標準ズームはやっぱり外せない:LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0を手に入れる

投稿者: | 2017年12月22日

 10月に買ってしまった新マウント機 LUMIX GX7 Mark II ですが、とりあえず一本目のレンズとして20mmF1.7という渋い単焦点レンズを選択し、それだけで約2ヶ月過ごしてきました。この組み合わせは当初の狙い通りテーブルフォトでは威力を発揮してくれます。

 さらにこのGX7 Mark IIは、メインカメラであるPENTAX K-1のサブとして使えるなら色々捗るし、場合によってはこれ一台だけ持って行くことができれば便利なこともあるだろうと目論んでもいたのですが、なぜかそういう使い方はする気になれず、これまで思ったほど使っていないというのが実情です。それはやはり40mm相当単焦点というレンズの難しさのせいではないかと思います。これ一本だけではどうにもならないことがあります。

 となればやはり標準ズームは持っておくべきではないか? いやそうに違いないと思い至り、仕方なく ノリノリで新しいレンズを買ってしまいました。幸いなことにボーナスを頂くこともできましたので、レンズを一本買うくらいは何とかひねり出せるでしょう。

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 さて、MFTには数多くのレンズがラインナップされており、標準ズームも色々選択肢があります。小型軽量で明るくて高倍率なズーム、という欲張りな要求に対して完璧なレンズはさすがにありませんが、一番バランス良く応えてくれそうだったのが、パナライカの12-60mm F2.8-4.0 です。

LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S.

 さて、標準ズームを選ぶ上で絶対に譲れない条件はたった一つだけでした。それは「ワイド端が12mm(フルサイズ換算24mm相当)であること」です。この条件に合うレンズはPanasonic製なら4本ありますし、OLYMPUS製なら3本が見つかります。

 そこからさらに、ズーム倍率やデュアルOIS、高速AFへの対応などなど考えて、一番バランス良さそうな LUMIX G VARIO 12-60mm F3.5-5.6 でほぼ気持ちは固まっていたのですが、いざ店頭で実物を見て色々試していたら、同一焦点域で約1段明るくLEICAブランドが付く、LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 をなぜか手にしていました。大きさ重さの差はそれほどでもない代わりに、お値段は倍違うのに(A^^;

 では早速手に入れた実物を見てみましょう

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 箱も格好いいです。パッケージの中まで黒で統一され、一応デザインされているようでした。

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 同梱品はこんな感じ。レンズ本体に前後キャップ、専用フードにポーチが付いてきます。

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 光学系は12群14枚で非球面レンズ4枚にEDレンズ2枚が使われ、コーティングも良いやつが施されています。全長は86mm、フィルター径は62mmありますが、重量は320gで、やはりフルサイズようのレンズとは二回りは小さいと思います。

 最短撮影距離はワイド端で20cm、テレ端で24cmで、最大撮影倍率は0.3倍(フルサイズ換算0.6倍相当)と、ちょっとしたマクロ並です。

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 鏡胴は防塵防滴だそうですが、GX7 Mark II自体はどうなんでしたっけ? まぁそういう使い方はあまりしないと思います。

 なお、LEICAブランドが付けられてるとあって、外装も上品で高級感あります。ズームリングもピントリングもしっとりした手触りで、遊びやガタは微塵も感じません。

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 鏡胴のマウント側脇には、AF/MFの切り替えスイッチと、レンズ内手ぶれ補正のON/OFFスイッチがあります。ただ、基本的に触る必要のないスイッチだと思います。

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 で、GX7 Mark IIに取り付けてみました。ボディが小型なのですがバランスはまぁまぁではないかと思います。ただ、こうなると鞄に入れておくにもスペース取るので、20mm単焦点と比べると機動性は著しく損なわれるかも。Nikon 1やPENTAX Qの代わり、っていうレベルではなくなります。

 付属の専用フードはかなりしっかりした造りで、基本的にバヨネットなのですがロック機構が凝っています。取り付け時はカチッとロックされ、外すときはこのボタンを押せばスルッと回転して外れてくれます。逆さ付け収納時はロックされません。

 いちいちロックされるのは面倒なようでいて結構便利です。いずれにしろフード一つとっても、いちいち滑らかで上質な感じ。ゴリゴリしたテンションだけで固定される普通のバヨネットフードより手触りが良いです。

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 なお、ワイド端とテレ端の鏡胴の長さの違いはこんな感じです。ズーム倍率なりの伸び方でしょうか。まだあまり持ち歩いたりしていないのですが、肩から提げていて勝手にビヨーンと伸びると言うことはなさそうです。それはズームリングが重いからと言うよりは、レンズ自体が軽いためです。

 なお、解放F値がワイド端とテレ端で1段変化するわけですが、ズーム中間域ではどう変化するか簡単に調べてみました。

焦点距離 解放F値
12mm F2.8
14mm F2.9
18mm F3.2
25mm F3.5
40mm F3.9
60mm F4

 F値の表示ステップは1/3段よりもかなり細かく、開放F値はほぼ焦点距離に従ってリニアに変化していくと言えそうです。

 この手のF値可変ズームでは、明るいのはほぼワイド端のみで、少しズームするとかなり早い段階でテレ端と同じF値に張り付いてしまうというタイプのレンズもあるだけに、このレンズはなかなか真面目に作られてるなと思います。むしろF値表示が細かすぎるのが、かえって損してる気すらします。

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 さて、これでMFTのレンズは2本になりました。焦点域は完全に被っているのですが、これ、なかなか良い組み合わせではないかと思えてきました。

 今度何かの機会に、このGX7 Mark IIとこの2本のレンズだけでどこかに撮りに出かけてみたいと思います。今の私にK-1を家に置いていくことが出来るのかどうか? 出先で物足りなくなる心配と言うよりはむしろ、「カメラはもうこれで良い」と達観してしまうことの方が心配です。

さっそく撮ってみる

 さて新しいレンズを手に入れたら、何はなくともシャッターを切ってみなくてはなりません。ということで、買ったすぐそばで箱から取り出して、新宿の町を散歩しながら少し撮ってきました。

 なお、個人的な好みによりアスペクト比は3:2に設定して撮っています。RAWで記録しLightroom Classicで現像したものであり、撮って出しJPEGではありません。

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 何も考えずにシャッター切ると、こういうの撮ってしまいます。あとからLightroomで見て、いきなりテレ端ばかり使ってしまったか?と思ったのですが、Exifを見ると両方とも32〜34mmと、ほぼ真ん中辺りでした。やっぱりフルサイズで70mmくらいの画角が性に合ってるのかもしれません。20mmではちょっと物足りないと感じていた領域です。

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 でも本当は20mmよりもワイド側のほうが欲しかったんだよね、ということでワイド端の12mmだとこうなります。なんか全然上手く使えていませんが、常用していくためにはこのくらいの広さが必要になること多いですよね。とりあえず全部フレームに入れたい、と思うことはありますから。

 それにしても隅までピシッとして、周辺減光も歪みも全く感じないのはさすがMFTと言うべきか、さすがパナライカと言うべきか。

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 でもってテレ端です。いや、2枚目のビルの映り込みは52mmでした。ズームなのに事実上、両端しか使わない2焦点レンズとして使ってしまうという罠がありがちですが、これだけズームレンジが広いとそういうこともなく、ちょっとしたフレーミングの調整をズームでする余裕が生まれます。

 それって良いことなのか、ただ撮影がずぼらなだけなのか分かりませんけど。とにかく便利なことに間違いはありません。

都庁の展望台へ上る

 さて、西新宿をブラブラしていたら、ちょうど日暮れを迎えそうな時間帯で、ビルの谷間から見える良く晴れた青空を見上げて思いついてしまいました。都庁の展望台から夕暮れの東京を一望してみよう!と。

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 都庁の展望台は誰でも無料で上がることが出来ます。南と北の2カ所あるのですが、展望台間を行き来する手段はなく、最初にどっちのエレベーターに乗るか選ばないといけません。

 南側の方が何となく眺めが良さそうな気がして、南展望台に上ってみました。日没と、あわよくば富士山も見えるかも?と思っていたのですが、残念ながら富士山は雲の中でした。いずれにしろ、展望台からの眺めとなればワイド側がやはり活躍します。

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 ですが、夕日が反射してキラキラ光る街並みは、こんな感じでグッと引き寄せてみたくなります。5倍というズーム倍率は今時そんなに高い方ではないですが、実際これで十分すぎる画角変化だと思います。

 ちなみにどちらもかなり強い逆光ですが、さすが最新のレンズらしく非常に安定した描写です。
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 日没直後は夕焼け空に照らされて、新宿のビル街は何とも言えない色合いになってきました。

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 街並みが暗くなるのをしばらく待って、この際夜景を撮っていくことにしましょう。

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 南東方面は代々木のドコモビルと、真ん中奥には東京タワー、右側には六本木ヒルズとその向こうにレインボーブリッジまで見えています。遙か遠くは東京湾を挟んで千葉沿岸の町灯りも見えているかも。

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 やや北寄りに方角を変えると、東京スカイツリーがよく見えます。

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 足下を見下ろすと高さが良く分かりますし、また一段と綺麗です。

 なお、都庁展望台は三脚は使えません。なので高感度と手ぶれ補正に頼ることになります。さらに展望台内は照明もそれなりにあるし、窓は二重になっているので映り込みを避けるのがなかなか難しいです。なので超広角は使いづらく24mm相当が限界ではないかと思います。

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 GX7 Mark IIとパナライカ12-60mmの組みあわせは、ボディ側とレンズ側の手ぶれ補正が協調して動作し、高い手ぶれ補正性能が得られると言うことですが、一部のオリンパス機のような秒単位の低速シャッター切り放題ということはありません。

 ここに貼った作例でもだいたい1/8〜1/4秒程度で、このあたりが普通に撮れる限界と言ったところです。テレ端でそこまでシャッタースピードが落とせれば、実用上十分な性能だとは思います。そのおかげでISO800程度で抑えられました。センサーの世代が古いGX7 Mark IIでもこのくらいの高感度はへっちゃらです。

 ただ、DUAL I.S.という触れ込みからして、もう少し強力な手ぶれ補正効果を期待していたのも事実です。GH5とかG9とか、ボディがもう少し新しいヤツならもっといけるのかも知れません。GXシリーズの新型も期待したいです。

MFTのレンズ沼はまだ終わらない?

 ということで、GX7 Mark IIをもっと日常的に使えるようにするために、最低限のレンズは揃えることが出来たと思います。やはり標準ズームは必須だなと、改めて実感しました。

 でも「これで十分」ということがないのがレンズ沼です。すでに「超広角があればなぁ」とか「やっぱりパナライカの15mmは欲しいかも」とか「ミラーレスで飛行機とかどこまで撮れるか試すためにも望遠ズームを使ってみたい」とかとか、そういう際限のないことを既に考えはじめています。だって、そういうの楽しいですから(A^^;