酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

近所の紅葉を撮りつつEOS 7D Mark IIを振り返る

 キヤノンEOS 7D Mark IIもそろそろ返却の時がやってきました。自前のペンタックス以外の一眼レフカメラを触るのは本当に久しぶりのことでした。特にEOSシリーズで真面目に写真を撮ったののは、フィルム時代を含めてほとんど初めての経験です。動体撮影に「特化した」とまでは行きませんが、かなり重点が置かれたカメラであり、色々興味深い部分がありました。

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 最後はいつものようにお散歩カメラとして写真を撮りつつ、「初めてのEOS体験」を振り返ってみたいと思います。


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機能・性能:デザイン

 まずはスペックのおさらいから。思い起こせば今から2ヶ月近く前の10月の末、EOS 7D Mark II発表直後の開発者セミナーに参加させていただき、コンセプト等色々とお話を聞いてきました。


 65点オールクロスのAFセンサーと秒間10コマの連写機能、APS-Cサイズの20Mピクセルの新センサーに加え、ガラスプリズムで高倍率の一眼レフファインダーを搭載した意欲作です。EOS 7Dから5年が経過し、もはやキヤノン(とニコン)はフルサイズ機に注力し、APS-CはEOS Kissシリーズしか残さないのか?と思われていた中での、ハイエンド機の登場でした。

 DIGICを2個搭載して高速化をするという手法はEOS 7Dと同じです。AFの高速化にも寄与しているでしょうし、ミラー駆動構なども一新され、全体的な高速化を図っている訳ですが、バッファもたっぷり搭載する(JPEG時はカード容量一杯まで連写可能)など、スポーツ分野など連写が必要となる動体撮影に関する足回りは徹底して作り込まれています。望遠系に有利なAPS-C機が威力を発揮する分野としてはこの方向しかないのでしょう。ある意味、最大手メーカーらしい王道をいく製品コンセプトだと思います。


 開発者セミナーでも実機に触ることができたのですが、ごく短時間でした。その後発売前一週間くらいに実機をお借りすることが出来ました。ファーストインプレッションについて書いたのがこのエントリーです。K-3との比較はやはり設定が違いすぎて余り意味がなかったかも。

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 さて、外観デザインは良くも悪くもEOSシリーズのそれで、まったくひねりも何もありません。手にした感じは見た目を裏切る(?)剛性感で、金属ボディの質感が感じられ悪くはありません。ボディサイズは大型でかなり押し出しが強いです。当然重量もそれなりにあります。

 操作系は恐らくEOSシリーズの仕来りを踏襲しているのでしょう。EOSユーザーならば何の違和感もなく、操作できると思いますが、私にとっては色々と試行錯誤しなくてはならない部分でした。これは慣れるしかありません。使いやすいとか使いににくいとかを語る分野では無いと思われます。

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 ただ、敢えてひとつだけ言わせてもらえるなら、この電源スイッチだけはどうにも最後まで理解が出来ませんでした。撮影に関わる操作系が右手側に集中している中で、一番最初に操作しなくてはならない電源が左側。しかも指のかかりもイマイチで「パチンッ」と情けない音を出すスイッチの操作感も決して良いとは思えません。得意なはずの長い望遠レンズをつけた状態で、電源を操作するためにカメラを持ち変えるのは非常に面倒な作業です。

 私はそもそも、撮影中でも電源スイッチをいちいちOFFするほうなのですが、これはもしかしたら通常このスイッチはONにしたままにするのがEOSの正しい使い方なのかとも思いましたが、少なくともこのEOS 7D Mark IIの場合、電池容量が心許なくて、そういうわけにも行きません。

 いや、これも慣れですかね。ニコンやペンタックスのようなシャッターボタン周囲にある電源スイッチは、グリップ形状やシャッターボタンの配置に制約を生んでしまっていて、慣れない人には違和感たっぷりなのかも。

動体撮影結果

 やはりこのカメラをお借りしたからには、いつもみたいにお散歩カメラとして使うのではなく、動体を撮ってみなくてはならないと思い、いつもより気合いを入れて撮影に出かけてみました。

 残念ながらF1日本GPのタイミングには合わなかったのですが、やはり私としては自動車のレースを撮ってみることで、現在使用しているペンタックス機との差やその実力の片鱗が実感しやすいだろうと言うことで、10月末に行われたWTCC(世界ツーリングカー選手権)を撮りに鈴鹿サーキットまで行ってみました。


 このとき使ったレンズは友人から借りた旧型のEF100-400mmです。EOS 7D Mark IIはF8対応センサーも搭載していると言うことで、1.4倍テレコンも使ってみました。


 AF性能は期待通りに素晴らしく、同時に秒間10コマの連写能力との組み合わせは、こういう場合においては鬼に金棒です。ピントについては安心してカメラに任せきり、フレーミングに注意しながらシャッターボタンを押しきってとにかく数打ちゃ当たる戦法が取れます。最終的に失敗カットのほとんどは「ブレ」なのですが、これだけカット数が稼げると、最終的に得られるOKカットが劇的に増えます。

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 この素晴らしい動体追従AFと、安定した連写性能のこの組み合わせに感心したと同時に、結局歩留まりという点では、いかにブレを押さえ込めるか?という「自分の腕」にかかってるということを再認識したと言う面もあります。

 そしてさらにもうひとつ、飛行機も撮ってみました。通い慣れた羽田空港周辺ではなく、伊丹空港そば千里川土手で日暮れ前後という、素晴らしい景色が広がってる一方でとても難しい条件です。


 このとき使ったレンズは同じく友人から借りたEF70-200mmF4です。1.4倍テレコンバータも使ってみました。動体追従性能という点では車のレースほど難しくありませんが、日暮れ前後は薄暗く、夜は真っ暗になり飛行機と空港の灯りだけ光源となります。AF含めた暗所性能が重要になります。

 AFは暗くなってもしっかりと機体に食いつき、追従してくれました。むしろライトなど強い光源に弱いようですが、これは他のカメラでも同じかと思います。最終的にはISO12800まで使ってみましたが、APS-C機としては高感度性能はがんばっている方では無いかと思います。詳細に見ると当然エッジは溶けているのですが、普通に鑑賞サイズで見た時の印象が良いのは、ノイズ処理が上手いのだろうと思います。

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 また夕方の空港は光源が入り乱れ、ホワイトバランス的に難しい条件なのですが、その難しさがそのまま素直に撮影結果に表れていたように思います。

 ここでもやはり歩留まりに関わる大きな要因は、適切なフレーミングでブレを押さえ込む「腕」だな、と実感しました。カメラでカバーできる範囲は限られています。

近所の紅葉を撮る


 さて、動体撮影ばかりではなく、日常使いでどうなのかと思い、その辺の散歩に持ち出してみました。 レンズはお借りした時にキットとしてついてきたEF24-70mmF4Lです。赤線付きのフルサイズ対応Lレンズですが、APS-C(特に一回りサイズが小さいキヤノンのAPS-C)で使うには焦点距離域が微妙です。

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 東京都内もすっかり秋が深まり、木々の紅葉が目立ってきました。公園の木立の中は落ち葉の絨毯です。

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 雲ひとつない快晴! それにしても青空は本当に強烈に青く写りますね。

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 都内では真っ先に紅葉が始まり、散ってしまうのは桜の木のような気がします。春になるとあちこちに桜が咲いているのを見かけますが、そのおかげで都内でも意外にちょっとした紅葉を見ることができます。

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 でも一番目立つのは銀杏でしょうか。

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 まだ青々している機がある一方で、すでに真っ黄色で紅葉最盛期を迎えてる銀杏もあります。場所なのか、種類なのか...?

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 並木になっているとなお綺麗です。散った後は地面が真っ黄色に染まって二度楽しめます。

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 紅葉とは関係ありませんが、綺麗なバラが咲いていました。バラの季節っていつなんでしたっけ?

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 このレンズ、ちょっと面白い機構がついています。ズームリングをテレ端からさらに回せるようになっていて(ロック付き)、激しく被写体まで近寄れるようになるのです。AFは効くのですがピントが合う範囲は非常に狭くなります。なので、被写体までの距離と、ズームリングとピントリングで微調整しながら、フレーミングとピントを追い込むことになります。
 要するにおまけマクロモードなのですが、これが普通では考えられないくらいに近寄れてしまうのです。上のカットのような場合、レンズ前玉はほとんど花びらに触れるところまで行きます。

 そういえば昔はこういうズームレンズってあったよなぁ、って思い出しました。ちょっとしたマクロレンズの代わりになり得て、とても面白い機能だと思います。

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 公園内のこの森は、最盛期を迎えると真っ赤になる秘密の場所(やや大げさ^^;)ですが、まだ青々としています。なので都内の紅葉のピークはもう少し先でしょう。

 ということで、EOS 7D Mark IIはもちろんお散歩カメラとしても完璧です。その大きなボディさえ我慢すれば。いずれにしても一眼レフは良いですね。どんなに慣れていない機種でもファインダーさえ覗いてしまえば、とても安心して使えます。

 ただ... そのファインダーなんですが、どうもボケ像が変なんですよね。なんと言ったらいいのか分かりませんが、恐らくファインダースクリーンの特性なのだろうと思います。ボケている部分は妙な模様が浮き上がってきて、ちょっと気持ち悪いです。恐らくそのおかげで、ざらつきが少なくて明るいファインダーを実現できているのだろうと思います。実際、100-400mmにテレコンつけて開放F8のレンズにした場合でも、ファインダー像に暗さは感じませんでした。

 ペンタックス機はボケはボケとして綺麗に見える代わりに、F5.6あたりでもファインダーにざらつきを感じるようになります。経験ありませんが、F8ともなるとどうなってしまうか分かりません。

まとめ

 ということで、まとめると当たり前のことになってしまうのですが、気に入った点はやはりAFと連写速度の連携から来る動体撮影能力の高さです。特に連写に関しては秒間10コマという数字だけではなく、ファインダーの像消失時間も十分短く、シャッタータイムラグも小さく、妙な振動もなく、バッファもたっぷり... といったあたりの周辺まで含めた抜かりなさからくる総合的なものです。

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 そういえば細かいことですが、EOS 7D Mark IIはCFカードとSDカードのデュアルスロットになっています。そして私はCFカードを持っていないのでSDカードしか使いませんでした。一応、サンディスク製の95MB/sec対応品でしたので、書き込み速度がネックになることもありませんでした。

 そして気に入ったというか、うらやましく感じたのはやはり純正、サードパーティ含めたレンズの豊富さ。特に望遠系ではレンズシフト式で流し撮りモードを持った光学手ぶれ補正、超高速なAF駆動はペンタックスとは雲泥の差があると思います。

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 一方で気になった点としては、上でも書いたとおり大きさと重さ、電源スイッチ、妙なファインダー像、それにはじめて書きますが電池の持ちが悪いこと、です。大きさ重さは中に詰まってる性能の代償ですので、納得するしかありません。電源スイッチは些細なことだと分かっていますが、どうしても勘に障ります。ファインダー像がこの中では一番気になることかも知れません。大口径の単焦点レンズとか使うとどうなってしまうのでしょう?

 そして電池問題。ネット上のレビュー記事でも指摘されてることが多いですが、本当に心許ないです。WTCCを撮影した時は一日で2,000カット強で電池残量表示は残り1目盛り、伊丹空港ではほんの2時間ほどで1,200カットでしたが、残り2目盛りになってしまい、ヒヤヒヤしました。なので、途中からこまめに電源を切り、撮影結果確認もほとんどせず、気になっていた内蔵GPSも結局OFFにして使っていました。

 それでもカタログスペックからみて大幅に実撮影可能枚数は多いのですが、連写が軽快なだけに数千カットというのはすぐ消費してしまうわけで、感覚的にはあっという間に電池が減る!と感じてしまいます。撮影目的にもよりますが予備電池は必須だと思われます。

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 以上で「初めてのEOS体験」は終了です。AF性能差に衝撃を受けて、マウント替え、あるいはマウント追加をしたくなったらどうしよう... と半分は本気で心配していたのですが、確かに軽快で高速なAFと連写性能は私が使っているPENTAXK-3との差があることを実感しつつ、逆にある意味K-3でもそこそこいける、ということを感じたというのも事実です。

 マウント替えはありませんが、マウント追加の可能性はゼロではないんですよね。来年のF1日本GPあたりで再びこのカメラのことは思い出すことになりそうです。それまでにニコンからも対抗機が出てくることを期待したいと思います。そうしてAPS-Cももう一度盛り上がって欲しいです。