突然の訃報に接し途方に暮れる: 深尾くれない / 宇江佐真理

 私の大好きな作家さんの一人、宇江佐真理さんが先週の土曜日に亡くなられたそうです。まだ66歳という若さで、作家としては脂が乗り始めるところだったのに…。とても残念でなりません。

 2年半前には同様に大好きだった北原亞以子さんが亡くなって、自分でも意外なくらいにショックを受けたのですが、今回も同様に友人から突然知らされて、大きなショックを受けてしまいました。それは、作家さん本人はもちろんですが、彼ら彼女らが生み出した小説の中の世界が消え去り、登場人物が同様に死んでしまったような気がするからに違いありません。

 時代小説を書く女性作家は珍しくありませんが、中でも宇江佐真理さんは独特の柔らかな雰囲気を持ったストーリー、文章を書かれていました。いかにも女性的というか母親目線が強く感じられるものが多く、そしてどこか現代的にすら感じることがあります。それだけに取っつきやすく、読みやすく、理解しやすく、とても上質な娯楽時代小説を多く生み出されていました。

 未読作品がどのくらいあるのか、全貌がよく分かっていません。相当読んできたつもりでいながら、数えてみたら既読は30冊ほどしかありません。その中から、とても思い出深い一冊を選ぶとしたら… やっぱりこれしかないだろうと思います。9年以上前に初めて読んだ宇江佐真理さんの小説です。

深尾くれない (新潮文庫)

深尾くれない (新潮文庫)

 上に書いた特徴からは外れる異色の作品ではありますが、このインパクトは非常に強烈であり、この本が書かれた経緯も含めて「宇江佐真理」を代表する一冊だと思います。
 宇江佐真理さんへの追悼の気持ちを込めて、9年前に書いた感想文をそのまま再掲しておきます。

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