酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

自宅のインターネット回線をIPv6 IPoE + IPv4 over IPv6化して通信速度のボトルネックを解消する

 スマートフォン全盛の時代になり、いまやどこにいてもインターネットに繋がっていることは当たり前になってきました。これまでの常識ではモバイル回線は速度が遅く、家やオフィスに引かれた固定回線は速い、というのが当たり前でしたが、気がつくといつの間にか逆転しているのではないか?と気付くことがあります。そう、家の固定インターネット回線が重たいのです。下手したらモバイル回線につないだiPhoneのほうがよほど快適、ということが起こりえます。

 昔話を始めると際限がなくなるので止めておきますが、我が家はわりと早い時期にADSLから光回線に切替え、帯域だのレスポンスだのといったストレスを感じずにずっとここ何年も使ってきましたが、最近は夜遅い時間帯になると、やけにネットが重たくなり、画像がじわじわとロードされていく様子を見せられたり、ネット配信の動画なども時間帯によっては再生できなくなるという始末。

 こういうの昔はあったよなぁ、と懐かしんでる場合ではなくて、2020年も見えてきたこの時代にいったいインターネットは何年退化したんだ!と、重い腰を上げ、原因を調べ対策を講じることにしました。

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IPv6対応後の我が家のネットワーク機器接続図
 その対策に関するキーワードが「IPv6」です。この図は対策後の我が家のネット環境を表した図ですが、どういう顛末でこうなったのか、以下に備忘録としてまとめておきたいと思います。

IPv4 PPPoEの限界

 まずは、インターネット回線が重たくなってきた理由です。日によって、時間帯によって変わるのですが、その原因はこれまでのインターネット接続方式である IPv4 PPPoE を処理する、NTT側の設備のキャパシティがいっぱいいっぱいになってることにあるようです。

 これは1年半以上前に書かれた古い記事ですが、その時点で既に問題は顕在化してきていたと言うことなのでしょう。確かにストレスを感じ始めたのは昨年からだったかも。

 ここにある通り、各家に接続された光回線からインターネット網に接続する中にある「網終端装置」がボトルネックとのこと。しかもこれはNTTの設備であり、増設には限界があるそうです。すでに光回線は当たり前のようになり、契約数(接続数)が増えたことで、通信速度低下が慢性化しているとのこと。

 これは光回線業者やプロバイダーの組みあわせ、さらには地域によっても異なるようですが、基本的にNTTの基幹設備で制限を受けているので、事情は大きく変わりません。我が家は回線はドコモ光で、プロバイダーはBIGLOBEです。都内の人口密集地帯でもあるので、各家庭からの通信がピークを迎える頃は、激しい速度低下に悩まされていました。

 ということで、これを解消するには回線業者やプロバイダー、コースを変えると言った小手先の対策ではなく、根本的にNTTの網終端装置を使わない回線へ切り替えることにしました。そんなことが出来るかって?

 出来るのです!

IPv6オプションを申し込む

 その根本的解決方法が「IPv6化」です。これはプロバイダによって対応状況がまちまちのようですが、私が利用しているBIGLOBEは以前より「v6プラス」あるいは「IPv6オプション」という名で、IPv6接続サービスを提供してきました。しかも所定の契約条件を満たしていればこのオプションは無料で利用できます。

 IPv6オプションの概要はこのページにある通りです。

 私も今回初めて勉強したのでかなり理解は浅いのですが、要するに従来の光回線経由のインターネット接続は、網終端装置を必要とするPPPoE接続をしていましたが、IPv6オプションを利用すると、IPv6サイトに対してはIPoEで接続する一方、従来のIPv4サイトに対してもPPPoEを使わずIPv6と同様のIPoE網を使って接続する(IPv4 over IPv6)ため、ボトルネックとなっていたNTTの網終端装置を経由しません。そのため通信が本来の速度に戻るというものです(間違い、表現不適切な点があったらスミマセン)。

 IPv4サイトにIPv6経由で接続する方式には、MAP-EやDS-Liteといった方式があるそうですが、基本的にどちらも「IPv4 over iPV6」であるという点で得られる効果は同じようです。明示はされていませんが、BIGLOBEのIPv6オプションはMAP-Eを使用しているそうです。

 その辺のざっくりした概念は、図とともにこちらのブログにまとめられています。私もこの情報でようやく理解できました。

 我が家の回線契約でもすでに「IPv6オプションライト」は自動付加されていましたが、これを「IPv6オプション」変更しました。どちらも追加の費用はかからず工事も不要。申し込んだその場ですぐに切り替わりました。

 ちなみに自動付加されていた「IPv6オプションライト」の概要はこちらです。

 「ライト」のある/なしでどう違うかというと、IPv6サイトに対しIPoEで接続できるのはどちらも同じですが、IPv4サイトに対して「IPv6オプションライト」は、MAP-EやDS-Liteを使わず、従来通りPPPoEで接続するというもの。これまでと互換性を保ったままIPv6接続を追加するということなので、自動付加されていたようです。

 でもこれでは結局IPv4サイトに対しては、従来通り網終端装置を通ることになり、速度改善効果は半分しか(半分以下か?)ありません。

 なので、BIGLOBEの場合は是非「IPv6オプション」に切り替える必要があります。他のプロバイダーでも概ね同様のサービスがあるはずです。

 しかしこれだけで完了ではありません。IPv6オプションを利用するには、上記のページ内にもある通り対応したホームゲートウェイまたはルーターが必要です。しかも現時点で対応製品はかなり限られているようです。

Apple AirMac/TimeCapsuleではフレッツ光のIPv6には接続できない

 さて、対策を打つ前にまずは現状確認から。以下の図は対策前の我が家のネットワーク機器の接続ツリー図です。

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対策前の我が家のネットワーク機器ツリー

 ブロードバンドルーターはAppleのTime Capsuleを使用していました。これは3TBのHDD入りで、Time MachineによるiMacのバックアップドライブを兼ねています。有線でiMacの他、NASやTVチューナーを繋ぎ、その他の機器は概ねWi-Fiにぶら下がっています。

 なお、我が家は古い集合住宅で、各戸まで光回線は届いていないためVDSLモデムと、NTTからレンタルされたひかり電話対応ルーターが、Time Capsuleの前にいます。ひかり電話を使うためにNTTのルーターは外せませんが、ルーター機能は使用せずブリッジに設定してあります。

 さて、この状態で IPv6 IPoEとIPv4 over IPv6 が使えれば良かったのですが、そうはいきません。

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 AirPortユーティリティを立ち上げると、Time CapsuleにもIPv6に関する設定があります。事実上触れるのは「IPv6の構成」だけで、これは自動、手動、リンクローカルのみ、の3つが選べます。リンクローカルのみがデフォルトなのですが、手動の場合はどうしたら良いのか全く分かりません。

 なので「自動」を選んでみると、上のキャプチャ画像のように何かそれらしいIPv6のアドレスが現れるのですが...

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 ルーターの動作状態を見るとこのように「IPv6リレーエラー」と表示され、実際にIPv6接続は出来ておらず、IPv4 PPPoEのままとなっています。

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BIGLOBEのIPv6関連ページを開くとどちらで接続されているか確認できる

 上で紹介したBIGLOBEの「IPv6オプション」のページは、IPv4で接続されているか、IPv6で接続されているか、判定できるようになっています。Appleのルーターを使っていると、何をどうしてもこの表示のようにIPv4接続のままです。

 そこでググって色々調べてみたところ、どうやらフレッツ光のIPv6接続には、Appleルーターは対応しておらず、対応したルーターまたはHGWをレンタルするか、別途市販ルーターを買わないといけないそうです。しかもその対応製品は非常に限られているそうです。

 BIGLOBEのFAQによると、NTTがレンタルしているひかり電話対応のルーターやホームゲートウェイは問題ないようですが、市販品ではBUFFALOとI・Oデータ製のごくわずかな機種しか対応製品がありません。

 それ以外の情報も色々調べてみたところ、結局のところIPv6接続できる市販ルーターと言えば、概ねBUFFALO製のルーターを買っておけば間違いないようです。

 BUFFALOのWEBサイトに動作確認リストがあります。他のメーカーでも対応製品はいくつかあるようなのですが、初心者(?)でもあるので、一番確実そうなのでBUFFALO製品から選ぶことにしました。

BUFFALO WXR-190xDHP3でIPv6接続!

 ということで、新しいルーターを買ってきました。型番はWXR-1901DHP3です。1900と1901の2型番が流通していますが、どちらも製品仕様に違いはないようです。

 このルーター、アンテナがニョキニョキと3本も飛び出ていて格好悪いのですが、なかなか性能は良さそうです。アンテナの角度を微調整することで電波の飛ぶ範囲をある程度手動でコントロールできるというところを買って、かっこ悪さには目をつぶることにしました。

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 BUFFALO製品は久々に手にした気がします。箱のデザインというかイメージは昔から変わっていません。

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 中身はこんな感じ。本体とアンテナは分離された状態で梱包されていました。それに縦置き用のスタンドとLANケーブルが入っています。写真には写っていませんが、このほかにACアダプターが付属しています。

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 我が家の隅っこ、物置部屋に押し込めてあるネットワーク関連機器置き場はこんな感じ。奥からVDSLモデム、ひかり電話ルーター、QNAPのNAS、そして手前が今回新たに導入したWXR-1901DHP3です。

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 アンテナ... 実物を設置するとなんだか格好良く思えてきました。いかにも電波が飛びそうです。なお、この写真の状態は正しい設置状態ではありません。どういう角度にするとどっちに飛ぶのか、簡単なマニュアルが付属しているので、家の部屋配置とルーターの設置場所から、適切に設定する必要があります。

 なお、Time Capsuleでは家の反対側の角部屋まで、5GHzの電波はギリギリ届くかどうかと言う状態でしたが、WXR-1901DHP3でアンテナ角度をチューニングすると、アンテナマークが4本立つようになりました。

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 ルーターのセットアップはマニュアル通りにやるだけなので割愛します。しかし最近のルーターは非常に高機能で至れり尽くせりですね。ほぼ自動でセットアップが進んでいきます。

 インターネット接続も自動判別してこの通り「あなたの使用している回線はIPv6に対応しています」と、勝手に認識されました。なお画面表示に出ている「v6プラス」というのは、BIGLOBEの「IPv6オプション」の元となったサービスで、まさしくIPv6 IPoE + IPv4 over IPv6接続により、PPPoEを排除した接続方式のことです。

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 以後、ルーターに任せておいたらフルオートでインターネットへの接続が完了したのですが、念のため管理者モードで設定状態を見てみたら、IPv6に関する接続設定はこれだけでした。「インターネット@スタート」という用語がなんなのか分かりませんが、これで問題なく繋がってるので良しとしましょう。

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 なお、これまで使用していたPPPoE接続用のプロファイルというか、ユーザーIDとパスワードも一応設定はしたのですが、こうして「無効」にしておいても全く問題ありません。というか、IPv6オプションって、ユーザーIDやパスワードなどは一切設定しないわけですが、それで誰がどうやって接続の管理(と監視)をしているのかよく分からないです。

念のため本当にIPv6で接続できているか確認する

 いくつかのサイトで、実際にIPv6接続できているのかどうか確認してみました。

 ↑ここにテストページをまとめたWikiがあります。これ超便利です。以下、この中からいくつかページで確認してみました。

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 まずはBIGLOBEのIPv6オプションの説明ページです。AppleのルーターではどうやってもIPv4にしかならなかったのですが、ルーターを変えたらめでたく「Connected via IPv6」と表示されるようになりました。

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 さらに左はBIGLOBEのIPv4/IPv6接続判定ページの結果で、右は「あなたの IPv6 接続性をテストしましょう」というテストページの結果。

 左はちょっと怪しいところがあるのですが、総合判定は「All OK」なので良いことにしましょう。右はテスト内容の詳細な解説まで載っているので、勉強がてらじっくり読んでみるのも良いかも(そのうちやります ^^;)。

回線速度は?

 さて、問題の接続スピードがどうなったのか?確認してみましょう。と言っても、実はIPv6へ切り替える前の状態でベンチマークを取っていないので、改善効果を定量的に比較することが出来ません。

 あくまでも改善前は「非常に遅かった」という私の体感速度のみです。多分感覚的に一桁Mbps程度しか出ていなかったのではないかと思われます。下手したら1Mbpsを切ることもあったかも?

 という曖昧な数字に対し、IPv6接続化したあとどうなったのか、一応スピードテストを実施してみました。

 まずはGoogleのインターネット速度テスト です。Googleで「速度テスト」と入力して検索すると、トップに出てきます。
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 こんな結果になりました。もうちょっと行って欲しかったところですが「高速です」と言われたので良しとしましょう。なお、このテストはIPv6で行われてるのかIPv4で行われているのかよく分かりません。

 さらにもう一つはSpeedtest.netというサイトによる測定結果です。
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 こちらもGoogleのテスト結果とほとんど同じ数字になりました。このテスト結果には接続元IPアドレスが表示されるのですが、それがIPv4形式なので、IPv4接続でテストが行われてると思われます。

 なお両テストとも、一番回線が混雑する22:00以降の時間帯にテストしてみました。曜日差、日にち差はあるかもしれませんが、その後毎日色んな時間帯にチェックしていますが、ほぼバラツキはありません。IPv4も安定していると言うことは、PPPoEは完全にバイパス出来ている証拠と思います。良かった!

 なお、光回線のテストだと三桁Mbpsに達することも珍しくありませんが、冒頭でも書いた通り我が家は古い集合住宅で、各戸へはVDSL配信されているので、それがボトルネックになり100Mbps以上は理論上出ません。こればかりは仕方ないです。

まとめ

 ということで、ダラダラとまとまりないこと書いてきましたが、結局のところ対策後のネットワーク機器接続図はこうなりました。

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 トップに貼ったのと同じ絵です。メインのルーターはiPv6 IPoEだけでなくIPv4 over IPv6(MAP-E/DS-Lite)に対応した、BUFFALO製のWXR-1901DHP3に交換しました。これが一番の肝です。

 その結果、Time Capsuleはルーターとしての役目を終えたわけですが、TimeMachine用ドライブとして使い続けたいので、ルーター機能を全てOFFした上で、WXR-1901DHP3のLANポートにクライアントとして接続してみたところ、めでたくネットワークドライブとして認識されました。

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 AirPortユーティリティからもちゃんと見えますし、こうして設定もいじれます。ルーターもWi-Fiもすべてオフしています。これまでのバックアップファイルもそのままでiMacからも認識されました。ちょっと勿体ないですが、このままバックアップドライブとして使って行こうと思います。

 さらにもう一つ変化したのは、ピクセラ製のネットワーク配信型TVチューナーPIX-BR310Lがなぜか使えなくなってしまいました。ルーターを変えただけですが、MacからもiOSからもチューナーが見えなくなってしまいました。残念ながらこのTVチューナーを使うのは諦めることにしました。

 これは主に家中どこにいても(特にお布団の中などで)テレビを見る用途だったのですが、よく考えたらテレビ(Panasonic VIERA)にその機能はあるじゃないか!ということに気付きました。

 これです。iOS/Android限定でMacやPCでは使えませんが、用途的にiPad Proで視聴できれば十分です。家j中どこでもライブも録画もリモート視聴できるし、やろうと思えば外出先での視聴(パケット食うので常用は出来ませんが)や録画予約できるので、ほぼピクセラのTVチューナーで出来ていたことは全て対応可能です。

 以上で、我が家のIPv6化によるインターネット高速化計画は完了です。快適なネット環境で年越しが出来そうです。

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