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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

5年ぶりに生まれ変わったモンスター Canon EOS 7D Mark IIを先取り体験する

 フォトキナに合わせて各社から発表された数々の新製品の中でも、一番の大物と言っても過言でないのがこのEOS 7D Mark IIです。先代EOS 7Dが発売されたのはもう5年も前のこと。APS-C一眼レフのハイエンド機はもはや2強からは出ないのか?と心配されていたところに登場した意味は非常に大きいと思います。
 先代EOS 7Dが登場した時からは技術も進歩し、市場を取り巻く状況も異なっています。しかし登場したEOS 7D Mark IIは外見共々、正常進化と言えそうな製品に仕上がっています。

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 そんなEOS 7D Mark IIを先行体験できるイベント「CANON GRAND PRESENTATION 2014」が26日から東京で開催されています。そこで実機に触れてみるとともに、みんぽすさん主催によるクローズドのイベント(開発者によるプレゼンテーション)にも参加させていただきました。以下その模様をレポートしたいと思います。


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(WillVii株式会社みんぽす運営事務局)

その前に...

 私はご存じの通りペンタックスの一眼レフをこよなく愛しているのですが、ペンタックス信者である前に一眼レフ信奉者でもあります。もちろんフルサイズには憧れていますが、あの大きなボディ、巨大なレンズには尻込みしてしまいます。なので、フィルム時代の感覚で取り回せる一眼レフとして、未だにAPS-C機は(妥協の産物ではあるけれども)ベストバランスだと思っています。

 一方で、フィルム時代からニコン、ペンタックスを使ってきたことはあっても、キヤノンのカメラとは縁がありませんでした。なので実は初代EOS 7Dが登場した時も「へぇ、凄いスペックだなぁ」以上の感想も興味も持っていなかったのですが、今回の「Mark II」には大いに興味をそそられます。

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 それは、この5年の間にフルサイズ一眼レフの裾野が広がる一方で、APS-C一眼レフの位置づけが変化し、私が使っているPENTAX K-3のようなAPS-Cのハイエンド機というのはニッチでどんどん隅に追いやられ、そのうち消える運命にあるのか?と思われていた中で登場した超メジャー商品だから。

 これはK-3(とその後継機)にとっては強力なライバルであると同時に、この市場を再び活気づける大きな推進力となるはずです。元となる市場があればこそニッチも生き残る道があるわけです。きっと。そして市場が活気づけば、二強のもう一角も何か手を打ってくるはずです。

 なので、キヤノンが最新の技術を使って作り上げたAPS-C一眼レフとはどういう製品なのか、大いなる興味を持って、見て、触って、話を聞いてきました。

まずは触ってみる

 品川港南口にあるキヤノンSタワーでこの週末に開催されている「CANON GRAND PRESENTATION 2014」の会場で、まずは実機に触れてみました。

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 商品説明のパネル。カタログとほぼ同等の内容です。

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 主要なデバイスとボディ構造の展示です。見ても「へぇ〜」しか言えないのですが、こういうの楽しいですよね。カメラって本当にいろんな技術の集大成だな、と。ちなみにここで注目ポイントは、バッテリーグリップ。これもボディ本体と同様にマグネシウム合金で出来ています。旧モデルのEOS 7Dではボディはマグネシウム合金だけど、バッテリーグリップはプラスチックだったそうです。

 ちなみに驚いたことに、「GET BGキャンペーン」と名を打って、EOS 7D Mark IIを購入し、応募した人先着10,000名がこのバッテリーグリップを無料でもらえるそうです。無料ですよ、無料。これじゃぁ、最初からバッテリーグリップを発注する人いないですよね。太っ腹にも程があります。

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 そしてハンズオンコーナーで実機にようやく触れてみます。私が手にした個体にはパンケーキレンズが付いていました。これEF40mmF2.8 STMではなくて、新製品のEF-S24mmF2.8 STMでした。AF駆動が無音、無振動で高速なので、最初はAFが動いてないのかと勘違いしてしまいました。

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 会場の奥には各種白レンズが取り付けられたEOS 7D Mark IIが並んでいます。目の前にはバスケットコートが作られ、そこで本当に試合が行われるという趣向。AFは本当にスムーズで速いです。PENTAXに慣れていると改めて驚きます。

 ごく短い時間に実機に触って感じたのは、ファインダーの良さ。キヤノンの場合、APS-Cと言ってもニコンやペンタックスより撮像素子のサイズがやや小さいのですが、それ以上に倍率が高いファインダーはとても見やすいです。そして透明の白黒液晶がスクリーンに埋め込まれているらしく、様々な表示が画面にオーバレイされます。邪魔な場合もあるかも知れませんが、その辺は設定で調整は出来るわけで、特に水準器表示とか、上手くできてるなぁ、と感心しました。

 ただし、明るい単焦点レンズなどをつけた場合のボケの再現性とか、ピントの見え具合は試すことが出来ず、分かりませんでした。あるいは、様々な光線状態で間に挟まってる液晶が気になることはないのか?といったあたりも気になります。

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 EOS 7D Mark IIの売りの一つは新開発のAFセンサー。65点オールクロスタイプ。APS-Cの小さな画面フォーマットを逆に利用し、非常に広範囲に高密度で測距点が配置されています。凄いですね、これ。今回は数分しか触れなかったので、この表示を見て感心してきただけ。実際に使ってみるとどうなんでしょうか? F1撮影で使ったら、秒間10コマ連写とともにものすごい威力を発揮するのだろうと思います。

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 大砲級の白レンズのコーナーもありました。最新のDO400mmF4の他、サンニッパや200-400mmF4などもありました。やはりスポーツ撮影に強いキヤノンの中でも、EOS 7D Mark IIはAPSーCフォーマットであることも含め、望遠レンズを使うような領域に非常に強みがあるわけで、実際プロの現場でもこういう組み合わせで使用されることが多いのでしょう。

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 ちなみに旧EOS 7Dと並べてもらいました。レンズも同じです。外観デザインについてはつまらないくらいそっくりですね。キヤノンに疎い私などは、どっちがどっちだか分からなくなります(奥が新型です)。重さはほぼ同じ。外寸は若干違いますが、手にした感じはほとんど変わりません。
 
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 EOS 7D Mark IIと言えば、カタログが7種類ラインアップされたことにも驚かされました。表紙だけでなく中に使われている作例写真もそれぞれ違うという懲りよう。鉄道、スポーツ、飛行機、動物、モータースポーツ、そして総集編版。すべて頂いてきました。

開発者による製品セミナー

 次に、みんぽすさんの主催で特別に開催していただいたセミナーで、EOS 7D Mark IIの商品企画および開発担当者の方からいただいたプレゼンテーションの内容をダイジェストでまとめたいと思います。

コンセプト

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 まずはコンセプト。EOS 7D Mark IIを一言で言い表すなら「スピードを追求したAPS-Cフラッグシップ機」です。APS-Cであることをスピードの追求に利用した(もちろん現実的なサイズの中で)ということかと思います。

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 そのEOS 7D Mark IIの特徴的なスペックを書き出すとこうなります。これらが旧7Dに対して、あるいは現ラインナップにある他機種に比べて、このカメラの特徴的な点となります。これらを実現するために様々な新技術が開発され、投入されてるとのこと。以下、それぞれのキーテクノロジーについて説明いただきました。

メカニズム

 まずはメカです。一眼レフとは切っても切り離せません。昨年、PENTAX K-3のイベントでお聞きした話も、その多くはメカについてでした。EOS 7D Mark IIについてもまずはメカの話から始まりました。

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 一眼レフで秒間10コマを達成するために一番のネックとなるのはやはりミラー駆動のようです。特にアップ時とダウン時のミラーバウンドが問題となります。それを抑えるために地道な努力が施されています。一つはミラー駆動をモーター駆動にしたこと。旧7Dはバネ駆動だったそうです。それとブレーキ機構を入れることでバウンドを低減しているそうです。このあたりの対策の方向性は手法は様々なれども各社同じですね。

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 そのミラーバウンドもメインミラーとAFのためのサブミラーの両方について、それぞれに個別の対策を施さなくてはなりません。サブミラーにはミラー自身と振動特性が逆位相となるマスダンパーを組み合わせ、振動を打ち消しているそうです。実に地味な内容ですが、こうした真面目な細かい改善が施されている「一眼レフ」という形式にロマンを感じます(^^;

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 そしてシャッターユニット。最高速度は当然のごとく1/8000sec、シンクロ速度は1/250sec。シャッターチャージも専用モーターを使い、高速、低消費電力、そして耐久性の向上をはかっているとか。

 やはりカメラ(特に一眼レフ)はメカだ!と言うことがよく分かります。そしてそこが使っていて楽しいところでもありますよね。

AFとAE

 次はセンサー関係。これもEOS 7D Mark IIのために新開発されたデバイスが使われています。

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 AFセンサーの配置図と詳細な機能の説明図。65点全クロスというだけではなく、その中にはF2.8対応センサーもあり、F8対応センサーもあり、-3EV対応センサーもあり... と、様々な手が込んだことがされています。多点であることもトピックの一つですが、どちらかというと中央一点の何でも出来る度合いが凄いなと思います。結局のところ、AFは中央一点をいかに使いこなすか、ってところはEOSでも変わらないのでしょうか。

 そしてここに至っては、比較対象が旧7Dではなく、フルサイズ機の5D Mark IIIと1DXになっています。もちろん、どっちが優れてる、と言う意味では無いと思いますが、このあたりはフルサイズ機とそもそもコンセプトが違うということなのでしょう。

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 次にAEセンサー。最新のカメラの例に漏れず、RGBセンサーが使用されています。それに加えEOS 7D Mark IIでは赤外線センサーも搭載されているそうです。赤外線センサーは光源の判別などにも役立ち、ホワイトバランスの精度が向上する効果があるとのこと。具体例として緑が綺麗に写るそうです。なるほど!

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 そしてAEセンサーの検知情報をAFにフィードバックするiTRと呼ばれる機能も搭載されています。これは1DX相当とのこと。

 上でAFは結局中央一点... みたいなことを書きましたが、やっぱり違うのでしょう。光学ファインダーを使いつつも被写体認識をし、多点オートAFの追従精度を上げているということだそうです。これはやはり動態追従が捗りそうです。

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 そして非常に力を入れて説明されていたのが、フリッカーレス撮影機能。これは蛍光灯や水銀灯のフリッカーによる露出の暴れを回避するもので、他社含めてEOS 7D Mark IIで初搭載された技術です。照明のフリッカーによる露出暴れは、カメラの高感度性能が上がり、室内でも高速シャッターが切れてしまうようになったために、顕在化してきた問題です。

 通常の測光は光源がフリッカーしていても平均値付近の露出をはじき出します。ここで高感度で高速シャッターを切ると、タイミングによりフリッカーの谷間に当たればアンダー、山に当たればオーバーとなってしまいます。

 EOS 7D Mark IIでは環境光の点滅を検出し、シャッターはかならずフリッカー周期のピークで動作するようにタイミング調整されます。ただし、この場合シャッタータイムラグがやや伸びることになるので、デフォルトではこの機能はOFFとなっています。

 古い水銀灯照明の体育館でスポーツ撮影するプロカメラマンなどには、熱望されていた機能だそうです。一般アマチュアでも、体育館での学校行事等々で恩恵があるはず、とのことです。なるほど、こういう場面に出くわしたことありませんが、こうなると今後のカメラには必須の機能のように思えてきますね。

電子デバイスとシステム

 次に電気系です。やはりデジタルカメラですから、メカだけでは写真は撮れません。データを記録する上で一番重要なのは電装系のシステムです。

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 大まかなブロック図です。撮像用のCMOSセンサーはデュアルピクセルの2020万画素。これだけ見るとEOS 70Dと同じセンサーのように思えますが、新開発の新しいセンサーだそうです。高速化のために8ch読み出しをしており、それぞれ4chずつを2つのDiGiC6で処理しているそうです。

 さて、この図と...
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 先ほど展示されていた基板実物を見比べてみると、何となくイメージがわいてきます。

 職業柄、プリント基板はじっくりと見入ってしまうのですが、2チップ使われているDiGiC6以外にも捺印は見えないように隠されていますが、大型の半導体デバイスがたくさん使われています。真ん中のDiGiC6同士をつなぐブリッジチップらしいやつが、上の図のデジタルフロントエンド処理回路ってやつでしょうか。右に二つ並んでいる正方形のチップが、それぞれ4chずつ担当しているアナログフロントエンドと...。

 いや、これらはキヤノンの方から聞いたのではなく、すべて私の勝手な想像です。

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 そういえば、EOS 7D Mark IIは連写スピードが速い上に、連続撮影枚数も大幅に改善してるんですよね。特にJPEGの場合は制限なくカードが一杯になるまでフルスピードで連写できるそうです。そんなことしないとは思いますが。こういったこともこれら電子回路各所の処理スピードアップにより実現されているのでしょう。

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 それから最新のカメラとしては当然のごとく、高感度に強くなっています。通常の最高感度はISO16000、拡張設定でISO51200まで設定可能。高感度に強くなったのはノイズリダクションが良くなっただけではなく、そもそもセンサーのS/Nを改善していることが大きく寄与しているそうです。そのあたりは70Dと比べても良くなっているし、さらに旧7Dとは比べるまでもありません。5年前のカメラですから仕方ないですね。不鮮明なプロジェクターで映された作例(をさらに撮影した写真)を見てもその差がすぐに分かります。

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 CMOS撮像センサーは70D譲りのデュアルピクセル仕様です。像面位相差AFが出来ると言うことで、動画撮影時およびライブビュー撮影時のAFスピード、精度の面で威力を発揮します。しかし光学ファインダーを使う限りは特に関係のない機能です。

ボディ

 最後にボディ構造について。

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 旧7Dとの比較。シーリング材が圧倒的に増えています。改善対策はバッテリーグリップ含めて隅々まで行われています。しかし、これまでのスライドもそうでしたが、こうして比較されてしまうと旧7Dが形無しですね。

 そういえば、友人の7Dが新品当時、鈴鹿で雨に濡れて電源が入らなくなったこがあります(その後しばらく後に何事もなかったかのように復帰したそうですが)。

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 ボディ構造はこんな感じ。外装は前面、背面、トップカバーがマグネシウム合金製。その内側のシャシーはエンジニアプラスチックと金属のハイブリッド構造のようです。

 実物を手にした感触は非常に剛性感が高く、手触りも良好でした。7D Mark IIに限らずEOSシリーズのボディって何となくヌメッとしていて、見た目にプラスチック感が漂うのですが、実物はそんな見た目を良い意味で裏切っていると思います。

 ということで、本日見て、触って、聞いてきたイベント内容は以上です。

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 残念ながら実機に触れたのは本当に少しだけで、特にEOSに慣れていない私は文字通り「触っただけ」でした。電源の入れ方は覚えましたが、メニューを一通り眺め、ボタンを一つ一つ押してみて、色々機能を探していく... という慣熟作業をしてから実際に写真を撮ってみないと(説明書も読みます。たぶん ^^;)、本当のところ、自分との相性は分からないでしょう。

 しかし手に持って、ファインダーを覗いて、シャッターを切ってみた感触は思ったよりも良かったです。EOSを避けてきた(わけではないのですが、結果的にそうなった^^;)のは食わず嫌いだったかな?と少し反省しています。

 後日、実機をお借りすることが出来る予定なので、そこでじっくりと向き合って、試用してみたいと思います。


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 今回、実はEOS 7D Mark IIの他にPowerShot G7Xも体験し、プレゼンを受けてきました。それについては次回のエントリーで!

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