CP+ 2018がいよいよ来週開催されます。それに向けてかどうか分かりませんが、年明けからこの冬の時期は各社から新製品がたくさん出てくる時期でもあります。
我らがリコー・イメージングはと言えば2017年はAPS-C一眼レフのPENTAX KPが出たものの、それ以降はぱったりと音沙汰なく新レンズも発売されず、K-1のファームアップデートもほぼバグFIXのみという、実に寂しい1年でした。
さて今年はどうなるのか? 2年前にK-1の発表とともに発表された(PENTAXにしては)アグレッシブなレンズロードマップの実現は少しでも進むのか? 発売以来もうすぐ3年が経過するK-3 IIの後継機は? とやきもきしていたところに、とうとう21日の木曜日に新製品の発表がありました。
それは予想もしていなかったまさかの「PENTAX K-1 Mark II」です。えっ? K-1を新しくするの? なんで? どうして?
まぁ、数週間前からリークは出ていたので本当に木曜日にそう思ったわけではないのですが、そもそも論で考えると今年K-1がマイナーチェンジするとは思っていなかったのは事実です。
以下、途中に挟んである写真はこれまでにK-1無印で撮ったイメージ画像です。
PENTAX K-1 Mark II
さて、そのマイナーチェンジ版のK-1 Mark IIとはどんな製品でK-1とはどう違うのでしょうか?
詳細は公式WEBサイトに詳しいです。
さらに2年前のK-1時代からあるK-1 Specialサイトもなかなか情報豊富です。
で、ざっくり従来のK-1から変更された主要点を探し出してまとめてみると、以下のようになります。
- 画像処理エンジンPRIME IVにアクセラレータを追加。その結果最高感度がISO 819200にアップ(K-1はISO 204800)
- リアルレゾリューションがIIになり、手持ち撮影可能なモードが追加
- 電池寿命が約10%減となりCIA基準で670枚に(K-1は740枚)
- AF速度の向上(シングルAF、コンティニュアスAFともに)
- 画像処理パラメーターも全面的に見直し
- 左肩の製品名ロゴが「K-1 II」になる。
と、こんな感じかと思います。それ以外の機能や大きさ重さなどは一切変更なし。外観上もロゴ以外では見分けが付かなさそう。背面液晶のUIなども同様っぽいです。
以下、少し細かく見て行きつつ、現時点での感想を書き留めておきます。
アクセラレータ
K-1の後に出たK-70やKPに搭載されていたもので、実はK-1のメインプリント基板にもそれらしい空きパターンがあるそうです。ある時点まではK-1への搭載を検討していたのは事実でしょう。結局K-1には搭載されず、約2年経ってK-1 Mark IIとして搭載されるに至りました。
はっきり言ってしまえばMark IIをMark IIたらしめているのはこのアクセラレータなるデバイスの追加「だけ」と言っても過言ではないはず。
この公式動画にあるように、高感度性能の向上は明確にこのアクセラレータによってもたらされているものですが、それ以外の新機能や改善点にどの程度関わっているのかはよく分かりません。
私的にはK-1の高感度性能やシャドー部描写のクリーンさなどにまったく不満はないし、他社最新機種と比べても見劣りしないと思っているので、そこまでしなくて良いんじゃない?とやや醒めた目で見ているのですが、実際の威力を見てみないとなんとも言えないかな、と思います。
その前に私はRAW撮りしかしてないのですが、その場合このアクセラレータの恩恵をどの程度受けられるものなのか? そこも疑問点です。
リアルレゾリューションII
センサーシフト式手ぶれ補正を利用したマルチショット高解像度モードですが、その原理から言って無理と思われていた手持ち撮影に対応したというのが、大きなポイントです。
製品情報でもプレスリリースでもこの動画でも、あまり明確な原理は説明されていませんが、手ぶれの動きを詳細に解析することで、逆に手ぶれ自体をピクセルシフトに利用してしまう… と言うものだそうです。
やっぱりよく分かりませんし、効果とかうまく働く条件とか、レンズとの相性とか色々あるはずなのですが、これもやってみないと評価は難しそうです。まさかファイル容量さえ気にしなければ常用できる、と言うことはないと思うのですが、リアルレゾリューション自体がかなり飛び道具的な機能ですので、これも「ふ~ん、本当なら便利かもね」と醒めた感想を持っています。
さらに、これもまたアクセラレータが絡んでいるのかどうか? ちょっと気になります。もし、アクセラレータが関わっていないなら、K-1にもファームウェアで実装できる機能ってことになるので、あとはリコーイメージングのやる気次第と言うことになりますから。
AF速度の向上?
AFセンサーには変更はないようなので、ファームウェアによるチューニングと言うことなのでしょう。これは新機種になるたびにかならず挙げられる項目でもあるので、話半分に聞いておこうかと、やっぱり冷めた感想を持ってます。
そしてやっぱりこれもアクセラレータ使ってるの? という疑問が出てきます。K-1にも適用してくれて良いんじゃない?と。
電池寿命の悪化
そして唯一にして最大のマイナス点がこれ、電池寿命の10%悪化です。
専用充電池のD-LI90(P)は2009年のK-7以来ずっと使われていますが、そのK-7はなんと980枚という電池寿命がありました。これはK-5世代になっても変わらず、K-3シリーズで急に減って720枚となり、K-1ではフルサイズ化されたのに740枚というスペックを維持していました。
それがK-1 Mark IIになって10%の大幅減。ひとえにアクセラレータが追加になった分、消費電力が10%ほど増えたと言うことなのでしょう。仕方ありません。
それでも一眼レフですから、ミラーレス機と比べたら倍近い電池寿命ですし、K-1でも実使用上では余裕で1000カット以上、連写を多用すると2000カットとか平気で超えたりしますので、10%くらい短くなっても大した影響はないと思われます。
でもねぇ…
実売価格は?
さて、ペンタックスのカメラにしては2年近くが経過しても、20万円近いそこそこの価格を維持してきたK-1に対し、K-1 Mark IIの初期価格は今のところ比較的安く設定されてるように思います。
PENTAX 一眼レフ K-1 Mark II ボディ 15996
- 出版社/メーカー: ペンタックス
- 発売日: 2018/04/30
- メディア: Camera
- この商品を含むブログを見る
アマゾンの予約価格で228,420円なり。K-1の初期価格は25万円を超えていたし、値落ちがあまりなかったので、この程度なのか?と思ってしまいます。ですが、内容を考えたらまぁ順当なところなのでしょう。
PENTAX 一眼レフ K-1 Mark II 28-105WR レンズキット 16007
- 出版社/メーカー: ペンタックス
- 発売日: 2018/04/30
- メディア: Camera
- この商品を含むブログを見る
ちなみにK-1 Mark IIからはレンズキットが用意されるようです。同梱されるのはもちろんDFA28-105mmです。これで278,450円也。ボディとの差額は約5万円ですので、バラで買うよりは少しお得です。
さて発売日は明確にはされておらず、4月末と発表されています。K-1がまさしく2016年の4月末発売でしたから、ぴったり2年でのマイナーチェンジとなりそうです。
しかし、メイン基板が新しくなっただけで、なぜ発表から発売までこんなに時間がかかるのか?ちょっと不思議に思いますが、恐らくファームウェア的な何かに時間がかかってるのかな?と想像します。
PENTAX デジタル一眼レフ K-1 リミテッドシルバー 5軸5段手ぶれ補正 ローパスセレクター フルサイズフォーマット 19959
- 出版社/メーカー: リコー
- 発売日: 2017/09/15
- メディア: Camera
- この商品を含むブログを見る
なお余談ですが、昨夏に発売されたK-1のLimited Silverはメーカーからの出荷は終了しているそうですが、流通在庫がまだ幾分あるようです。Amazonでもなかなかお買い得な値段がついています。もちろんブラックボディのレギュラーモデルもお買い得です。
まさかのアップグレードサービス
さて、K-1 Mark IIは新製品としてみると、上のようになかなか微妙な内容なのですが、今回誰もが驚いたのは、なんと従来のK-1をK-1 Mark IIにアップグレードするサービスも提供されるという点です。
詳細というか発表内容は↑このとおりです。
公式よりもわかりやすいのでデジカメWatchの記事も貼っておきます。
今年の5月21日から9月末の期間限定で、K-1をK-1 Mark IIに改造するサービスをメーカー自身が提供するという前代未聞の内容です。
具体的な改造内容はメイン基板の交換だそうです。つまりアクセラレータの載ってない従来の基板を、アクセラレータ付きの新基板に取り替えるだけで、K-1はK-1 Mark IIに変身するわけです。
さらに改造品であることを見分けられるように、SRマークをIIマークに貼り替え、ボディ底面の認証マーク類のシールも貼り替えられるそうです。
なお費用は5万4千円で、作業期間は7~10日程度を予定しているとのことです。
それにしてもこれはビックリなニュースでした。作業の負荷やリスク、組み立て後のテストや品質保証を考えると、普通はできないはずの改造サービスだし、そもそもこれをやるとK-1からの買い替え需要を自ら摘むことになります。社内にも異論はあるだろうし、販売店からは強い反発があるのではないかとも思えます。
でも、ユーザーにとっては良いことづくめであるのは確かですね。
どうすればいいのか?
以上がK-1 Mark IIに関わるニュースの私的まとめですが、その上で一体私はどうしたら良いのか? この数日ずっと考えていました。
とり得る選択肢は…
- 手元のK-1をアップグレードする
- 新しくK-1 Mark IIを追加する
- 新しくK-1 Mark IIを追加しつつ手元のK-1もアップグレードする
- 手元のK-1は売り払ってK-1 Mark IIに入れ替える
- 今すぐにK-1 Limited Silverを買ってアップグレードする
- 何もしない
- その他
と言ったところでしょうか。
5.に関しては手元のK-1をどうするかでまたいくつかの選択肢が出てきますが、まぁこれは半分以上ネタです。多分今からK-1 Limited Silverを買うことはありません。そして6.の何もしない、ということもないでしょう。
実は今のところ、2.にしようかな~?と思っています。最終的に3.になるかも知れませんが、手元のK-1のアップグレードはすぐには行わず、しばらく待ってからにしようかと。
K-1と同時使用できるサブ機が欲しいと常々思っていましたが、最良のサブ機は同一機種である、というのはどんなカメラにも言えることでしょう。K-3 IIですらK-1と同時使用する気にはなかなかなれませんし、LUMIX GX7 Mark IIはなおさら無理。なのでK-1ボディの買い足しは最近漠然と考えていたことでした。なら、素直にMark IIを買えば良いんじゃない?と。
そして、発売日に手に入れて、約2年間にわたってメイン機として使い続けてきた手元のK-1は、少しくたびれてきたと同時に、愛着というかそれなりに思い入れがあります。
これまで撮影してきた1枚1枚のデータを処理し、4万回のシャッターカウントを刻んできたメイン基板も、その愛着あるK-1の一部だと思えば、ポイっと取り替えてしまうのもなんだか忍びないなとか、そういうウェットなことを考えてしまいます。
なので、新品のK-1 IIを手に入れつつ、オリジナルK-1とじっくり比べて、どっちでもあまり変わらないと思えば、K-1はそのままで良いし、アクセラレーターの威力を実感し納得したなら、K-1もアップグレードし、K-1 Mark IIを2台体制にすれば完璧かな?と。
今のところそんな風に思っています。