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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

新世代Xマウントの標準機:FUJIFILM X-T10 総集編

カメラ みんぽす FUJIFILM 写真

 約1ヶ月にわたってFUJIFILM X-T10を試用させて頂きました。あっという間に返却期限が来てしまい、あれやこれややってみたいこと、撮ってみたかったものがあったはずなのに、ほとんど消化できていません。せっかく紅葉初期の良い季節だったのにちょっともったいなかったかも。そんな不完全燃焼を感じる一方で、FUJIFILM X-T10についてはよく分かったことがいくつかあります。

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 いつも通り、試用記の最後に総集編としてまとめておきたいと思います。


このレビューで使用されている商品はWillVii株式会社が運営するレビューサイト「みんぽす」 が無償で貸与しています。本レビュー掲載は無報酬です。また、WillViiは掲載内容に一切関与していません。(本情報開示と事実誤認時の修正を除く)レビュー商品無償貸し出しサービス 「モノフェローズ」に関する詳細はこちら
(WillVii株式会社みんぽす運営事務局)


 以下とりとめがないのですが、X-T10を使っていて気に入ったこと、気になったこと、思ったことなどを順に書いていきたいと思います。

ボディサイズと機能のバランス

 まず一番印象に残ったのは小さなボディ。いえ、APS-Cサイズのセンサーを積むミラーレス機として、決して最小クラスというわけではありません。特にEVFを積んでる関係もあって高さ方向はそれなりのサイズがあるのですが、それでもこれがX-T1とほとんど同じ性能を持つカメラだと考えると、その小ささが一番印象に残ります。

 最初にざっとボディ外観を眺めてみて書いたエントリーが↓こちらです。

 ここでもう少し機能面に目を向けて、X-T1との機能的な差異を改めて調べてみると、以下のようになります。

項目 X-T10 X-T1
液晶パネル 3インチ 3:2 92万画素 3インチ 3:2 104万画素
記録メディア SDXC UHC-I対応 SDXC UHC-II対応
連写 約8.0コマ/秒(連続記録枚数:JPEGは約8コマ) 約8.0コマ/秒(連続記録枚数:JPEGは約47コマ)
内蔵フラッシュ あり なし
EVF 0.39型 有機EL 約236万ドット 0.62倍 0.5型 有機EL 約236万ドット 0.77倍
防塵防滴 なし あり
サイズ 118.4mm×82.8mm×40.8mm (幅)129.0mm×89.8mm×46.7mm
重量 381g 440g

 これ以外にも細かい部分で違いがあるかもしれませんが、ざっと仕様表で目についたのはこんなところです。センサーをはじめ、シャッターやAFまわり、フィルムシミュレーションやISO感度、撮影モード等々、基本的な部分や良く触る機能に関してはほとんど同じです。もちろんファインダーの差と防塵防滴仕様は大きな部分で、これをどう評価するかによってX-T10とX-T1の評価は変わってくるでしょう。

 しかし、それだけの差でこれだけのボディサイズ、重量(それからお値段)に差がついてしまうわけで、変にクラス分けを意識したりせず、出し惜しみのない製品仕様を見ていると、X-T10のお買い得度は相当に高いと思います。

デザインテイスト

 中身の隙の無さだけでもこのカメラの価値は十分に分かりますが、でもやっぱりXシリーズでいつも気になるのはデザインです。X-T1は実用性重視で精悍なボディデザインでした。X-T10はそれを踏襲していながらもかなり印象が異なります。細部の違いのせいなのか?大きさのせいなのか?

 使いやすいかどうかで言えば、レンズ光軸上に配置されたEVF、ほどよいグリップ、ダイヤル中心の操作系などなど、とても良く手に馴染みます。質感も金属を使っていないとは思えないほど高級感があり、手にした時の剛性感も十分。小さいわりに頼りなさはどこにもありません。小型化の弊害と言えば、三脚のねじ穴が光軸からずれていることくらいでしょう。

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 でも見た目全体から受ける印象としては、ちょっとクラシック風味に振りすぎてるような気がしています。特にこのXF35mmを取り付けた姿など、かなりのものです。細部を見れば、シャッターボタンまわりがやけに狙ってる感じがする以外は、当たり前のものが当たり前に並んでいるだけなのですが、全体の質感の仕上げや配置によるものなのでしょうか? 個人的にはちょっとやり過ぎに感じます。

 ダイヤルオペレーションはあくまでも操作性のためであって、見た目のためではないはず。中身は最新の技術が詰め込まれたデジタルカメラなのだから、もう少し最先端風味があれば良いのに、と思ってしまいます。その辺のさじ加減は非常に微妙なところなのでしょう。

画質


 さて、撮れる絵については全くもって期待通り、予想通り。約16MピクセルのX-Trans CMOS IIはもはや最新ではありませんが、その分熟成されています。

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 FUJIFILMのカメラらしく特に色鮮やかなものは得意。これはVelviaモードに設定して撮りました。夕焼けなどは見たままに撮るのが中々難しい被写体ですが、ほぼ撮って出しで行けます。

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 晴天の下、色鮮やかな紅葉とか。色飽和が怖かったのでPROVIAのままで撮りました。青空なんかもVelviaよりPROVIAのほうが自然な色合いになると思います。

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 渋い色味のものを撮ってもどことなく鮮やかさが感じられます。この辺は好みかもしれないので、イメージに合わせてフィルムシミュレーションや露出、コントラストなどをいじった方が良いでしょう。今回は試しませんでしたが、X-T10にももちろんクラシッククロームが搭載されています。

 ちょうど紅葉が最盛期の信州ビーナスラインに行っていろいろ撮ってきたときのエントリーが↓こちらです。

 PENTAX K-3と混ぜて使いましたが、仕上がり含め大きな違和感というか差異はありません。センサーサイズがAPS-Cで同じですし、一眼レフとミラーレスの垣根もこういう場合にはそれほど大きくありません。むしろボディが小さいことの恩恵を感じます。

 あと、手抜きでもうしわけありませんが、クラシッククロームについては去年試用したX30のレビューで代用したいと思います(^^;)

マクロと電子シャッター


 この↓ファーストインプレッションのエントリーでも書いてしまったことなのですが、X-T10には従来のXシリーズから大きく改善した点が二つあります。

 一つはマクロ、もう一つは電子シャッターです。

 まずはマクロ。近接撮影時にマクロボタンを押してモード切り替えする必要があった(いつの時代のカメラだ!)ことは、従来のXシリーズの大きな欠点の一つでした。これがX-T10では解消しています。

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 いえ、当たり前のことが当たり前に出来るようになっただけにすぎません。レンズの最短撮影距離までは何も考えずに使うことが出来ます。いちいちマクロ切り替えをしたり、戻し忘れていて無限遠にピントが合わなくなったりして、イラッとすることはなくなりました。

 正式にはレビュー記事に含めませんでしたが、以下のお寿司の記事もX-T10とXF35mmF1.4で撮った写真を使っています。

 このレンズ、意外にテーブルフォトに向いています。標準ズームよりも良い感じでした。もちろん、あともう数センチ寄れると良いんですけどね。このくらいの焦点距離でこのくらいのサイズのマクロレンズが欲しい気がしてきます。

 それからもう一つの改善点が電子シャッター。Xマウントはフォーカルプレーンシャッターを搭載していますが、X-T10の最高シャッター速度は1/4000secです。X-T1もそうでした。レンズシャッター機の1/1000secなどよりはマシですが、1/8000secに対応した一眼レフ等が珍しくない中では、やや見劣りします。

 しかもX-Trans CMOS IIは最低感度がISO200と他の多くのカメラより一段高くなっているため、シャッター速度と合わせて2段分露出連動範囲が狭く感じられるのです。
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 これがなぜ問題になるかと言えば、Xマウントには魅力的な単焦点レンズが数多くラインナップされているから。今回同時にお借りしたXF35mm F1.4 Rもそのうちの一本です。

 なので、Xシリーズで明るい環境で絞りを開けてフワッと背景をぼかそう...と、ナンとかの一つ覚えのようにやろうとすると、途端に露出連動範囲外の警告が出てしまい、絞ることを余儀なくされます。

 X-T10ではメカシャッターが追従しきれないときには電子シャッターを併用できるようになっています。このおかげで撮影可能なシーンが飛躍的に広がったと思います。1/8000secどころか、電子シャッターなら1/32000secまで行けるわけで、およそどんな環境でも絞りは開放まで使えます。F1.4でもF1.2でも怖くありません。

 これは弱点どころか、大逆転して強みになったと言えるでしょう。ちなみにX-T1もファームウェアアップデートで電子シャッターが使えるようになっています。

高感度


 そしてXシリーズのレビュー記事では毎回書くことですが、X-Trans CMOS IIの高感度性能は素晴らしいです。2年前からそうでしたが、現時点でもAPC-Cサイズのセンサーでは一番ではないかと思います。このまま24Mくらいに進化してくれたら最強なのですが。

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 ISO1600で撮った東京スカいつr-。XF18-55mm F2.8-4の手ぶれ補正も強力なので、手持ちでこのくらいは簡単に撮れます。ノイズが出やすい夜空あたりは拡大するとざらついているので、真面目に夜景を撮るならやはりしっかり三脚を使いたいところですが、手軽に記録、記念あるいはスナップ的に夜の街角や室内で撮るなら、ISO3200くらいまでは普通に使えると思います。

 浅草の夜景をちょっとだけ撮った↓このエントリーは全て手持ちで撮りました。

Wi-FiとEVF

 その他にX-T10を使っていて気になった部分(良い意味で)が二つあります。

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 一つはWi-Fi機能。これもXシリーズの常として非常に良くできています。このWi-Fi機能は撮影済みデータの転送と、リモート撮影の両方に対応しています。アプリがそれぞれ分かれていてむしろ分かりやすくなっています。今回は撮影済みデータの転送しか使いませんでした。

 普段はeyefi mobiを使っていますし、最近はニコン 1 J5も使うようになりましたが、今でもXシリーズのWi-Fi機能が一番使いやすいと思います。

 ただしX-T10のWi-Fiボタンは背面の十字キー右下にあるFnボタンに割り付けられていますが、この場所はイマイチだと思います。十字キーが全てファンクションキー化したこともあるのですが、通常撮影時に使うボタンが集中している十字キーまわりに、撮影とは全く関係ないWi-Fiボタンがあるのは、押し間違えたときにイラッとくる度合いがかなり高いです。

 X-T1等のように押しにくいくらいの場所に、専用キーがあれば良いのに、と(押し間違えるたびに)何度も思いました。

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 もう一つ、ある意味X-T10をX-T10たらしめている重要な要素であるのがEVF。X-T1の素晴らしいEVFの影に隠れてしまっていますが、X-T10のEVFも結構気合いが入っています。やはりEVFがあるのとないのでは、カメラとしての性格がかなり変わると思いますし、そういう意味ではEVFの出来は重要です。

 接眼窓が大きく、適度に飛び出していることもあって、X-T10のEVFは非常に覗きやすく、見た感じもそこそこ自然で、情報表示も画面に出しゃばりすぎずにちょうど良い感じです。MFをサポートする各機能はX-T1に及びませんが、前ダイヤルをワンプッシュするだけで拡大表示されるなど、ツボは押さえています。

 もちろん私はOVF好きなのですが、このくらいのEVFならまぁ良いのかな?とだんだん思えるようになってきました。

まとめ

 ズラズラと書いてきましたがまとめです。

 X-T10はX-T1の単なる廉価版かと思っていたのですが、実物に触れてみるともっと真面目に、本気で作られていることを感じさせます。Xシリーズにとってはもっと重要な戦略モデルとしての位置づけがあるのではないかと思います。

 高性能なEVFを搭載し、撮影機能には妥協なくX-T1と同等のものを搭載し、それをこのコンパクトなボディに収めてきたということで、それこそビギナーからハイアマチュアまで全ての人を網羅できる、Xマウントの良さを凝縮した一台だと思います。

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 なのでX-T1のサブ機としてはもちろん文句ないと思いますが、むしろそれに留まらず、ライトユーザーをヘビーユーザーへと引き込むきっかけの一台になり得る、もっと志の高いミラーレス機だと思います。

 それだけに、クラシックに振りすぎた外観だけがちょっと残念な感じです。もう少し現代的で万人受けするデザインであれば良いのに、と思ってしまいました。もちろん、そうなると途端につまらないカメラになってしまうのかもしれません。

 で、これまた最初のエントリーで書いた感想に戻ってしまうのですが、こうなると私的にはX-T1がむしろ気になってきました。ファームがVer.4.0まで進化したというX-T1は、私が触ったことのあるカメラとは別物になっていそうで、ちょっと気になります...。