酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

史上最小の防塵防滴一眼レフPENTAX K-S2をじっくり体験する

 リコーイメージングがCESに参考出品していた謎のAPS-C一眼レフがCP+の前に正式発表されていました。私が勝手にK-70(仮)と名付けていたカメラで、正しい製品名はK-S2です。しかしその中身はやはりK-S1の上位機というより、K-30/K-50と続いたシリーズの後継機というのがふさわしいと思われます。

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 CP+では実機に触れるようになっており、今年の目玉商品の一つだったわけですが、CP+の閉幕後に実機にゆっくりと触れさせていただける機会を得ることが出来ましので、そこで見聞きしてきたことをまとめておきたいと思います。



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 K-S2製品概要については公式WEBページが詳しくて正確なので(あたりまえ!)貼っておきます。

とにかく触ってみる

 まずは実機に触ってみましょう。

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 私の目の前にあったのは「スポーツコレクション」の「ブラック×ピンク」のボディ。写真で見る印象よりもずいぶん小さいな、というのが第一印象です。

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 背面から見るとこんな感じです。バリアングル液晶は3インチの3:2とのことですが、なぜか小さく横長に見えます。液晶のフレームは出っ張っておらず、右手のボタン操作やファインダーと干渉することはなさそうで安心しました。

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 バリアングルですから液晶面を隠すことも可能。ファインダーでの撮影に没入したいときはいいかも。ここにプリントされているロゴは"RICOH"ではなく"PENTAX"で安心しました。

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 開くとこうなるわけで。レンズ光軸から大きくずれてしまいますが、可動範囲が広く、横位置のみならず縦位置にも対応するのがバリアングルの特徴です。んー、私はほとんど使わないと思いますが。ちなみにタッチ操作には対応していません。

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 右肩にはK-30同様、モードダイヤルに露出補正ボタンとグリーンボタン。シャッターボタン周辺は光ります。K-S1と同様にスチルではグリーン、ムービーでは赤くなります。それにK-S2ではWi-Fiボタンが付いたところが目新しいところ。このWi-Fi機能は単純にFLU CARDの通信部を内蔵したとか言うのとは違って、専用アプリがiOSとAndroidに用意されるそうです。でも出来ることはそれほど変わらなさそう(今回はWi-Fi機能は試していません)。

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 マウントはもちろんKマウント。ボディ内AFモーターもちゃんと内蔵しています。キットレンズは沈胴式の DA L 18-50mm F4-5.6 DC WR RE です。廉価仕様のプラマウントでありながら、ちゃんと防滴のための赤いシーリング付き。このレンズ、沈胴操作も思ったよりしやすく、軽量でAFも静かで高速です。キットレンズとしては良く出来ています。

 ちなみに単体発売される同スペックの沈胴ズームはコーティングがHDになり、フードと専用キャップが付属するそうです。

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 電池については賛否両論色々ありますが、ボディサイズを優先したためか単三電池は入らず、リチウムイオン電池専用です。対応電池の型番はD-LI109ですからK-30、K-50、K-S1などと共用できます。

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 底面はこんな感じ。もちろん三脚ねじは光軸上にあります。液晶のフレームの収納処理もまぁまぁですかね。斜めストライプ状の彫り込みは滑り止めと言うよりはデザインだそうです。どピンクだとかなり派手に見えますね。

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 私のK-30と並べてみました。K-30はそもそも押し出しの強いデザインですし、見た目のボリューム感がかなりあるので、余計にK-S2はかなり小さく感じます。これで中身はほぼすべてK-30を上回ってるんですから、3年の技術の進歩はすごいですね。

 ちなみにシャッターを切ったときの「バシャッ」という感触はK-30と同じ系統です。K-3のしっとりした上品なフィールはもちろんいいですが、この感じも好きになってしまうとむしろ「良いねぇ」と思えてしまい「ペンタファンはこれだから...」と、他社カメラユーザーに呆れられてしまいました。

製品セミナー

 さて、今回もまた製品企画および設計の方から、K-S2とはどんなカメラなのか、プレゼンテーションを受けました。

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 K-S2のコンセプトは「本格を、自在に。たくましく。」です。これは製品のキャッチコピーにもなっていますが、Kシリーズ全般に通じる言葉ではないかと思います。

 「本格を」という部分に関しては、ガラスプリズムの100%視野率一眼レフファインダーとか、デュアルダイヤル操作系とか、20MピクセルでローパスレスなCMOSセンサーにローパスセレクターも搭載とか、そういう製品の骨格に関わる部分で手抜きをしてないよ、ということだそうです。うん、ここはよく分かります。

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 非常に細かい話ですが、カスタマイズ機能も豊富に用意されている、ということを特徴としてあげられていました。このスライドはカスタム設定の一覧ですが、赤線が引かれたものはK-S2で初めて搭載されたものらしく、どちらもインターバル撮影に関わるもの。特に10番はインターバルの撮影間隔設定に当たって、露光時間を含むか含まないかを選ぶもので、ユーザーの声を地道に反映していった結果だそうです。

 ここで私も昨年末にインターバル合成をしたときに苦労したのを思い出しました。インターバル間隔設定のこともあるけど、それよりもインターバル撮影時にリモコンやセルフタイマーが使えないことの方が問題だよな、と思って、この機に改善をお願いしておこうかと思ったところ...

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 なんと、それも既にK-S2では対応済みになっていました。多重露出、インターバル、インターバル合成ともに、それぞれリモコンあるいはセルフタイマーを使うことが出来るようにメニューが増えていました。これもまた地道な改善です。

 こういった細かい部分は、ユーザーの声はもちろん、社内のエンジニアが自主的に直していたりするそうです。「みんな写真が好きですから」と仰っていました。

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 絵作り関係で新しい機能としては「明瞭強調」という処理が追加されています。これは通常撮影時にも使えるほか、アドバンスドHDRもこの技術を使って実現しているとか。雲の表現が一番分かりやすいそうですが、このあたりは実写してみないと何とも言えません。ただしこれ、それなりに重い処理だそうで、デフォルトはOFFになっています。

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 さて「自在に」の部分に関するハイライトはやはりボディの大きさ。「世界最小ボディ」に但し書きが小さく付いていますが、「防塵防滴一眼レフ」としては世界最小、さらに「バリアングル付きの防塵防滴一眼レフ」となるとダントツで小さいそうです。沈胴式キットズームを収納した状態で、CDの上にすっぽり乗るくらい、といえばその小ささが分かると思います。

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 設計目標としてはK-xを目指したとか。実際の所奥行き以外はK-xよりK-S2の方が小さいというのだから驚きます。

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 一般的にはもはや珍しくありませんが、Kマウントでは初となるバリアングル液晶も大きな特徴です。もちろん自分撮りに対応しています。バリアングルを採用した主たる目的は自撮りかと思っていたら「それほど重視したわけでもないですが...」とやや消極的な雰囲気のコメントがありました。

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 しかし実機を見ると自撮り機能はかなり作り込まれているのです。

 上の写真は自撮りモードにした状態(ライブビューで液晶を前に向ける)ですが、こうすると自動的にWi-Fiボタンがシャッターボタンに切り替わるのです。上の写真ではWi-Fiボタンが光ってるのが分かると思います(ボケていてスミマセン)。実際にこの状態でカメラを持つと、自然と左手の人差し指がWi-Fiボタンの所にいくわけで、安定して確実にシャッターを着ることが出来ます。なお、このときグリップ上の本来のシャッターボタンは機能しなくなります。

 また同時に、自撮りモードで撮影した後は、もう一度シャッターボタン(Wi-Fiボタン)を押すまで、ポストビューが消えなくなります。自撮りの時は結果確認のためにいちいち再生モードにするのは大変なので、このような仕様にしたそうです。

 ということで、一眼レフで自撮りの需要がどのくらいあるのか分かりませんが「それほど気にしていない」的なコメントは裏腹に、かなり練り込まれた仕様となっています。

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 もう一つ面白そうな新機能があります。それがスターストリーム撮影というもの。インターバル合成+タイムラプス動画をベースに、合成時の重み付けを変えて、過去のデータがじわじわ消えていくようになっています。これは実際のデモ動画を見ていただくしかありません(公式サイトには見つかりませんでした...)

【3/2追記】 スターストリームの公式サンプル動画がYoutubeにアップされましたので貼っておきます。

 インターバル合成と同じく、常用はしないけどふと思いついたときにやってみるには面白い、飛び道具的機能かと思います。

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 さて「たくましく」の部分はもちろん防塵防滴に尽きます。このサイズで、バリアングル液晶を採用して防塵防滴を達成したというのは素晴らしいです。シーリングの数はバリアングル液晶の部分があるため、過去最高となっているとか。「水が入りにくい機構」でお茶を濁している「防塵防滴カメラ」が多い中で、このK-S2は本気でしっかりと防塵防滴処理がされています。

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 液晶のヒンジ部分もこの通り、しっかりとシール(ピンク色の部材)されています。

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 バリアングル部含めてボディ強度にもかなり気を遣ったとか。ボディを手にした感じ、あるいは液晶部を操作した感触も確かにしっかりしていました。

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 ニコンのD750が採用したというモノコックボディではなく、ステンレスのシャーシに必要部材を組み付けていく従来ながらの構造のようです。この写真がその中身だそうで、バリアングル液晶部も、外装ではなくちゃんとメインシャシーに組み付けられています。

その他展示品

 会場にはCP+で展示されていたものも含め、いくつか面白いものが置いてありました。

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 まずはこの2本の新レンズですよねぇ。K-S2に付けるとカメラはおまけのようになりますが。ここでも再度触らせてもらいましたが、やっぱりこの2本のレンズはいいです。私はMFをほとんどしないのでズームリングが前にあるのも良いと思いますし、インナーズームの70-200mmはもちろん、150-450mmも重たいなりにバランスいいです。それにやっぱりAFが速い!

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 カットモデルも間近でまじまじと見せてもらいました。大きい方は70-200mmでしょうか。かなり複雑な構造で鏡胴は金属が使われています。一方小さい方は沈胴式のキットズーム。こちらは全部プラスチックのようです。

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 実機、スケルトンモデル、シャシー。ちなみにスケルトンモデルもちゃんと動くし写真が撮れるそうです。カットモデルに続きスケルトンも他メーカーで再び流行ると面白いのに。

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 カラーバリエーションもいくつか見せてもらいました。いやいや、どれにするか悩みますね(買うんかい!)。ちなみにホワイトは"つやあり"と"つやなし"の2種類ありました。スポーツコレクションのレーシングストライプのやつは"つやあり"だったと思いますが、"つやなし"はどれだったかな? マットなホワイトボディはなかなか良さそうでした。

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 カラーバリエーションによって、この天板の意匠が変わります。これはカーボン調。ネイチャーコレクションのデザートベージュになるとモードダイヤルやシャッターボタンの仕上げも変わります。これは是非細かいところまで実物を見てから選びたい所です。

ちょっとだけ撮影


 実写の機会もありました。既にここまでに貼った何枚かはK-S2で撮ったものです(撮影データ入りのカット)。実写に使用したのはまだ開発途中の試作機と言うことで、激しく縮小されたものであり撮って出しオリジナルではありません。とりあえず雰囲気だけと言うことでご了承ください。

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 窓の外の風景を撮ってみました。夜なのでこの際高感度を試してみようとISO12800に設定してみました。そもそも縮小画像ですので詳細は分かりませんが、高感度もPENTAX機の常としてなかなかがんばっていると思います。

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 キットズームでISO3200なら何の問題もなさそう。手ぶれ補正もそこそこ効くので、手持ちでもがんばれば夜景がそこそこ撮れそうです。

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 これはD FA★70-200mmF2.8で撮りました。外は暗すぎるし、室内はいい被写体がないので適当にカーテン撮ってしまいました。これもISO3200で縮小画像なので何とも言えませんね。

買うの?

 ということで、K-S2をたっぷり味わうことが出来ました。
 一番印象に残ったのは「小ささ」です。そしてこのサイズを実現するための意気込みがひしひしと感じられ、ペンタックスファンとしてはその心意気を買わないといけないんじゃないか?という気がしてきてしまいます。ファインダーの特性がK-3と揃ってると言うことも、大きなポイントですし。でもねぇ、望遠ズームをどうするか決めていないし、今年中にフルサイズも出ると言うことなので...。

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 ずばり心に刺さるボディカラーがあったら危なかったですが、もうちょっと真面目に今後の機材計画を考えたいと思います。そのためにもはやくフルサイズの概要が知りたいです(^^;