酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

夕暮れの横浜大桟橋で日本最大のクルーズ客船「飛鳥II」の出航を見送る

 冬は空気が澄んで日の入りの時間も早い上、街角ではあちこちでクリスマスイルミネーションも行われていたりして、夜景撮影するにはベストなシーズンです。特に等挙都心や周辺都市では夜景スポットに事欠きません。

 この冬はもっと夜景やイルミネーションを撮ってみようかな?などと思い立ち、天気の良さそうな日曜日、早速出かけてみることにしたのですが、どこに行こうか?と考えたときに真っ先に頭に浮かんだのは、以前から気になっていた横浜大桟橋です。何度も行ったことありますが、いつも岸壁は空でした。

 そこでネットで調べてみたところ、当日はちょうど日本籍最大の外洋クルーズ客船「飛鳥II」が午前中に入港し、夕方に出港する予定とのこと。これはみなとみらいの夜景とともに大型客船を撮るチャンス!ということで、午後になってから横浜まで車を走らせてきました。

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 実は当日の天気予報では、夕方にかけて雲が出てくるということだったのですが、幸いにも予報は外れ、日没までそこそこ綺麗に晴れ渡った空が見られました。そのおかげで想像通りの綺麗な夜景の中で飛鳥IIの出航を見送ることが出来ました。

横浜大桟橋の入出港情報

 横浜大桟橋はみなとみらい地区と横浜公園の間にあって、中華街にも近いし、横浜観光コースの中では絶対に訪れるべき必見ポイントです。そうでなくても海や船を見ながらボーッと散歩するにも良い場所だと思います。

 船がいなくても赤レンガ倉庫からベイブリッジ、氷川丸、マリンタワーなど横浜港全体を見渡せるし、船が入っているとむしろ眺めが悪くなる一方で、大都会の港町と大型客船の取り合わせは、横浜か神戸あたりでしか見られない、特別な風景でもあります。

 さて、横浜大桟橋(客船ターミナル)に、いつどんな船が来ているか?は以下の横浜市港湾局のページで確認できます。

 クルーズ客船の姿を見たいなら、ここは要チェックです。逆に大桟橋からみなとみらいの景色を眺めたいと言うことなら、やはり船がいない日を確認するという意味でも要チェックです。

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横浜市港湾局のWEBより2017年12月の客船入港予定一覧

 ということで、私が訪れた日は12月10日の日曜日。飛鳥IIが9:00に接岸し17:00に出港するとのこと。出航時刻はちょうどマジックアワーと被りそうですし、これを狙うことにしました。

青空と飛鳥II


 我が家から横浜までは、高速が順調ならわずか30分ほどです。気が早いもので横浜に到着したのは午後3時前。日の入りまでまだ2時間ほどあります。さっそく大桟橋へ向かってみると、飛鳥IIの巨体はすでに停泊していました。

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 なので青空と飛鳥IIと大桟橋の風景でも撮っておきましょう。曇ってくるという予報は見事に外れてスッキリ晴れ渡っています。このまま日暮れまで持ってくれると良いのですが。

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 望遠レンズに付け替えてで船体に迫ってみます。まるでホテルのバルコニーのように客室が並んでいるのが分かりますね。中はどんな感じなのでしょう? 一度乗って旅をしてみたいものです。

 船尾の喫水に近いあたりはボコボコなのですが、そういうものなのでしょうか? この船は三菱重工長崎造船所で1990年に建造されたそうですので、すでに27年選手です。元々はアメリカ向けの「クリスタル・ハーモニー」という名前の船でしたが、2006年に大改装とともに「飛鳥II」と名前を変えて、日本に里帰りしたという経歴を持つそうです。

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 幅は29.6m、長さは241mあり、総トン数は約5万トンということで、現在の日本船籍の客船としては最大の船です。船尾に船名とともに「横浜」と書かれているように、船籍は横浜にあります。まさしくこの横浜大桟橋が母港と言うことになります。

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 ではいよいよ大桟橋のデッキに上がり、飛鳥IIに接近してみましょう。時刻は午後3時を回り、ちょうど乗船が開始される直前のようで、乗客向けのアナウンスがしきりに流れているのが良く聞こえてきます。

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 15mmの超広角でもこれしか入りません。近いしデカいです。

 ちなみにこの日、飛鳥IIが横浜を出航して向かう先は、上に貼った横浜港の入港情報でも分かる通り、遠い外国ではなく名古屋だそうです。クリスマス・ワンナイト・クルーズということで、一泊だけの国内クルーズ。それくらいならがんばれば(料金的に)乗れたりするでしょうか? どのくらい人気があるものなのか、全く分からないですけど。

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 さて、そろそろ日が傾いてきました。出航まであと1時間ほどです。しばし休憩して日暮れに備えましょう。

日暮れの大桟橋と飛鳥II


 大桟橋の客船ターミナルは全長が450mほどあり、3万トンクラスの船であれば4隻着岸できるそうです。飛鳥IIは遙かに大きいので、このクラスだと同時に2隻まで。屋上デッキは飛鳥IIよりも遙かに広大です。

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 このターミナルは非常に変わった独創的な建物で、屋上はすべてウッドデッキ&芝生になっていて、凸凹と複雑な造形になっています。入口側からずっとスロープになり、奥に行くに従って高くなっていく姿から、通称「クジラの背中」と呼ばれる所以になっています。

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 午後4時になると飛鳥IIの出航まであと1時間です。日没はその前になるはず。そろそろ辺りのあらゆる影が長く伸び、日を浴びた物体はことごとく黄金色に輝いてきました。ウッドデッキの反射は特にとても綺麗です。

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 ここでちょっと思い立って、再び大桟橋の外、像の鼻パークへ出てみました。夕日を浴びる飛鳥IIの姿は思った通りとても綺麗だし格好良いです。望遠レンズで撮ると迫力がありますね。

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 さて、再び大桟橋に戻ってきました。そろそろ出港に向けて三脚を設置し広角ズームに付け替えて、腰を落ち着けるつもりだったのですが、船体に映る夕空のグラデーションが綺麗すぎて、再び望遠ズームに取り替えてみました。

 どうやら日が沈んだようです。時刻は午後4時45分を過ぎ、出港まであと15分ほどです。船内も賑やかになってきたようです。楽しそうでいいなぁ~

午後5時ぴったりに出港!


 さて、船から銅鑼の音が鳴り響きはじめました。いよいよ出航です。と言っても名古屋への一泊クルーズですから、どことなくのんびりした雰囲気。紙テープが投げられる... ということもありません。でも、桟橋の上から見送る我々庶民達に対し、船の上で優雅に過ごす人々はデッキに出てこちらに手を振っていたりします。

 知らない人達だけど、良い旅を! 妬んで「大波に揺られてしまえ!」などと思ったなんてことは絶対にありません。

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 気がつけば、音もなくいつの間にか飛鳥IIは岸壁を離れていました。巨体のくせに意外に動きが速いです。

 あっという間に2~30m真横に移動し、大桟橋から離れていきます。背景のみなとみらいの景色はどんどん隠れていきます。船体全景が見通せるようになって、むしろその大きさが感じられるようになります。

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 そしてまた音もなく前に進み始めました。夜景の基本は低感度で長時間露光!と思ってカメラは三脚に載せてISO100に設定していたのですが、低速シャッターでは被写体ブレするに違いない、ということで感度を上げようとしたのですが、どこまで上げれば良いのか迷って中途半端な状態にしてしまいました。

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 デッキにたくさんの人が出てきているのがシルエットで分かります。なお、結局思い切り被写体ブレしています。K-1は高感度に強いのだしRAWであればあとからゆっくり処理できるのだから、こういう場合は思い切って感度は上げるべき、という、過去に何度もしてきた反省をまたもや繰り返してしまいました。

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 大桟橋をあとにする飛鳥IIですが、これはランドマークタワーに気を取られて船首がかけてしまうと言う失敗。速度が速いので撮り直しは出来ませんでした。それにしても15mmワイド端でこれですから、いかに大きくて近いかが分かってもらえると思います。

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 ベイブリッジの下を通過しようとする飛鳥II。周辺の夜景に比べると非常に明るいですね。

 なお5万トンクラスの船は十分余裕を持ってベイブリッジの下をくぐれますが、10万トン越えると怪しくなってきて、最近の海外の超大型クルーズ客船はこの大桟橋までは入れず、大黒ふ頭に接岸することもあるとか。事情はレインボーブリッジに阻まれた晴海客船埠頭も同じです。東京も横浜も新たな客船ターミナルの建設計画があるそうで、そうなるとまた港の風景は変わってくるのでしょう。

リアル・レゾリューションとHDRを改めて試してみる

 さて、今回は三脚を使った撮影と言うことで、いつも手持ちで撮るときはあまりやらないことを試してみました。

リアル・レゾリューション・システム


 センサーシフト式手ぶれ補正を利用した機能として、オリンパスが始めペンタックスが追従し(オリンパスとは違う仕組み)、最近ソニーが真似した機能です。全画素でフルカラーキャプチャーすることで、解像度を上げることができます。

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 まずはRSSを使わず普通に撮影したカットです。今はもう40Mピクセル越えのカメラもいくつか出てきていますが、K-1の36.4Mピクセルでも十分すぎる解像度です。

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 そしてこっちはRSSをONして撮影したものです。動き検出もONしています。

 K-1ではRSSをONにしてRAWで記録すると、同じRAWファイルを用いてカメラ内現像によりRSSのON/OFFを自由に選んでJPEG出力することができます。なのでこの2枚は同一のRAWファイルから、カメラ内現像によってそれぞれ出力したものです。

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 RSS「ON」と「OFF」で等倍拡大(PC表示の場合)比較してみるとこんな感じ。過去に試したときは、差が微妙だったこともあるのですが、今回は夜景と言うことで線がはっきりした被写体だったためか、レンズが最新世代だったためか、大きな差が確認できました。遠くのビルやクレーン、クリスマスイルミネーションなどなど、RSS利用時の解像度向上は圧倒的です。

 ただし、RRSの弊害というか4回の露光時に完全に一致しなかった部分の合成エラーも確認できます。カメラの微ブレもあるかも知れないし、飛鳥IIは水上にいるので僅かに揺れていたかも知れません。あと、さざ波が立つ水面はRRS(の動き検出)がかなり苦手とする被写体です。

HDR


 次にHDRを試してみました。異なる露出の画像を3枚撮影し、合成処理によりシャドーからハイライトまで広大なダイナミックレンジの画像を得る機能です。

 私自身はあまりHDR画像が好きではないし、使い処がよく分からないのであまり触ったことがありませんでしたが、今回日の入り前後に飛鳥IIが逆光になっていたこともあって、思いついてHDRをONにして撮影してみました。

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 これがHDRを使わずに普通に撮った画像。白飛び、黒つぶれしてるということはありませんが、HDRでどこまでダイナミックレンジが改善するでしょうか?

 今回改めて見てみるとK-1のHDR機能には5つもモードがありました。HDR1〜3は数字が大きくなるほどHDR効果が強くなります。それに加えてHDR AUTOというモードがあって、これは撮影シーン応じてHDRの効き具合を自動で調整してくれるもの。ここまではK-5時代からサポートされていました。

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 上記4つに加えて、K-S2から新たにアドバンスドHDRという新モードが追加されました。トップにも貼ったこのカットがそうなのですが、HDR処理に加え明瞭強調も同時に行っているそうです。HDR自体はそんなに強くかかってないように思えますが、明瞭強調がかなり効いているのか、押し出しの強いどぎつい映像になります。やり過ぎると鬱陶しいですが、たまにはこういうのも良いかも。

 以下その他のモードで撮ったものを並べておきます。小さなサムネイルでも効果の度合いは分かると思います。

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 左が「HDR 3」で右が「HDR 2」。両方とも明確にHDR画像で、かなり分かりやすい仕上がりです。色味が転んでるように見えるのは何でしょう?
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 そして左が「HDR 1」で右が「HDR AUTO」です。1になるとかなり自然な仕上がりで、しかし明確に船体が浮かび上がっています。一方、カメラがよきに計らってくれるというAUTOでは、ほとんどHDR効果を感じません。このシーンはHDRするには不適切と判定しているのか? この程度ならトーンカーブの調整などでなんとでもなりそうで、わざわざHDR撮影することはなさそうです。

 ちなみにHDRもRRSと同様に、RAW記録しておけばあとからカメラ内現像で、HDRのモードは好きに選択してJPEG出力することが出来ます。そのためか、RAWファイルは通常撮影時の3倍ほどの大きさになります。LightroomでこのRAWファイルを読み込むことはできますが、HDR処理はされないので注意が必要です。

横浜港は夜景の宝庫


 さて、飛鳥IIも行ってしまったことだし、今日の目的は達しました。でもそのまま換えるにはちょっと惜しいところ。もう少し遊んでいくことにしましょう。

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 みなとみらいと言えばこの風景ですよね。飛鳥IIがいなくなったあとの大桟橋からは、ランドマークタワーを初めとする美しい夜景が一望できます。手前には赤レンガ倉庫もあって、なんだか出来過ぎな夜景です。

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 大桟橋を出て像の鼻パークへ。山下臨港線の高架跡(現在は遊歩道になっています)と横浜税関の建物もライトアップされています。この辺りは新しいビルだけでなく、こうした古い建物もたくさん残っています。

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 そしてずっと歩いて、赤レンガ倉庫へやってきました。ここもライトアップされていてかなり有名な写真スポットです。というか、ここはインスタ映えスポットになっているようですね。ライトアップの灯りを使って、煉瓦をバックに写真を取ってるいかにもな感じの人達が沢山いました。大きな一眼レフを持ったおじさんは場違いかも...

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 ここまでの写真にもチラチラと写っていましたが、赤レンガ倉庫には立派なクリスマスツリーが立っていました。そしてその向こうではクリスマスマーケットなる催しに加え、恒例の屋外スケートリンクも設置されていたようで、大変なにぎわいでした。

 なお、このクリスマスツリーは本物のモミの木だそうです。神戸港のクリスマスツリーは色々あって大炎上していますが、こちらは大丈夫なんですかね。最終的に切られて再利用されることに違いはないと思うのですが、ロックフェラーセンターのモミの木のように、そもそもクリスマスイベント用のビジネスの中で回っているものなのでしょう。そう割り切ってあればそれはそれでほとんどの人は納得出来るものなのだと思います。

 他にもまだまだ横浜の夜景スポットはありますが、膨大すぎるのでまたいずれと言うことで。横浜は昼でも夜でも、写真目的でもただの観光でも食べ物目的でも、お勧めの散歩スポットです。


使用したカメラ

 今回もK-1に大三元セットを持って行きました。ここはやはり超広角が威力を発揮します。D FA15-30mmが使っていて一番しっくりきました。でなければ思い切って望遠ズームで切り取ってしまうのも一手です。むしろ標準ズームはどうしたら良いのか分からなくなり、このセットを使うようになって久々にほとんど出番がありませんでした。

PENTAX 超広角ズームレンズ HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR 21280

PENTAX 超広角ズームレンズ HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR 21280

PENTAX ズームレンズ HD PENTAX-D FA24-70mm F2.8ED SDM WR 21310

PENTAX ズームレンズ HD PENTAX-D FA24-70mm F2.8ED SDM WR 21310

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