酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

F70EXRの描写性能

 先月買ったFinePix F70EXRに期待していたのは、まずは何と言っても高感度時の描写性能です。と言うのも私の場合、この手のコンパクトカメラを使う一番の用途は「飲み会の記録」なわけで、そういう場はたいていの場合とても薄暗いのです。しかも光源も微妙な色がついていたりして、オートホワイトバランスの精度も重要なポイントです。
 以前使っていたOptio W60が高感度はノイズ&色濁りでぼろぼろ、手ぶれ補正もなく、ホワイトバランスもあきらめが早くて真っ黄色になりやすいなど、飲み会写真には不向きなカメラでした。その反省の元に選択したのがこのF70EXRです。

《ISO800 DR200% 居酒屋の薄暗い光源下でも低ノイズで白が綺麗に出ます》
 この1ヶ月間ほどの間に色々なシーンで使ってみましたが、結論から言うと「飲み会写真」の仕上がりは期待通り。ほぼ間違いない絵が出てきます。感度設定もISO800でOK。場合によってはISO1600まで上げても大丈夫。高感度っぽいコントラストの低下やノイズ感はほとんど感じられません。
 CCDシフト式の手ぶれ補正も良く効くので、無理に高感度に設定することなく、ISO400やISO800のままでも、かなり薄暗いシーンまで対応できます。実は一番心配していたホワイトバランスも問題なし。微妙にその場の光源色を残しつつ、綺麗に補正してくれます。
 ということで、F70EXRは「飲み会写真」用途は完璧にこなしてくれるカメラです。これだけでもとりあえず買い換えた意味はありました。

《ISO100 DR400% 夕暮れのゲレンデ。空や雪面の微妙なトーンも山肌もきっちり写っています》

 さて、F70EXRは高感度性能以外に広ダイナミックレンジ性能も一つの特徴となっています。私にとってのコンパクトカメラのもう一つの使用目的である「スキー写真」にはぴったり。白飛び&黒つぶれのしにくさも、期待していた部分です。
 ダイナミックレンジ設定は記録画素数やISO感度、撮影モードとの組み合わせで、いろいろ制限があるのですが、とりあえず500万画素記録でダイナミックレンジ設定をAUTOにしておけば、シーンに応じてカメラが自動的に100〜400%の範囲でダイナミックレンジ設定をしてくれます。
 厳密な比較は全くしていない(する気もない)のですが、非常にコントラスト差の大きいシーンでもごく自然に階調が残り、ダイナミックレンジ拡大の効果は十分に感じられます。ただし、どちらかというと白飛び側よりも黒つぶれ防止側に働くような気がします。
 出力されるJPEG/sRGBで再現できる階調が変わるわけではないので、結局のところ、広大なミックレンジ撮影は、そのまま低コントラスト化を招くことになります。なので、実はダイナミックレンジ拡大モードは使いどころが難しいのですが、F70EXRのAUTOモードはそのバランスの上でそこそこ賢く働いているように思えます。

《ISO1600連写重ね撮り 雪の街角。重ね撮りならISO1600でも低ノイズ》
 F70EXRには他のカメラにはないいくつかのアイディアが搭載されています。その一つが"連写重ね撮り"モード。これはF70EXRの高感度性能を更に高めるモードで、ISO1600で4枚連続撮影し、画像処理で重ね合わせて1枚の画像を得るもの。ノイズが平均化されS/Nが上がります。その代わり動いている被写体には使えません。
 が、夜撮影には威力を発揮する機能かと思います。上の写真は手すりの上に置いて撮りましたが、三脚が基本的には必要です。でも、手持ちでも使ってみましたが、歩留まりは悪いものの何とかなるレベルです。多少変なことになっても何も撮れないよりはマシってもんです。


《ISO200 ぼかしコントロール 木の枝が氷で覆われていました。バックは306》
 もう一つの面白いモードが"ぼかしコントロール"です。コンパクトカメラの小さなCCDと暗いレンズの組み合わせでも、背景をぼかした写真が撮れるというモード。これもピントをずらして2枚連続撮影し画像処理を施すことで実現しているようです。
 この機能、他のレビュー記事でも色々書かれていますが、どんな場面でも使用できるわけではなく、実際に使用できるシーンがかなり限られます。具体的にはピントを合わせたい対象物と背景がかなり離れていないと無理なのです。でも、美味く嵌ればそれなりに面白い写真が撮れます。一眼レフ+大口径レンズ並みとはいきませんが。


《ISO100 いわゆる光学絞りはないレンズ。ワイド端だと周辺光量低下が気になる場合も。特に右下》
 ということで、総合的に考えて、現時点では描写性能には満足しています。その他にもまだ試していませんが"フィルムシミュレーション"という機能もあります。これはいわゆる"鮮やかモード"みたいな、仕上がり設定のことなので特に珍しくはありません。
 気になる点と言えば、ワイド端の周辺光量不足がやや気になることと、せっかく高感度性能が良いのにAFが暗いところに弱いこと。飲み屋さんくらいならOKですが、夜景になるとちょっと厳しいかもしれません。

《ISO100 DR100% ズームもかなり行けます。これは約200mm相当くらい》
 ちなみにこのカメラ、使いこなしはやや難しいような気がします。というのも、撮影モードの構成が非常に複雑。カメラお任せのオートモードにも、普通の"オート"と"EXRオート"と"Pモード"と、三つもあり、それぞれの違いが微妙なのです。
 何も考えずに撮るにはEXRオートが良いのですが、電池の消費が激しいという口コミを聞いて、私は"Pモード"で使っています。ISO感度は100-800のオート、記録画素は500万画素、画質はFINE、ダイナミックレンジはオート(100〜400%)。これだとF70EXRの高感度性能とダイナミックレンジを生かせるのではないかと思います。
 ということで、撮れる絵も含めて今のところ満足しています。やはりフジのカメラは良いです。肌に合っているような気がしてきました。この先も使ってみてまた何かあればレポートしたいと思います。