沖縄の旅 1日目からの続きです。宿泊したホテルがある読谷村を出発し、車であちこち巡りつつ那覇を目指しました。事前にピックアップした目的地は、細かいものも入れると実に7カ所もあり、本記事のタイトルも長ったらしくなってしまいました。なおそのうち今回の旅のメインテーマである世界遺産は3カ所もあって、ついでに百名城も一つ入ってます。まさに遺跡巡り主体のなかなか渋い行程となっています。
移動ばかりの慌ただしい旅は面白くないし疲れてしまいますが、沖縄の街角のちょっとした異国風情は、車に乗って車窓からを眺めているだけでも楽しめてしまいます。移動距離も昨日ほどではないので何とかなるでしょう。
朝目覚めるとお天気は残念ながらどん曇。予報では晴れることになっているのですが…。せっかくのオーシャンビューの部屋は結局最高の状態を見ることはできないままチェックアウト。しかし、その後お昼にかけて青空が広がりはじめたりして、天気はめまぐるしく変わり、南国らしい抜けるような青空の眩しい風景も少しだけ楽しむことが出来た一日となりました。
内容盛りだくさんなので、特に今回の記事は特に写真も多くて長いです。
2日目のルート
最初にこの日の移動ルートを確認しておきます。
前日宿泊した西海岸にあるホテル日航アリビラ(Aの地点)から残波岬(B)、座喜味城(D)、勝連城(E)に至り、海中道路(F)を渡って伊計島(H)まで行きます。そこから引き返して中城城(I)を経て那覇まで移動しました。
溶岩の断崖絶壁に立つ灯台;残波岬
最初に向かったのはホテルの北に少し行ったところにある残波岬です。真っ白な砂浜をイメージする沖縄の海岸線にあって、ここは溶岩で出来たゴツゴツの断崖絶壁が続いています。
岬の突端には立派な灯台が建っています。既に地面が真っ黒な岩だらけ、お天気もこんな感じでまるで冬の日本海と言っても信じてもらえそうな風景です。しかしこの溶岩はいったいどこから流れてきたのでしょう? 沖縄にはあまり火山というイメージがありませんが、九州へ繋がるこの列島は全て火山で出来た島なのでしょう。
200円払うと灯台に上ることが出来ます。階段で99段と言われると大したことなさそうですが、高さは30m以上あってけっこう疲れます。
灯台の上は強風が吹き抜け、柵などもわりと質素なのでけっこうワイルドで怖い展望台でした。高所恐怖症な人には絶対無理な感じ。しかしその分眺めは素晴らしいです。東側はこんな感じで断崖絶壁がずっと続いています。遊歩道があって端っこまで歩いて行けるようですね。
ここまで来てもやはり日本海のようですが、決定的に違うのが海の色。鮮やかなブルーやエメラルドグリーンの海から、波が岩場に打ち付け飛沫が上がる様は不思議な光景でした。晴れていたら綺麗だっただろうな〜、とちょっと残念。
その後、残波岬のすぐ近くにある沖縄産の「一翠窯」という陶器屋さんに少し立ち寄ってみました。写真は店番の猫さんです。けっこうツンデレでした。
世界遺産(その2):座喜味城跡
次に向かったのは世界遺産に登録されている座喜味城跡です。残波岬からほど近い読谷村中心部の小高い山の上にありました。
入り口から琉球松の林を抜けていくと… その向こうに石垣が見えてきます。周辺は比較的綺麗に整備されています。
曲線を描いた石垣は沖縄の城跡独特のもので、他の都道府県の城跡では滅多に見られません(ゼロではありません)。その中でもこの座喜味城の石垣は優雅で大きなカーブを描いています。この城は15世紀ごろに護佐丸というこの一帯を支配した有名な人物が築いたものだとか。
この城郭入り口のアーチが特徴的だそうです。頂点に楔状の石が打ち込まれているのがよく分かります。他のほとんどの城跡と同様に、ここも沖縄戦でかなり大きな被害を受けたそうですが、このアーチはオリジナルのまま残っているものなのでしょうか?
座喜味城は一部の城壁の上を歩くことが出来ます(この写真に写ってるおじさんが立ってる場所は本当は立ち入り禁止です)。今帰仁城と同様綺麗な海が見通せて眺めの良い場所。城はそういうところを選んで作られたんでしょうね。
世界遺産(その3):勝連城跡
続いて読谷村からうるま市に向かって沖縄本島を横断しました。と言っても真ん中に高い山があるわけでもないので、ひたすら平地を走って行きます。そしてやってきたのは3つめの世界遺産、勝連城跡です。城跡ばかり見ていると飽きてくるかと思えば、そんなことはありません。それぞれ特徴があって面白いです。
ここへ来て空が晴れてきました。3月とは言え沖縄の日差しは強く、ここで慌てて日焼け止めを塗ります。そして目の前に現れたのがこんな立派な城跡。自然の地形を生かして石積みがされたことがよく分かります。
石垣の高さもかなりあって、規模の大きな城だったことが分かります。そして、階段に沿って弧を描く城壁がこれまた見事です。
勝連城の歴史は沖縄の城跡の中でも非常に古いものだそうで、12世紀までさかのぼれます。そして14世紀ごろにはこの城を本拠地にしていた阿麻和利という人が、沖縄統一を目指し首里城を攻めたそうですが、結局その戦に負けた後に滅亡したという歴史があるそうです。もし阿麻和利が勝っていたら、琉球の中心は首里ではなく、この地にあったのかも。そして歴史も大きく変わっていたかもしれません、
まだ当時の日本本土の支配を受けない独立国家だった沖縄には独自の歴史があるということに改めて気付かされます。
二の曲輪にある礎石は舎利殿の跡。かなり大きな建物が建っていたことを伺わせます。沖縄の城跡は再建された首里城以外に建物が残っていたり、再建されたものはありません。これはこれで良いのだろうと思います。
そして見渡せるのは真っ青な海。日が出てきたおかげでその青さは一層際立ってきました。
この城跡は歴史もその姿も本当に素晴らしいです。百名城に入っていないのが不思議なくらい。
うるま海中道路から伊計島へドライブ
勝連城の最上部(一の曲輪)から周囲を眺めていると、海を突っ切る道路が見えます。
これです。手前の陸地は沖縄本島、道路が海の中を延びていて、対岸にあるのは平安座島。こんな風景を見てしまったらどうしても行ってみたくなりますよね。
ということで、うるま海中道路を走り抜けてみました。途中にあった駐車場でしばし休憩。波打ち際まで下りると、そこはこんな砂浜だったりします。この海中道路一帯は潮が引くと海底が露出するほど浅くなる場所で、ずっと浅瀬が沖まで続いているようでした。
せっかく気持ちの良いドライブルートでしたが、借りたレンタカーはこんな何の変哲もない4ドアセダン。安楽仕様なのかちょっと乗り慣れない運転感覚にかなり苦労しました。まぁ慣れてしまえばどうってことはありませんけど。普通のレンタカーですから仕方ありません。
さて、平安座島に渡ったところでお昼を食べようと言うことで、漁協にある「味華」という地場産の海産物を中心に扱った食堂に入ってみました。
この海鮮丼がまた素晴らしい美しさと美味しさです。少なくともいくらは地場産ではないと思いますけど、昨日の水牛車同様に店員さんがものすごく口数の少ない素朴な方で、どれが何の魚なのか聞けませんでしたが、とにかく量はたっぷりなのに飽きることがない、素晴らしい海鮮丼でした。
その後少し時間が余りそうなので、平安座島から宮城島を経て、さらに奥にある伊計島までドライブしてみることに。その伊計島にはとても綺麗なビーチがありました。ビーチですから本当は夏が営業本番ですが、冬の間もオープンしていてビーチを散策することが出来ます。まだ誰も泳いでいませんでした。というかまだ遊泳禁止です(^^;
こんな感じで色んなアトラクションが用意してあって、夏にはいろいろ楽しめそうなところ。グアムとかハワイにこういう管理されたビーチってありますよね。沖縄本島から陸路で来られるとは言え、辺境地にあってかなり良い雰囲気のビーチです。
世界遺産(その4):中城城跡
お腹も満たされて少し時間調整した後は、次の世界遺産を目指します。それが中城城跡。「城」の字がダブっているのは間違いではありません。これで「なかぐすくじょうあと」と呼ぶのが正式名称だそうです。
これまで訪れた城跡よりもいっそう高台にあって、そこに鎮座していたのはこんな石垣でした。石垣の上部は崩落しているのでしょうか? 遺跡感が半端ないです。
二の郭まで上って振り返るとこんな風景が広がっています。石垣は建物の台座かと思っていたら城壁だったようです。やはり崩れているようですが本来はどのくらいの高さがあったのでしょう?
途中にこんな穴がありました。下りていくとそこには井戸(ウフガー)がありました。城を作る上で水の確保は非常に重要ですからね。水があるせいか、そこだけ植物が密集してるのも面白い光景です。
中城城は縦に長い構造をしていて、次から次へと城門と石垣が現れます。これも格好良い…!
増改築や修復が繰り返されたのか中城城は石の積み方に様々な技法が混ざっているそうです。このあたりは四角い石が綺麗に積まれた「布積み」が使われています。わりと新しい時代に積まれたものでしょうか。
一番奥の一の郭では石垣の調査および修復が行われているようでした。石積みを解体し、ひとつひとつに番号を振っています。とても手間がかかる大変な作業ですが、遺跡を管理維持する上では重要なことです。
こちらは石の形状がバラバラです。かなり古い時代のものでしょうか。一の郭には正殿の建物が残っており、役所として使われていたそうですが、戦争で焼失してしまいました。
一の郭のさらに奥、南の郭には拝所や御嶽があります。他のお城にも似たような聖域の跡はたくさんありました。政治と軍事と宗教は当時の人々の社会運営には切り離せないものだったんですね。
中城城からももちろん海が見通せます。これまでとは違ってこちらは太平洋側の東の海です。相変わらず真っ青で綺麗です。
中城城は百名城にも登録されています。なのでスタンプも忘れずに押してきました。沖縄には百名城の城が3つありますが、これで2つ制覇です。全部で10個目のスタンプということで、百名城巡りも1割がようやく経過しました。
さて、中城城跡を訪れると、どうしても目に入る奇妙なものがすぐそばにあります。当初は旧日本軍が作った建物かと思ったのですが、その場で調べてみると、どうやら建設中に資金が尽きて完成しなかったホテルらしく、そのまま取り壊されることもなく廃墟になっているようです。その歴史はWikipediaによれば、非常に面白い経緯をたどったようです。
中城城跡的には完全に無視を決め込んでなかったことになっているようですが、これもまたある意味中城城の遺跡じゃないかと思ってしまいました。
三線ライブで夕飯、ステーキで〆:那覇国際通り
順調に予定をこなして明るいうちに那覇市内へ戻ってきました。2泊目以降の宿泊先は国際通りのすぐ近くにあるホテルです。チェックインしてしばらく休み、薄暗くなったら繁華街に繰り出してみましょう。
やってきたのは国際通りに面した居酒屋さん「地酒横丁」。なぜか入り口がドラッグストアと同居しています。というか、ドラッグストアを入っていって階段を上るとなぜかそこに居酒屋があるという不思議。こういうカオスは国際通りらしくて良いです。
オジー自慢のオリオンビールであっりカンパイ! (→ 何のことだか分からない方はこちらの動画をご覧ください)
メニューには沖縄料理が並んでいますが、まぁ全体的にはコスパの良い普通の居酒屋さんです。もちろんそこそこ美味しいです。写真は割愛しますが、ここでも豆腐ようとか沖縄らしい料理を頂きました。
それよりもこのお店に来た目当ては沖縄民謡のライブ。30分に1回の演奏があってなかなか本格的です。三線はアンプに繋がるエレキ仕様というのが面白かったです。演目は民謡と言うよりはBEGINや宮沢和史などの誰もが一度は耳にしたことのある沖縄風の現代曲がほとんど。それだけに馴染み深くて楽しめました。
ボーカルのお姉さんの歌声はすごく優しくてしっとりしていて良かったです。「オジー自慢のオリオンビール」とか「ハイサイおじさん」みたいなコミカルな曲も「島唄」や「涙そうそう」みたいな聴かせる曲でも、なんでも独自アレンジでこなしていきます。超有名演者ではないですがとても楽しめました。
食事の後はNHKのブラタモリでも出てきた公設市場付近の古い商店街を散策。もちろんお店はほとんど閉まっていましたが、どこか懐かしい古い街並みにホッとします。
そしてホテルに戻る前にステーキ屋さんへ入りました。国際通りに何店舗かある「ステーキハウス88」へ。沖縄では「〆にラーメン」ではなく「〆にステーキ」という習慣があるとかないとか。なんか騙された気もしないではないのですが、郷に入り手は郷に従えと言うことで真似してみることにしました。
でも既にお腹いっぱい。お酒も十分飲みました。100gの小さなステーキもありましたが、メニューを見てるとどうしても食べたくなったのが「ミスジステーキ」量は200gもあります。これに御飯とスープとサラダのフルコース。さすがに全て平らげるのは無理なのでお肉に集中。なんとか食べきることが出来ました。
2日目振り返り
移動ルートは冒頭に示しましたが、最後にこの日に回った観光ポイントを再度地図で振り返っておきます。この日は西海岸の読谷村残波岬から、島を横断して反対側のうるまへ行き、伊計島まで足を伸ばしてみました。
さて、これで世界遺産は4つ回りましたので、残りは5つ。うち4つは那覇市内に集中していますので、翌日はその那覇市内を重点的に見て回る予定です。(つづく)