酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

百里基地に飛来した米海軍のF/A-18スーパーホーネットと航空自衛隊の老兵F-4ファントムIIを撮りに行く

 久しぶりに百里基地へ行ってきました。百里基地と言えば航空自衛隊の老兵F-4EJ/RF-4E(J)ファントムIIが現役配備されている数少ない基地のひとつ。現在戦闘飛行隊が二つに偵察航空隊が一つ配備され、そのすべてがF-4を使用しているという意味では、そのF-4密度の高さは世界でも他に例を見ないのではないかと思います。

 しかし後継機となるF-35Aライトニングの配備も少しずつ始まっており、配備からすでに45年を過ぎたF-4は、退役まで秒読みという段階にきています。現役で飛ぶその姿を見るのも撮るのも今のうちです。

 今回約10ヶ月ぶりに百里基地まで出かけていったのはそんなF-4愛のためだけではなく、実は岩国基地に配備されているアメリカ海軍のF/A-18スーパーホーネットが、航空自衛隊との共同訓練のために百里基地に飛来したという情報を得たからです。

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 厚木基地からF/A-18がいなくなった今、米軍のF/A-18を見て撮ることができる貴重なチャンス。F-4とF/A-18の二兎を狙うために慌てて予定を調整し、天気睨んで平日の朝早くから茨城県は小美玉市にある百里基地、別名茨城空港へと向かいました。

 なお、カメラは先日導入したばかりのFUJIFILM X-H1にXF100-400mmを使用しました。使い慣れたK-1は今回試用していません。K-3IIも売り払ったので手元にありません。正真正銘X-H1のみです。

 旅客機よりは何倍も動き速く、場合によっては急激に進路を変更することもあり、しかも機体までの距離も近いので、カメラにもあらゆる面でスピードと精度が要求されます(もちろん撮影者の腕にも^^;) X-H1でどれだけ対応できるでしょうか?


朝はセブンイレブン裏の「ホコ天」ポイントへ


 この日は狙っていたとおり朝からとても良い天気で、しかも北風が吹いていました。春特有のモヤモヤもなく空気の透明度も高く絶好の撮影日和です。

 北風なので百里基地(茨城空港)は北に向かってRW03で運用されています。となれば滑走路北東側にある通称「ホコ天」ポイントへ最初に向かいます。ここからだと午前中は順光な上に、離陸後の「ひねり」が撮れるかも知れません。ちなみに、この日は同業者(私同様に写真撮影を目的に来ている人達)が非常に沢山いました。やはりみんな考えることは同じですね。

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 午前8時過ぎ、遠くでエンジン音が轟き、さっそく上がってきたのは航空自衛隊第501飛行隊の偵察機RF-4EファントムIIです。航空自衛隊唯一の偵察機部隊で、見ての通り迷彩塗装が施された機体。真っ青な青空背景では逆に目立ちます。離陸後もひねることなく真っ直ぐ上がっていきました。

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 そして次にやってきたのは第302飛行隊に所属するT-4練習機。2機並んで同時に上がってきました。ブルーインパルスではない通常塗装のT-4は写真撮影的にはあまり人気がないんですよね。でも貴重な純国産機ですし、ちゃんと撮ってあげなくては。

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 そして今度は第301飛行隊のF-4EJ改ファントムIIがやってきました。百里基地と言えばこれですよね。こちらは離陸後少し捻ってくれたので背中が少し見えます。

 ただし、離陸ポイントと捻るポイントがどこになるかはなかなか予測が付きません。なのでみんな撮影位置に迷っています。300m位置取りが違うと、まったく撮れる絵が変わってきます。

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 そんな中、ようやく現れたのが共同訓練のために岩国からやってきたアメリカ海軍VFM-195(通称チッピー)に所属する、F/A-18Eスーパーホーネットです。昨年夏にやはり共同訓練で百里基地にやってきたのは海兵隊のレガシーホーネットでしたが、今回は「スーパー」版です。厚木からいなくなって久しぶりに撮ることができました。

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 最初の1機目はあまり捻らずにまっすぐ行ってしまいましたが、2機目に飛んできた403は離陸直後のかなり早い段階で思い切り捻ってきました! が、その捻りがあまりに鋭く急激だったために、ファインダーで追い切れない上に、巨大なトラックが目の前をちょうど横切って視界を遮ってしまったりして、ほぼ全カット全滅。これはその中でも比較的マシだったほうですが、思い切りブレていて実際は失敗カットです。ブログに貼るサムネイルなら何とか見られると思いますので恥を忍んで貼っておきます。

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 ということで、立て続けに4機のF/A-18Eがそれぞれ思い思いに捻りながら離陸していきました。いやー、期待通りの素晴らしいシーンでしたが、何しろ撮るのが難しいです。戦闘機撮影は約10ヶ月ぶりでしたが、何度やっても難しすぎて凹みます。

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 F/A-18Eの後に続いて自衛隊のF-4EJ改がまたまた上がってきました。米軍に負けず劣らず思い切り捻ってくれたり。老兵ファントムIIだってやれば出来る!

 ちなみに尾白鷲マークがついた302飛行隊は、昨年からようやく導入が始まったF-35Aに一番最初に切り替わる予定の飛行隊です。尾白鷲のマークが示すように、もともとは北海道で発足した部隊でしたが、その後あちこちを渡り歩いていまは百里にいます。そしてF-35Aに切り替わった際には、三沢基地に移動するとともに尾白鷲のマークもF-4と一緒に引退となるそうです。

 この姿を見られるのもあと1年くらいでしょうか。本当に今のうちです...。

昼は自販機前ポイントで着陸を狙う


 さて、朝の離陸ラッシュが終わったようなので、次は今飛んでいった機体が訓練が終わって戻ってくるのを待ち構えることにしましょう。まだ北風は吹き続けRW03運用されているので、滑走路の南東側、通称「自販機前」ポイントへ移動しました。先ほどホコ天ポイントにいた人達の多くが、やはりここへ移動してきています。

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 しばらく待っていると、南の方から2機編隊を組んだF/A-18Eが飛んできて、一度百里基地上空をハイパスしていきます。そこから準備ブレークし、間隔を開けつつ右にぐるっと旋回しつつ高度を落としてきます。

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 最後のコーナーを回りつつ脚を出してRW03Rへのアプローチ。離陸時よりはかなり速度が落ち、急激な進路変更もないので撮りやすくなりました。これも少し背中が見えてますが、こういうのは「ひねり」とは言わないのですかね。

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 海軍の艦載機とそのパイロットを持ってすれば、普通の滑走路への着陸なんて朝飯前かと思います。お天気も相変わらず良いし風もほとんどありません。背中を見せた捻りの姿も格好良いですが、こうして下から見上げるのも飛行機らしくて良いですよね。それに、足回りやハードポイント(パイロン)がよく見えてメカメカしいですし。

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 着陸は高度も低く近いところを通過していくので、普通の望遠レンズでもそこそこどアップにすることも出来ます。パイロットの姿もハッキリ見えますし、機体のリベットや細かいプリントなどもよく見えますね。飛行機の写真を撮る人達は、なぜ過去の機体に書かれた小さな文字をいかに見分けられるか、気にする人が沢山います。それだけジャスピンとブレ無しと適正露出とノイズレスが要求されます。

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 そして米軍機に続いて自衛隊機も戻ってきました。これは第501飛行隊の偵察機RF-4Eですが、グリーン系の森林迷彩やデザート迷彩とは違って、ブルー系の洋上迷彩仕様。海の上だけでなく青空バックでもそこそこ迷彩が効いてるいるかも? 撮るには露出やホワイトバンランスが難しくなってきます。

 この洋上迷彩機にはファンも大勢いますが、私もその中の一人です。自衛隊のF-4の中ではひときわ格好良いと思います。なお洋上迷彩塗装のRF-4Eは現在3機だけ存在しているそうです。

風向きが変わってRW21にランウェイチェンジ


 その後、ちょうどお昼過ぎに風向きが変わりました。実はこの風向きの変化も天気予報通り。いずれにしろかなり弱い風で穏やかです。しかしそのわずかな風でも風向きの変化とともにすかさずランウェイチェンジされ、午前中とは反対向きでRW21運用に変わりました。

 つまり、次の離陸機は南に向かって離陸機が上がってくるはず。こちら側でもひねりが期待できます。ただしお昼を過ぎるとこの自販機前ポイントは微妙に逆光になります。

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 この時間帯は自衛隊機だけで訓練を行うようでF-4ばかり離陸してきました。

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 2機編隊で飛んできたり。この第301飛行隊のカエルのマークはかわいいですね。筑波山のガマがモチーフだそうで、つまりこの百里が発祥の地と言うことです。一昨年、百里基地にいたF-15の部隊が新田原基地へ移動したのに伴い、入れ替わりで百里に戻ってきました。

 しかし第302飛行隊に続きこちらも2020年頃にF-35Aへの機種変更が予定されていて、F-4での運用はあと2〜3年のうちと思われます。

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 そしてT-4もやってきました。おぉ!こいつは捻ってきた! F-4やF/A-18よりずっと小型でスピードも遅いですが、小回りは良くききそう。パイロット二人がターンのイン側を見ているのが分かります。やはり進行方向を見るものなんですね。その視線の角度でどのくらい急激な旋回をしているかが分かります。 

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 そして続いてきた302飛行隊のF-4EJもやはり捻ってきました。しかし太陽はすでにやや向こう側に行ってしまったので微妙に逆光です。南風の日は午前中こちら側がひねりの背中を撮れるポイントだと言うことが確認できました。なるほど!

午後は順光になる西側へ


 さて、本日2回目の「ひねり」が撮れたところで、そろそろ順光側へと移動しましょう。とりあえず定番ポイントの一つ「アラートハンガー前」へ行ってみました。ここもすごい混雑していました。

 アラートハンガー前の撮影ポイントは南西側の滑走路脇にあります。RW21運用の場合は北側端から滑走を始めた機体が完全に離陸して目の前上空を過ぎ去っていきます。

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 こんな感じです。百里基地は別名茨城空港として民間と共用されており、2500mが2本の平行滑走路です。F/A-18やF-4がもともと艦載機であることを差し引いても、軍用機はあっという間に離陸して、滑走路南端に位置するアラートハンガー前を過ぎるころはそれなりに高度を稼いでいます。

 これでこっち向きに捻ってくれると午後も順光で撮れて良いのですが、離陸後に西側に進路を向けることは滅多にないようです。この日も見ていた限り西側にひねったのは1機だけでした。

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 F/A-18はようやく午後の訓練が始まったようです。今回は5機全部が飛び立ち、かなりまっすぐ行ってからやはりこうして東に旋回していきました。アフターバーナーも炊いなくて残念。

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 F/A-18Eに前後して自衛隊のF-4も立て続けに離陸していきました。この角度から見るF-4も超格好良いです。やはりアフターバーナー無しで残念!

夕方は西門へ


 さてアラートハンガー前はそこそこにして、今度は戻ってくるF/A-18を狙うために滑走路沿いを移動し、西門へやってきました。ここはちょうど滑走路の真ん中当たりになるので、風向きにも離着陸にもよらず、あらゆる状況に対応できます。

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 滑走路上ばかり見ていたところで、周囲の面々が急に北の空にカメラを向け始めました。それにつられて北の空を見てみるとこんな5機編隊が飛んできます。おぉぉ! これは共同訓練ならではの光景。米軍のF/A-18E 3機と自衛隊のF-4EJ 2機、一直線に並んでいます。この編隊飛行は我々向けのサービスなんでしょうか?

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 この後、順番にブレークしながら間隔を調整し、立て続けにRW21に着陸してきました。ちなみにF-4EJは着陸する姿も特徴的で、こうしてドラッグシュートを開きつつ減速します。F-4にはエアブレーキがありませんから。でも、これなくても2500mもある滑走路なら十分止まれそうですけど、実際のところどうなんでしょうか?

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 そしてF/A−18Eも到着です。こちらがF-4よりずっと新しい戦闘機ですから、さすがにドラッグシュートではなくちゃんとエアブレーキが付いてます(410の写真ではエアブレーキを展開しています)。F-15に比べるとF/A-18のエアブレーキはわりと控えめです。

 米軍との共同訓練はこの午後の部をもって終了となりました。

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 共同訓練は終わりましたが、その後夕方以降も自衛隊はいつも通り精力的に訓練を続けていました。RF-4Eの離陸は今日何度目でしょうか? その向こうに並んでいるのは先ほど戻ってきたばかりのF/A-18Eです。これはこれで共同訓練ならでは風景です。

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 百里基地上空でアプローチに向けて旋回を始めるRF-4E。お腹しか見えていませんが夕日を浴びて超綺麗です(残念ながらこの写真もブレているのですが...)。真下の姿を見ると機種部にRF-4ならではの偵察用カメラなどが付いているのはよく分かります。

 ちなみにRF-4Eの後継機は決まっていないようです。10年ほど前には、F-15に偵察用ポッドをつけて偵察機として計画がありましたが、そのF-15向け偵察用ポッドの開発でトラブルが発生し、計画は頓挫してしまいました。今後は有人機による偵察という時代でもないだろうと言うことで、有人偵察機はこのRF-4Eが最後となるのかもしれません。

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 さて、さらに時間は進んで午後5時過ぎ。日没間近で辺りはすっかり夕暮れに包まれています。もしかしたら今日のフライトはこれで終了かな?と思った矢先に、また何機か動き始めました。地上は薄暗く写真を撮る条件としては悪くなってきたので、自然と流し撮り状態になってきます。これで1/210secと、そんなに遅いシャッター速度ではありませんが、離陸する戦闘機はかなりスピードがあるので、背景はそこそこ流れます。

 X-H1やXF100-400mmの手ぶれ補正には、特に流し撮りモードへの切替スイッチというのは用意されていませんが、ちゃんと流し撮り検出はされているようです。しかもその検出精度と速度はペンタックス機よりも良いかも?という感じで、手ぶれ補正の誤作動的なブレ方をした失敗カットは見られませんでした。だからと言って歩留まりが高かったわけでもないのですが...。

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 さらに午後6時を過ぎて完全に日は沈み、辺りはすっかり暗くなる中、さらに滑走路に向けてF-4が動き始めました。どうやら夜間訓練を行うようです。

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 結局その後滑走路脇で15分ほど待機し、離陸を始めたのは午後6時半ごろになってからでした。暗くなりすぎてカメラの設定をどうしたらいいか分からず、とりあえずISO感度を上げまくってしまいます。過去の経験ではノイズだらけでも写ってないよりはマシ... だと思ったので。その結果ISO10000まで上げてしまい、細部はボロボロですが、ぱっと見一応絵にはなっています。シャッター速度は1/35sec。これで流し撮りを成功させるのは私の腕ではちょっと無理。このカットが精一杯なところです。

 昼間はほとんど見えなかったアフターバーナーの炎が煌々と輝いていて、それだけが救いですが、このアフターバーナー付きの夜間の写真もこれをもっと上手く撮れるようになりたい... ということで、それはまた今度の課題にしたいと思います。


使用したカメラ


 カメラは冒頭にも書いた通り、FUJIFILM X-H1にXF100-400mmのみで撮りました。ミラーレス機で戦闘機は撮れるのか? 先日成田空港で撮った旅客機よりはずっと動体撮影として難易度が高い被写体です。

FUJIFILM ミラーレス一眼 X-H1ブラック X-H1

FUJIFILM ミラーレス一眼 X-H1ブラック X-H1

FUJIFILM 超望遠ズームレンズ XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR

FUJIFILM 超望遠ズームレンズ XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR

 結果については... ここまでたくさん貼った写真のとおりですが、正直なところ結果にはまったく満足しておらず、むしろ「ガッカリしている」というのが本音です。もちろんその原因のほとんどは私の腕のせいなのですが、やはり初めて使うカメラ、特に初めてこういうシーンで使うEVFにはかなり翻弄されました。K-3IIを手放してしまったことを後悔したくらい。

 X-H1のEVFは高倍率高画素で、ディレイも少なくフレームレートも高く、しかもブラックアウトフリーなのですが、やはり一眼レフに慣れきったままの同じ感覚では、まったく歯が立ちません。まずもってフレームに機体を収めておくことが出来ず、それを一生懸命修正しようとするので、ブレも発生するしその状態ではピントも来ません。

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 それをカバーするために、ズームを引いていくことになり、その結果後処理でトリミングを強いられることに。するとノイズもわずかなブレもわずかなピントずれも全て拡大されてしまうという悪循環に陥ったのが今回の結果です。

 今は「やっぱり一眼レフに戻りたい... 投資するならD500かD850にすれば良かった...」とかなり弱気になっていますが、一方でこれはEVFへの慣れの問題だとまだ思っているので、なんとかもう少し粘って練習を重ね、精進してから判断したいと思っています。

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 それについては、X-H1で動体撮影するには、EVFのブーストモードを心置きなく使えるようにするためにも、やはりパワーブースター兼バッテリーグリップが必須ではないかと思っています。

FUJIFILM X-H1用縦位置バッテリーグリップ VPB-XH1

FUJIFILM X-H1用縦位置バッテリーグリップ VPB-XH1

 ...これ以上の投資は泥沼化する可能性もありますが、損切りにはまだ早すぎますから(A^^;

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