PENTAX K-3 IIのGPSログ機能を使ってみる

投稿者: | 2016年1月7日

 PENTAX K-3 IIは内蔵フラッシュを捨てた代わりにGPS機能が内蔵されています。GPS内蔵のカメラはコンパクト機を中心に過去にも現在にもいくつかありますが、Wi-Fiが内蔵必須となりつつある一方で、GPSはあまり流行っているとは言えません。

 PENTAX K-3 IIの場合はGPSと地磁気センサーとSR機構を組み合わせてアストロトレーサー(簡易赤道儀機能)を実現しているところが唯一無二の特徴なのですが、それはいまだ試したことはありません。

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 一方で単純にGPSによるExifへのジオタグ記録は良く利用していますが、さらにそれに加えてK-3 IIではGPSロガーとして移動ログを記録することも出来ます。

 ということで、今更ですがK-3 IIのGPSログ機能がどんな感じなのか確かめてみました。

私的GPS内蔵カメラの歴史

 その前に、まずは私が使ったことのあるGPS内蔵カメラの歴史をおさらいしてみましょう。カメラのGPS内蔵には興味があって結構早い段階から手を出してきていました。

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 一番古いのはこれ。ニコンのCOOLPIX P6000という機種。今から約7年前の2008年のことです。恐らくGPS搭載デジタルカメラとしては最も古い部類です。この頃は電源を入れてから衛星を補足するまで数分かかり、ほとんど役に立たない上に電池だけ消費するとんでもない機能でした。

 その次に手にしたGPS内蔵デジカメはこれ。富士フイルムのFinePix F600EXRで2011年のこと。これはとても良いカメラでした。GPS機能もなんとか実用になる程度にはなっていました。ロガーとして使用可能になったのはこの頃から。

 さらに2年後、今度はPENTAX WG-3 GPSを手に入れました。GPSなし版とあり版がラインナップされていましたが、迷わずあり版にしました。GPSの補足がさらに早くなり最近のカメラと比べてほぼ遜色ありません。スキー場専用機として、コースのどこで撮ったかがすぐに分かるジオタグ記録は非常に重宝しています。

 そしてPENTAX K-3 IIです。過去に使ったことのあるGPS内蔵コンパクト機と比べると、圧倒的に現代的で高性能です。何より違うのは衛星の補足にかかる時間。コールドスタートから数秒のうちに確実に位置を補足し、その後は滅多に見失うことはありません。ロガーとしても十分に使えるレベルだと思います。

 またGPSが内蔵されていることの地味な利点としては、内蔵時計の自動補正が出来ること。カメラの内蔵時計なんて精度は必要ない… ですが、ぴったり合ってるに越したことはありません。

GPSログ機能を設定する

 では本題のK-3 IIをGPSロガー機能を使ってみましょう。まずはペンタ部のスイッチを押して、GPSをONしておきます。単にExifに位置情報を付加するならこれだけです。このハードウェアスイッチでGPSのON/OFFが出来るのは非常に便利で秀逸なI/Fだと思います。

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 次に設定メニューの中にあるGPSの項目を見てみましょう。上に書いたようにGPS機能のON/OFFはスイッチで行うので、メニューの中にあるのはGPSログ、アストロトレーサ、地磁気センサーのキャリブレーション、そして時刻補正とLEDランプに関する設定です。

 今回は一番上の「GPSログ」を使用してみます。

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 「GPSログ」のメニューをさらに入っていくとこんな感じです。一番上がログ機能自体のON/OFF。この写真では「ON」になっていますが、デフォルトは「OFF」です。

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 二番目の「記録間隔」はGPSログのデータを取る間隔の設定です。選択肢は5秒から1分までの5段階です。短くすればログデータの密度は上がりますが、データ量が無駄に膨大になったり、電池を消費したりします。

 使用目的によりますが、歩いた軌跡を残すのであれば30秒で十分。場合によっては1分でも良いかも。一方で自転車や車で走った軌跡も残したいなら、もう少し短くしたほうがいいでしょう。

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 次の「記録時間」はログ機能をONにしてから、どのくらいの時間記録し続けるかを設定する項目です。1時間から24時間まで1時間刻みで設定できます。

 つまり無限に電池が切れるまで記録し続けると言うことは出来ず、ここで設定した時間が経過すると自動的にログの記録は終了します。

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 カードスロットの設定は、ログファイルをどちらのスロットに書き込むかを選択します。なお、ログファイルはカメラ内部のRAMかFLASHに一時的に保存されているらしく、SDカードに逐次書き込まれているわけではありません。

ログ記録

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 ということで、設定を済ませGPSログをONにすると、以降背面液晶にこのようにGPSマークに「LOG」という文字が付加され、ログ取得中であることが分かるようになっています。

 ログがONの場合はメインスイッチを切っていてもGPSは動作し続けることになります。

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 そして「記録時間」で設定した時間が経過した後、GPSマークの「LOG」の文字に「END」と言う赤字が追加されます。

 なお電池の持ちに関しては心配していたのですが、ほとんど気になりません。もちろん使い方によると思いますが、30秒間隔で3時間のログを記録しつつ、300コマ程度の撮影なら電池のメモリが一つ減るかどうかと言ったところです。丸一日の撮影でも予備電池が一つあれば十分でしょう。

ログの書き出し

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 記録が終了した後、再び「GPSログ」メニューに入ると、こうなっています。赤字で「END」と表示されている場合は、まだSDカードに書き込まれていないログデータがあることを示しています。

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 この場合ON/OFFメニューを操作すると、すぐにこういう画面が表示されます。OKをすると全てのログがカードに書き出され、ログ記録が完全に終了します。

 また、記録時間で設定した時間が経過しておらず、ログ記録が継続している場合でも、メニューからGPSログ機能をOFFにすれば、SDカードにログデータを書き出して強制終了することが出来ます。

ログファイル

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 記録されたログファイルを見てみましょう。SDカードのルートフォルダはこうなっています。写真ファイルが記録される「DCIM」フォルダと並んで「GPSLOG」という名前のフォルダが出来ています。GPSログのデータはここに記録されています。

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 中身はこんな感じ。ファイルの拡張子は「KML」ですので、Google方式になっています。72KBのファイルは30秒間隔で約3時間弱ほど記録した時のファイルです。なのでサイズはほとんど気にすることはありません。

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 KMLファイルはテキストエディタで開けます。中身はこんな感じでxmlで書かれているようです。まぁ、普通は中身を見る意味は特にありません。

Googleマップに読み込む

 さて、記録されたGPSログファイルは地図上にプロットして初めて役に立ちます。ということでGoogleマップにGPSログを読み込ませてみましょう。

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 まずはマイマップを作成します。

 それにしてもGoogleマップのマイマップは昔に比べて本当に使いづらくなりました。それまで見ていたGoogleマップとは別のウィンドウで開く上に、そもそもなんでこんな縮尺からスタートするんでしょう。毎度毎度イラッとします。

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 「インポート」をクリックすると、ファイル選択のこんな画面が開きます。これによるとKMLだけでなくGPX形式のログファイルでもそのまま読み込めるようです。

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 先ほどのKMLファイルを選択し読み込みます。

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 インポートが完了するとこうなります。ログとして記録された点と点が赤い線で結ばれ、移動軌跡として表示されます。各ポイントには記録時刻がラベルとして付き、詳細情報として緯度経度が付加されていますが、もちろんそれぞれ編集することが可能です。

 ちなみに、この上の例では点と点の間隔が広い部分は自転車で移動した部分、間隔が狭い部分は徒歩で歩き回った部分です。30秒間隔だとこんな感じになります。撮影しながら歩き回る場合は、一カ所にしばらく留まることが多く、しかも行ったり来たりしがちなので、移動軌跡としてはグチャっとしがちです。記録間隔はもっと長くても良いのかも。

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 なお、この移動軌跡に実際に撮影した写真を結びつけるには手作業となります。撮影時間と位置情報から付き合わせて、マイマップの各ポイントにに写真を登録していくことが出来ます。ただ、これはなかなかしんどい作業です。


 完成品のマイマップも一応貼っておきます。

 なお、Flickrは↓こんな感じでジオタグに応じて写真と地図を結びつけてくれます。
 ただ日本の場合、肝心の地図自体がかなりいい加減なものなのでイマイチなんですよね。それもこれもソフトバンクとYahooの権利関係により、Flickrが正式に日本語サービスをやってないせいだと思います。何とかして欲しいところです。

 ということで基本的にはGPSログはGPSログ、写真ファイルのジオタグはジオタグとして、別々に使うのが基本かなと思います。

まとめ

 ということで、こうしてまとめてみると「ふーん、それで?」という感じになってしまいましたが、実際あちこち出かけて写真を撮ってきてあとで整理する際に、写真に位置情報が入ってることだけでなく、Googleマップに位置情報と移動軌跡をプロットできるのは、記録という面でもわかりやすさという面でも結構便利です。

 主にデバイスの進歩によるものだと思いますが、K-3 IIのGPS機能は最近のスマートフォンとも遜色ないくらいの精度と速度で動作し、消費電力も含めて実用性の面では全く問題ないと思います。初期のGPS内蔵カメラを知ってるだけに、この進化には密かに感動していたりします。

 一度こうなってしまうともはやGPSの入ってないカメラは使いたくなくなってきます。幸い、これまでリークされてる写真等によると、間もなく登場予定のPENTAXのフルサイズ機にも、ペンタ部の脇に”GPS”と書かれたスイッチとLEDが確認されているので、GPSが内蔵されているのは確実でしょう。楽しみにしたいと思います。

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