EOS R SYSTEM PREMIUM SESSIONでキヤノンのフルサイズ・ミラーレスを体験してみる

投稿者: | 2018年9月18日

 ニコンZシリーズの発表から約2週間後、今度はとうとうキヤノンからも新しいマウントを採用したフルサイズミラーレスが発表されました。新しいマウントはEFマウントをそのままショートフランジバック化したかのようなRFマウント。4種類の新しいRFレンズにEF/EF-Sレンズ用のマウントアダプター、そしてRFマウントのカメラボディとして初号機となる、その名もズバリ EOS R です。初号機に一番シンプルな名前を付けるのは EOS M と同じですが、今回の本気度はどうなのでしょうか?

 この短い期間に、レンズ交換式カメラメーカーの二大巨頭が揃って新マウントとフルサイズ・ミラーレスを発表するというのは、非常に珍しいことです。こうなるといかに一眼レフ原理主義者としても、もはやそういう時代が来てることは認めざるを得ません。いずれやってくるであろう完全ミラーレス移行の時代を見据え情報収集は欠かせません。というか、単に興味があります。

 そんな中、ちょうど9月最初の3連休中は品川にあるキヤノンSタワー(キヤノンマーケティングの本社ビル)のイベントホールで「EOS R SYSTEM PREMIUM SESSION」なる一般消費者向けのEOS Rお披露目イベントが開催されました。これまではキヤノンとは関わりの薄いカメラライフを送ってきましたが、なんと言っても一眼レフでトップシェアを行くメーカーですから、この先、ミラーレス機のベンチマークになるに違いありません。

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 ニコンZとは対照的に、ネット上のEOS Rの評判はそんなに悪くなかったわけですが、私的にはその高評価ぶりがちょっと腑に落ちませんでした。品川は生活圏内でとても近いということもですし、実物を見て確かめてみることにしましょう。

EOS R SYSTEM PREMIUM SESSION 開催概要

 まずはイベント概要から。製品発表のズレそのままに、ニコンのファンミーティングから遅れること2週間、東京を皮切りに10月末までかけて日本全国を回る予定となっています。日時や場所などは以下の公式ページにあります。

 もちろん入場無料です。さらに上の公式ページにもありますが、カタログ類とともにEOS Rのクリアファイルとステッカーがもらえます。ということで、さっそく行ってみましょう!

展示パネル

 初日土曜日の午後に行ったのですが、入り口はまったく混雑しておらずすんなり入れました。入ったすぐにはパネルが並んでいました。

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 やー、懐かしいですね、EOS 650。発表されたときの騒ぎを覚えています。ネットは騒然としていた… はずはなくて、当時の「騒然」は毎月20日に発売される雑誌と、新宿などのカメラ量販店の店頭で感じていたはずです。考えてみたらもう30年も前なんですね。当時から大径で一眼レフとしてはフランジバックを切り詰め、そして完全電子マウントだったというのは、先見の明があったというか、キヤノンの本気を感じたものです。

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 で、その後30年のEOSシステムの年表。かなりざっくりしたものです。この影に10倍以上の機種があったはず。1枚にまとめるのはかなり難しい仕事だったでしょうね。

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 そして先に進んでいくと、EOS Rの話に流れていくわけです。ただしこの辺はザッと眺めただけです。パネルが小さいわりにも字が小さくてちょっといちいちは読んでられないですからね(^^;

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 それよりも一番の目玉コーナー、EOS Rのハンズオンへ行ってみましょう。待ち時間はこの写真では25分となっていますが、私が並び始めたときは40分でした。Nikon Z 7 の時よりは短そうです!

説明員付き ハンズオン

 ハンズオンコーナーは説明員付きのカウンターになっています。見知らぬ人と会話するのは苦手なのですが、EOS Rについては聞きたいことがいくつかあるので、がんばって聞いてみることにしました。

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 皆さん熱心に色々試しています。待ちくたびれたのではやくどいて!

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 と言うことで、ようやく順番が回ってきました。いきなりRF50mm F1.2Lが付いています。すごいぶっといレンズですが、手触りは良いです。EOS Rのボディは思っていたよりもかなり小さく軽く感じました。でも見た目は意外にサマになってますね。というか格好良いとさえ思います。

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 このレンズ、鏡胴が太すぎるという面もあるのですが、それにしてもF1.2という明るさのわりに前玉が小さいんですよね。ちょっと不思議なくらい。しかも結構奥に引っ込んでいます。ちなみにピント動かすと前玉がこの鏡胴の中で前後に動いています。全群繰り出しではないと思いますが、結構重たそうなフォーカス群です。

 フィルター径は77mmで重量は950g。この数字だけ見るとPENTAXのDFA★50mmF1.4より少しずつ大きくて重たいわけですが、F1.2でこのサイズに収まっているのはバックフォーカスが短く出来るが故なのでしょうか。

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 ちなみにRF28−70mm F2Lも触らせてもらいました。これすごいですよね、一段と鏡胴が太くてもはやどうホールディングして良いのか分からないくらいです。レンズ交換するのも一苦労でした。で、さすがにこちらは前玉もかなりデカいです。フィルター径は95mmもあるのでさもありなん…。重量は1.5kg弱あります。ズームすると全長が変化しますが、ズーム倍率なりであまり大きくバランスが崩れることもありません。

 RF50mmF1.2もそうなのですが、これらのお化け級レンズを付けてもファインダーを覗いてしまえばAFもスッと迷いなく、無音無振動で動くし普通のレンズに感じられます。

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 さらに、EOS Rに取り付けた写真を撮り忘れたのですが、35mmF1.8マクロも実物を触ってきました。こちらは一転してコンパクトなレンズで、EOS Rのボディにもぴったりなサイズ感です。マクロと言ってもハーフマクロで、本格的な近接撮影用と言うより、寄れる標準単焦点と言ったところかと思います。シフトブレにも対応した4軸手ぶれ補正も入ってるしこれはなかなか使いかっての良いレンズだと思います。

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 さてEOS Rに関して説明員さんに質問したのは、新しい撮影モード、Fvモードについてです。ざっくりWEB情報を見た感じではペンタックスのハイパープログラムに近いように感じたのですが、その辺どうなのか?と言う点に興味がありました。

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 さてそのFvモード。設定するとこのようにシャッター速度も絞りもISO感度もAUTOになります。このままだと完全自動のプログラムモードと同じですが、ここから前ダイヤルを回すことで、選択されているパラメータを自分の好きな値に固定することが出来ます。動かしたいパラメータの選択は後ダイヤルでトグルしていくことが出来ます。一度値を固定したパラメータをAUTOに戻すには十字キーの左を押すだけとのこと。

 もちろん、固定するパラメータは一つに限らず二つでも良いし、最終的に全部固定してしまえばマニュアルにもなります。さらに試してはいないのですが、恐らくパネルをタッチすることでも操作はできるはず。と言うことで、なかなか使いやすそうな感じでした。

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 あともう一つ気になっていたのがこのマルチファンクションバー。2カ所のタップと2方向のスライドを検出します。デフォルトではタップにホワイトバランスが設定されているようですが、もちろん他の機能に割り当てることが出来るそうです。上手く使いこなせばこれもなかなか使いやすそう。これとレンズのコントロールリングを組み合わせたら、かなり良い感じに自分好みのカスタマイズが可能なのではないかと思います。

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 後述する開発者セミナーで使用されたこのスライドが分かりやすいと思います。二つのダイヤルに、マルチファンクションバーとコントロールリングと、計4つの操作系を使いこなせば、Fvモードはじめ色々と自由自在に扱えそうです。

 AFポイントについてはタッチパネルを使って位置指定が出来るそうですが、EOS M5で試したときの感想で言うとイマイチでした(多分私が左目が効き目であるせい)。それだけがちょっと心配です。

 全体的な操作系はボディが小さいので寸詰まり気味ですが、よく考えられていると思います。後ダイヤルが小さいのがちょっとどうなのかと思いますが、キヤノンの場合、後ダイヤルはあくまでも”サブ”であり、”メイン”は前ダイヤルなんですよね。それも、これまでのEOSシリーズの伝統に従い、シャッターボタンの後に縦に配置されています。

 左肩の電源スイッチもキヤノン伝統ではありますが、小さなボディのスペースを上手く工夫してることが他の部分で分かるだけに、左肩を電源スイッチのみで無駄にしてるのは、なんか勿体ない気がします。EOSに慣れてる多くの人には問題な良いのかもしれませんが、ニコン/ペンタックス系の人には最初の出だしで躓くポイントでもあります。

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 なお、4種類も用意されたEFレンズとのマウントアダプターも試せるようになっていましたが、実物は触っていません。私はEFレンズ持ってないですから。

撮影体験 ハンズオン

 さて、会場内には実はハンズオンコーナーがもう一つありました。そちらは1対1の説明員さんはおらず、撮影体験をメインにしたものです。待ち時間はこちらの方が短いようで、私が並んだときはほんの10分くらいで順番が回ってきました。

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 こんな感じで、中央に照明がガンガンに当てられたなんだかよく分からない植物みたいなものが置いてあります。これを被写体に見立てて自由に撮影体験をしてみよう!というコーナーです。

 ただし、撮影体験だからと言ってデータを持ち帰ることは出来ません。まぁ、発売前のカメラとしてはそれが当たり前と思うのですが、むしろニコン Z 7ではデータ持ち帰り可だったことのほうが、特別に太っ腹な対応だったと言うべきでしょうか。でもキヤノンもそれに対抗して持ち帰り可にしてくれるかも… と期待したのですが、残念(A^^;

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 さてこちらのコーナーでは、事実上のメインレンズとなるRF24-105mm ズームが付いていました。ほとんどの人はまずこのレンズとセットでEOS Rを手に入れるはず。もちろん手ぶれ補正入りでF4固定と言ったあたりは、かなり魅力的なスペックのレンズです。

 一方フィルター径は77mmで重量は700gとやや重めですが、EOS Rと組み合わせた時のバランスは悪くありません。最短撮影距離が0.45mと標準ズームとしてはちょっと遠いのが惜しいですね。

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 そう言えばと思って一応バリアングルを弄ってみました。昔に比べればヒンジ部分もパネル部分もスマートになったものです。チルトとバリアングルの利点欠点に関しては、慣れや使い方など人それぞれ好き嫌いがあるところだと思います。私はチルトのほうが好きですが、まぁキヤノンですしこれはこれで良いんじゃないでしょうか。

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 さて、その他全体的な手触りについてまとめておこうと思います。手に持った感じは軽くて小さい一方で、どこにも無理を感じないほどよいサイズ感で、とても良く手に馴染みます。上に書いたとおり操作系もEOS の伝統に従いつつ、初心者でも何とかなりそうな感じにまとまっています。困ったらタッチパネルという技もありますし。

 さらにシャッターを切った感触は、意外なくらい鋭い音がしてメカメカしく感じられました。かといってショックを感じるでもなく、きちっと節度感とキレがあって私的には嫌いではありません。

EVFについて

 EOS RのEVFについては、プレス向け発表会で触った方の何人かが絶賛されてるのを見かけたりしていたので、少し期待していたのですが、実際には「ふ〜ん…」というのが正直な感想でした。もちろん、限られた条件下の短時間のハンズオンではすから、分かることはそんなに多くないのですが、369万画素の有機ELという最新のカメラでは当たり前にあるスペックなりかな?というのが第一印象です。

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 むしろ会場が薄暗い中で人工的な強い照明に照らされた派手な被写体が置いてあるという条件は、EVFとあまり相性が良くなくて、いかにも電子画像的な感じが強調されていたように思います。自然光のシーンでもう少し見てみないと本当のところは分からないかも。EVF向きの会場デザインみたいなものはまだキヤノンも慣れてないのかも。

 なお連写中のEVF表示は当然一瞬フリーズしますが、ブラックアウトはしません。連写速度はAF固定で8コマ/秒、AF追従で5コマ/秒ですので、やはり動体向きとは言えなさそうです。ニコンもそうですがキヤノンがそっち方面にどういうミラーレスを作ってくるか、今後楽しみです。

 それよりも気になったのは、普通にシングルモードでシャッターを切った場合。デモ機はポストビューをオフしてあったのですが、シャッターを切った後ほんの一呼吸置いたところで一瞬ファインダー像がフリーズするのが気になりました。何か設定のせいなのか、ファームが完成してないからなのか、あるいはそういう仕様なのかはわかりません。

 あともう一点、ファインダ倍率について気になることがあったので聞いてきました。
 事前のリーク記事ではファインダー倍率は0.71倍と噂されており、正式発表後のデジカメWatchの↑この記事にも、ファインダー倍率は0.71倍でRF50mmF1.2を付けたときのみ0.76倍になる、と言うようなことが書かれていました。このファインダー倍率が変化するスペックの意味について、説明員の方に聞いたのですが…「なんですかそれ? どこに書いてあります?」みたいな感じで資料をひっくり返し始めました。

 で、結局色々調べたものの、カタログはじめキヤノンが発表している資料にはファインダー倍率は0.76倍(50mm時)と、当たり前のことしか書かれておらず、どうやら事前リークおよびデジカメWatchの記事がガセということに落ち着きました。

 後から公式サイトも確認してみましたが、確かに0.71倍という数字は一切出てきません。全て0.76倍で統一されています。

 なおこのファインダー倍率については、ニコンZシリーズよりも若干低めなのですが、キヤノンの説明ではアイポイントを長く取り、視野角よりも実際の見やすさにこだわった、と説明しています。そして実際眼鏡をかけたまま覗いてみると、確かに映像だけでなく撮影情報含めて全体が見渡しやすいと感じました。なので、この倍率の細かい差については、設計方針というかポリシーの違いであり、優劣を付けるポイントではないな、と思います。

低照度AFデモ

 ハンズオンコーナーとは別に、低照度AFのデモセットがひっそりと置いてありました。EOS Rではなんと-6EVでもAFが出来ることを売りのひとつにしています。素子が小さいため、像面位相差のミラーレス機は低照度AFに弱点があったはずなのですが、最近克服されつつあるどころか、一眼レフを大きく上回っています。それにしても-6EVってどういう世界なのやら?

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 これが説明パネルですが、つまり星空でもそのままAFが出来ると? なるほど、そういう使い道があるわけですね。これは本当だったらすごいことです。

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 デモは結構地味で、こんな黒い箱が置いてあるだけ。この箱の中がだいたい-6EVくらいの暗闇になっているそうです。覗き窓を開けると中を見ることができますが、本当に真っ暗でEOS Rがあるのはみえますが、奥にある被写体は何が何やら見えません。それも覗き窓を開けた場合は外光が漏れ込んでいるわけで、閉めた場合はもっと暗いはずです。

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 そして、中にあるEOS Rのライブビュー画像が横のモニターに表示されていました。タッチAFもiPadから操作できるようになっており、ピントが実際に動く様子を見ることができます。露出計の表示を見ると、ISO12800でF1.2、1/6secですから、実際夜景や星景などの撮影シーンによってはあり得そうな露出値ではあります。

 AFが利くことにも驚きますが、このライブビュー画像もなにげにすごいですね。肉眼で見えないディテールや色を再現していることになるわけで、ちょっとした暗視カメラみたいです。

EOS Rギャラリー

 さて次に見るべきコーナーはギャラリーです。有名写真家のそうそうたるメンバーを取りそろえたEOS Rによる作例が展示されています。こういう部分にキヤノンの力と本気を感じます。

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 そのメンツとはこの方々。いや〜、すごいですね。それぞれ一枚ずつ実際の作例が飾られています。

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 やや! さすがキヤノン、飛行機写真家がいます。ルーク・オザワさんによるEOS Rの作例。被写体は747-8でしょうか。翼からヴェイパーを上げながら夜間着陸する機体を見事に写し止めています。すごいですね〜、こんなの撮ってみたい!

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 この作品に付けられたルーク・オザワさんのコメントがこれ。うむ、そうですよね。分かりますその気持ち。

 撮影データもなかなかのものです。レンズはEF200mmF2なのでマウントアダプター経由と言うことでしょう。ISO10000という超高感度で、本当にAFがこれだけ食いついて、あのEVFで撮れるんだからやっぱりその世界のトップの人はすごいです。多分、連写に頼るのではなく、狙い澄ましたベストな瞬間に数コマくらいしかシャッター切らないんじゃないかと想像しています。

開発者セミナー

 会場奥にはセミナーステージがあって、色々なトークイベントが行われていました、ちょうど時間的に「開発者セミナー」を聴いてくることが出来ました。

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 クローズドの非常に広い会場です。こんなスペースが自社ビル内にあるんだからキヤノンはやっぱりすごいですね。

 なお、肝心のセミナー内容はプレスリリースの内容をザッとまとめた感じで、特に新情報や裏情報はありません。

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 気になったのはこのスライドですかね。すでに発表された4本のRFレンズは良いとして、後に並ぶ名もなきレンズ達のシルエットは単なる「イメージ」なのでしょうか? 特に右手前にある擂り鉢状の特徴的な形のレンズが気になります。何か意図を持ってこの変な形を描いたのでは?と穿ってみたくなります。

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 RFレンズのロードマップも示されましたが、内容はこういうほぼ意味のないものに過ぎません。これロードマップじゃないですから。

 この辺の先行きの見通しについても、2019年分までは一部スペックを明かしているニコンを見習って欲しいところなのですが… キヤノンはいつもこうですよね。一応、大三元シリーズ相当も出すつもりがあると言うことだけは予告されています。

その他の展示

 以下EOS R以外の展示物も一応見てきました。

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 RFマウントが出て今後が心配なEF-Mマウントですが、今回EOS Rシステムと一緒に、ひっそりと新しいEF-Mレンズが発表されました。フルサイズ換算で50mmに相当する32mmF1.4という大口径の単焦点レンズです。光学系は非常に気合いが入っていてLレンズに匹敵するとされていますが、そこでLレンズを名乗れないところがこのEF-Mの置かれた状況を良く表していそうです。

 とは言え、EF-Mマウントは量販機である”EOS Kiss”の名を継いでるからには、そう簡単には辞められないのでしょう。今後EFとRFに加えてEF-Mをどうしていくのか、他人事ながら心配です。

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 さらにEFマウントにも新しいレンズが2本発表されました。400mmF2.8と600mmF4のそれぞれ第三世代のレンズです。今回の2本の特徴はとにかく軽量化したこと。第2世代の現行品より概ね1kg近く軽くなったそうです。とは言え両レンズとも軽く3kg前後あるのですけど。しかもお値段はもう限りなく200万円に近いです。

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 ハンズオンコーナーには、わざわざ新旧を並べて違いを体感できるようになっていました。なおボディは従来の一眼レフであってEOS Rではありません。ちょっと冷やかしで触ってみたかったのですが、わりと並んでいたので諦めました。気に入ったとしてもどうにもならないですからね。

 ということで、EOS R体験イベントのレポートは以上です。

どう?買う?

 いいえ、やっぱり買いません。

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 EOS Rにに触れてみた率直な感想は「非常に真面目に使う側の立場に立って作られていて、EOSに慣れていない自分でにとっても実はとても使いやすそう」というものです。

 ダイヤルやボタンの操作感も、シャッター切った感触もとても良いし、EVFもスペック上はなにも飛び抜けたことはないのに、実際にはとても筋が通った見やすさがあると思います。なので表面的なスペックや値段から感じられる以上に、EOS Rにはキヤノンの本気が感じられるし、RFレンズはさらに気合いが入っているように思えます。

 ただ、やはり私的に気になるのはボディ内手ぶれ補正がないこと。システムの方針として「手ぶれ補正は全てレンズ内でやる」というのは一つの考え方ですが、結局のところISを搭載できないレンズというのは出てくるわけです。新発表のRFレンズも、特徴的なスペックを持つ2本がそれに当たります。明るいレンズなんだから要らないとは言い切れないし、「値段のことを考えればそもそも実用を考えるレンズではない」と言ってしまうのもとてももったいないです。

 さてそれはさておき、やはりまだ完全に信じ切れないのはキヤノンの本気度ではないかと思います。その辺りはこの先一年くらいの間にどれだけRFレンズが出てくるか、あるいは開発発表されるかで明らかになってくるかと思います。もう少し手の内を見せて欲しいというのが正直なところでしょう。

 願わくば、ボディ内手ぶれ補正を搭載した新型が出て欲しいと思います。それがあと5万円高くても私個人的には納得します。

 ということで、お値段もわずか24万円を切ると言うことですし、前評判の高さ通りバカ売れすることは間違いないと思いますが、私的には個人的な好き嫌いを多分に含んでいることを断った上で、今選べと言われたらニコンZを選ぶということで、結論づけておきたいと思います。

キヤノン EOS R フルサイズミラーレス一眼ボディー

キヤノン EOS R フルサイズミラーレス一眼ボディー

RFレンズ RF24-105mm F4L IS USM

RFレンズ RF24-105mm F4L IS USM

キヤノンSタワーの向かいはニコン本社

 さて帰り道にそう言えば向かい側にはニコン本社があるな、と思い出し立ち寄ってみました。

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 ニコンの本社ビルには誰でも自由に見学できるニコンミュージアムがあります。カメラに限らず、様々なニコン製品の歴史が展示されています。

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 この時期は双眼鏡特集をやっていました。なかなか渋い展示です。

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 ニコンFとか、昔の名機が並ぶ中に…

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 間もなく発売されるZシリーズもすでに鎮座していました。

 ちなみにニコンミュージアムはショールームではないので、現行製品を触って試すことは出来ません。対してキヤノンSタワーには、今回のイベントとは別に常設のショールームがあるので、カメラ屋プリンターはじめ、色々なキヤノン製品を実際に試してみることが出来るようになっています。

 新宿のサービスセンター&カメラ屋巡りも良いですが、品川で二大カメラーメーカーのハシゴ(加えて、すぐ近所に有名中古カメラ店があります)ができますので、是非お時間のあるときにお立ち寄りください(^^;

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