それでも適度に散歩をしようと重い腰を上げ、向かったのは渋谷です。あまり馴染みのない街ですが、年末からちょっと気になっていた場所があります。それは渋谷からNHKに向かって代々木公園の入り口あたりの並木道で行われているイルミネーションのイベントで、その名も「青の洞窟」というもの。
SNSに上がってくる写真を見ていると、かなり見事な真っ青の世界。当たり前のイルミネーションよりも興味を掻き立てられます。我が家から電車に乗って約30分。渋谷駅からは歩いて15分ほど。ちょうど良い夕暮れの散歩コースですので、リハビリ兼ねてカメラ担いで出かけてきました。
イベント概要
まずは場所を確認しましょう。イルミネーションが行われているのは渋谷駅の北側、公園通りから代々木公園の入り口、NHKがあるあたりにかけてです。
この地図で青い線を引っ張った区間。前半は普通の道路沿いで、代々木公園内は遊歩道のケヤキ並木が全て青色LEDでイルミネーション化されています。
このようにかなり立派な公式WEBサイトまで用意されています。スポンサーが付いていてかなりお金かけているようですね。さすが渋谷!
なお、このイルミネーションは次の連休1月9日まで開催されています。見に行くなら、チャンスはあと数日しかありません。
撮ってきた!
さて、以下撮ってきた写真です。カメラはPENTAX K-1で、レンズはDFA15-30mmF2.8とZEISS T* Distagon 2/35mm ZKという広角のみ。望遠域はもちろん保険の標準ズームもばっさり割愛しました。新年早々潔さを発揮します。
公園通りの入り口、渋谷モディはこんな状態。ここから青の洞窟は始まっています。
坂を登っていくと途中にApple Store渋谷があります。そのシルバーの壁も青く照らされて光っていました。初売りセールの日だったので中は混んでいるようでした。しばらくはリンゴマークは見たくないので、通り過ぎます。
坂道の途中にあるミニ・スクランブル交差点。
沿道のお店も良い感じです。
さて、代々木公園に入っていよいよここからが本番です。ちなみに雪はもちろん偽物です。単色の世界だと質感がよく分からなくなってきます。
路面にも何か敷いてあって青い光が反射します。まさに一面真っ青。これはなかなか見応えあります。
しかしあまりにも青すぎて露出もホワイトバランスも何もかもがよく分かりません。RAWだからと言っても、LED電球が飽和してしまうとどうにもならないので、アンダー目でブラケット撮影しました。結果的にはカメラが言うとおりの露出値で問題なかったようです。さすがK-1。
どこに向けても青! ちなみに人出はそれほどでもありません。東京の繁華街のど真ん中と言うことで、ギュウギュウかも?と思っていましたが、そんなことは全くなくて、自由に動き回れるし、カメラを構えて立ち止まっても邪魔にはなりません。三脚立ててる人も何人かいましたが、まぁ許容範囲でしょう。いつぞやの東京駅前のイルミネーションのように、追い立てられることもなくゆっくり出来ます。
色々撮ってみましたが、やはり真ん中からシンメトリーにシンプルに撮るのが一番しっくり来ます。
通りの西側にはNHK、東側には代々木の体育館があります。長年東京に住んでいますが、代々木公園に足を踏み入れたのは初めてかも。ちなみにこのまま公園の奥へ(北へ)進んでいくと、初詣のメッカ、明治神宮に行き当たります。お参りしていこうかと思ったのですが、地図で見るとちょっと距離がありそうだったのでやめておきました。
真上を見上げて見ると… 不思議な写真が撮れました。普通の街灯も点いているのですが、圧倒的に青色LEDの光量が勝っています。
お約束の多重露光
イルミネーション撮影と言えば、お約束の多重露光もやってみました。
こういった写真は少しのコツと多重露光機能があるカメラがあれば簡単に撮れます。多重露光の際に合成方法を指定できるカメラならベストです。PENTAX K-1には「単純加算」ではなく「比較明合成」する機能がありますので、それを利用しました。
まずAFを解除して、わざとピントを外して絞りを開けて、大きな玉ボケを作ります。少しアンダー目での方が良いかも。2枚目はピントを合わせて普通にベースとなる絵を撮ります。
PENTAX K-1の場合、多重露光モードでは背面液晶のライブビュー表示に1枚目の絵がオーバレイされるので、どんなイメージで仕上がるかが分かりやすく、2枚目を撮る際に位置合わせなども細かく出来ます。とは言え、上の写真はどうしたらいいか分からなくなって適当に撮ってしまいました。
具体的な設定方法や作例などについては↑これらの記事が大変参考になります。
これはちょっと思い立って、玉ボケを撮るときにわざとカメラを振ってみました。これ自体はだから何?という仕上がりになってしまいましたが、何か上手くやると面白い写真になりそうです。
実はこれは現場で多重露光したのではなく、素材だけ撮ってきて、あとからPhotoshopでレイヤー合成してしまいました。こうすると色々あとからパソコンの画面上で出来て便利です。
同じフレーミングでピントの合った映像と、わざとボカした映像を重ねるのもなかなか面白いです。ただ、これは位置が上手く合わずにずれてしまいました。手持ちだとなかなか難しいです。
あと、やはり一面青色単色だとちょっと華やかさが足りない気がします。玉ボケはもう少しカラフルで淡く撮った方が良いのかもしれません。
青色LEDが上手く撮れない問題
さて、ここでタイトルにも書いたのですが、青色LEDというのは一般的なデジタルカメラがかなり苦手としている光源です。波長が短くてスペクトルが立っているので、撮像画素のうち、青色フィルターの画素にしかほとんど感光しません。それだけでなくてデモザイクや画像処理等々、色々な事情が複雑に絡み合って、時に目で見たのとは全く違った変な写真が撮れることがあります。
例えばこんなシーン。手前の木の幹に絡まるLEDにピントを合わせて、背景をボカしています。これだけでも相当厳しい絵です。純度と輝度の高い青い光だけで、物体の色や形、形状や質感を表現するのはかなりの難題。でもこのカットはRAWで撮影し、Lightroomで出来るだけ自然に仕上がるように現像しました。
実はPENTAX K-1のデフォルト設定でJPEG撮って出しだとこんなひどいことになってしまいます。こうなると既にデータとしての階調は失われているので、後から色やトーンカーブを弄ってもどうにもなりません。
ただ、この手のことはここまで極端ではなくても色の濃い花などを撮ったときに時々経験することで、これはカスタムイメージの「鮮やか」が、色を強調しすぎて起きる、とうことは何となく分かっていたりします。
それならばと言うことで、色やコントラストの強調をしない「フラット」に設定してみれば良いはず、と思ってやってみると、やっぱりこうなってしまいます。「フラット」はPENTAX K-1で追加された新しいカスタムイメージで、今まであった「ナチュラル」よりもさらに素に近い仕上げ設定のはず。それでもこうなってしまうのは、どうしたことでしょう。ということで、青の洞窟を撮るなら、RAW撮影は必須!と、結論づけておきたいと思います。
ちなみに、SIGMAのFoveonで撮るとどうなるんでしょうね? 波長の短い青の感光層が一番上にあるので、感度もそこそこあると思うのですが。本物FoveonのMerrill世代はもちろん、なんちゃってフルカラーキャプチャーのQuattro世代でも青は物理的にフル画素あるので、実はこういうの得意だったりして。Foveonの絵はあまり好きではないのですが、ちょっと興味があります。
もちろん、周囲のほとんどの人々はみんなスマホで撮っていましたが、そう言えばiPhoneで撮るとどうなるのか、試してくれば良かった… 。
おまけですが、色々試しているときにやけくそでモノクロにしてみたら、結構良い感じになりました。
今年は9日まで!
ということで、ほんの1時間くらいですが、渋谷の散歩を楽しんできました。考えてみたらこれが撮り初めです。
オシャレな街渋谷のオシャレなイルミネーションイベントにも、焼き芋屋さんはいます。
おまけ
ちなみにこの日、1月2日は月と金星が接近した日。西の空に明るい一番星と細い三日月の姿を見た人は多いのではないかと思います。
珍しい光景だったので、撮っておきました。他に紹介するチャンスがないのでここに貼っておきます(^^;
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はじめまして。
しとろんと申します。
最近、OlympusからPENTAXに乗り換えました。
何の気もなく、ペンタの記事を検索していたところ、こちらのブログを拝見し、ペンタに魅力を感じ、オリンパスを売却し、K-3Ⅱを購入した次第です。
私にとっては、ペンタックスバイブルのようなブログです
また参考にさせていただきます。
これからも更新楽しみにしております。
しとろん さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
乗り換えされましたか! PENTAXの魅力が伝わったなら、このブログを書いてる甲斐があります。
OlympusのMFTとは色々と毛色が違うカメラかと思いますが、独特の良さがあると思います。あれ?と思うこともアルカも知れませんが、是非我慢強く付き合っていってください。
今後もよろしくお願いいたします。