先日購入したLUMIX GX7 MarkIIですが、その後10月中の週末は台風続きでなかなか写真を撮りに出かけられなかったのですが、それでも少しずつ新しいカメラの作法に慣れるべく撮り進めています。このカメラの使用目的や自分の使い方を考慮して、敢えて標準ズーム付きのレンズキットではなく、ボディ単体に20mmF1.7の単焦点レンズの組みあわせにしたわけですが、その最初の一本を決める際に悩んだのが、通称「パナライカ」と呼ばれるLEICAブランドを冠したSUMMILUX 15mm F1.7と、薄型パンケーキの20mm F1.7のどちらにするか?でした。
大きさ重さ、そして40mm相当の絶妙な画角に20cmまで寄れる近接撮影能力を重視して、結局20mmF1.7の方にしたのですが、最終的な決め手は価格差だったりします。SUMMILUX 15mmはLEICAブランドが付いてるにしては安い方ですが、それでも本当に気に入るかどうか分からない、初めてのマイクロ・フォーサーズに、LEICAレンズはやり過ぎだろうと思ったのです。
それで終わっていれば良かったのですが、さすがにメジャーなマウントだけあって、マイクロ・フォーサーズの既存ユーザーが何人か周りにいたりします。そして迷った末に切り捨てたはずのSUMMILUX 15mm F1.7を持っているという知人が、お節介にも親切にもすぐに貸してくれると言うではないですか。これはまずいことになったと思いつつも、興味津々で好奇心には勝てません。気に入ってしまったら、それはその時です。
ということで、20mm F1.7とSUMMILUX 15mm F1.7を取っ替え引っ替えしながら使ってみて、使い心地や写りなどを比較してみることにしました。さて、自分の最初の選択は正しかったのか? 結果はどうなるのでしょうか(A^^;)
以下、それぞれのレンズで撮影したカットを貼っていきますが、同じシーンを撮り分けて画面の隅がどうこう… などと比較したものではありません。別々の機会に持ち出して、同じように使ってみて、その使い勝手と仕上がりの納得感はどうなのか? という視点での比較ですのでご了承ください。
まずはLUMIX G 20mm / F1.7 II ASPH.
最初は私が買ったLUMIX G20mm F1.7です。このレンズは比較的歴史が古く、LUMIX GF1の時代からあるレンズです、。小型の箱形ボディによく似合うレンズとして人気があります。マイナーチェンジをしてII型になりつつ、現在も販売されています。
なのでプレーンなボディデザインのGXシリーズにはぴったりです。こんなに小さいのに明るさもF1.7もあり、最短撮影距離が20cmとあって隙がありません。ただし、画角が40mm相当ですから、スマホのカメラなどと比べてもやや狭いので何にでも使える万能レンズ、という訳にはいかず、それなりに使いこなしに工夫が必要です。ちなみにブラックとシルバーの2色から選べますが、もちろん私はボディに合わせてブラックにしました。
まずは、大きな使用目的の一つであるテーブルフォトで使ってみました。10月29日の肉の日に、小岩にあるビリエットでまたもや素晴らしいイタリアンな肉料理を食べてきたときに使ってみました。
これが10月の肉の日のために用意されていたスペシャルメニュー。もしかしてデザート?的な巨大なパイです。そのパイ生地の中には何が詰まっているのでしょうか?
一人前絵お切り分けてもらったら、贅沢にもイタリア産の黒トリュフをこれでもかというくらいにかけてもらいました。そして…
パイの中から出てきたのは北海道産のエゾジカのお肉です。巨大な塊が、清水牧場製のチーズとボルチーニ茸、ジャガイモなどに包まれて出てきました。すごいボリュームがあって最高に美味しかったです。
ということで、思わずカメラやレンズの話ではなく、お肉について語ってしまいましたが、こんな感じで思った通り、美味しい料理を撮るにはぴったりなレンズでした。画角や遠近感の付き方も自然で、自然に構えれば周囲の余計なものも入らないし、お皿全体を入れようとして仰け反る必要もありません。状況に応じてライブビューでもEVFでもどちらを使って撮るのもアリ。絞りはF2.0〜2.8位を使いましたが、フルサイズと違ってカミソリピントでボケすぎることもなく、逆にスマホで撮ったのとは明らかに違う背景ボケが得られて、なかなか期待通りに撮ることができました。
なお、AFポイントは1点モードにしているのですが、コントラストAFというか、ライブビューで撮る際に、AFエリアが大きすぎて思ったところにピントが来ないことが良くあります。GX7 Mark IIでは、1点AFポイント時には、AFポイントのサイズを変えられるので、ピンポイントにAFを合わせることも出来るのですが、そうするとAF速度が落ちたり、ピントが合わなくなったりします。
そんなこんなで、上の2枚のような失敗も何枚かしてしまいました。サムネイルだと小さいですが、左は奥にピントが行ってしまってますし、右はそもそもピントが合ってません(なのに合焦サインが出てシャッターが切れました)。老眼で背面液晶はよく見えないので、横着せずにEVFを覗くようにすればこの手の失敗は防げるとは思うのですが…。この辺りのAFの癖に慣れるところは今後の課題です。
先日のクラフトビール祭りも、実はGX7 Mark II + G 20mm F1.7で撮ってきました。最短撮影距離が短いので手を伸ばした先にピントも合わせられるし、これだけ距離差を作ればそこそこ背景もボケてくれます。なおGX7 Mark IIの高感度性能はまぁまぁだと思います。ISO1600は普通に使えるし、今のところ私はISO AUTOの上限をISO3200に設定しています。
40mm相当なので雄大な風景… には向かないかも知れませんが、遠景だってこんな感じで当たり前に普通に撮れます。
太陽が画面端ギリギリに入るという厳しい条件でも、なかなかしっかりしたコントラストを保っています。さすがにゴーストも出ているし、太陽の周辺部のフレアの出方と色転びはいかにも極小ピッチセンサっぽい感じですけど。
40mm相当という画角と近接撮影能力は、テーブルフォトだけでなくこういう写真を撮るのにも向いていると思います。
LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH. はどうなのか?
次に借り物のパナライカ15mm F1.7を使ってみましょう。こちらはフルサイズ換算で30mm相当というこれまた絶妙な画角です。
このレンズもブラックとシルバーの2色が用意されていますが、借りた個体はシルバーでした。黒ボディには当然黒… という思い込みがありましたが、シルバーのレンズも悪くありません。というより、すごく良いかも。
なお、この30mm相当とか40mm相当という画角は、ペンタキシアンにとっては、FA Limitedシリーズでおなじみの画角にちかいので、まったくもって苦手意識はありません。パナライカ15mmはだいたいFA31mm相当、20mmのほうはFA43mmよりちょっと広いくらい、と思っておけば間違いありません。
このレンズのポイントはLEICAブランドであると言うこと以外にもう一つあって、それがこのレンズ先端に設けられた絞りリングです。ここだけアルミ削り出しの部品が使われており、クリック感も上品でとても良い感じ。小さなマイクロ・フォーサーズのボディとレンズで、操作性はどうなのかな?と思いましたが、これが素晴らしい使い心地です。やはり絞りリングは絶対的な正義だと思います。これを使ったら、ちまちまと電子ダイヤルなんか回してられません。
さて、このレンズもまずはテーブルフォトで使ってみましょう。この連休中に久しぶりに招待された結婚式で使ってみました。新郎新婦から写真撮影を頼まれたわけでも期待されていたわけでもないので、純粋に自分の記録として気楽に撮ってきました。
立ち並ぶグラスが壮観ですね。乾杯のシャンパンにはじまり、ビールやワインなどなど、美味しいお酒がたっぷり飲めます。ぼやけた背景でひときわ輝いているのは、新郎新婦によるケーキ入刀です。そんななかどこにカメラを向けているのやら(A^^;
フランス料理のコースなんて、こういう披露宴でもないと食べる機会がないです。特に牛フィレのステーキは美味しかったです。
ということで、先ほどと違って食事についてあまり語ることはないのですが、写真はどんな感じでしょうか? このレンズも最短撮影距離は20cmまで寄れるので、ピントが合わなくてイラッとすることはありません。わずか5mmの焦点距離の違いですが、やはり20mmと比べると遠近感の違いは感じます。でもちょっと迫力が感じられるし、むしろこのくらいの方が見た目に近くて臨場感があるかも知れません。
上に貼ったステーキの写真はF2.8まで絞っていますが、背景のボケは十分ですからより広角になったためにフレームに入ってくる煩雑な背景はぼかしてしまうことも十分に出来ます。うん、これはこれで良いのかも?
30mm相当の画角はスマートフォンのカメラとほとんど同じくらいではないかと思いますし、このくらいの画角は見た目に近いという意味で、真の標準レンズとしてほとんど万能に使えるスペックのレンズです。なので、こうした風景的な写真も自然に思ったままに撮れてしまいます。
逆光はどうかな?と撮ってみたのですが、ピント合わせに思い切り失敗してました。これはEVFを覗いて撮ったはずなんですけどね…。この手のシーンは確かによりコントラストのある奥にAFが持って行かれやすいのですが、OVFというか一眼レフでは絶対にしないタイプの失敗です。
逆光耐性については、まぁまぁではないかと思います。さすがにこんなに堂々と太陽を入れてしまうとゴーストは避けられません。でも、20mmで起きたような妙なフレアはほとんどないです(と言っても全く同じシーンではないので直接比較は出来ません)。
マイクロ・フォーサーズくらいのセンサーサイズ向けのレンズだと、解像度のピークはわりと開放付近にあるのではないかと思うのですが、どうなんでしょうか? この2枚はF4.0まで絞りましたが、ぱっと見た感じ恐ろしくシャープですね。GX7 Mark II側の画像処理との関係かも知れません。少しシャープネス落としたくなるくらいです。
で、やっぱりこういう写真にもそこそこ使えます。ただ、背景の整理が難しくて、左端にどうしてもビルの陰が被ってしまいましたが。それはともかく、思い切って開放に設定してみたのですが、こうなるとピントはかなり薄いです。絞りリングをグリグリ回してボケをコントロールする意味は十分にあると思います。
一応、同じシーンで撮り比べて見た。
上がLUMIX G 20mm F1.7 II ASPH.で、下がLEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH.です。アスペクト比は3:2に設定しているのでご注意ください。4:3のフル画素のまま撮ると、両レンズとももう少し隅まで写ります。RAWで撮影したファイルを全く同じパラメータで現像しJPEGに書き出したものです。
うむ、画角が思った以上に違うんですよね。実際は数字通り25%分の違いなのだと思いますが。F5.6まで絞ってますし、デジタル補正も効いてると思われるので、歪みもなく光量も隅々まできっちりしていて、まったく隙がありません。
どっちにすべきか?
既に買ってしまった後で「どっちにすべきか?」も何もないし、そもそも画角が違うレンズを比べるのもナンセンスなのですが、潔く単焦点レンズ1本勝負を使用という場合に、GX7 Mark IIにぴったりな一本はどちらなのでしょうか?
Panasonic 単焦点レンズ マイクロフォーサーズ用 ルミックス G 20mm/F1.7 II ASPH. ブラック H-H020A-K
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Panasonic 単焦点 広角レンズ マイクロフォーサーズ用 ライカ DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH. ブラック H-X015-K
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軽くて薄型で値段も安い20mm F1.7は敢えて少し長めのレンズで切り取るのが好きだと言う場合にはぴったりな一本です。一方でパナライカの15mm F1.7は少々お高いですが、絞りリングの操作性は素晴らしく「写真を撮る」という行為を楽しめるし、画角の面であらゆるシーンに対応できる万能レンズであり、まさにこれ一本で済ませられるレンズです。
しかし実際に使ってみたところで、如実に感じる差は絞りリングよりも画角の差よりも、なによりも「AFスピードの違い」です。LUMIX G 20mm F1.7 II ASPH. は昔ながらのコントラストAF的な動きをして、比較的ノンビリとレンズが駆動されるのに対し、LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH. はその数倍のスピードでピントが来るのです。
実際、20mmのほうは「コンティニュアスAFに対応していない」とか「動画にはあまりお勧めしない」的なことが、メーカーのWEBページに書かれていたりします。一方で15mmは240fps駆動の超高速AFに対応している、ということがわざわざ特徴として上げられているほどで、レンズの設計なのかROM等の仕様なのか、駆動モーターの違いなのか、あるいはその全てなのか、とにかくAFに関しては、まったく動作の違うレンズと言えます。
このAF速度の違いは、レンズ駆動量の大きい近接撮影ではさらに影響が大きくなります。ということで、GX7 Mark IIの性能を生かし切るためにも15mm F1.7のほうが適したレンズと言えそうです。
Panasonic ミラーレス一眼カメラ ルミックス GX7MK2 単焦点ライカDGレンズキット ブラック DMC-GX7MK2LK
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だからこそGX7 Mark IIには初めからこの15mmをセットにした単焦点キットが用意されてるわけですね。今ごろになってその意味を理解しました。
ということで、どうしたものかな?と悩んでいます。画角が違うのだから追加で買うか、あるいは20mmを手放して15mmに買い換えるか…。本当は2本目は標準ズームが欲しかったのですが、レンズ計画は見直しが必要そうです。