予選の観戦&撮影ポイントをどこにしようかいろいろ考えた結果、やはりヘアピンは外せないだろうと言うことになりました。常設のIスタンドを除いて、ヘアピンの外周部土手は全てカメラマンエリアになっています。スペースも十分広く、進入側から立ち上がり側、低い位置から高い位置まで、アングルは自由に選べるのですが、今回は立ち上がり側の比較的上の方、クリップの正面あたりから撮ってみることにしました。
なお大人気で場所取り合戦が壮絶なIスタンド下は、今年から別チケットが必要になり、一日50人に限定されることになりました。その告知を見逃してしまい、いつどこでそのチケットが買えたのか、いまだに分かっていないのですが来年への宿題としておくことにします。
と言うことで、わずか1時間あまりの短い予選セッションで撮った写真と、おまけとして半ば鈴鹿のF1日本GP名物となりつつある『レジェンドF1デモラン」の様子をまとめておきたいと思います。
コースレコード更新! 公式予選
予選Q1では全20台がタイムアタックをするのでコース上は非常に賑やかです。特にQ1突破が危うい下位チームは、スーパーソフトタイヤで本気アタックを繰り返します。上はQ1落ち常連のザウバーのウェーレイン、下はQ1は突破できるけどQ2突破はなかなか難しいルノーのヒュルケンベルグ。
ヘアピンの進入は鈴鹿では最もハードブレーキングする場所ですから、ヒュルケンベルグのようにフロントタイヤをロックさせるシーンも頻繁に見られます。
進入側はほぼ真横から流し撮りできるのですが、急激な減速区間なのでぴったり追従させるのは非常に難しくて、撮るのに難儀しました。
グリップが増した今年のマシンでもクリップ通過時には時速100km/hくらいまで落ちてしまいます。一般的にクリップとはコーナーの中心部かと思いがちですが、このヘアピンではドライバーによって様々なラインを通過していきます。
比較的深く突っ込んで立ち上がりに向けてイン側に切り込んでくるドライバーが多い中で、フェルナンド・アロンソは人一倍深く突っ込んでくるし、逆にセバスチャン・ベッテルはわりと早めにコーナーに内側について縁石を舐めていくラインを取っているように感じました。
上に貼ったのはほぼ似たようなラインを通過していく二人。上はフォースインディアのセルジオ・ペレス、下は現F1界で随一の速さを持つルイス・ハミルトン。
そしてヘアピンを立ち上がるところではフルスロットルで加速していきます。現在のターボハイブリッドになる前、普通のNAエンジンだった時代は、このヘアピン周辺でアクセル全開にするマシンが発するエキゾーストの爆音はすさまじいものでした。まさに「音圧」によって押されてるかのような感覚です。しかし当初よりは少し勇ましくなったとは言え、現在のパワーユニットが発するエキゾースト音はかなり大人しいです。
上はマクラーレンのストフェル・バンドーン、下はレッドブルのダニエル・リカルド。レッドブルはもちろん軽々とQ3進出しますが、マクラーレンは昨年まで鈴鹿では散々な成績でしたが、今年はQ1は軽々突破して見せました。
立ち上がり側のコースはすぐ目の前で、C/Dスタンドよりもどこよりもコースに近いのがヘアピンの特徴。絶対的な車速がまだそれほど速くないとは言え、こちらはブレーキング側とは逆に猛烈な勢いで加速していくので、さらに流し撮りの難度は上がります。
上は金曜日午前のフリー走行1回目で、このヘアピン立ち上がりでコントロールを失いクラッシュしてしまったトロロッソのカルロス・サインツ、下はハースのケビン・マグヌッセン。二人とも何とかQ1は突破できました。
さて、予選のハイライトはやはりなんと言ってもQ3です。Q2を突破した10台がわずか12分の間にタイムアタックをして、上位10グリッドを競います。その主役はやはりメルセデス、フェラーリ、レッドブルの3チーム。事実上この6人でポールポジションを争うことになります。ここに貼ったのは、上からセバスチャン・ベッテル、バルテリ・ボッタス、そしてマックス・フェルスタッペンです。
そして予選を通じて、一人圧倒的な速さを見せたのがやはりルイス・ハミルトンです。Q2ではとうとう期待されていたコースレコードを更新して見せてくれました。そのタイムは1分27秒819と、いきなり2006年のシューマッハの記録を1秒書き換えてしまいました。そして最終的にQ3でさらにタイムを延ばし、新しい鈴鹿のコースレコードとして1分27秒319というタイムを記録しています。
ちなみに結局今年上位6人全員が2006年のシューマッハの記録を一応上回りました。全体的に昨年と比べると2秒以上速くなっています。
さて、マクラーレン・ホンダはどうなったかというと、アロンソが10位でQ3に進出し、一方のバンドーンは惜しくも11位となりました。予選前にパワーユニットを丸ごと交換し、最下位スタートが決まっているアロンソでしたが、Q2の最後の最後でバンドーンからQ3進出権を奪い取ったあたりは、チームプレイとアロンソ自身のスタート順位を考えると全く意味がないだけに、意地によるものだったと思います。
ちなみに、ヘアピン立ち上がり側の土手からは、デグナー2個目の出口と裏ストレートの立体交差部も見通せます。こうして見ると、日当たりの悪い立体交差の下はウェットパッチが残っていたようです。あのわずか数メートルがどのくらい影響するか分かりませんが、加速区間なので一瞬トラクションが抜けたりしたとすれば、ラップタイムはまだまだ伸びしろがあったのかも知れません。
鈴鹿名物 レジェンドF1走行
いつ頃から始まったのか忘れてしまいましたが、毎年日本GPで必ず行われているのが「レジェンドF1」というデモランです。今年も土曜日の予選前と、日曜日の決勝前に行われました。
今年はウィリアムズF1チームが発足してから40周年記念と言うことで、ウィリアムズのオールドマシンがデモランしました。まず1台目が1982年のFW08。コスワースのDFVエンジンを搭載し、2勝を挙げたマシンです。昨年のチャンピオン、ニコ・ロズベルグの父、ケケ・ロズベルグなどがドライブしていました。このデモ走行は誰がドライブしていたのかよく分かりません。
そしても2台目はさらに古くて1975年のFW04です。この時代からエンジンはコスワースDFVでした。今のF1マシンと比べると、かなり珍妙な姿をしていますが、一生懸命ダウンフォースを得ようとしていたことはよく分かります。この車体にはレラ・ロンバルディの名前が入っていますが、デモランでステアリングを握ったのが誰かは、やはりよく分かりませんでした。
そしてもう一台のウィリアムズ、ある意味今回のレジェンドF1で一番の目玉がこのFW11です。レッド5が付いたこのマシンはもちろんナイジェル・マンセルが1986年にドライブしていたもの。そして実際に今回走らせていたのは、デーモン・ヒルです。ヘルメットにGpProみたいなカメラを乗っけていますね。
このFW11にはホンダ製の1.6Lターボエンジンが乗っていて、年間9勝を挙げてウィリアムズにコンストラクターズ・チャンピオンをもたらしました。このあとF1におけるホンダエンジンの黄金期がやってきます。
レジェンドF1走行の大トリは、地元ホンダの葉巻型マシン。1967年製でデビュー戦のイタリアGPで優勝した伝説のF1マシンです。搭載されているのは3リットルV型12気筒のホンダ製エンジン。今やインディ500優勝者となった佐藤琢磨がドライブして、素晴らしいホンダ・ミュージックを奏でていました。これと比べると、現在のターボ・ハイブリッドのエキゾーストがいかに味気ないか再確認してしまいます。
なお驚くべきは、この時代のF1マシンにはシートベルトが付いていないそうです。本気で走ると鈴鹿をどのくらいのタイムで周回できるのか分かりませんが、それにしても相当なGがかかるはずで、いくら50年前のマシンとは言え、シートベルトすらないというのは想像付きません。
デモ走行したマシンは、メインスタンド裏のGPスクエアに展示されていました。ハリボテではなくて実車です。レジェンドF1走行のイベント時は、この展示スペースからコースに運ばれていたようです。
そう言えば、まったく同時では無いにしろこの写真に写ってる4人は1980年代後半にホンダエンジンを搭載したマシンをドライブし、優勝だけでなくチャンピオンを争っていたんですよね。そういう時代が再び訪れたなら、間違いなく鈴鹿の日本GPは再び盛り上がることと思います。この3年間の状況はあまりにも寂しいものがありますので、なんとかホンダにはがんばってほしいものです。
最後におまけなのですが、日本GP名物イベントと言えば他にも色々あって、その中の一つがウェディングパレードです。その年に鈴鹿サーキットで結婚式を挙げたカップルの中から抽選で、土曜日と日曜日、レース進行の合間にこうしてコースをパレードします。F1を見に来た数万の赤の他人に囲まれてコースを一周するのはどんな気持ちなのでしょう?
で、それは良いのですが、通常このイベントはドライバーが新郎で、にこやかに手を振るのは新婦と決まっています。が、今年はなんと逆パターンのカップルが現れました。どうやら奥さんの方がドライブ好きでこういうことになったようです。日本GPのウェディングパレード史上でも初めてのことだそうです。
ということで、無事に予選も終わりあとは翌日日曜日の決勝を残すだけとなりました。決勝は天気の心配はなく、気温もこの週末で一番高くなるそうです。午後の日に照らされてキラキラと輝くF1マシンが撮れそうです。そしてもちろん、フロントロウに並んだハミルトンとベッテルの戦いも楽しみです。
決勝編に続きます!
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