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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

清龍酒造の蔵元見学コースは本当にパラダイスだった

 日本酒蔵元の見学に行ってきました。その蔵元とは埼玉県は蓮田市にある清龍酒造です。ここの蔵元見学は一部で非常に有名で、リピーターが大半を占めると言うほど多くのファンを集めているそうです。清龍酒造のお酒は、蔵元のポリシーの下、一般の酒屋さんには流通しておらず、直販で購入するか直営の居酒屋に行かないと飲めません。そんな幻のお酒であることが人気の理由かと思えば... どうやらそれだけではないようです。

 日本酒の蔵元やワイナリー、ビール工場など、全国各地にアルコール飲料工場の見学コースは数あれど、見学後の試飲はほんのおまけ程度なのが普通です。が、この清龍酒造では見学後こそが本番。立派な料理に大量のお酒が出る上に、生バンドの演奏まであるというではないですか。

 ネットにある先人達の情報を見ていると、そこはまさに「日本酒パラダイス!」と表現されています。そんなことがあるのか?と、半信半疑ながら、かつての大酒飲みとしては行ってみたくて堪らなくなります。

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 ということで、幹事さんが1ヶ月半前から予約を入れて、年末も押し迫った12月17日にようやく体験することが出来ました。そこはまさに紛う事なき「パラダイス!」でした。

 私がこの清龍酒造を知ったのは、デイリーポータルZの記事がきっかけです。

 トップの写真からしてかなりインパクトがあるのですが、実際のところこれが清龍酒造の蔵元見学の全てを表しています。21世紀にもなって、人類は相当な知恵を付けてきたはずですが、こんなことが今でも行われているのか?と疑いたくなるほど、ナンセンスの極み。むしろ文明社会の退廃と言った方が良いのかも。

 などとやや大げさなことを考えてしまいましたが、要するに行ってみなくてはならぬ!と強く思ったのでした。そして恐る恐るFacebookにこのDPZの記事をシェアしてみると、瞬く間に参加者は集まりました。そうだよねー、やっぱりみんな行きたいよね。

 幹事さんが色々調べたところ、予約は前月の月初1日から受付開始。蔵元見学は平日は行われておらず、週末のみ限定です。以前はすぐに満席になってしまったようですが、11月から会場となる清水亭が拡張され、最近はやや予約が取りやすくなっているようです。

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 では、いざ清龍酒造へ!

酒蔵見学

 上野から宇都宮線に乗って約40分。蓮田駅に降り立ちました。蓮田と言えば東北道最初のサービスエリア、というイメージしかありません。駅前からバスに乗って約10分。清龍酒造へ到着しました。

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 敷地はかなり広くて駐車場のまわりに売店や宴会の会場となる清水亭、そしてもちろん醸造所や貯蔵タンクが並んでいます。

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 受付を済ませ、工場見学が始まるまで、デイリーポータルZの記事にも出てきたファンブックを読んで待ちます。概ね今日の流れがこの中には書かれているので予習しておかなくては。

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 いきなり集合写真を撮った後、いよいよ見学が始まります。左端が名物社長の岩崎さん。最初は社員さんが進行しますが、このあとすぐに社長が一人で取り仕切ります。

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 最初はお酒の神様、松尾神社の神棚に拝礼。ご神体が杉の木であることから、日本酒蔵元には杉玉が飾られるようになったそうです。

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 ジョークを交えながら、軽妙な語り口でお酒造りについての説明が続いていきます。有名な納豆のくだりもちゃんと聞くことができました。私は納豆嫌いなので日本酒造りには向いてるかも!

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 この建物は見ての通り、木造で非常に古いもの。いかにも日本酒蔵元といった風情です。貯蔵タンクが所狭しと並べられています。

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 お酒を造るには、まずはお米を炊いて、冷やして、麹を混ぜて米麹を造ると...。その米麹を試食してみました。糖分が出ているので非常に甘いです。このままにしておくと甘酒が出来るとか。

 このあと、肝心要の酵母菌を入れると発酵して、麹が生み出した糖をアルコールに変えていきます。元の糖とアルコールの比率で辛口、甘口が決まるそうです。さらに発酵を進めて度数が20%程度になると、酵母菌が死んでしまうので、日本酒の限界は度数20%あたりになるそうです。

 なるほど〜、とここまではガチの見学コース。しっかりと勉強しました。

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 発酵が良い具合に進んだところで、絞ると透明な液体が取り出されてお酒となり、残ったお米の残骸は酒粕となります。

 で、絞りたてから6ヶ月経過するまでが、新酒。その後6ヶ月は冷やおろし。1年経過すると古酒、2年経過すると古々酒、それ以上は長期熟成酒と呼ばれる... という、これまたためになる話しを聞いたところで、「では昨日絞ったばかりの新酒を試飲してみてください!」ということで、いきなりお酒が出てきました。

 いや、これが結構パンチがあってきついお酒でした。口の中がピリピリとしてきます。で、普通の見学会ならこのくらいは普通にあるでしょう。以前行ったことのある八海山の蔵元では、ホースからジャバジャバ流れる大吟醸を飲ませてもらった記憶があります。

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 そのあともタンクが並ぶ仕込み蔵を通り抜け...

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 外に出て見学コースは終了です。各タンクには通し番号と、税務署に認可を受けた日付、そして総容量が書かれています。この大きい方で確か2万リットルくらいだったはず。さらに倍のサイズのタンクも奥の方にあるとか。希望者がいればタンク売りもしますよ、とのことでしたが、多分冗談でしょう。

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 ちなみに清龍酒造は馬で来ても大丈夫だそうです。実際、数年前に馬でやってきたお客さんがいて、ここに繋いでおいたとか。

呑んで歌って笑って踊って...

 さて、見学を終えたら清水亭の中に入り、いよいよ本日のメインイベントです。試飲会という名の大宴会が始まります。

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 席に案内されると、いきなりこんなお膳が用意されていました。なにこれすごい!

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 真ん中にはドーンとお酒が各種並んでいます。なみなみと注いであって、既に結構な量があります。

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 小鉢が4種類。どれもなかなか美味しくて結構本格派。

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 お酒に合いそうなおつまみが6種。ほんのちょっとずつですが、これまたどれも美味い!

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 この日出されたお酒のリスト。一つずつしっかりと味わいが違っていて面白いです。大吟醸はフルーティでまろやか。もちろん一番高いお酒ですが、それだけのことはあります。純米原酒はさっき見学中に飲んだ絞りたてのようなピリッとした味わい。普通種の自信作は、水のようにスルスルと喉を流れていくタイプのお酒です。

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 この宴会がすごいのはその演出。なんと中2階にはバンドが並んでいて生演奏しているのです。噂には聞いていたけどこれはすごい!

 なおメインを務めるのは越山元貴さんです。われわれ世代に突き刺さる曲を次から次へと歌い上げてくれます。

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 席にはこんな紙切れも置いてあったりして。なにこれ、一緒に歌えってことか? まさかねぇ、とこの時は思っていました。

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 最初のうちは、みんなお酒をちびちびと味わい、料理を堪能しつつ、社長はステージで何かひたすら喋っているという状況。会場は賑やかながらも常識的に落ち着いていました。

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 しかし、そのうちどんどんと追加のお酒がやってきます。こんなフローズンにごり酒とか、

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 柑橘系のフルーツで味付けした酸っぱいリキュールとか、

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 カシスとかオレンジとか色付きのフルーツを混ぜたものとかとか... そういう日本酒をベースにした変わり種のカクテルみたいなお酒が次々に振る舞われます。

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 さらに、寿司職人さんたちが登場したかと思えば、大きな鰤の解体ショーまで始まる始末。

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 いやー、見事なものです。鮮やかに捌いて切り分けて、握って... お寿司が出来上がっていきます。職人さん達は真剣そのもの。

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 完成しました! 大粒の鰤のにぎりが一人3貫ずつ。とっても美味しかったです。お酒とお寿司はやっぱり良く合います。

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 お寿司の後にはお吸い物が出てきて、これで〆と言うことでしょうか。いやいや、料理もたっぷり、お酒はもっとたっぷりで満足でした。

 これで¥2,500円というのは、ほとんど儲かっていないどころか赤字なんじゃないかと心配になります。来年からは¥3,000に値上がりするそうですが、それでも¥3,000で飲み食いできる量と質ではありません。

 本当にご馳走様でした!

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 というか、あれ?まだ終わってない?

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 料理は〆たはずなのに、その後もどんどんとお酒は出てきて、注がれていきます。

 ちなみに、もっと飲め!さらに飲め!と強要する人は誰もいません。仲間内でもそれはマナー違反です。もうここまで!となったら終了マークを掲げることで、以後は追加を注がれることはなくなります。自分のペースで自分の適量を守ることが出来る、百戦錬磨の大人向けの飲み会です。

パラダイス!

 で、気がついたらポンポンが配られて、バンドの演奏が一層盛り上がってきました。

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 で、いつの間にか周囲はこんな状態になっているのです。いや、本当です。だれが無理強いしたわけでも指示したわけでもなく、自然とこうなるんです。ほとんどが2〜6人程度のグループで、ほとんど会ったこともない他人同士ばかりですが、そうは思えないほどの一体感。みんな友達!状態になるのもすごいです。

DSC_5099.jpg わー!

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 わー!わー!

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 わー! わー! わー!! 社長! そりゃ、ぶれないように撮れって言うのは無理ってもんです。


 しつこいようですが、動画もあります。約1分の動画ですが、これを直視していられるでしょうか。いやー、本当にすごいパラダイスでした。

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 ということで、12時半から見学が始まり、試飲会は1時半頃から約2時間半。気がつけば外はすっかり夕暮れの午後4時。夕日に照らされながら、少し飲み過ぎた頭を抱えつつ、何とか家まで帰り着きました。

 これはリピートしたくなる気持ちが良く分かります。私たちも次にまたいつか2回目を体験してみたいと思います。お酒が好きな方は、量を飲める、飲めないにかかわらず、きっと楽しめると思います。一度体験することをお勧めいたします。

 蔵元見学の詳細と予約についてはこちらから!