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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

新レギュレーションで4秒速くなったF1の開幕!:F1 2017 第1戦 オーストラリアGP

F1

 今年もF1が開幕しました。私個人的には、桜よりも花粉よりも春の訪れを一番感じるイベントです。今年は昨年より1戦減らされて全20戦で行われます。ちなみになくなってしまったのはドイツGP。昨年に2年ぶりに復活したはずだったのに、またもや消えてしまうとはどうしたことでしょう? ドイツはメルセデスの地元でもあり、ベッテルの母国だというのに。なお、鈴鹿の日本GPは今年も10月の連休中に開催されます。

 さて、今年のF1の大きな目玉は大幅に変更されたマシンレギュレーションです。全体的に低くワイドになり、昔のF1マシンを彷彿とさせる、地を這うようなスタイリングが戻ってきました。それは見た目だけの問題ではなく、当然空力が改善しグリップが上がるため、コーナリング速度が劇的に速くなるとされています。

 ここ10年以上にわたって、F1マシンは安全性の確保とコスト削減を名目に、マシン速度を下げる方向に規制が厳しくなっており、コースによってはGP2などの下位カテゴリーとの差がなくなっていました。それが一気に逆に振れたことになります。

Sebastian Vettel / Ferrari SF16-H / 2016年 日本GPKONE5805.jpg
 一説にはラップあたり4秒速くなると言われていますが、実際どうなったのでしょうか? 今年も開幕戦は南半球のオーストラリアGP、メルボルンのアルバートパークサーキットで行われました。

「みんなの笑顔を見るのはよいものだ」 セバスチャン・ベッテル

 オフのテスト中は絶好調でメルセデスを脅かす勢いがあったフェラーリですが、実戦ではどうなのか? レッドブルが席巻していた2.4L NA時代からターボハイブリッド時代に変わった途端、メルセデスが台頭したように、レギュレーションの変わり目は勢力図を塗り替えるチャンスです。マネージメントの問題でごたごたしていたフェラーリに、それが可能なのかどうか? 試される開幕戦となりました。

 予選ではやはりメルセデスとハミルトンに負けてしまったものの、ベッテルはフロントロウからスタート。スタートも決めたハミルトンがレースを先導しますが、ベッテルは離されることなくぴったりとついていきます。コース上でのオーバーテイクが望めないとすれば、チャンスは1回限りのピットストップしかありません。この状況なら誰もがベッテルはアンダーカットを狙っていると思っていた中、フェラーリはまさかのオーバーカット作戦を採ります。

 そしてこれが見事にあたり、ハミルトンの前に立つことに成功。しかもその後タイヤに苦しむハミルトンに対し、ギャップを稼ぐことすらやってのけました。チームとの関係もギクシャクしていたベッテルも、これだけ素晴らしいレースが出来るのだから、信頼関係は取り戻してきているのかも。

 昨年は作戦上のミスが目立ったフェラーリにしては見事なレースマネージメントでした。第2スティントでスーパーソフトを使わず、ソフトで行くあたりには堅実なところも見え隠れしますが、それもスピードに自信があってのことなのでしょう。本当にパドックの隅々まで笑顔が戻り、ちゃんとチームが機能してきたなら、フェラーリはきっと復活を遂げられるはず。

 ディフェンディング・チャンピオンのいない今シーズン、ハミルトンに楽勝させてはつまらないので、ベッテルとフェラーリには是非がんばって欲しいと思います。

「今シーズンは本物のレースができる」ルイス・ハミルトン

 ここ数年火花を散らし続けたチームメイトにして最大のライバルだったロズベルグがいなくなって、ハミルトンにとっては楽なシーズンになるかも知れない... と本人が思っていたかどうかは分かりません。メルセデスの黄金時代はそろそろ終わってしまうかも知れないし、ボッタスは思ったほど従順ではないかも知れません。

 それでも予選では今までと変わらぬスーパーラップを叩き出し、堂々のポールポジションを獲得。スタートも決まってあとは勝ちパターンのトップ快走かと思われていました。

 ハミルトンによれば、レース中はタイヤに苦しんでいたとのこと。最初のスティントを短くし、早々にタイヤ交換したのは、ベッテルのアンダーカットを警戒して先手を打ったようにも見えますが、タイヤが持たずに我慢できなかったというのが事実なのかも知れません。いずれにしろ結果的に、ピットアウトしたところでフェルスタッペンに引っかかり、逆にベッテルにオーナーカットを許してしまったことになります。

 今回のレースは、序盤戦にしては珍しくタイヤライフに問題はなく、楽々1回ストップで行けるというレースでした。それでもタイヤに苦しんだとしたら、その点がメルセデスの弱点なのかも知れません。そうだとしたら、これは今後のレースでも効いてくるのかも。

 上に引用したハミルトンのコメントはなかな面白いです。昨年はチームメイトと戦っていたために、いろいろ制限があり、最終戦ではその戦い方に関して論争を巻き起こしました。チャンピオンを争う相手が別のチームであれば、どんな手を使っても正当化できます。

 再びチャンピオンに返り咲けるのか? この開幕戦だけを見ていると、ハミルトンにとっては今までにない苦労を強いられる1年になるかも知れません。

「マシンをポイント圏内に維持できたことはちょっとした驚きだった」 フェルナンド・アロンソ

 復帰から3シーズン目を迎えるホンダにとっても、そろそろ言い訳が出来ないとこへやってきました。パワーユニットに関するレギュレーションも変更され、トークン制が廃止されました。シーズンを通して4基しか使えないことに変わりはありませんが、必要とあらば新しいパーツ、新しいデザインを自由に投入することが出来ます。

 しかしオフのテストは散々で、パフォーマンスがどうこうの前にまったく信頼性がなく、まともに走れませんでした。テストをほぼ棒に振ってぶっつけ本番に近いレースを迎えます。この状況にはさすがにマクラーレンも怒り心頭で、シーズン始まる前からホンダを強く非難するコメントが続出。そしてアロンソも愛想を尽かしつつある状況です。

 復帰初年の一昨年はまぁ仕方ないところです。昨年も期待外れだったとは言え進歩は見られました。そして今年は一気にトップ争い... まで行かなくても表彰台争いくらいは期待していたはず。ですが、蓋を開けてみればザウバーに勝てるかどうかも怪しいところ。マノーがいないので、つまりは最下位争いに戻ってしまったということです。

 それでもアロンソの意地で予選はQ2に進み、レースもそのほとんどの時間、ポイント圏内にいました。それをポジティブな驚きとして喜んでいるかと言えば、そんなことなく、上のコメントもほとんどホンダに対する当てつけみたいな意味を含んでいるようです。

 アロンソのチームメイトのバンドーンも完走こそしたものの、最初からずっとトラブルを抱えていた模様。この状況はホンダにとって本当にまずいです。ただ、一人の日本人F1ファンとしては、腰を落ち着けてじっくりやって欲しいです。マクラーレンやアロンソとうまくいかないなら、パートナーチームを変えてでもやり直し、着実に実績を上げて、そのうちトップチームが頭を下げてホンダのパワーユニットを欲しがるようになるまで、長期戦でやって欲しいです。

次戦は中国GP!

 さて、タイトルに書いたラップタイムですが、アルバートパークでは昨年と比べて予選で1.6秒、決勝のファーステストラップでは2.4秒の改善に留まりました。これを大きいと見るか大したことないと見るかは意見が分かれますが、明らかに太くなったタイヤと幅の広いウィングなど、グリップが相当上がっていそうなマシンのルックスからすると、もう少し速くなっても良いような気がします。もちろん太いタイヤはドラッグを増やす方向にも働くし、マシン重量も増えてるようなので、こんなものなのかも知れません。

 さて次のレースは2週間後。中国GPが上海で開催されます。フェラーリの復活は本物かどうか? この短い時間で出来ることは限られますが、ホンダはいったいどうなるのか? いろいろ見所がありそうで楽しみです。