新しいiPhoneには新しいイヤフォンを! Plantronic BackBeat Go 3を使ってみる

投稿者: | 2017年11月20日

 iPhone Xに合わせてイヤフォンを新しく新調しました。私にとってiPhoneは携帯電話と言うよりも、iPodの延長線上にある音楽再生機として日々の生活に欠かせないガジェットです。

 「新しい酒は新しい革袋に盛れ」的な意味で「新しいiPhoneは新しいケースに入れる」のは至極当たり前として、それに加えてさらに「新しいiPhoneには新しいイヤフォンを使え」というのを提唱したいところです。ただ単に気分的な問題として(A^^;

 とか言いつつ、実はこれまで使ってきたBeats Xがあまり気に入ってないというのが一番大きな理由かも知れません。これは今年の6月にiPhone自体の更新に先駆けて買ってみた初めてのBluetoothイヤフォンだったのですが、どうもしっくり来ていませんでした。なので、ここはやはり新調するしかありません。

 選定条件としては、首掛け式のインナーイヤータイプで、軽量コンパクトで装着感が良く、音質的にはスカスカでもドンシャリでもないバランスの良い疲れない鳴り方をして、お値段はそんなに高くも安すぎもせず、口コミが豊富でそれなりに史上実績があるBluetoothイヤフォン… と言ったところです。

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 音質というのは聞いてみないとわからないし、好みとか思い込みとかプラセボとかあるので、あまり他人の意見というか、口コミを真に受けないようにしなくてはなりません。

 結局WEBを彷徨ってピンとくる製品を探していたら、Plantronic製のBackBeats Go 3という製品に行き当たりました。インターネットバンザイ!

Beats Xはどうなったのか?

 その前に6月に買ったBeats Xについてもう少し詳細を触れておきましょう。


 Lightningコネクタを持ち、Apple製のW1チップを搭載したこのイヤフォンは、ほとんど純正仕様とも言える製品でありiPhoneの相性は抜群です。音切れもなく接続は安定しています。

 音質的には可もなく不可もなくで、これと言った特徴はなく、特別良いとも思わなければ、聞いていて疲れるわけでもありません。ただその個性も味気もないところが、何となく気に入らない理由だったりもします。

 イヤーユニット自体がとても小さくて長時間していても耳に負担がかからないところはとても気に入ってます。しかしその裏返しなのか、遮音性はあまり良くないので没入感が希薄です。イヤーチップを取り替えれば良いのでしょうが、全体にデザインされすぎていて、イヤーチップだけ変えるのはこのイヤフォンに関しては野暮な感じだし、そこまでしても好みの音にはならないだろうな、という期待値の低さから結局堂々巡りをしてしまいます。

 さらに、”きしめん”状のフラットケーブルは結構硬くてちょっと首を動かすだけでタッチノイズがかなり耳に伝わってきますし、このケーブル自体が全体的に長すぎて、首の後ろに回していてもどうにも収まりがあまり良くありません。絡まないのは良いのですが、ケースへの収まりも良くないなど、全体的に取り扱いに困ってしまいます。

 あとはわざわざ選んだ色(ブルー)がどうも格好悪いとか…

 そんなこんなで常用するのは止めてしまったのですが、無線接続はとにかく便利だし捨てるには惜しい製品なので、現在は会社のデスクに常備し、周囲のノイズを”適度に”シャットアウトして集中したいときに使うようにしています。

Planstronicとは?

 ということで、ここからが本題です。

 結論から言うとiPhone Xととも常用する新イヤフォンは冒頭に書いた通りPlantronicのBackBeat Go 3という製品にしたわけですが、オーディオの世界には疎いので、Plantronicsというメーカー名は今回初めて知りました。

https://www.plantronics.com/jp/ja
  ↑これがPlanstronicの公式WEBサイトです。ちゃんと日本語化されていますが、そんなに情報は多くありません。

 聞いたことないメーカー名だったので、第一印象的には最近ポッと出たベンチャー企業かと思ったのですが、調べてみたらそうではありませんでした。むしろ歴史は意外に古く、1961年にカリフォルニアで起業した会社で、当初は航空機用のヘッドセットを作っていたそうです。

 そして現在販売している製品も、ODM品を買ってきてブランドだけ貼り付けているわけでもなく、少なくとも設計は自社オリジナルでちゃんとやっているようです。なるほど!

BackBeat Go 3とは?

 そんなPlanstoronicはいくつかのイヤフォン、ヘッドフォンを販売していますが、スマートフォン向けのハンズフリー通話および音楽再生用のインナーイヤータイプの主力製品が BackBeat Go 3 です。昨年発売されてそこそこ市場では値段も評価も熟れてきているようです。

 そして↑これがBackBeat Go 3のプロモーションビデオです。

 老舗と新興ベンチャー、オーディオ機器とカメラ周辺機器という違いはあれど、何やらPeakDesignに通じる雰囲気を感じますね。アメリカの企業はこういうのが上手いです。いや、私が好きなだけか? いずれにしろこの動画でまんまと吊られることとなりました(A^^;

 Amazonではだいたい9,000円弱の値付けがされています。本体色はコッパグレーとコバルトブラックの2色から選ぶことが出来ます。これがまた普通のブラックとかグレーではないところが気が利いています。

 内蔵するドライバは6mm径のダイナミック式です。それにしてもBluetoothイヤフォンにBAドライバを搭載した製品がないのはなぜでしょう? Bluetoothを使う以上、オーディオ性能的に無意味と言うことなのか、あるいは電池寿命などの問題なのでしょうか?

 閑話休題。本体のみの単体パッケージ以外に、充電ケース同梱のパッケージも用意されています。こちらの場合は単体よりも2,000円ほど高くなります。私は「充電ケース」というのが何ものなのかよく分からないまま、ケース付きの方が良いよね、という安易な理由で充電ケース同梱モデルを買ってみました。

実物を眺めてみる

 さっそくAmazonから届いたので、実物を眺めてみましょう。

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 一見すると普通の箱なのですが…

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 実はパカッとフリップ式になっています。プロモーションビデオの作り方だけでなく、パッケージまでPeakDesignにそっくり。ただしこちらはフリップ部に磁石が使われているなど手が込んでいます。

 電池に関する仕様はパッケージに書かれています。重量はわずか19gです。そして、シールが貼ってある通り、完全防水ではないものの汗への耐性は考慮されているとのことです。

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 同梱品はこんな感じです。本体とケース、交換用のイヤーピースにUSBケーブル。これ以外に7カ国語分の説明書が入っていました。

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 肝心の本体を眺めてみましょう。電池はイヤーピースに内蔵されており、ケーブルにはリモコンが付いてるだけのシンプルな外観です。そのケーブルは滑りが良く、やや扁平型ですがそこそこ細くて柔らかいです。長さは実測で約60cmほどと、首の後ろに回すと短すぎず、長すぎずちょうど収まりが良い感じです。重量は19gと

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 イヤーユニット本体部はこんな感じ。電池を内蔵しているので仕方ありませんが、Beats Xのように超小型ではありません。ただし以前使っていた4way BAユニット内蔵の高級イヤフォンとUE900と似たようなサイズ感と重さです。

 小さなウィングチップも取り外し式ではなく固定ですが、この部分は固いプラスチックではなく、フニャフニャのゴム製なので耳に当たって痛くなることはなさそうです。

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 右側に付いているリモコン部。3ボタンのかなりシンプルなもの。中央のボタンが電源のON/OFFや再生/停止のためのボタンで、+/-のボタンはボリューム調整用です。

 このリモコン部はスリムで小さいので装着感には影響ありません。ただ、ケーブル全体が短いせいか右側ユニットのかなり近いところあるので、慣れないうちは手探り一発でこのリモコンを探し当てられません。

 なお、電源に関しては特にステータスLEDはないのですが、リモコンボタンでON/OFFする際に音声でPower ONなのかPower OFFなのか知らせてくれます。

 ちなみにこのBackBeat Go 3はハンズフリー通話対応なのですが、マイクはやはりこのリモコン部に入っているようです。そして仕様には”ノイズキャンセル対応”と書かれているのですが、これは周辺音を消して音楽に没入するためのいわゆるノイズキャンセルではなく、通話時のエコーキャンセルのことを指しているようです。

 電話で使うことはまずないのでこの辺は特にどうでもいい機能ではあります。

充電関連

 次に電源周りを見ていきましょう。この本体を見たときに一体どうやって充電するのだろうと不思議に思いました。

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 その種明かしはこうです。右側のユニットのカバーを開けると、このようにmicroUSB端子が出てきます。頻繁に開け閉めする部分なのですが、カバーの固定部がへたったりしないか心配です。

 充電ステータスはLEDで確認できるほか、電源ON時に音声で再生可能時間を毎回知らせてくれます。

 なお、充電時間は最大で約2.5時間m満充電からの音楽再生は約6.5時間、スタンバイ状態では14日間、ディープスリープなら半年は待ち受けできるとのこと。サイズを考えたら十分な電池寿命だと思います。

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 そして優れものなのがこの専用ケース。その名も「充電ケース」です。何が充電なのかと思ったら…

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 このケース自体にモバイルバッテリーが内蔵されていて、こうしてケース自体を充電することが出来ます。ステータスLEDも付いていて大ざっぱな残り容量が分かります。

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 ケースの中にはUSBケーブルが組み込まれていて、こうして出先や持ち運び中にイヤフォン本体に接続し充電することが出来ます。このケース内蔵の電池で、BackBeat Go 3を2回満充電にすることが可能だそうです。

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 はい、つまりまとめるとこういうことです。なるほど!

 ちなみにこのケース自体、帆布のような素材で出来ていてかなりしっかりした造りです。電池内蔵とは言えイヤフォンを入れておくスペースの容量もちゃんとあって出し入れも簡単です。

専用アプリでF/Wアップデートが可能

 BackBeat Go 3にはiOS/Android用の専用アプリが用意されています。イヤフォン用のアプリとは一体なんぞや? ということでさっそくダウンロードしてみました。

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 アプリの名はそのものずばり「BackBeat Go 3 Companion」です。評価件数が不十分という表示が気になります。あまり使われていないのでしょうか?

 真ん中と右側のスクリーンショットは起動してみたところ。接続されていればこのように接続先と残り再生可能時間、製品シリアルナンバー、ファームウェアのバージョンが確認できます。電池容量を確認するには、上にも書いた通り音声案内もあるのですが、このアプリを使うのが一番簡単だと思います。

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 左上のハンバーガーアイコンからメニューを開いてみました。Settingの他に接続先の切替や使用方法を確認することなどが出来るようです。

 起動してみたところ、Settingに赤い丸数字で”1″と表示され、真ん中のスクリーンショットのようにFirmware Updateがあるとの通知が表示されました。接続の安定が向上するとのことなので、さっそくアップデートを実行してみました。完了までにかかった時間は5分ほどです。なお、ファームウェアアップデート実行時は、イヤフォンを電源につなぐように促されます。

 さらにLanguageというメニュー項目を開いてみたのが右のスクリーンショットです。電源ON/OFF時に音声で電池の残り容量や、今行ってる操作内容を教えてくれると書きましたが、その音声の言語を選ぶことが出来ます。デフォルトは英語(米語)です。スクリーンショットの通り日本語に変更することも出来ます。

 日本語を試してみたところ、変な日本語を喋るわけではないのですが、何となく気持ち悪いのでデフォルトの英語に戻してしまいました。

イヤーチップを取り替える

 さて、肝心の音はどうかといえば、これは冒頭に書いた通り個人の好みや感覚の違いがあるので何とも言えないのですが、ダイナミックドライバーらしく低音まで響く割りに素直でカラッとしており、音場の広がりも奥行きも十分に感じられます。BAドライバのような粒立ちの細やかさはないのですが、Bluetoothなり値段なりに良く出来ていると思います。

 ただ、標準で付いてくるシリコンデイのイヤーチップは、Lサイズに交換してみてもどうにも収まりが良くありません。外れてしまうほど装着感が緩いわけではないので、これが設計上の狙いなのだろうと思いますが、私の好みとしてはもっと完全に密閉して、耳の中でしっかりと低音を鳴らし、気温額に没入したいと思います。そのためにイヤーチップを交換してみることにしました。

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 しっかりと耳にフィットして密閉感を高めるといえばコンプライです。柔らかい低反発素材で出来ておりギュッと押しつぶして耳の奥に装着すれば、時間差でゆっくりと形状が復元してきて、自然と耳の形に合わせてフィットし隙間を埋めてくれます。

 BackBeat Go 3はイヤーピースの軸がかなり太いので、コンプライのイヤーチップで適合するのはT-600シリーズです。互換品もほとんど無くてまだ結構高いです。

 過去にUE900でLサイズのコンプライを使っていてぴったりだったので、今回もLサイズで良いと思うのですが、万が一ということもあるのでお試し用に1セットのみ買ってみました(コンプライのイヤーチップは寿命があるので定期交換が必要です)。

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 標準付属のシリコンイヤーパッドと並べるとこんな感じです。右から標準シリコンパッドのS、M、Lサイズで、左端がコンプライT-600のLサイズです。パッケージから取りだしたばかりで少しひしゃげていますが、時間をおけば自然と形は元に戻るはず。

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 さっそくBackBeat Go 3に取り付けてみるとこんな感じになりました。耳に装着してみると期待した通りに密閉感は抜群で、ほとんど周囲の音は聞こえなくなり、音楽だけが頭の中で鳴り響いて没入感を楽しめます。もちろん音のバランスも良くなり、低音から高音までフラットで鋭く鳴るようになりました。Bluetoothでもここまでできる!コンプライ最高!

 なおT-600シリーズのMサイズは全国的に在庫切れを起こしているようで、Amazon以外でも現在はSかLしか見つかりません。

Comply(コンプライ) T600 イヤホンチップ ブラック 1ペア (L)

Comply(コンプライ) T600 イヤホンチップ ブラック 1ペア (L)

 Lサイズであれば1ペアのみのパッケージもあります。これはこれでかなりいいお値段しますが、お試しなら1セット品を探した方が良いと思います。私はLでぴったりだったので、そのうち交換用に3セットパックを追加しておこうと思います。

でもやっぱりUE900には敵わない…?

 さて、これまで4年ほど使ってきたUE900と比べてどうなのか? と言えば、やはり音質面ではBluetoothイヤフォンには越えられない壁がやはりありそうです。

 
 有線ということ以上にドライバユニットの質がそもそも違いますから。4wayのBAユニットを駆使したUE900は、立ち上がりが鋭くて、ひとつひとつの音がクリアでありながら、しかし繊細でとても上品な音楽を奏でます。

 しかし、イヤフォンジャックがなくなってしまったiPhone XにUE900のような有線のイヤフォンをつなぐにはLightningとミニジャックの変換アダプタを挟む必要があります。

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 このアダプタはiPhone Xのパッケージに標準添付されているので、改めて買う必要はないのですが、そもそも格好悪いし、取り回しも悪いし、さらにはこのアダプタの中にコーデックからDAC、アンプまで詰め込まれているらしく、そもそもアナログ的性能面でUE900の高音質を十分に生かせるものではないというジレンマに陥ります。

 思い込みかも知れませんが、それでもちょっと試しにiPhone XにつないでみたところUE900はやはり素晴らしい音がしました。いろいろ本末転倒なのは承知の上で、結局またこれに戻ってきてしまうんじゃないか?と少し心配しています。

 まぁそうなったらその時はその時でまたどうするか考えたいと思います。

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