酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

2011年F1第2戦 マレーシアGP

 マレーシアのレースは例年天候に翻弄されることが多く、また高温多湿な気候は他のレースにはあまりない条件です。セパン・インターナショナル・サーキットは近代的で特徴あるレイアウトで、中高速なタイヤには厳しいコースです。
 初戦のオーストラリアでは予想外の耐久性を見せたピレリタイヤですが、ここではさすがにシーズン前に予想されていた特性を如何なく発揮し、壮絶なピットイン合戦が繰り広げられました。幸い天候は持ちこたえたので、ウェットタイヤへのスイッチと言った波乱は起きませんでしたが。
 しかしこうなると、一つのタイヤをうまく使い、1周でも長持ちさせ、ピット回数を減らした人が断然有利になってきます。

「この段階でこれ以上ないほど満足している」 セバスチャン・ベッテル/レッドブル

 今回も完璧な予選、完璧なレース運びで、事実上トップを一度も譲ることなく危なげないポール・トゥ・ウィンを飾りました。とはいえ、予選はハミルトンと接戦になり、スタートでもちょっとしたバトルになりましたが、単独周回が始まればあとは常勝パターンです。予想されていたスコールもなく、天候も結果的に彼に味方をしました。タイヤ戦略もオーソドックスな3回交換作戦。どこにも隙がありません。
 心配事もあるとすれば、とりあえずはKERSの信頼性でしょうか。地上波放送でも映っていったように、ベッテルのマシンはKERSが途中から使えなくなってしまったようです。チームメイトのウェバーに至っては、スタート時から壊れていて、大きく順位を落としてしまいました。ベッテルというかレッドブルのマシンはそれでもトップを十分に守りきれるくらい速いというのがすごいところですけど。
 若いチャンピオンはまだ新鮮で、勝つ姿を見ていて楽しいですが、あまりにも勝ち続けすぎると「そろそろ空気読めよ...」という、勝手なファン心理が働いてくるかも知れません。でも、結果的に2連勝となっていますが、昨年のような接戦になりそうな予感も結構ありますので、何か一つ潮目が変われば、このベッテルの好調もどうなるか分かったものではありません。

「プライムタイヤが僕に本当に合っていた」 ジェンソン・バトン/マクラーレン

 タイヤを上手く使いこなすと言えばこの人。そのイメージ通りの走りで見事に2位を獲得しました。絶対的なスピードでは、チームメイトのハミルトンに敵わず、予選ポジションもイマイチなのですが、今回のようなタイヤ耐久レースになると俄然そのレース運びの上手さが出てきます。
 ハードタイヤの扱いに苦しんで、レース終盤にずるずるとポジションを下げてしまったハミルトンを横目に、バトンはむしろハードタイヤになるとタイムが向上する勢い。そのペースで誰も走ったことのない周回数を走りきり、ベッテルのたった3秒後ろでチェッカーを受けました。
 これから夏に向かってピレリタイヤの特性がこのままだとすれば、暑かったり路面が悪いサーキットで今回と同じようなことが繰り返されるかも知れません。そのとき意外に良いポジションにいるのは、ハミルトンではなくこのバトンだったりするのかも。
 シーズン前にそう予想する人はたくさんいましたが、今回のレースでは本当にそのまんまの展開になりました。恐るべしピレリタイヤ、じゃなくて恐るべしバトン、かな?

「運命を感じた」 小林可夢偉/ザウバー

 運命の相手はあびる優... ではなくてミハエル・シューマッハです。昨シーズンも同じようなポジションを走ることが多く、シューマッハ vs 可夢偉というバトルは何回か見られました。が、今回のレースでは3度までも遭遇し、全てオーバーテイクを決めました。と言っても、予選グリッドとチェッカー順を考えれば、結局そのまま同じペースで走りきったと言うことになりそうです。
 タイヤ戦略の違いがあるにしても、小林が前、シューマッハが後ろの状態で、先にシューマッハがピットインした後に、遅れて小林がピットインしてコースに戻ってくると、なぜ小林はシューマッハの後ろに出てしまうのでしょうか? 給油がない今シーズン、ピットタイムは純粋にタイヤ交換だけの時間なので、各車大きな差は出ないはずなのに。それだけ、メルセデスの作業とザウバーの作業には差があると言うことなのでしょうか? ちょっと不思議に思いました。
 それにしても小林可夢偉はバトルが上手いですね。今回のレースではオーバーテイクをしたことも、されたことも何回もありましたが、いずれもクリーンで良いバトルでした。チャンピオンチームのウェバーを再三抜きましたし(ウェバーの下手くそぶりが目立ったとも言う^^;)、シューマッハを仕留めるために1コーナーから3コーナーまで、逆を突きあう熾烈なライン取り争いも見応えがありました。
 予選でも決勝でもチームメイトを寄せ付けず、2回ストップという奇襲作戦も成功させて、堂々7位でポイント獲得。今シーズンが、いや来シーズンが本当に楽しみです。

 もう一つ見応えがあったと言えば、ハミルトンとアロンソのバトル。タイヤに苦しむハミルトンに、DRSが壊れたアロンソ。因縁の二人でしたが、すさまじい戦いでした。結果はアロンソのミスによる接触で終わりましたし、ハミルトンも進路変更のペナルティを受けて痛み分け。しかし、どんな順位にいてもレーシングドライバーはレーシングドライバーだな、と思わせる良いシーンだったと個人的には思います。あとは伏兵ルノーの強さがいよいよ本物になってきて、メルセデスのひどさは相変わらず。勢力図は徐々に動き始めているようです。

 次は早くも今週末、上海でおこなわれる中国GPです。

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