さよならボーイング747

投稿者: | 2014年3月31日

 全日空のボーイング747が本日で退役しました。2年前にはすでに日本航空から退役しており、全日空も国際線から退役が進み、気がついたらわずかな数の機体が、国内線の一部路線に残っているだけとなっていました。そして今日、最後の1機が羽田−那覇線を最後に退役となりました。

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 ”ジャンボ”の愛称がつけられたボーイング747は、初期型の-100型の就航からすでに44年が経過しています。日本航空の1号機が飛んだのも44年前。全日空が国内線に導入したのは35年前。私が物心ついたときには、日本の大手キャリア2社はどちらもボーイング747を飛ばしていました。

 その後90年代になり、装備が大幅に近代化した-400シリーズを経て、2000年頃には日本の空はまさにジャンボだらけだった時代が続きます。その後、911テロや経済危機などにより、経済性がより求められるようになったことと、そしてETOPSの緩和によりボーイング777やエアバスA330などの双発機でも、洋上長距離飛行が可能となったことなどから、いかに-400で近代化を果たしたといえども、元々の設計の古い4発機のボーイング747は、活躍の場が急速に限られていくことになりました。

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 日本の空に最後まで残ったボーイング747は、-400Dと呼ばれるモデルで、今日のラストフライ機となったのは全日空仕様の-481DのJA8961でした。この-400Dというモデルは世界でも日本航空と全日空専用に開発された特別なボーイング747です。

 と言うのも、ボーイング747はそもそも大陸間横断用の長距離機として設計された飛行機ですが、日本の国内航空路線の特殊事情、つまり少ない便数で大量の乗客を運ぶために造られたのが、短距離型のボーイング747です。

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 その昔は747SR-100と呼ばれたタイプが1970年代から80年代にかけて就航。そして新世代の-400の時代になってからは-400Dというやはり短距離専用の747が日本航空と全日空向けに製造されました。

 SR-100型や-400D は、通常の長距離型に比べて燃料タンクが小型化され、エンジン出力も小さくされる一方で、離着陸回数が増えることから主脚などの構造部が強化され、短い滑走路で運用できるようブレーキも強化されました。また機内食のサービスも必要最小限で良いのでトイレやギャレーも簡略化されています。

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 一方でモノクラスで座席数を最大限まで増やし、500席以上が装備されています。御巣鷹山の事故で520人もの犠牲者を出し、単独機としては世界最大の航空機事故となってしまったのも、日本の特殊事情が生み出したSR-100型だったが故と言えるでしょう。

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 閑話休題、新世代の-400Dは通常の長距離型-400が持つ主翼先端のウィングレットを持たず、翼長も短いタイプなので、外見で判別可能です。

 ただし、その特殊な仕様であるために日本国内線以外では非常に使いにくい機体で、退役後も活躍の場はないようです。それを言ったら今の時代、長距離型のボーイング747はすべてそうかもしれません。自動車ではありませんがリセールはほとんど望めないようで、運が良ければ貨物機に改修されているくらいかと思います。

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 ちなみにここ最近日本から退役したボーイング747はテューペロというアメリカ南部、ミシシッピ州の田舎町までフェリーフライト(回送)して、そこで本当に飛行機としてのラストフライトを迎えます。あとは部品取りとして朽ち果てていくだけだそうです。過去にはピカチュウジャンボなどもここで解体されています。

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 個人的な思い出を言えば、ボーイング747と言えば日本航空の方が搭乗回数が多くて思い出深いのですが、全日空のボーイング747にも、数え切れないほど乗った記憶があります。主に国内線、それも札幌便が中心で、一昨年など何度か沖縄に行くときも乗ったと思います。あとは、確かシカゴや香港にも全日空の747で行った記憶があります。

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 何度か書きましたが、ボーイング747は大型であるがためか、旅客機としてはとても良く乗り心地が良く、乗客としてはとても安心できる良い飛行機だったと思います。国内線でも国際線でも、機内はいつも満席に近い風景しか思い出になく、あのキャパが必要なくなったとは俄には信じられません。大型機を飛ばすよりも便数を増やす方向に行ってると言うことなのでしょうか。

 これで国内線で乗る機会はなくなりましたが、まだまだ世界中にはボーイング747が飛んでおり、日本便にも就航しています。なのでボーイング747自体にはまた乗るチャンスがあるかも知れません。

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 そもそもボーイング747自体は2度目のフルモデルチェンジを経て、747-8シリーズが就航したばかり。実際、日本貨物航空が747-8Fを就航させているので、厳密にはまだ日本の空に747は生き残ってるとも言えます。

 次世代の大型長距離機として、日本航空はA350を、全日空は777-Xを発注しており、一方でスカイマークは再来年あたりにA380で国際線に進出する予定。日本航空と全日空は747を退役させて以降、A380あるいは747-8クラスの超大型機については態度を決めていません。本当に必要ないのか、あるいは時期が来たら導入するのか?

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 状況によっては一時期噂があったようにA380をいよいよ導入するとか、あるいはもしかしたら747-8Iで再びジャンボが日本の空を飛ぶってことだってあるかも。A380の短距離型が国内線を飛んだりしたら面白いなぁ、と妄想しています。

さよならボーイング747」への4件のフィードバック

  1. じょんた

    ちょっと前にオランダから帰国の際に747に乗りました。確かに海外はまだまだ現役ですね。

  2. hisway306

    じょんたさん、
    KLMですか?私も去年イタリアからの帰国の際にアムステルダムからKLMの747に乗りました。パリ経由でA380という選択肢もあったのですが、747に乗りたくてKLMにしました。ヨーロッパ便はKLMくらいですが、アメリカ便はまだDELTAやUNITEDが747を飛ばしてますね。

  3. じょんた

    はい、オランダから成田に帰国の際にKLMの747にのりました。帰国後にこの記事をみたのですが、747がレアだと知らなかったです。

  4. hisway306

    じょんたさん、
    そうなんです、急激に747は減っています。1年後はどうなってるか分からないので、乗るなら今のうちです。

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