためか、オーバーホールすると交換されることになっているようです。わたしのも新しくなっているみたいですが、ぱっと見よく分かりません。

 ちなみにこの写真で少しボケて写っているように、バネ棒を通す横穴が空いているタイプですが、Y番の少し後のロットから横穴がないタイプに変わっているそうです。

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 オーバーホールが完了した証として、なんと2年間の保証が追加されるとのことで、こんな保証書が付いてきます。ずぼらな私にしてはしっかりと元箱や最初に付いていた保証書類も大切にとってあるので、これら今回もらった保証書や書類もそこにまとめて仕舞っておかなくては。

機械式時計は一生モノ

 ということで、掛け値無しに機械式時計は一生モノだと思うので、今後も大切にしていきたいと思っています。オーバーホールはちゃんと5年に一度は出さなくてはと反省しています。

 ちなみに...
 こういうの、特に中古品はネットで買う人はあまりいないとは思いますが、検索してみると色々出てきます。そしてビックリしたのはその値段です。なんじゃこりゃ!

 現行の4代目の新品はもちろんですが、旧モデルであるref.16570の中古品でもこんな値が付いてるなんて! 私が15年前に並行輸入の新品をヨドバシカメラで買った時の値段は、はっきり言って現在の中古品の値段の半分くらいだったと記憶しています。だからこそがんばれば買えたのですが、今の値段ではとても手も足も出なかったはず。

 当時特別円高だったわけでもないので、この15年でどんどん相場が上がっていったようです。それはロレックスやExplorer IIに限ったことではなく、機械式時計全般に15年前と比べると倍近く高くいるようです。当時指をくわえてみていた見ていた他のブランド、他のモデルを調べてみても、唖然とするような値段が付いていますから。

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 ということで、いざとなったらカメラよりもこの時計を売ればしばらくはしのげるわけだな... と、少し安心して自信が出てきました(A^^; 若気の至りで買っておいて良かった。

 今後も実用品として使い続け、大切にしていこうと思います。

Watchfan.com 永久保存版 ロレックス2018Winter (GEIBUN MOOKS)

Watchfan.com 永久保存版 ロレックス2018Winter (GEIBUN MOOKS)

余談

 ちなみに、熱に浮かされていた頃に、このExplorer IIの他にもう一本、同じクラスの機械式時計を手に入れていたのですが... そちらも同じようにオーバーホールに出さなくては... と思っています。だけど、どこに仕舞ったんだろう...?