百段階段は普段は公開されておらず、時々イベントで使われているようですが、ほとんどの場合撮影禁止となっているそうです。ですが、このイベント中だけは撮影可能。むしろSNSでのシェアも推奨されてるイベントです。フラッシュと三脚さえ使わなければ写真撮影は自由。ということで、今年はPENTAX K-1を持って出かけてきました。
まずは昨年のおさらいから。
昨年も海の日に絡んだ連休中に行ったようです。気にしていたせいか、今年はテレビで取り上げられる機会が多いようで、混雑を心配していましたが、連休中日の日曜日の午後やや遅い時間で、混雑の度合いは想定の範囲内でした。
今年の展示物は昨年と似ているところもありますが、基本的には全て新作となっているようです。早速行ってみましょう! なおレンズは室内ということで超広角の出番です。なのでもちろんDFA15-30mmF2.8をメインに、サブとして今回はFA50mmF1.4も使ってみました。
開催概要など公式ページはこちらです→ 和のあかり×百段階段|催し物|ホテル雅叙園東京
入り口
入場券は当日発売で1,200円。割引券や事前に安く買う方法もあるようですが、よく分かりません。券売機でチケットを購入しエレベータへ向かいます。
その通路に金魚提灯が大量にぶら下がっていました。昨年は最上階のお座敷に飾ってあったやつで、山口県の柳井金魚ちょうちん祭りのものです。先日行ったすみだ水族館にもコラボ企画としてこの提灯が飾ってありましたっけ。
このトンネルを抜けてエレベーターで三階へ。百段階段の入り口はそこにあります。
さぁ、階段を登っていきましょう!(この写真は数字を見て分かる通り30段目付近のものです^^;)
十畝の間
まず最初のお座敷は十畝の間。荒木十畝による四季の花鳥画が描かれた部屋です。
漆の柱や梁で囲まれた落ち着いた感じの室内には墨絵師 西元祐貴氏による龍の水墨画が飾られています。
全体的にそうなのですが、ディスプレイが非常に凝ってます。そして展示作品は無防備と思えるくらい普通にそこに置いてあるのです。手を触れるな的な野暮な看板もありませんが、誰も勝手に手を触れたりしません。うん、大人向けの展示はこれで良いのだと思います。もちろん展示物の性質によると思いますが。
彼女も実は龍なのでしょうか? 和紙の質感の上に浮かび上がる墨の濃淡だけで描かれた絵は不思議と表情豊かですね。
漁樵の間
次が漁樵の間。純金箔で覆われ柱にはすごい彫り物が施された豪華絢爛な部屋です。ここはこのイベントの一つの見所となっています。
この部屋に展示されているのは昨年同様に青森のねぶたです。もちろんねぶた自体はもちろん新作の今年版。昨年より一体増えているようです。狭くはないとは言え部屋の中に押し込められたねぶたは不思議な感じですが、豪華な部屋の装飾と相まってなんだか見入ってしまいます。
とにかく大迫力! カラフルで綺麗! 中の光源は今時やはりLEDなのでしょうか?
襖から飛び出している青い龍は格好良いです。
ここだけで相当に時間をつぶせてしまいますし、人の流れの合間を縫って、かなりの枚数シャッターを切りました。他の人たちを観察してるとデジカメ組みもスマホ組みもみんなローアングラーです。確かに下から煽ると迫力出ますよね。
もちろんこういう場では超広角ズームのDFA15-30mmF2.8が威力を発揮します。何とか全体をフレームに収めましたが、超広角特有のパースペクティブが付いて、ちゃんと水平を取ったにもか変わらず何となく安定感がないなぁ… と思います。撮影ポジションが悪いんでしょうね。水平を取るだけじゃなくてもっと3次元で考えないといけないのでしょう。広角レンズは難しい!が、面白い!
ならば後処理で何とかしよう! ということで、この上のカットからLightroom CC 2015.6で追加になった歪み補正を駆使して無理矢理水平垂直線を出したものがトップに貼ったカットです。アスペクト比を16:9にしたのはその副作用です。これはこれで違和感ありますが、まぁいいか。
草丘の間
さて、次の座敷へ上がってみましょう。草丘の間は格天井の秋田杉、欄間には磯部草丘の四季草花絵などが描かれています。
この部屋に飾られていたのは妖怪絵師 満尾洋之氏による「平成 百鬼夜行立体絵巻」です。わりと本気で怖がってる人がいて可笑しかったです。
顔ハメもありました。ちょっと手前のスペースが狭すぎてスマホで撮るには難しそうでした。
この部屋、隅っこのちょっとしたところに猫がいたりして、結構芸が細かいです。
さて、そろそろ中間地点でしょうか。少し広い踊り場へたどり着きました。階段の天井にも様々な絵が描かれています。
静水の間
次が静水の間。格天井は池上秀畝の鳳凰舞鶴、欄間には小山大月の金箔押地秋草で飾られたお部屋です。
飾られていたのは日本刀。古いものではなくて「平成の十本刀」です。今でも刀鍛冶の技術が伝承されてるんですね。
刀ときたら武将。これは伊達政宗でしょうか。これまた無造作にむき出しで置いてあるわけですが、もちろんレプリカです。
顔が提灯になった歌舞伎衣裳のマネキンも立っていました。面白かったので顔だけどアップにしてしまい、肝心の衣装が写ってません。
星光の間
次は星光の間。静水の間の入り口からずっと長い廊下を入っていった奥にあります。密談にはぴったり。格天井と欄間には板倉星光の四季草花が描かれています。
ここには昨年も同様に造形作家 川村忠晴氏による「草木のあかり」が展示されていました。これ、写真映えするし実際目で見てもとても綺麗です。
部屋の構造をうまく利用して展示されています。
鳩サブレみたいなやつは茨城の鈴木茂兵衛商店による「提灯シャンデリア」と、奥の立方体は江戸川区の山川建具による「竜宮城の組子あかり」だそうです。どちらも優しい灯りで和室には合いそう。っていうか、こんな部屋はそうそうありませんが。
使われている葉っぱなどは本物っぽいです。虫食いがあったり不完全なところがむしろ良いですね。そしてこれ、光源は今の時代LEDだと思うのですが、ふんわりして色合いと良い、とても良い感じです。
清方の間
六つ目の部屋は清方の間。美人画の大家、鏑木清方によって造られた茶室風の部屋です。
天井とかすごい複雑な造形。欄間には確かに美人画が描かれています。風景画や動物などが多い部屋の装飾としては珍しいですね。
で、ここに置かれていたのは島根県浜田市に伝わる「石見神楽」の衣装と大道具。スサノオによるヤマタノオロチ退治のシーンのようです。
そろそろ頂上へたどり着きます。ちなみに階段は全部で99段で実は100段ではありません。その理由は奇数のほうが縁起が良いと考えられていたことと、いわゆる「未完の美」のためだそうです。
頂上の間
いよいよ最上段まで登り切ると、そこは文字通り頂上の間があります。
切り絵作家 早川鉄兵氏の切り絵作品による「やさしい里山のあかり」が飾られていました。風鈴に様々な生き物をかたどった切り絵がぶら下がり、エアコンから吹き出す風でゆらゆらと揺れ動いています。そして襖にはクマやらイノシシやら、切り絵が貼り付けられていました。さながら森の中に迷い込んだかのよう。
よく見るとひとつひとつの切り絵はすごいです。このフクロウとかむしろリアルに感じてしまいます。もちろん一枚の紙から切り出されているんですよね? 影がぼんやり壁に浮かんでいてとても幻想的な空間です。
そして今回おまけとして階段の突き当たりにある8番目の部屋が公開されていました。ここはお座敷ではなかったようですが、何のための部屋だったのでしょうか?
中には入れず覗き込むだけ。そこにはこんな風にお風呂が造られていました。これは銭湯ペンキ絵師の田中みずきさんによる「銭湯絵 目黒の湯」という作品だそうです。先頭と言えばやっぱりケロリンの桶ですね。
まとめ
今回もPENTAX K-1の高感度性能に頼り切って安心してISO感度を上げて撮影しました。
が、薄暗いとは言え基本的に動かないものが相手ですし、今回はISOオートのままでISO3200までしか使っていません。RAWではなくてJPEG記録のみ。なのでNR処理とか収差補正はすべてカメラ内で行ったものです。RAWで丁寧に現像するまでもなく、JPEG記録でもISO3200はまったく問題なく使えてしまいます。
そしてとにもかくにも、こういう引きがない場所ではDFA15-30mmの威力は絶大です。開放F値が明るいのも地味に効いてきます。そのためか今回はファインダーが見づらいとはまったく感じませんでした。このレンズはついワイド端ばかりを使いがちですが、テレ端30mmはほぼ標準の領域に入ってくるわけで、そういう意味でこのレンズって実は飛び道具というわけでもなく、うまく使えば常用可能なのかも?と思えてきました。
もちろん、非常に大きくて非常に重たいことが最大の欠点ですが、それを感じるのは持ち運びの時とレンズ交換時だけで、ファインダーを覗いているときにはまったく気になりません。
ということで、今年の「和のあかり×百段階段」はこんな感じでした。階段を下りながら各部屋をおさらいしつつ、かなりゆっくりと見物&撮影しても約1時間ほどです。恐らく夕方なら週末でもそこそこ空いてると思います。今年は8月28日まで行われているそうです。また、見物ごにSNSに写真を投稿し「10いいね!」がつくと2回目の入場が無料になるそうです。10くらいなら何とかなるかも!
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