酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

2009年F1第14戦 シンガポールGP

 まるでゲームの世界に迷い込んだかのような大都市の公道で行われるナイトレース。昨年から始まったシンガポールGPはその幻想的な風景と、他にはない特徴を持ったコース、そしてそこから生み出されるとても面白いレース内容で、世界中のF1ファンを魅了しました。一年経って、その想い出に冷や水が浴びせられる事件(= クラッシュゲート事件)が発覚したものの、シンガポールの夜を駆け抜けるF1マシンの美しさには陰りはありません。

 チャンピオン争いも大詰めで迎えた今回のレース、昨年の記憶から来る事前の期待が大きすぎたのか、あるいは不甲斐ないチャンピオン候補同士のレース内容のせいか、今ひとつ盛り上がりに欠けたように思えました。結構順位の入れ替わりの激しいレースだったはずなのですが、どうも記憶に残りません。

「全体的にレースはとても単純だった」 ルイス・ハミルトン/マクラーレン
 前戦イタリアGPでは惜しくもファイナルラップでのクラッシュにより、ノーポイントに終わりましたが、終盤まではしっかりと優勝争いをしていました。ハンガリーでの突然の復活優勝に始まり、出入りの激しいレース結果ながらも、ここ数戦では確実に優勝争いに絡んでくる強さを見せています。今回も上位陣ではわりと燃料をたくさん積みながらも、ポールポジションを獲得し、レースでもセーフティカーの混乱を切り抜け、実質的に一度もトップを明け渡さないままチェッカーへ。今年チャンピオン争いをしていないのが不思議に思えるほどの貫禄のレースでした。

 彼は来年もマクラーレンに残りそうですが、マシンさえちゃんと仕上がれば、手が付けられないほどの強さを見せるドライバーなのは確かです。ただし、エンジニアに的確なフィードバックをして、勝てるマシンを作り上げるのもドライバーの腕のうちなのですが、その辺の能力はまだ未知数です。

「この表彰台は家でレースを見ているはずのフラビオに捧げたい」 フェルナンド・アロンソ/ルノー
 昨年のシンガポールの覇者、アロンソは今回は3位に入りました。その彼の昨年の成績には思いもかけない泥がついてしまうこととなりましたが、少なくとも結果が剥奪されることはないようです。今回のレースでは予選からあまり目立たなかったようでいて、実は着実に良いポジションを押さえていました。スタート直後のウェバーとのバトルによって、ポジションを失ってしまいましたが、その後は着実にペースを上げ、気がついてみれば表彰台に上がるという、しぶといレースぶり。これが実は今シーズン、ルノーとアロンソにとっての初表彰台。マシンやエンジンに大きな進歩がない中では、望外の結果だったに違いありません。

 さて、そんな中で上の引用したようなアロンソのレース後の言葉。さすがです。クラッシュゲート事件において、ほとんど全ての罪をかぶせられ失脚したフラビオ・ブリアトーレへの感謝の言葉です。いったい悪者は誰だったのか? 関係者の間には深い傷を残したのは隠しようもありません。(いや、私個人的にはアロンソが本当に無罪だとは信じていませんけどね^^;)
「良いレースだった」 ジェンソン・バトン/ブラウンGP
 チャンピオン候補最有力のバトン。予選ではQ3に進むことができなかったことに始まり、ブレーキに問題を抱えるなど、満身創痍のレースでした。それでもちゃっかり5位までポジションを回復したのは、さすがと言うべきでしょう。と言うより、見た目よりも実は素晴らしいレースをやってのけたと言えるのかも。結果的にもライバルのバリチェロよりも、わずか1ポイントでも多く取れたのだから、悪いレースだったわけはありません。

 とはいえ、シーズン終盤戦の大詰めにきて、チャンピオン争いが5位、6位で行われるというのはやはり寂しいものがあります。空力、メカニカルグリップ、エンジンがものを言う鈴鹿は、ブラウンGPに合ってるのではないかと思われます。もっともっと良いレース、良いチャンピオン争いを展開して欲しいと思います。

「ポジティブな気持ちは変わっていない」 ルーベンス・バリチェロ/ブラウンGP
 一方のバリチェロはと言えば、マシンの調子の悪さはバトンと同じレベルだったようですが、渾身のアタックでQ3に残りグリッド順でバトンに大きく引き離したはずでした。しかもスタートもジャンプアップを決めたはずだったのに...。終わってみればバトンの後ろでフィニッシュ。

 ギアボックスの故障よるグリッド降格、ピットストップの失敗、ブレーキの不調などなど...。いつぞやのように、前を走っていたはずなのになぜか気がついたらバトンに先を行かれてしまう展開。コメントとは裏腹に、なにか釈然としないものを感じてるのでは?と想像してしまいます。

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 さて、次戦は早くも今週末、いよいよ鈴鹿サーキットでの日本GPです。もう今日あたりから続々とドライバー、チーム関係者、そしてF1マシン等々が日本に到着しているはず。
 2年ぶりの"真の"日本GP、失って初めて分かる大切さをこの2年間に多くのF1ファンは感じたことと思います。無知で無恥で無智で無能で無責任で無神経な勘違い3流のオーガナイザから我々の日本GPを取り戻せたことを喜び、鈴鹿の地まで10年ぶりに出かけてきたいと思います!

---おまけ:クラッシュゲート事件
 さて、レースの裏で妙なスキャンダルや政治闘争が絶えないF1の世界。その泥沼はとうとう八百長レースにまで発展してしまいました。最初は誰もが「まさか!」と思い、フラビオとピケ親子の私怨私闘だと思われた事件は、ほとんどがピケ親子の告発通り事実だったことが判明。開いた口がふさがりません。

 モータースポーツに限らず、八百長ほどそのスポーツの意義を貶める不正はあり得ません。今回の件は正確には八百長(=あらかじめ関係者間で結果の取り決めがあった)ではありませんが、非常に不公正なやり方でレース結果に影響を及ぼしたのは事実です。

 F1界の背後を動く、巨額の資金とそれにまつわる権力闘争はまだしも(それも今夏の分裂騒ぎは行き過ぎですが)、八百長レースともなると、とうとうF1もそこまで落ちたか... とがっかりしてしまいます。今回の件が明るみに出たのは、F1の腐敗の証拠なのか、あるいはまだそれを公正に裁くだけの良心と自浄力があるとみるべきか...。

 ところで、以下はこの件に関する個人的自慢話です。事件の舞台となった昨年のシンガポールGPはどんなレースだったっけ?と思って、昨年自分が書いたシンガポールGPのエントリーを読み返してみました。すると...
ところで、個人的に疑問に思っているのですが、なぜアロンソは誰よりも早く1回目のピットインを行ったのでしょうか?燃料搭載量を自由に決められる予選15番手というポジション、抜きにくいコース特性、当然セーフティカーの導入が予想されることから考えて、軽タンクでひたすら飛ばすという作戦はどうにも考えにくいのです。いや、フラビオが何かスイッチを押したなんてことを疑ってるわけではありませんよ(^^;
 と書いてある。オレってすごい!すでにクラッシュゲート事件の存在をちゃんと見抜いていた!
 ってことを自慢したかっただけです。それだけです、はい(A^^;;