CASIOのデジタルカメラ新製品EXILIM ZOOM EX-Z400のセミナーに参加してきました。本題の前にちょっと説明しておきますと、最近「みんぽす」というWEBサービスの「モノフェローズ」というものにお誘いを頂いて登録してみました。みんぽすとはデジカメやPC等の家電製品、ゲームなどのレビュー記事を集めたソーシャルブックマークサービスです。その中のモノフェローズとは、みんぽすにブックマークされることを前提にレビュー記事等を書く人々(ブロガー)のことなのですが、これに登録しているとレビュー対象の製品をみんぽすを運営しているWillVii株式会社経由で無料で借りることができます。ただし、借りた製品は必ず返却が必要ですし、それ以外に金銭の授受は発生しません。また、レビュー内容についても自由と言うことになっています。
私のこのブログは、自分の興味のあることだけを気ままに書いているだけなので、何か義務が発生したりして面倒くさくなるのはイヤだな、とは思っているのですが、デジタルカメラ等を無料で借りられるかもしれない(=興味のある製品は買う前に試用ができるかもしれない)、という点に強く惹かれて、ものは試しと登録してみました。今回のCASIO EXILIM ZOOM EX-Z400は、製品を借りるだけでなく、事前のセミナーがセットになっていたのですが、とりあえず、みんぽす向けのレビュー記事を書く練習みたいな感じで参加してみることに。正直なところ、このカメラにものすごく興味があったわけではありません(^^;
ということで、このEXILIM ZOOM EX-Z400のセミナーレポートおよびレビューはWillVii株式会社が運営する国内最大級家電・ゲームレビューサイト「みんぽす」から無償で招待いただき、商品も無償でお借りして掲載しています。(詳細は末尾で)
—プレゼンテーション
セミナーの会場はカシオ計算機の本社ビル内の会議室。参加者は9人というこじんまりしたセミナーでした。まずは商品企画の方から、EX-Z400の商品コンセプトなどの説明がありましたが、このカメラの特徴はなんと言ってもダイナミックフォト機能ということで、ほとんどの時間はそのダイナミックフォトの説明に割かれました。この機能、簡単に言ってしまうと、メインの被写体を切り抜き、別の画像と合成する作業をカメラが自動的にやってくれるものです。その際に1枚だけの静止画を撮影、合成するのではなく、連写して20枚の合成画像を作り上げます。1枚ずつ静止画としても見られるのですが、20枚の合成画像をパラパラ漫画の要領で再生してみると、まるで動画のようにもなるというのが売りです。
プレゼンテーションでは、この機能の概要はもちろん、目的あるいはコンセプト、そして技術的な面で開発に困難を極めたことなどが説明されました。ダイナミックフォト機能の一番の肝は、被写体を切り抜く作業の部分です。画像の切り抜きはPCを使えば手作業でもできますが、かなり手間暇がかかります。それを小さなカメラの中で自動的に、短時間にやってしまおうと言うのだから、これが技術的に難しくないわけがありません。はっきりそう言われたわけではありませんが、お話の雰囲気からすると、今回のEX-Z400で商品化できるレベルには達したけれども、まだまだ現時点でも理想には届いておらず、開発の余地があるとCASIOさんでは考えられているようです。ま、初物の機能ですから改善、改良の余地があるのは当たり前かもしれません。内蔵のプロセッサの性能などベーシックな足回りの進歩とともに、もっと質的にも機能的にも向上していくことでしょう。
それにしても、一応私もエンジニアの端くれとして、今回のお話に出てきたような開発現場の空気は何となく分かるような気がします。企画は無茶を言う、設計はすぐに無理と言う… などなど。業界は違っても同じような構図はどこにでもあるようです(^^;
—ダイナミックフォト体験
さて、次はお借りする試用機を使っていよいよ実際にダイナミックフォトの撮影を試してみました。なんとモデルさんが二人もこのセミナーのために来られていました。まずは限られた時間での体験と言うことで、仕上がりイメージがいくつか用意されていて、それに沿って撮影していくというものです。
手順としては、まずは切り抜く対象物の撮影。5fpsで4秒間(=合計20枚)と言うモードでまずはモデルさんを撮影。(ちなみに他には10fpsで2秒、20fpsで1秒、そして1枚のみというモードがあります) 20枚の連写が終了するとモデルさんにどいてもらって背景のみの撮影。これは1枚だけ。この背景の撮影がけっこう肝になります。ここまでの合計21カットの撮影が完了すると切り抜き作業が自動的に始まります。正確に計ってはいませんが、感覚的には1枚当たり1秒程度かかっているような気がします。この時点でカメラの中には切り抜き後の20枚の画像が保存されています。ただし切り抜き前の画像は保存されません(場合によっては保存されると嬉しいかも)。
あとは、別の画像との合成作業です。この合成対象となる画像は普通の静止画を用意します。普通にカメラで撮った別の写真でもいいし、イラストなら印刷したものをやはりカメラで撮っておけばOK。今回はあらかじめサンプル画像が用意されていました。合成が完了するとカメラ内には合成後の静止画がさらに20枚追加で保存されます。これをカメラで再生すると自動的にパラパラ漫画式の合成動画として再生されます。
ということで、ダイナミックフォトの実際の撮影手順は結構煩雑ですし、うまく切り抜きができるようにするために、撮影時に背景や被写体との色合い関係などなど、色々気を遣わないといけない部分も多々あります。合成先画像への切り抜き画像への貼り付け位置は自由だけど、サイズは変えられない(1/4固定)とか、制限も多くあります。しかし事前に基本的な原理を丁寧に説明受けていたので、その一つ一つの作業の必要性が理解でき、そうするとカメラの気持ちになって、まずはアレやって、コレやって、ここはこうして… と自然と作業の流れが頭に入っていました。もちろん、コレをやるにはどのボタン押すんだったっけ?という操作系では多少まごつきますが。
さて、仕上がったらどうやって楽しむのか?カメラの液晶で見ていればパラパラ漫画式動画になっているのですが、SDカードは容量に限りがありますし、いつかはPCに吸い上げないといけません。しかしダイナミックフォトの実態は単なる20枚のJPEGファイル。これをこのカメラ以外で動画として楽しむにはビデオに変換する必要がありますが、残念ながらカメラ本体での動画エンコードはサポートされていないのです。そこでダイナミックスタジオという動画変換のWEBサービスが提供されています。PCに吸い出した20枚のダイナミックフォトの合成後ファイルをここにアップロードすると、自動的に動画に変換してくれるというもの。変換後の動画形式は携帯電話向けからPC向けまで各種用意されています。このサービスを利用すれば、作ったダイナミックフォトを誰にでも配布可能となります。今回の体験撮影で作成したダイナミックフォトをビデオ化した完成品は以下のような感じになります。
—まとめ&感想
ということで、今回はダイナミックフォトづくしのセミナーでしたが、正直なところこの機能が何に役立つのか今ひとつピンと来ません。おまけ機能としては面白いけど、ダイナミックフォト機能があることがデジタルカメラを選ぶ上での、積極的な理由になるかと言われれば、個人的にはNoです。実はセミナーに行く前からそう思っていたのですが、実際にセミナーを受けてみてもその感想はあまり大きくは変わりませんでした。ただ、今回のセミナーでも使用用途や使用例が色々と紹介されていた中で、想像していなかったような、なるほどと思った利用法がいくつかありました。
まず一つは動画ではなく静止画用途。ブツ撮りなどで自動的に背景を処理してくれる機能と思えば、これは役に立つかも。私もこのブログ用に使うブツ撮り写真はPhotoshop Elementsでセコセコと切り抜き等の背景処理をしています。それがカメラ単体で一発でできるとすればすごい便利かも。
次に素材作り。具体例としてはプレゼンテーション用のちょっとしたアニメーション画像や、WEB用のモーションGIFなどが挙げられていました。確かにそう言う用途はありかも。面倒だと思ってやらなかったことが、ちょっとしたアイデアさえあれば、このカメラで簡単に作れてしまうかもしれません。
そして最後が子供向け。というか、夢と魔法の国に行かなくても夢と魔法の国のキャラクター達との合成写真、動画が作れるわけです。もちろんその他色々なマンガやドラマなどのヒーロー、ヒロイン達とか。なるほど、確かに子供はそう言うのを単純に純粋にものすごい喜ぶのかも。いや、やりようによっては大人だって喜ぶかも。
でもしかし… やはり私には特殊なギミックの一つにしか思えません。デジタルカメラだからこそできる何か新しいことを追求する試みとしては面白いですが、これが欲しいか?と問われると「なくてもかまわない」という感想を持ってしまいます。頭が固いだけなのかもしれませんが。
とりあえず、1ヶ月間このカメラをお借りすることができましたので、色々試しながらまたレビューを書ければと思います。写真を撮ることに関して保守的な私としては、ダイナミックフォトよりも、基本的なカメラとしての素性の部分に興味があります。何しろカシオのカメラを触るのは初めて。今まで食わず嫌いなところがあったかもしれません。28mm相当からの4倍ズーム、解放f値も比較的明るめ、24fpsでのHD動画撮影も可能、130gの小型軽量ボディに3インチの大型LCD、そしてなんと言ってもCIPA基準で550枚撮れるという長電池寿命。基本スペックでは非常に魅力的な面があります。果たしてあとは使い勝手は?というところが気になります。
ということで、使用感レビューはまた後日。
みすぽんから飛んできました。
「ダイナミックフォト」CMでよく耳にしましたが、Hi さんと同じイメージを持っていました。
なんで、デジカメにこの機能を付けたんでしょうかね?
デジカメで作っても結局はPCに保存するんだからPCで作ればいいのでは。。。
これ、携帯で出来たらいいのに。作ってそのままメールで送信って。
実はもうあるのかな??
○TEL-NETさん、
初めまして。コメントありがとうございます。
そうなんですよね。その後もカシオさんはがんばって、素材をWEBで提供したり、コンテストしたりしているようです。最新機種では動くキャラクターのサイズも変えられるようになったとか。色々改良は進めているみたいですね。
でも… デジカメの新しい使い方、というのとは違う気がするんですよね。本質的じゃないというかなんというか。やるならムービー機能と組み合わせるほうが分かりやすいです。いわゆるクロマキー合成みたいな奴が手軽にできるとか。
おっしゃるように携帯電話の方が親和性は高そうです。それこそユーザー層が携帯は広いですし。