天空の城として有名な竹田城は雲海がなくても絶景が楽しめる山城だった

投稿者: | 2017年9月2日

 毎年焼肉の日宴会のためにこの時期に出かける関西旅行では、日中は観光して歩き回りお腹を空かせることにしています。特に昨年から百名城スタンプを集め始めたこともあって、最近は城跡巡りをテーマにしています。関西はやはり関東近辺よりも歴史が古く、大小様々非常に多くの城跡があってどれも魅力的なのですが、今回は兵庫県中部の竹田城を目的地に設定しました。

 昨年、気軽に行ってみようと思いついて電車の時間を調べたところ、神戸からでもそうそう簡単に日帰りすることはできないことがわかり、諦めたという苦い経験もあります。今回はレンタカーをきっちり手配し、確実な計画のもとに実行… と言いたいところですが、実は今回も計画を決めたのは出発の3日前のことでした。まぁ、何とかなるでしょう。

 竹田城と言えば雲海の上に浮かぶ姿がとても有名で、特に城好きな人じゃなくても知られており、一般に「天空の城」と言えば竹田城を指していると言っても過言ではありません。立派な天守が立つ城跡とは違って、まさに「兵どもが夢のあと」的な風情を醸し出す廃墟感にはとても惹かれるるものがあります。

KONE2530.jpg
 雲海が出現するのは秋から冬にかけて晴れた日の早朝とあって、季節的にも時間的にも今回は雲海に浮かぶ姿を拝めるわけではないことは分かっていましたが、それでも山の上に積まれた石垣の遺構は、まるでマチュピチュを思わせるような(行ったことないですけど)素晴らしい空間でした。

 まずは場所を確認しておきましょう。竹田城は兵庫県の中部やや北寄り、朝来市和田山町にあります。

 円山川に沿ってJR播但線が走っており、竹田駅周辺に広がる城下町を見下ろす標高354mの山の頂上に竹田城の石垣が広がっています。

 竹田城へ登るルートはいくつかって、駅からそのまま徒歩で登ることも出来るのですが、たかが標高350m程度とは言えかなり斜面が急なので、あまりカジュアルに考えない方がよさそう。駅からはバスが中腹駐車場(一般車は進入不可)まで運行されていますので、それに乗るのが標準的なルートになります。車の場合は「山城の郷」に停めてやはりそこからバスに乗ることが出来ます。

 バスに乗って中腹駐車場まで行けば、竹田城までは比較的緩やで整備された坂道を20分ほど登ればたどり着けます。またはタクシーも中腹駐車場までは入れるようになっているので、タクシーに乗るという手もあります。私たちは今回、山城の郷にレンタカーを停めて、そこからタクシーに乗ってしまいました。


 そのあたりのアクセス情報の詳細は↑和田山町観光協会のWEBサイトに詳しく載っています。なお、雲海に浮かぶ姿を見るには、もちろん竹田城に登るのではなくて、竹田城を眺めることが出来る周辺の山に登らなくてはならないわけで、またこれとは別の作戦が必要になります。

上り坂

KONE2469.jpg
 ということで、山城の郷駐車場からタクシーに乗って中腹駐車場までやってきました。この駐車場は昔は使われていたのでしょうが、上記の通り今はバスとタクシーしか入ってこられません。ここからは歩きとなります。

KONE2471.jpg
 歩き始めるといきなりこんな看板が現れました。このすぐそばにちょっとしたお土産屋さんみたいなのがあって、要するにそこで水でも買っていけ、ということのようです。こんな脅されるほどハードな山登りではありませんが、まぁ夏場は飲み物必須なのは事実かと思います。

KONE2477.jpg
 その道は檜の森に囲まれた気持ちの良い舗装路が続いています。距離もわずか800mほど。ですが夏の暑い時期は結構大変です。とは言え、神戸や大阪の街中とは違い、日差しは厳しいものの吹き抜ける風は涼しくて気持ちの良い日でした。

KONE2483.jpg
 ということで、順調に竹田城入り口までやってきました。ここから先の見学は有料で大人一人500円です。

KONE2482.jpg
 入場ゲート脇の看板に貼られていた見事な写真。これが有名な雲海に浮かぶ竹田城の姿です。11月がベストシーズンだそうですが、9月あたりからボチボチ条件が良ければ出現し始めるそうです。私たちの訪れた日(8月27日)も、朝方上空に霧が出てじわじわと下がってきたそうですが、竹田城にかかる前に消えてしまったそうです。

 いつかまたこの姿を見に訪れたいですね。ということで、今回は写真を見ただけで満足して先に進むことにしましょう。

竹田城へ登頂

KONE2485.jpg
 入り口から少し階段を上っていくと、こんな景色が飛び込んできました。この辺が大手門の遺構のようです。複雑に石垣が組まれ枡形を形成しています。こんな山城では攻め落とすのは大変だったことでしょう。

KONE2498.jpg
KONE2499.jpg
 石垣の積み方は結構ワイルドですが、穴太積みという手法で積まれているそうです。角はちゃんと算木積みされてるとのことですが、結構怪しいところもあって石垣マニアにも楽しめると思います。竹田城が築城されたのは15世紀ですが、これらの石垣が組まれたのは豊臣の時代になってからだとか。

KONE2506.jpg
 ちなみにお天気は快晴で気持ちよい青空が広がっていました。山城に登って天気が良いというのは最高です。

KONE2509.jpg
 上は空と石垣ばかりですが、眼下にもこんな素晴らしい景色が広がっています。これは三ノ丸あたりからの眺めで、ちょうど右下が竹田駅周辺の市街地です。

KONE2513.jpg
 北千畳から三の丸、二の丸あとへと順路は続いています。城内には桜の木がたくさんあって、春はまた一段と綺麗な風景が眺められることでしょう。山城の石垣と桜とか写真撮ってみたいです。

KONE2519.jpg
 そして縄張りのほぼ中央、恐らく山の頂部分に一段と大きくて高い石垣があります。これはどう見ても天守台ですね。それにしても急な崖の上に良くもこれだけ立派な石垣を築いたものです。この大きさだとどのくらいの天守が建っていたのでしょうか?

KONE2523.jpg
 天守台とその周辺は最も標高の高いところなので眺めは一段と良いです。これは北千畳方面の眺め。円山川とそれを横切る播但有料道路の橋と一帯に広がる水田がよく見えます。そして周囲は似たような高さの小山が連なっていることがよくわかります。あれらのどこかに登ると、雲海に浮かぶ竹田城の姿が見られるのでしょう。

KONE2525.jpg
 そしてこれは天守台からまた別の方面の眺め。ちょうどレンタカーで山城の郷に向かうときに見た播但有料道路の橋梁が見えます。豊かな自然の中にあって道路などの人工物というのは、殺風景になりがちですが、このアーチ橋は見た目にもとてこの山間部の風景に溶け込んでいて美しいと思います。

 このアーチ状の橋のすぐ近くには農業試験場があり、そこで飼われている牛や豚などは震動に非常に敏感でストレスになるため、通常形状の橋脚ではなくて、アーチ状にすることで地面に伝わる振動を抑えたのだとか。というのは、タクシーの運転手さんから聞いた蘊蓄です。

 ちなみに中腹駐車場と山城の郷間で行き帰りに乗ったタクシーの運転手さんは、行きも帰りも観光案内が非常に上手で、短い時間なのに色々な話を聞くことが出来ました。そして今度雲海を見に来る時には、是非竹田城下に泊まりたいと思わせてくれました。

KONE2526.jpg
 そして天守台から南二の丸と南千畳方面の眺め。ここが竹田城の中から最も竹田城らしい景色が眺められるポイントかと思います。雲海が出た日にはここから写真を撮るのも良いかも。

 しかし、それぞれの石垣の上には櫓などが建っていたはずで、その姿はどんなだったかと想像が膨らんできます。城が城として現役で使われていたときにも雲海は出ていたはずで、当時の城を守る武士達はどんな気持ちでこの風景を眺めていたのでしょうか?

枯れてしまった一本松

 ちなみに上に貼った写真の右上あたりにぽつんと写っている一本松ですが、現地で見て「これって枯れてるよね?大丈夫かな?」と話していたのですが、やはりそれが問題になっており、間もなく切り倒される予定だとか。
 観光客が増えて根を踏むことで木全体がやられてしまったと言うことですが… ならばもっと早くに南千畳は立ち入り禁止にしておくとかできなかったのでしょうか。一本松のこの景観を保つためなら、近くまで行かなくても遠くから眺めるだけで十分だと思ったのですが。

 さらに2年前の記事ですが、↓こんなニュースも見つかりました。竹田城は観光客が押し寄せるようになったことで、土が流れたり石垣が崩落したり、城跡の遺構自体にいろいろな問題が起きているそうです。

 私が見た限りでは立ち入り可能なエリアはロープで囲われており、通路もしっかり制限していましたし、地面はあちこち養生してある状態でしたので、上記2年前の記事以降に対策が取られた状態なのだろうと思います。

 それでも十分なのかどうか分かりませんし、結局赤松の木は枯れてしまって保存状態が損なわれるのであれば、やはり見学についてはもっと規制をするべきなのだろうと思います。こうした遺跡については観光推進と保存のバランスは常に問題になるところですが、良い解決策を見いだして欲しいです。

KONE2545.jpg
 さて閑話休題。順路をさらに進んで南千畳までやってきました。ここから振り返って天守台方面を眺めると、その石垣の規模がよく分かります。こんな急斜面を持つ山の上に良くもこれだけの石垣を築いたものだと、改めて驚かされます。

 と言うことで竹田城を北千畳から南千畳まで縦断して見学終了です。見学コースと順路は一方通行で決められており、流れはスムーズでした。というか、それほど観光客は多くありませんでした。霧とか紅葉とか桜の時期はもっとすごいのかも。確かに真夏に来るところではないのでしょう。

KONE2520.jpg
 でも素晴らしい青空で存分に山城の侘び寂びを楽しむことが出来ました。城ファンでもそうでなくても、是非訪れて欲しい史跡です。

お昼ご飯は竹田城を眺めながら地元のそばを頂く

 さて、下山し車に戻るとちょうどお昼の時間です。実は事前に調べておいた但馬牛のステーキ屋さんにでも行こうかと思っていたのですが、帰りのタクシーで聞いた蕎麦屋さんが気になって、急遽気持ちが変わってしまいました。

KONE2561.jpg
 それがここ、右衛門五郎という名前のお店です。竹田城のある山とは反対側、にある立雲峡の近くにあります。タクシーの運転手さん曰く、蕎麦も美味しいけど眺めが素晴らしい!立雲峡から見るのと同じように竹田城が眺められる、とのことでした。

 本当にここなのか?と思うような細い坂道を登った先にお店はありました。かなりの人気店のようで、たくさんの車が駐車場には停まっており、店内も混雑していましたが、待つことなくすぐに入ることが出来ました。

KONE2562.jpg
 そば屋さんですがこんなお通しが出てきました。焼き茄子ですかね。旬の食材は美味しいです。

KONE2564.jpg
 そしてメインのお蕎麦はこれにしました。すだち蕎麦です。あまり関東では見ない蕎麦ですが、関西の蕎麦というイメージがあります。夏にぴったりでスッキリさっぱり。ネギもたっぷりですが辛さは感じません。そして田舎蕎麦にとても良く合います。

KONE2565.jpg
 そしてタクシー運転手さんが言っていた竹田城の眺めはこんな感じでした。思ったほど高度がなくてちょっと期待したのと違いますが、稲穂が実り始めた田圃と絡めるとなかなか良い感じです。

帰り道にはもう一つの百名城、篠山城に寄り道する

 ということで、竹田城を満喫して美味しい蕎麦も食べて満足し、神戸に向けて帰路についたのですが、時間はまだ午後1時過ぎ。せっかくなのでちょっと寄り道をしようと言うことで、兵庫県中部にもう一つある百名城へ向かうことにしました。

KONE2568.jpg
 それが篠山城です。まさに竹田城から神戸に帰る通り道にあります。

KONE2566.jpg
 規模は大きくありませんが、ほとんど正方形を描いた立派な堀と本丸の石垣が残っています。

KONE2573.jpg
 恐らく立派な門が建っていただろうと思わせる枡形を通り抜けると…

KONE2579.jpg
 その先には復元された大書院が建っています。この篠山城は戦国時代末期に建てられた城で、戦争目的と言うよりは政次的な役割が強かったようで、天守ではなくこうした建物が当初から建てられていたようです。

KONE2575.jpg
KONE2576.jpg
 篠山城の石垣は良く見るとこんなマークが彫り込まれた石がたくさんありました。徳川家康の命によって天下普請で建てられた城とあって、工事に借り出された諸藩のマークなのだろうと思われます。大阪城みたいですね。


 なお、この時点で暑くてとても疲れていたので、篠山城はじっくり見学せずに、かなりあっさり流してしまいました。武家屋敷街など、城の周辺にも見所が散らばっているようなので、またいつか涼しい時期にじっくり見に来たいと思います。

KONE2583.jpg
 ということで、百名城スタンプは二つゲット。昨年と合わせて兵庫県は制覇しました。やった〜!

 これで百名城スタンプは15個目。1年半で進捗は15%というのは、まぁ想定通りなところ。難しいところがどんどん残っていくので、このペースを維持できるとは思えませんが、気長にやっていきたいと思います。

日本100名城に行こう 公式スタンプ帳つき

日本100名城に行こう 公式スタンプ帳つき

天空の城として有名な竹田城は雲海がなくても絶景が楽しめる山城だった」への2件のフィードバック

  1. Mihochan

    何時も楽しく拝見させて頂いたます。竹田城跡には近々行く予定なので、予備知識を得て又違う視点で見れそうです。前回の焼き肉のブログに続き、関西編はすぐ行ける距離感なので参考にしています。軽快でユーモアある文章も、読んでいて楽しく元気を貰えます。

  2. hisway306

    id:Mihochan さん、
    コメントありがとうございます。暇つぶしなど何かのお役に立てているならとても嬉しいです。
    竹田城是非楽しんできてください。私も近くに住んでいたら色んな季節、時間帯を狙って通いたくなるところでした。
    焼肉編もまだ続きがあるのでお楽しみに!

コメントは停止中です。