いいえ、正確には「水没」ではなく「洗濯」です。ある晴れた夏の日曜日。真っ昼間から浅草で昼酒を飲んで帰ってきた夕方、あまりの暑さにそのまま着ているものを脱ぎ捨てて、洗濯機へ投げ込みスイッチオン。自分はシャワーを浴びてスッキリし、しばし昼寝をしてから、そういえば洗濯したんだっけ、と洗濯機のふたを開け洗濯物を取り出したところ… ゴトッと大きな音を立てて愛用の携帯電話(ドコモのP-08A)が落ちてきました。水浸しの悲しい姿で。
充電プラグのふたが外れていましたが、その他の部分には大きな外傷は見当たりません。すぐに電池を外し、SIMカードとmicroSDカードを抜き、開けられるところは全部開けて浸水状態チェック。思ったほど水は出てきませんが、液晶画面には大きなシミができていました。おそらく液晶パネルと表面のアクリル板の隙間に水が入っているものと思われます。
SIMカードとmicroSDカードを古い携帯に挿してみたところ、問題なく動いたのでとりあえず最悪の事態は免れました。しかし、電話帳のバックアップは取っていません。また、おサイフ携帯機能を使ったいくつかのアプリの登録情報を移動しなくてはなりません。そのためにはなんとしても、一瞬だけでも良いので動いてくれないと困ります。
しばし考えてまずはドライヤーで熱してみましたが、すぐにあきらめてとりあえず放置。液晶画面の水分が抜けた頃に電池を入れてみようと半ば諦めモードで、そのままその日はふて寝してしまいました。
翌日話のネタにでもしようと、会社に持って行っていろいろな人に見せて状況を説明しましたが、誰もが「洗濯?そりゃダメでしょ」というつれないことしか言ってくれません。そりゃ分かっているのですが… そう言われたらやっぱり何とかしてやろうとムキになってきました。
そして最終的にはここまでバラバラになりました。最後の関門は液晶パネルの取り外し。表面のアクリル板との隙間に入った水分をなんとしても取り除きたいのです。しかし基盤の付いている裏をいくら調べても外すきっかけが見つかりません。思案すること数時間。ようやく方法を見つけました。裏ではなく、表から外すのだと言うことを発見。
と、文字にすると何がなにやら分かりませんが、最終的に無事に液晶表面の水分も取り除くことができました。めでたしめでたし。
あとは元通り組み立てて電源を入れてみるだけ。洗濯したことも忘れて、これなら絶対動くという確信に変わっていました。
部品点数も少なく構造も単純なので組み立てはあっという間に完了。電池をセットし、電源オン!
動いた!!! 見事に起動しました。液晶はムラがあって変ですが、文字はちゃんと読めるし、操作にも反応しています。
しかし、最初のうちは動作が非常に不安定で、特定のキーがまったく効かないとか、別のキーは常に二重うちになってしまうとか。一度電源入れ直そうとしたら起動しなくなったり。その合間を縫って、なんとかおサイフ携帯の設定解除をしたり、データのバックアップを取ったりしていたのですが、なかなか全て完了しません。
そこでもう一度全部バラして、今度は隅々までブロアを吹いて(実際、少し水が出てきました)丁寧に再度組み立てたら、今度は安定して動くようになりました。データのバックアップも完了し、ようやく目的達成。長い戦いでした。
防水でもなんでもない携帯電話を、きっちり洗濯フルコースかけてもなお、丁寧に乾燥させて水気を取り除けば、とりあえず機能するということは、よく考えたらすごいことです。
でも、もちろん新しい携帯電話をもう買ってしまったのですが、それについてはまた後日(書くかもしれません)ということで。
頑張った、というのはそういうことだったのね。本当の理系男子はこうでなければ。
かつて私も携帯を「洗濯」したことがありましたが…。
分解で水分除去とはスゴイですねぇ。
ちょっと思いつきませんでした。
『理系魂』の箇所に強く共感しました。
10年前に比べると基板上の部品点数が少ないなぁ、が第一印象でしょうか。
どうしても小型化できない幾つかのパーツに郷愁を感じます(超個人的)。
最初「なぜ基板上に製品銘版ラベルが貼ってあるのだろう?」と疑問に感じたんですけど、たぶん電池パックを外せばこの面が外から見える構造なんでしょうね。
○F子さん、
そうなんです、がんばったんです。
○ばやばやさん、
コメントありがとうございます。私も最初は分解してまで… と思っていたのですが、道具が揃ってることに気がついて、その気になってしまいました。ま、運が良かっただけだと思います。
○0223.さん、
分かって頂けましたか、「理系魂」。時折首をもたげるときがあります(^^;
意外に部品点数が多いなぁ、と感じました。今の時代、もっと集積されているものとばかり思っていましたので。基板上のラベルはその通りです。ちょうど電池室の部分になります。何よりも感心したのはやはり「筐体設計」です。エンジニアリングデザインと言いましょうか。