確かに最近「鉄分」が足りてないなぁ、と思っていたところで、久しぶりに飛行機を撮りに空港にでも行ってみなくては… と思っていたところでしたが、この際より「鉄分」の多い方面に足を踏み出してみましょう。
さて、問題はどこへ撮りに行くか?ですが、ネットで色々調べてみるとたくさんの新幹線撮影スポット情報が出てきます。その中から今回は東京〜小田原間の東海道新幹線沿線で、超有名な3カ所の撮影スポットを巡ってみることにしました。それぞれ全く違った新幹線の姿を撮ることができるポイントであり、そして最適な撮影時間帯というのも異なるようなので、1日で3カ所をハシゴすることも可能です。
さらに今回は、3カ所それぞれ違うカメラを使ってみるとともに、 私なりの視点で見た撮影地プチ情報とともにレポートしたいと思います。
新横浜〜小田原間:第二生沢トンネル: by PENTAX K-3 II
どんな感じに撮れるかというと…
こんな感じです。大きくカーブを描きながら短いトンネルを走り抜けてくる新幹線が目の前を通り過ぎていきます。小田原側から新横浜方面に向いてるので、向こうからやってくるのは下り方面です。このカットでAPS-Cで410mmですからフルサイズ換算で約615mm相当です。
トンネル感をもっと出そうと思うと縦位置の方がしっくりくるかも知れません。なお、運転席まで日が差し込んで運転手さんの顔がうっすら分かるのですが… どうも女性の運転士さんぽいです。ググるといくつかインタビュー記事が出てくるのですが、実際何人かいらっしゃるようですね。
反対方向の上り方面だとこんな感じ。やや欠けてますが「第二生沢」というトンネル名の看板があるように、ここに写っている短いトンネルが第二生沢トンネル。普段新幹線の乗っていると、新横浜小田原間にこんなトンネル区間があるなんて、全く気がつかないですね。
トンネルを抜けてくるところで、激しく明暗が変わるシーンも良いですよね。これだけカーブしているので全速力ではないですが、そこそこスピード出てるので、K-3 IIの秒間8コマ連写しても、こんな程度になってしまいます。ちょうど鼻先から運転席辺りまでが外に出た瞬間辺りを狙ったのですが、ついに1枚も撮れませんでした。秒間20コマとか撮れるカメラならいけるのでしょうか?
あ、700系も撮ってきました。N700系とは明らかに違うライトですぐに分かります。700系も今やかなり運転本数少なくなりました。そろそろ引退時期も見えてきたところでしょうか。撮るなら今のうちです。
なんか、700系は可愛いですね。カモノハシ風の先頭部デザインは、それまでの精悍なイメージの新幹線と対照的で、登場時は散々な言われようでしたけど、私は大好きです。
なお、最近の新幹線は鼻先が長いので、このくらいの距離感になってくると、被写界深度の問題が出てきます。ピントはドライバーに持ってくる… じゃないですが、何となく運転席まわりにピントを合わせてしまったのですが、もしかしたら新幹線の場合はヘッドライト辺りが正解なのでしょうか? いや、ちゃんと絞りで被写界深度をコントロールすべきなのか? シャッター速度とISO感度を優先してしまい、ちょっとその余裕はありませんでした。
アクセス
場所は神奈川県の大磯町です。JR東海道線の二宮駅から2kmちょっとの住宅地の奥にあります。下の地図でピンが立っているのは最寄りのバス停で、そこから盲腸のように新幹線線路沿いに向かう細い道(恐らく新幹線の管理用道路。ただし立ち入り禁止ではない)の周辺に撮影ポイントはあります。
近くには小田原厚木道路も走っており、車があるならかなり便利な場所ですが、問題は周辺に駐車場が無いこと。ただし上記の通りバスがすぐそばを走ってますので、JR大磯駅か二宮駅からバスを使うのが一番良いと思われます。
しかし今回私は車に折りたたみ自転車を乗せていき、JR二宮駅周辺のコインパーキングに車を止めて、自転車で現地に向かう作戦をとりました。…というのは東京人の浅はかな考えで、JR二宮駅から現地に向かっては長くて急な上り坂になっていました。さすがに11%の坂道は自転車で登り切る体力はありません。なので往路は半分くらい押して行くことになりましたが、その代わり帰り道は快適でした。
さて、撮影ポイントはこんな場所です。左の写真に写ってるフェンスは新幹線の線路脇のフェンス。すぐ向こう側に線路があります。そのフェンスが小原トンネル入り口脇に向かって登って行ったあたりが撮影ポイントです。かなりワイルドな場所で、冬だから良いようなものの夏は藪と虫でかなり厳しい環境なのではないかと思います。
右の写真は撮影ポイントから第二生沢トンネル方面の眺めです。だいたいこんな感じで電柱の隙間を縫って望遠で撮影することになります。なお、反対側の第二生沢トンネル脇によじ登って、小原トンネル側を撮ることも出来ると言うことですが、今回はその獣道がよく分からなかったので諦めました。
使ったカメラ
ここは連写性能が必要と言うことで、今回はPENTAX K-3 IIを持って行きました。レンズは150-450mmを使いました。フルサイズ換算で400-600mm相当は欲しいところです。
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K-3 IIのAF性能も捨てたもんではありません。こうして一定速度で向かってくる被写体を、しっかりとAFポイントを外さないように追いかけて連写すれば、そこそこ撮れます。
明るい日差しがあれば高感度も必要ないのですが、シャッター速度を稼ぐために今回はISO400くらいまで使いました。コントラストがかなり激しいシーンですが、シャドウ部も潰れず、ノイズまみれになることもなく粘ってくれます。K-3 IIを少し見直しました。
品川−新横浜間:密蔵院跨線橋: by PENTAX K-1
どんな感じに撮れるかというと…
こうです! トップに貼った一枚もここで撮ったものですが、横位置より縦位置でいっぱいに撮るのが定番。
いやいや、都内にこんな場所があるんですね。微妙にうねった線路を遠くに望むこの場所からは、こうして16両の長い編成が一画面に収まる絶好の撮影スポットです。
西南西を向いているので、基本的には午前中から昼にかけてが順光なのですが、逆に夕日を逆光で浴びる日没間際は、オレンジ色に輝くとても印象的な新幹線の姿が撮れるスポットです。なので、わざわざ昼は外して夕方にやってきました。
このすぐ先には多摩川があります。東京側から西を向いてるわけですから、向かってくる列車は上り方面、去って行く列車は下りです。最初はちょっと勘違いしていました。まぁ、特定の車両を目当てにしてないかぎり、普通に写真撮るのにはあまり関係ないのですけど。
左が上りで右が下り。ここはやっぱり縦位置ですかね。事前に先人達の作例を見ていて分かっていたことなのですが、縦位置グリップを付けていくのをすっかり忘れていました。普段は重たくなるので使っていない縦位置グリップも、こういう場合にこそ役に立つのに。
でもやっぱり横でも良いですよね。ちなみにここまで貼った写真でも分かる通り、架線や支柱などなど障害物が多いです。私のように完璧な鉄道写真を目指しているわけではないライト層にとっては、それも味わいなのでそれほど気にならないのですが、先頭車両に完全に被らないような位置とタイミング取りはなかなか難しいです。
ヘッドライトの光芒が十字に出ているのは、後述する金網の影響と思われます。キラキラ効果としてなかなか良いのではないかと思います。
なお、多摩川周辺は新幹線的にはかなりゆっくりと走っているのですが、それでも、障害物やフレームへの収まり具合を考えると、ちょうどベストな位置を通過するのはほんの一瞬なので、連写が速いに越したことはないです。K-1の4コマ/秒はかなり辛いです。
なお、標準ズームで撮ってみると全景はこんな感じの場所です。向こうには多摩川対岸の武蔵小杉のマンション群が立ち並び、そこへこの時期は夕日が落ちていきます。新幹線の隣には横須賀線が併走しています。
私が写真を撮ってるときに、お祖父さんに連れられた小さな子どもがやってきたのですが、新幹線には目もくれず、横須賀線の方にかぶりつきでした。自身の体験との絡みなんでしょうかね。子どもの感性はなかなか面白いです。
アクセス
下に貼った地図でピンが立っているのは蜜蔵院というお寺ですが、そのお寺と都立田園調布高校の間にある道路が線路を渡る場所が撮影ポイントです。新幹線撮影スポット的には「蜜蔵院跨線橋」と名付けられていますが、地図にも現地にもそのような表示はありません。前後には似たような跨線橋が連続しているので間違えないように注意が必要です。
さて都内の住宅地ですので、アクセスはとても便利です。東急多摩川線の沼部駅からも歩けますし、すぐ近くの「エコロパーク田園調布第9」含めて、コインパーキングが周辺にあるので、車で行くことも可能です。
ただし周囲は閑静な住宅街であり、撮影ポイントも公道上で、車も人通りも多いので邪魔にならないように注意が必要で、あまり長居する場所でもありません。
さて、現地はこんな感じです。このようにかなりガッツリと金網になっているうえ、目隠し板が広範囲に貼られているので、撮れるポイントは限られます。私の感触ではベストポジションは一カ所だけ。次点が二カ所ほど。有名撮影ポイントなので先客がいたら諦めざるを得ないかも。
金網越しになるのでフードは付けず、なるべくレンズ前玉を金網に寄せ、絞りをできる限り開け、金網が写らないように工夫が必要です。もちろん焦点距離は長い方が良いです。金網は細かいのでレンズを穴に通すことはまず無理だし、出来てもやるべきではないでしょう。
使ったカメラ
ここは金網越しと言うことで、被写界深度を浅くできるフルサイズが有利だろうと思い、連写が遅いのを承知でPENTAX K-1を使いました。
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夕日ということで少し高感度も使いそうですし、シャドウ部の粘りとクリーンさはやはり飛び抜けています。それにAFもこのくらいの一定速度で動くものに対しては全く問題ありません。
レンズは150-450mm一択です。もしかしたら70-200mmあたりも使いたくなるかも?と思いましたが、実際はそういうことはありませんでした。450mmでF5.6であれば確実に金網は消せます。
東京〜品川間:東京交通会館: by LUMIX GX7 Mark II
どんな感じかというと…
こうです。折しもクリスマス向けのイルミネーションが街路樹に施されており、かなり賑やかなことになりました。ここは出来るだけ低速シャッターで流し撮りしたいところです。
1枚目に貼ったのは赤いランプで分かる通り去りゆく最後尾車両でしたが、こっちは向かってくる先頭車両です。線路を挟んで反対側にあるビックカメラと、その向こうには東京国際フォーラムが見えています。
流し撮りは真横の方が簡単かと思ったら、微妙な距離感でワイド系のレンズで流すのは思ったより難しいです。
いっそのこといつも通りアップにしてしまうとか。これでもフルサイズ換算80mm相当ですから、そんなに望遠というわけではありません。現地でもあまりそんな感じはしなかったのですが、そこそこ近いです。周辺の町灯りに照らされた姿が綺麗ですね。
ちなみに東京駅のすぐそばですから、新幹線の速度は上り方面も下り方面もかなりゆっくりです。ですが、標準前後のレンズでも1/20sec程度にシャッター速度を設定すればそこそこ流れます。もっと低く設定し1/10secを切るような作例もありますが、そうすると流れない固定点がピンポイントに狭まってくるので、ただの流し撮りよりも難易度はかなり高くなりそうです。
撮っていて気がついたのですが、ビックカメラの建物の壁が横線状なので、そんなに流さなくてもすごい流れているかのような効果が出ます。フルサイズ換算で100mm相当、1/20secでこんな感じに撮れました。
ここはなかなか面白いポイントです。流し撮りの良い練習にもなります。
アクセス
都心の中の都心なのでアクセスは説明するまでもないでしょう。一番便利なのはもちろん鉄道利用です。JRでも地下鉄でも、あるいはバスでも何でもありです。
さらに、意外に周辺は駐車場も多いので車も停める場所にはさほど困りません。ただし駐車料金は都心価格ですけど。さらに周辺道路はごみごみしているし、歩行者も多い地域なので、車によるアクセスはちょっとコツと経験がいるとは思いますが。私は今回ずっと車で移動してきたので、東京国際フォーラムの駐車場に入れました。
さて、問題の撮影場所ですが、東京交通会館と言えば3Fにあるテラスが撮影向きなのですが、ここは午後4時半に閉まってしまうので、夜景目的では利用できません。日の入りの早いこの時期でも4時半で追い出されるとなると、ちょっと難しいです。
なので、夜景流し撮りの場合は建物の南端にあるらせん階段を上った踊り場が良いと思います。三省堂の2F入り口がひっそりとあるだけで、人通りもほとんどありません。
あと、有楽町と言えばイトシア4Fにあるイタリアンレストランのテラス席からだと、少し見下ろす感じになってよりよい絶景ポイントだそうですが、あくまでもレストランなので食事客として振る舞うことが大前提となります。いつか食事がてら行ってみたいです。
使ったカメラ
さて、ここは流し撮りが肝要とあって一眼レフこそが最適なのですが、敢えてGX7 Mark IIを使ってみました。長い望遠レンズは要らないので標準ズームがあれば十分です。
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上に貼ったカットは1枚だけK-1で撮ったものが混ざってますが、撮影データにある通りそれ以外は全てGX7 Mark IIで撮りました。良い点は思ったよりも連写が快適なこと。RAW記録でもバッファ詰まりを起こさず、恐らくK-1よりもよほど連写は速いです。
ただ、まぁAFとかEVFとか色々と問題点はあって決して快適ではありません。でも動体撮影対応を全面に押し出した機種ではないので、これで良いのでしょう。やろうと思えば出来ることが重要かと思います。
ということで、久々の撮り鉄体験でした。なぜか一年に一回くらい盛り上がることがあって、こうしてハシゴしてしまうわけですが、とりあえず今年の締めくくりとしてかなり満足しました。
東海道新幹線は色々撮影ポイント情報が多いので取っつきやすいのですが、走ってる車両が700系とN700/N700A系しかないのが寂しいです。それも間もなく700系が引退してしまったらどうなることやら。
なので来年また気持ちが盛り上がってきたときには、東北・上越・北陸方面に挑戦したいと思います。もしくは西日本、九州とか…?