酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

レッドブル・エアレース千葉2017で室屋選手の2連覇を見てきた!

 レッドブルエアレースが千葉県の湾岸地区、幕張で開催されるようになって今年で3年目です。昨年は初めてチケットを買って観戦&撮影に出かけてみたものの、土曜日は強風により午後のフライトがキャンセル、日曜日は朝から雨が降っていたのですっかり行く気を失ってしまい、結局マスタークラスのフライトを全て見逃すという大失敗を犯してしまいました。しかもレース自体は日本人の室屋義秀選手が初優勝を遂げるという、素晴らしい内容で大いに盛り上がったのですが、それだけに天候の急変と判断ミスが悔やまれます。

 さて、今年はどうしたものかと悩んでいたのですが、結局再びカメラマンエリアの2日通し券を買ってしまいました。昨年の轍は踏まないように... と言いつつ、天候ばかりは祈るしかありません。果たして今年は土曜日も日曜日も素晴らしい快晴で、風もそこそこ穏やかで絶好のエアレース日和となりました。

 むしろ天気が良すぎて日差しに焼かれ疲労困憊してしまいますが、何とかがんばって2日間とも会場に足を運び、2年越しでようやくレッドブル・エアレースを生で体感することができました。

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 しかも、なんと今年も室屋選手がスレスレの戦いを制して優勝するという、素晴らしいレース内容に会場は大変盛り上がりました。本当に見に行って良かった!

チーム・ファルケン/室屋義秀!


 まずは何をさておいても我らが室屋義秀選手です。実は2009年から参戦しているベテランで、年齢も私たち世代と大きく違わないところにも親しみが持てます。そしてなんと言っても昨年の千葉大会で初優勝を果たし、さらには前戦サンディエゴでも優勝を飾っており、ここへ来て調子が上向いてきているところ。どんなフライトを見せてくれるでしょうか。

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 南東の蘇我方面からスモークを炊いてコースインしてくる室屋選手。今年の機体はエメラルドグリーンに塗られています。これは空の色に溶け込みカメラ泣かせのカラーリングですが、とても美しいです。

 ちなみにこの機体はアメリカのジブコ社製でEDGE 540というレース用の機体。V3という最新型に室屋選手は乗っています。他の選手もほとんどがこのEDGE 540 V2またはV3を使っているそうです。

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 土曜日は2回のフリープラクティスがあります。一人あたり5分の持ち時間が与えられ、その間コースを確かめ限界を探ります。

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 レギュレーションは色々あるのですが、分かりやすいところではスタートゲートの通過速度は時速370km/h以下であること、ハイGターン中は10G以下(0.6秒間連続)に抑えること、ゲート通過時は水平±10°以内の姿勢を保つこと、ゲート通過時は一定の高さを保つことなどなどが決められており、違反するとそれぞれ1〜2秒のタイム加算ペナルティが科せられます。

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 中でも一番厳しいのはパイロンヒット。1回あたり3秒加算で2回までと決められています。なお、パイロンは非常に柔らかい繊維で出来ており、引っかけても飛行には影響がないようになっています。また空気が抜けたパイロンは、数分で修復されるように体制が整えられています。

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 ちなみにこれが実際にパイロンを修復しているときの様子。何がどうなっているのかよく分からないのですが、先っちょが切り取られてしまったパイロンをものの数分で元通りにしてしまうスゴ技です。

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 さて、土曜日の夕方にはいよいよ予選が行われます。予選結果に従って決勝の対戦相手が決められ、当然良い結果を残したほうが有利になります。室屋選手は2回の予選アタックの結果、54秒933を記録し4位となりました。まぁまぁと言ったところでしょう。

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 翌日曜日の決勝。まずRound of 14では予選結果に従って決められた組みあわせで、1対1の対決が7回行われます。それぞれの対戦の勝者が次のラウンドに進めるというトーナメント方式となっています。

 室屋選手は予選11位のペトル・コプシュタイン選手と対戦し、なんとわずか0.007秒差で辛くも勝ち残ることが出来ました。タイムは55秒950で予選からは大きく遅れています。日曜日は全体的にタイムが出なかったので、風の影響などがあるのでしょう。

 なおこれがRound of 14における室屋選手のフライトです。Nikon 1 J5で動画を撮りました。

 次のRound of 8では強敵マット・ホール選手との対戦。先行の室屋選手は54秒台の素晴らしいタイムを記録するものの、コース東端の第7ゲート通過時の姿勢が水平ではなかったと言うことで+2秒ペナルティを受けてしまいます。これで終わったか...と会場の誰もが思い、ため息があちこちで流れたその後...

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 なんと対戦相手のマット・ホール選手も高度保持をミスし、同じく2秒加算ペナルティを受けてしまいます。その結果なんと室屋選手は勝ち残ることが出来ました。大歓声が上がります!

 そしていよいよ最後のFinal 4。勝ち残った4選手が1回限りのタイムアタックで優勝を賭けて戦います。最初に登場するのはギリギリのタイムで勝ち上がってきた室屋選手です。

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 慎重且つミスのないフライトで55秒288というまずまずのタイムを記録します。残る3選手の結果待ちとなるわけですが、2番手のペトル・コプシュタインは55秒846。これで室屋選手の表彰台が決まります。

 さらにマティアス・ドルダラー選手は54秒台のペースで駆け抜けていきますが、最後のハイGターンに入る直前で、まさかのパイロンヒット! 先端が切り取られ、へなへなと崩れ落ちていくパイロンをみて、会場は俄然盛り上がってきました。

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 そして最後の一人、マルティン・ソンカ選手は54秒台中盤の超絶速いタイムを記録しますが、まさかの高度違反! ここで会場は大爆発! 勝った!ことしも室屋義秀が勝った〜!

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 ということで、手に汗握るハラハラの展開で、最後に素晴らしい結果が待っていました。正直なところRound of 14で室屋選手が敗退したら、帰途につく人もちらほら出てくるんだろうなと思っていたし、自分もどうしようかな?と一瞬考えたのですが、そんな心配は杞憂に終わりました。いやいや、良いものが見られて良かったです。

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 なお、ここまでまるでレース中に撮ったかのようなふりで写真を貼ってきましたが、実はそうではなくて写真を撮ったのは土曜日のフリープラクティスと予選のみで、決勝はカメラは念のためNikon 1 J5だけ持ち出して観戦に徹しました。

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 シーズン全8戦のうち3戦が終了した時点で室屋選手はすでに2勝を挙げ、なんとポイントリーダーとなりました。もちろん厳しい戦いが続くと思いますが、こうなったらシリーズチャンピオン目指してがんばって欲しいです。今後のレースはインターネットでフォローしていこうと思います。

その他の選手達


 さて、室屋義秀選手だけで終わりにしても良いのですが、それではたくさん撮ってきた写真が勿体ないので他の選手達(の機体)も紹介しておきたいと思います。

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 時計メーカーBREITLINGのロゴを大きく付けた深緑色のこの機体はミカエル・ブラジョー選手。わざと錆びてる風なカラーリングも凝ってます。なお、現在マスタークラスに参戦中の14機の中で、この機体だけがEDGE 540ではなく、MX社製のMXS-Rという機種となっています。初心者にはなかなか見分けがつきませんが、大きくて尖ったウィングレットは目立ちます。

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 スモークを上げながら青空に向かって垂直に登っていくのはマット・ホール選手。機体はEDGE 540 V2。昨シーズンの年間2位を記録した強豪です。

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 千葉から市原にかけての工業地帯をバックにやってくる緑色のこの機体は、フランソワ・ルボット選手。機体はEDGE 540 V2。マスタークラス参戦は3年目ながら、1970年生まれで結構いい歳です。というか、2輪や4輪のレースと違ってエアレースはわりと40代が中心となっています。

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 クリスチャン・ボルトン選手のEDGE 540 V2です。たまたまほとんど真横の姿を撮れたのですが、なんと足下がシースルーになっていますね。一瞬そういうペイントかと思ったのですが、そうではなくどうやら本物のようです。なるほど、軽量の競技用機ですから、外板は構造物ではないということなのでしょう。

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 右の翼に腕時計を巻いているのはマイケル・グーリアン選手のEDGE 540 V2。エアレースは時計メーカーのスポンサーが多いです。

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 こちらも時計メーカーがスポンサーに付いてる機体。ニコラス・イワノフ選手の乗るEDGE 540 V2は鮮やかなオレンジ色とハミルトンのロゴでひときわ目立ちます。

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 ピート・マクロード選手は機体に描かれたマークが示すようにカナダ人です。艶ありの塗装がキラキラして渋い色合いの割りに写真写りは抜群に良い機体です。

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 37番はピーター・ポドランセック選手で機体はEDGE 540 V2です。幕張海浜公園から見ると海上のレーストラックは基本的に逆光になるので、実は写真を撮るにはあまり良い場所ではありません。明るい空に機影が暗く沈みがちな中で、一瞬きれいに順光が当たる瞬間があったりするので、なかなか難しいです。

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 そんな中、土曜日の予選や決勝のFinal 4の時刻になると、夕焼け気味の空色に変わってきます。ますます写真は撮りにくくなりますが、これが嵌まるとむしろ格好良くなったりするから、シャッターを切らないわけに行きません。

 なおこの機体に乗るのは、ファン・ベラルデ選手で、機種はEDGE 540 V2です。REPSOLカラーはシンプルでこういうのも良いですね。こういうシンプルでオーソドックスなカラーリングも良いですが... 彼にはスポンサーが付いていないのでしょうか?

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 現在参戦している中で、最も手が込んだど派手な塗装のこの機体を操縦するのはペトル・コプシュタイン。機体はEDGE 540 V3です。機体横や翼の裏側もずっとこの調子で絵が描かれています。ファットスキーにありそうなカラーリングで親しみが持てます。

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 10Gギリギリを狙うハイGターンに入っていくのは昨年の年間チャンピオン、マティアス・ドルダラー。今季は優勝がなく、ちょっと不調に陥ってるのでしょうか。今回の千葉でも4位でした。

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 まるでレッドブルのワークスかのようなカラーリングのこの機体はマルティン・ソンカ選手の乗るEDGE 540 V3です。非常に強い選手なのですが、昨年の成績は振るいませんでした。それにしても太陽の光を一杯に浴びたレッドブルカラーの機体は美しいですね〜。

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 そしてレッドブルカラーの機体はもう一機あって、こちらはカービー・チャンブリスが操縦しています。彼はなんと1959年生まれと言うから、もうすぐ還暦を迎えようかというお歳。レッドブル・エアレースには2003年から参戦している超古株で、過去2回チャンピオンになっているという伝説のパイロットです。

 それでもまだ第一線でやってるわけで、まだ40代前半の室屋選手もまだまだキャリアは長くやっていけそうです。

今回は久しぶりにK-3 IIを使ってみた

 さて、ここまで大量に貼ってきた写真は、全てK-3 IIとDFA150-450mmで撮影しました。連写が必要ですし、コースまで近いと言っても機体は小さいのでそれなりに望遠は必要です。ということで、ここは無理してK-1ではなく、APS-Cで連写も速くバッファもたっぷりあるK-3 IIの出番です。レンズはDFA150-450mm以外はは必要ありません。引きが欲しくなるかな?と思い、標準ズームの16-85mmも一応持って行きましたが、使いませんでした。

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 上にも少し書きましたが、会場は基本逆光気味で光線状態はなかなか難しいです。晴れていても東京湾周辺の地平線上はモヤモヤしていますし、土曜日も日曜日も午後になって急に雲が出たり、めまぐるしく光線状況は変わっていきました。

 背景に流れるものは基本的にないので、プロペラが止まらない程度にシャッタースピードを調整しましたが、概ね1/250〜1/320secあたりで撮りました。パイロンが入るシーンではちょっと中途半端だったかも。

 なお、一番写真撮影に向いてるのは海上沖合から船に乗って撮るのが良いのかも。距離はありますが、幕張の高層ビルやマンションがはいけいになり、基本順光となるようです。

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 さて土曜日だけで約5,000枚くらいシャッターを切ってしまいました。全てRAWで撮ったので現像はかなり大変で、これ以上を処理するのはちょっと無理なので(F1ではこれ以上撮ってますが)日曜日は撮らなくて特に後悔はありません。

 天候次第ではありますが、写真撮影は各選手ともにフライト回数が多い土曜日に集中的に行って、日曜日はゆっくり決勝を観戦するというスタイルは、なかなか気楽でバランスが良いのではないかと思いました。ファインダーを覗いているのと、肉眼で見ているのでは受ける印象もちょっと違いますから。もちろん、最高の一枚を目指して、とにかく2日間とも撮りまくるのもアリですけど。

RICOH PENTAX 望遠ズームレンズ HD PENTAX-D FA150-450mm F4.5-5.6ED DC AW 21340

RICOH PENTAX 望遠ズームレンズ HD PENTAX-D FA150-450mm F4.5-5.6ED DC AW 21340

レースだけではないレッドブル・エアレースの楽しみ

 さて、エアレースの合間の空き時間には、会場ではいろいろなサイドアクト、イベントが用意されており、それらも盛りだくさんでいろいろ楽しめます。実は、今年チケットを買う最後の決め手となったのが、そのレースの合間のおまけイベント、サイドアクトにあったりします。これがなかなか他では体験できない豪華な企画でした。

 それについては次のエントリーで!

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