F1を最も身近に感じられるピット&コースウォークを楽しむ:F1 2017 日本GP 観戦記(その1)

投稿者: | 2017年10月12日

 今年もこの季節がやってきました。そうです、F1日本GPの季節です。一時期は他のレースとの関係で9月下旬に開催されたこともありましたが、基本的には10月上旬の連休が恒例の日本GPウィークエンドとなっています。

 すでにシーズンは終盤戦に入っており、日本GPは第16戦目。今年は全20戦ですからチャンピオンシップの行方もなんとなく見えてきたところです。昔は日本GPがチャンピオン決定戦となることも珍しくなかったのですが、今年はまだそこまで大詰めとはなっていません。

 しかし、そんなチャンピオンシップの状況は私にとっては実はどうでも良くて、生でF1を体感することだけを目的に鈴鹿に通い始めて今年で12年目。何度行っても飽きると言うことがなく、今年もワクワクしながら出かけてきました。

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 マレーシアからそのまま日本に直行してきたF1は、木曜日からすでに活動を開始し、観客向けのイベントも鈴鹿サーキットで始まっています。マシンが走り始めるのは翌日からですが、ある意味F1を最も身近に感じることが出来るのが木曜日のピット&コースウォークです。

ピットウォークで準備作業を見守る

 朝一番の新幹線(”のぞみ1号”より7分早い”のぞみ99号”が品川から出ています)で東京を出発し、近鉄を乗り継いで鈴鹿サーキットに到着したのは午前9時。メインゲートを通過し、Vスタンド脇からコースへ入り、早速ピットへと向かいましょう。

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 メインストレート上にはチェッカー模様上に”Suzuka Circuit”と書かれたラインが引かれています。グリッドはF1用に描き直されているそうですが、このマークは特にF1用というわけではなく常設のもの。5番グリッドの前にあって、これ自身はコントロールラインでも何でもないただの飾りです(多分…)

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 ピットウォークの入り口は下位チーム側にありますが、ピットロード内は一方通行に規制されているわけではありません。なので先に上位チーム側へ行って下位チーム方向へ戻ってくる方が、空いている状態で効率的に楽しめます。なので、最初は真っ先にフェラーリへやってきました。こうして既にマシンの準備が始められています。

 セバスチャン・ベッテルのマシンは先週のマレーシアGPで、チェッカーを受けた後のパレードラップ中にストロールと接触し、リアを大きく壊してしまいました。話によるとそのまま日本に運んだとのことで、ここ鈴鹿のピット内で修復作業が行われたようです。その影響か、フロントサスはアームのみでホイールハブも何も付いていません。これはこれでレアな光景です。

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 なぜなら、普通は木曜の時点でこの程度まで準備がされているはずだから。おなじフェラーリ内でもキミ・ライコネンのマシンはこんな姿で、フロントサスはブレーキまでちゃんと組み上がっています。

 マレーシアではキミ・ライコネンのマシンもトラブルで走れませんでしたが、クラッシュしたわけではないので、ベッテルのマシンよりはセットアップが進んでいます。

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 さらにフェラーリの隣に位置するメルセデスのピット。こちらはバルテリ・ボッタスのマシンです。昨年のピットウォークでは、メルセデスだけ王者の貫禄なのか、木曜時点でもピット内は静かであまり作業はされていませんでしたが、今年は他と同じようにせわしなくメカニック達が働いていました。

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 各マシンの上に設置された照明は、赤く光らせることも出来るんですね。何のためにそうなってるのか分かりません。こちらはルイス・ハミルトンのマシンですが、放置されてるように見えて実は何かの作業が自動的に進行中なのかも?

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 3強チームの一角を占めるレッドブルに至っては、タイヤもウィングも全て付いた状態でタイヤ交換の練習をしていました。と言っても、マシンは完成したわけでなく仮組みなのだろうとは思います。

 これはマックス・フェルスタッペンのマシンですが、コクピットに乗っているのはもちろんフェルスタッペンではありません。そして後ろに立ってるスキンヘッドの人は、一瞬エイドリアン・ニューウェイに見えましたが、そんなはずないですね…。

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 そのレッドブルではピット前に設置されたホイールガン用の動力を供給するアームの上で何か作業をしています。見たところカメラですかね? タイヤ交換作業を見守るためのカメラなのでしょうか? あるいはこのアングルからの映像が放送に流れてくることもあるような気がしますので、国際映像用のカメラなのかも? 全チームに同じようなものが付いてるかどうか、確認し忘れました。

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 他のチームに比べるとウィリアムズのピット内はどことなく閑散としています。いえ、ピット内が綺麗に整理整頓されていると言った方が良いのかも。

 この二人が見ている先にはファンサービスをしている日本人メカニックの白幡さんがいました。「彼はあんなに人気あるのね〜」とか話しているのでしょうか? それにしてもF1には女性スタッフも増えてきたように思います。

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 タイヤもこうして運び込まれています。見ての通りフェルナンド・アロンソ用のタイヤで、上から右フロント、左フロント、右リア、最下段が左リアの順に積まれているようです。ウォーマー用のプラグが飛び出していたり、コントローラーと思われるモニターが付いていたり、いろいろディテールが面白いです。

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 で、そのマクラーレンのピット内。このマシンはストフェル・バンドーン用です。なんか、床の上に無造作にホイールハブのカバーやシートが無造作に置いてあるのがリアルですね。

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 おや? そのマクラーレンのピット内には、何やら見覚えのある人が…。いやいや、そんなわけはなくてこれはファンの一人がコスプレをしてきただけです。こうしてチームスタッフの目にとまると(ウケると)、ピット内に入れてもらうことが出来たります。こういう趣向を凝らすのは日本人だけなのかも。

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 さて、次は来年からホンダのパワーユニットを搭載することになったトロロッソ。フロントウィングがよく見える場所に置いてありました。良く見るとこの艶々で深みのあるブルーはとても綺麗です。

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 そして今年のマシンの外見的特徴の一つでもある背びれの部分と、そこにくっついたTウィングもこうして置いてあります。ここにドライバー名の表示が義務づけられたので、走ってるマシンを見ていて、どっちのドライバーなのか一目瞭然で分かりやすくなりました。”SAI”はもちろんカルロス・サインツの略です。

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 こちらはザウバーのピット前に置いてあったノーズコーン。ウィングは付いていません。というか、そこまで分解できるものなんですね。考えたら当たり前ですがノーズコーンだけの姿は初めて見たかも。

 ちなみにカーナンバー9はマーカス・エリクソンですが、上のノーズコーンは汚れているのでマレーシアかどこかで使ったものと思われます。下のカーナンバー無しはピカピカなので新品のようです。

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 次はハースのピットにやってきました。中が暗く見えるのは… 露出のせいが半分と、もともと黒基調でまとめられているからかも。チームスタッフ達はにこやかに談笑していました。

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 その一方で、仲間はずれにされて泣きそうな顔で何かを磨いているスタッフも。なにか円盤状のものでしたが、何を磨いていたのかは全く見当が付きません。ちなみに泣きそうに見えるのはたまたまそういう瞬間を撮ってしまっただけです(^^;

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 もちろん他にも仕事もしています。こうしてフロントウィング&ノーズコーンの重さを量っていたりして。そんなの実物を量らないと分からないものなのか? 個体バラツキを気にするくらいセンシティブなセッティングがあるのでしょうか?

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 フォースインディアのピットでは、何やら治具がマシンに取り付けられていました。アライメント調整とかその手のものでしょうか?

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 …ルノーのピットでも写真を撮りまくってきました。ピット奥のディスプレイでカウントダウンされてる時間は何を示しているのかよく分かりません。この時点で木曜日のお昼前ですから、9時間後と言っても特に何かあるわけではないと思うのですが。

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 レースを戦う各チームのF1マシンだけでなく、FIAのセーフティカーとメディカルカーも準備万端。これもF1マシンとともに空輸されてくるもので、これまで散々テレビの画面で見てきた車両そのものです。

 セーフティカーはメルセデスAMG GT S、メディカルカーは同じくメルセデスAMGのC63 Sをベースにしているそうです。この写真はメディカルカーの方。予備車両含めて各2台ずつ用意されています。

ドライバー達を間近に見るチャンス! コースウォーク

 さてピットを堪能したら、コースに出てみましょう。ピットウォークと同時にメインストレートから2コーナーまでが開放されていて自由に歩くことが出来ます。昨年までは東コースをぐるっと1周できたのですが、今年は2コーナーでUターンする形になり、S字から逆バンクあたりは入れなくなっていました。

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 ピット出口付近は通路が狭く、ファンが押し寄せています。そこを何とか駆け抜けてきたのはフォースインディアのエスティバン・オコン。F1ドライバーにしては背が高くてかなり細いです。

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 そのオコンと今シーズンは激しくぶつかりあっているのは、もはやベテランの域に入ってきたセルジオ・ペレス。こちらは結構ノンビリと歩いてきました。うっかりすると見逃してしまいそうなくらいナチュラルでした。

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 お昼頃になると続々とドライバー達がコース確認に出てきます。なのでピットから離れて少し1コーナー方面に移動してみました。そしてやってきたのがこの集団。横一列に並んで楽しそうですが、真ん中にいるのはトロロッソのカルロス・サインツJrです。トロロッソがホンダに乗り換えるゴタゴタの煽りで、次のアメリカGPからルノーワークスへの移籍が決まっています。

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 次にやってきたのはクピアトに代わってマレーシアGPからトロロッソでデビューしたピエール・ガスリー。ホンダとも関係が深いドライバーの一人で、シーズン途中からの電撃デビューはパワーユニット供給問題が絡んでいるはず。

 トロロッソは次戦もガスリーを起用したいようですが、ホンダは日程が被っているスーパーフォーミュラの最終戦に出場させ、チャンピオンを取らせたいとのことで、色々もめ事になっています。

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 そして超大物がやってきました! フェラーリのセバスチャン・ベッテルです。もうこの鈴鹿は何度も走っているし優勝もしています。改めてコースを覚える必要はないはずですが、昨年に引き続き、今年もコースウォークに出来てました。取り巻くスタッフの数は一段と多いです。持っている旗はファンから借りたものです。

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 とてもご機嫌のようですね。にこやかにファンにも愛想を振りまき、本当にベッテルは良い人です。4回もチャンピオン取ったトップドライバーにありそうな放漫さはかけらもありません。

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 その次に来たのもファンサービス精神が旺盛なドライバー。ハースに乗るロマン・グロージャンです。なんとファンが鈴なりに並ぶ規制線スレスレをこちらに向かって走ってきます。どうやら全員とハイタッチをしているようです。もちろん私もハイタッチしました。

 なのでみんなこうして手を出して待ち構えまえていますが… おや、セナがいる!? 彼は先ほどマクラーレンピットに招き入れられていたコスプレした人のようですね。

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 それを見て驚くグロージャンw そりゃそうですよね。セナが多くのファンに交じって沿道にいたら驚きますよね。

 なお先ほどの写真で、ガスリーが手を振り、トロロッソのスタッフが爆笑しているのも、ベッテルが横を向いて凝視して笑っているのも、実はこのセナのコスプレの人が原因です。

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 各チームごとにコース確認の時間は決まっているらしく、続いてやってきたのはグロージャンのチームメイト、ケビン・マグヌッセンです。レース中のバトルがラフ過ぎるとして、最近ちょっと株を下げているようですが。なお、マグヌッセンの右にいるのは日本人レースエンジニアの小松さん。昨年まではグロージャンに付いていましたが、今年はマグヌッセン担当のようです。

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 まだまだドライバーはやってきます。次に現れたのはザウバーのマーカス・エリクソン。

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 そして同じくザウバーのパスカル・ウェーレインです。真剣な顔つきでスタッフと話をしていますが、その横の女性がスマホのカメラを向けている先は、もちろん先ほどのアイルトン・セナです。

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 彼はわりと地味な選手ですが、近くにウェーレインのファンであることをアピールする人がいて、嬉しかったのかニコニコしながらその人へのサインに応じていました。

ドライバーサイン会には今年もはずれてしまう

 ピット作業とF1マシンを間近に見て、鈴鹿の1コーナーを歩きながらドライバー達を間近に見て、木曜日のこのイベントはF1ファンには本当に溜まらなく楽しいイベントです。これだけでもう日本GPを半分くらい目的を達したような気になってきます。なので来年も是非木曜日から訪れたいと思っています。

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 さらに木曜日は夕方にドライバーサイン会があるのですが、それはさすがに誰でも参加できるわけではなく、抽選制となっています。しかし当たる確率は10%くらいあって、そんなに低くありません。

 複数人のグループや家族であれば、その中で誰か一人でも当たる確率はぐんと高くなります。私たちは今回4人いたのですが… 見事に全員して外れてしまいました。これもまた来年への課題(と言っても祈る以外にありませんが)としたいと思います。

 さて、翌日の金曜日からはいよいよ1年ぶりに鈴鹿のコースをF1が走り始めます。天気予報は良くないのですがどうなるでしょうか? (フリー走行編につづく)

使用したカメラとレンズ

 今回鈴鹿に持っていくカメラは悩んだのですが、結局K-3 IIではなくてK-1を持って行きました。70-200mmはコース上を走るマシンに対しては短すぎるので使えませんが、ピットウォークには画角的にぴったりですしF2.8の明るさも役立ちます。なので、ちょっと重たいですがこの木曜日のためだけに持って行きました。でも、本当は24-300mmくらいの高倍率ズームがあれば、それが一番かも知れません。

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