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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

カメラ好きは満足するという事を知らない:EOS M5 1ヶ月試用まとめ

 先月中1ヶ月にわたって試用させていただいたキヤノンEOS M5について総集編として感想をまとめておきたいと思います。

 何度も引用してしつこい気もするのですが、EOS M5の宣伝キャッチコピーである「いままでのミラーレスに、満足しているか?」が気に入ってしまったので、やはりその観点でまとめておきたいと思います。結論から言うと、その答えはタイトルに一言でまとめてあります。

 ちょっと煽り気味ではありますが、これは私が感じた偽らざる感想です。先に煽ってきたのはキヤノンさんのほうですから、これくらいは許してもらいましょう。

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 試用期間は週末4回に休日が2日でした。天候との絡みもあって、正直なところちょっと物足りないというか、色々やり残したなとは思うのですが、基本的な部分については色々分かったような気がします。


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 以下、EOS M5で撮った写真を貼ってありますが、特に本文とは関係がありません。

 また私は恐らくこのカメラの想定ユーザー層からは外れている、気難しい一眼レフ原理主義者なので、その辺も併せてご理解ください(と予防線を張っておく)。

デザインと操作性

 基本的にデザインを語るようなカメラではないとは思うのですが、手にしたときの第一印象にもっとも大きな影響を与える部分であり、そのカメラの性格をかなり高い精度で表しているのが、広い意味での外装デザインだと思います。

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 EOS M5を見て、触って真っ先に感じたのは「小さい!」と言うこと。いや、EVFが搭載されたこともあって、EOS Mシリーズ史上では最も大きいのは確かですが、APS-Cサイズのセンサーを積んだミラーレス機であることを考えると、非常に小さくまとまっていると思います。

 変に奇をてらった部分はなく、良くも悪くも「EOSらしい」外観。意外にグリップの掛かりはよく、操作系もホールディングした状態で指が届く範囲にうまくまとめられています。非常にフラットに収まっている背面液晶のチルト機構も良いです。バリアングルなんて必要ありませんから(個人の意見です)

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 特徴でもあるダイヤル類の操作感も節度があっていい感じです。そもそも右手側のダイヤルはアルミ削り出しか何かで作られていて、とても高級感があります。が、それに対しボディ全体はいかにもプラスチック。色がブラックではなくて微妙にガンメタリックなのも良いような悪いような微妙なところ。いや、プラスチックが悪いわけじゃないですが、もしこれを趣味の道具としてみるならば、無駄に金属ボディが欲しいところです。


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 操作性全般については、私はキヤノン製のカメラにあまり慣れていないのですが、使ってるうちに大体の作法と用語が理解できてきました。非常に多機能なカメラなので隅々まで使いこなすのは大変ですが、基本的な部分はすぐに分かってきます。ただ、ダイヤル操作系が特徴である一方で、小さなボディに所狭しと並んだダイヤルは、形状も位置もバラバラで、機能割り付けも含めて何となく熟れてない感が時々感じられるのが気になりました。

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EVF

 さて、EOS M5が今までのEOS Mシリーズと大きく異なっている部分はいくつかありますが、個人的に一番大きいと思っているのは内蔵EVFの存在です。EVFでもOVFでも、覗きこむファインダーがあるのと、背面液晶によるライブビューしかないのとでは、そもそも撮れる写真が変わってくると思っています。

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 しかしなぜかEVFの詳細については、236万画素の有機ELが使われているということくらいしか説明がなく、詳しいスペックは分かりません。他社は倍率とかフレームレートとか表示ディレイなどを一生懸命アピールしているのに比べると、ちょっと不思議な感じ。

 私はあまりEVFに馴染みがないので、比較も出来ないし、実際のところがどうなのかは分かりませんが、新幹線みたいな動きの速いものを追いかけながら撮ってみても、それほど違和感は感じません。表示のディレイやフレームレートは必要十分な性能があると思います。連写中の表示フリーズ時間なども含めて、思ったよりも使えるものだな、というのが正直な感想。


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 しかし、それでも私はやはりEVFは好きになれません。236万画素はFull HDより少し多いくらいに過ぎず、まだまだリアリティが足りません。そして有機ELのせいか、コントラストが高すぎて、被写体やその周囲のディテールがほとんど見えない事が気になります。

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 明るさは調整されているとはいえ、晴天下では暗く感じ、暗い室内では明るすぎるのも相変わらず。撮影結果が見えてるといいながら、実際は撮れた写真とは違うものを見せられていたことに撮影後に気づいたりして、残念な気持ちになります。

 これはEOS M5だから、というのではなく私がこれまで見てきたEVFのネガティブな印象をベースにしています。そしてやっぱりEOS M5もその点はあまり変わってないな、というのもまた正直な感想です。

AFと連写

 EOS M5のもうひとつの目玉はデュアルピクセルCMOSによる像面位相差AFです。ミラーレスのために作られたようなデュアルピクセルCMOSですが、ようやくEOS Mシリーズに搭載され、その性能が生かされることになりました。


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 実際に使ってると今までのEOS Mシリーズは何だったの?と思えてくるほど、AFは快適です。STM駆動のEF-Mレンズと組み合わせると、本当に無音で一瞬でピントが合います。AFフレームが広いがゆえに、思ったところではないところにピントが行くことはあっても、レンズ駆動が行ったり来たりして迷うとか、合わせるのは無理と諦めてしまうなんてことは、試用中にはありませんでした。

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 動体追従性能もしっかりしているし、これは素直にすごいと思いました。素晴らしい動体追従性能を支える周辺機能も充実していて、スムーズゾーンAFに加えてタッチ&ドラッグAFを組み合わせれば、自由自在に動体撮影が出来そうです。ただ、そのためにはかなりの熟練技が必要になってきそうですけど。

 動体撮影時に多用する連写性能については、サーボAFで秒間7コマと、一眼レフ並みのスピードを持っています。バッファー量も十分ではないですが、それなりに考えられているようです。

 巷には10コマ以上撮れるミラーレス機もありますが、メカシャッターは使えなかったり、シャッター速度やモードが限定されたり、微妙な制限がかかっていることが少なくありません。

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 それに対しEOS M5はカタログスペックは平凡ながら、制限なくちゃんと使える状態で7コマ/秒が出るあたりは、非常に真面目に良心的に作られてると思います。EVFの紙芝居だけが後もう少し何とかなれば... と思います。

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画質

 キヤノンサイズのAPS-Cサイズで24MピクセルのデュアルピクセルCMOSセンサーは、EOS 80Dなどに搭載されてるものとほとんど同じと言われています。DIGIC7の画像処理性能と合わせて、通常撮影時はもちろん、高感度など含めて撮れる絵は非常に安定していて信頼できます。


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 キヤノンの味付けだと思うのですが、発色に関しては概ね「あっさり」に感じました。特に紅葉を撮っていると、もうちょっとどぎつくても良いんじゃない?ということがしばしば。もちろんそういう場合はピクチャースタイルをちゃんと選べば狙い通りになるのだろうと思います。

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 かと思うと、青空はやけに綺麗に写るんですよね。今回はピクチャースタイルを「オート」にしていたのですが、青空は非常に判定しやすく、鮮やか方向に振られやすいのだろうと思います。

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 ホワイトバランスについては人工照明下でも変に暴れることなく安定しています。出先のレストランや居酒屋などで、食べ物を撮るにも威力を発揮しそう。EOS M5はそういう場合にも周囲に変な威圧感を与えず、コンパクトカメラ並みにさりげなく撮れるカメラだと思います。

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 今回はJPEGのみでISO6400くらいまで使ってみました。私的基準では、ISO1600までならまったく画質の劣化を気にすることなく常用できるし、ISO6400までならノイズもそれ程気にすることなく普通に使えるだけの能力を持っていると感じました。

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レンズ

 EOS M5に限らずレンズ交換式カメラにとって重要なのは豊富なレンズ群ですが、EOS Mシリーズについてはいまだその点については不満を持つ人が多いことでしょう。

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 今回お借りしたレンズは、標準ズームと望遠ズーム、それにマクロレンズの3本。EFレンズ用のマウントアダプターも付いてきましたが、EFレンズは持っていないので使えませんでした。

 EF-Mレンズについては、必要最低限のレンズは揃っている、と言えるかどうかもやや怪しい状態だと思います。一応超広角から望遠までカバーしているものの、選択肢はほとんどありません。そこは非常に豊富なEFレンズをマウントアダプター経由で使って欲しいと言うことなのかも知れません。


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 だとすると、EOS M5もやはり既存のEOSユーザーを基本的にターゲットにしているのでしょうか? あるいは結局のところ一眼レフEOSシリーズへの入門機であるとか。EOS M3の時も思ったのですが、それではいかにも「勿体ない」と思います。せっかくこれだけのカメラなのだから、新しいユーザー、他社ユーザーを捕まえられるはず。そのためには、EF-Mネイティブのレンズの拡充は必須ではないかと思います。

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 プラスチックマウントだから何だというのか? 機能と性能には何の影響もない。むしろ精度面では優れているくらいだ。とは、よく言われますが、趣味で写真をやってると何となく納得いかない部分だったりします。無意味なことでも、細部への気の使い方を気にする人は多い(含む私)ですから。

 EF-M28mmF3.5マクロのような面白いアイディアを取り入れてみるのも良いですし、それ以外にも大口径の本気ズームとか、超望遠とか、明るい単焦点レンズとか、趣味性の高いレンズの充実を期待したいと思います。

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その他

「その他」という項目をつくってみたところで、実はその他のことはほとんど試してないことに気がつきました。

 とりあえず新しいカメラをお借りして必ず試すのはWi-Fi関連です。EOS M5もおよそ通信機能についてはフルサポートしていますので、その辺はしっかり試しました。


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 詳しくは以下の関連エントリーを見て頂きたいのですが、結論だけ書くと、EOS M5のWi-Fi機能については、ほぼ非の打ち所がないと思います。機能も動作もアプリの出来と使いやすさも、これまで私が見てきた中ではトップに位置づけられるかも。リコーイメージングも見習って欲しいところです。

 特にカメラにGPSを内蔵せずに、スマホと連携してジオタグを付けるという機能は、想像以上に実用的で驚きました。デジタルカメラで位置情報を扱うには、これで良いのかも知れません。

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 電池関連については、充電方法や持続時間など含めミラーレス機としてはごく一般的なところではないかと思います。USB充電が出来ないのがちょっと残念だな、と思うくらいです。

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私的結論

 ということで、そろそろ結論をまとめます。

 「今までのミラーレスに、満足しているか?」と問われれば答えはNoでした。特に私は一眼レフ派ですから。PENTAX QとかNikon 1みたいなコンパクト機の代わりになるミラーレス機しか、自分では使っていません。

 では「EOS M5に満足できるか?」と問われると、やはり答えはNoです。これじゃぁまだミラーレスに乗り換える気にはならないよ、と。これが私の偽らざる感想です。

 EOS M5の価格については、今までのEOS Mシリーズの印象があったので、最初はかなり高価に感じましたが、よくよく考えてみると中身に対するコストパフォーマンスという点では、実際に使い込んでいく中で、それなりにリーズナブルであることに気付きます。


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 キヤノン独自のデュアルピクセルCMOSを搭載し、それによる高性能なAFを実現したことは、他にはない唯一の特徴で、実際に素晴らしいAF性能を持っていることを実感しました。確かに今までのミラーレスとは違う次元を実現したことは事実です。

 しかし既に世の中には高価なミラーレス機は幾つもあり、マイクロフォーサーズでも20万円の値札を付ける時代です。それらはさすがにコストがかかってるだけあって、趣味性が高く、機能性能面でも非常に気合いが入っています。

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 それら他社のミラーレスのフラッグシップと比べると、EOS M5はそもそもデザインや外装からして、まだ「ミラーレスの頂点を狙った」とはとても思えないわけで、やはり従来のEOS Mシリーズの延長線上で、一眼レフのEOSシリーズとの関わりのなかに位置づけられた製品だよね、と理解せざるを得ません。キヤノンはどんなに否定しても、一ユーザーからはそう見えることもまた事実。

 その裏には、キヤノンが本気で作ったら、もっとすごいミラーレスが出来るはずだ、という期待があるわけです。ボディが大きくなって、値段が倍になろうともそういうミラーレスを求めている人は多いのではないかと思います。特にに既にEFレンズをたくさん持つ、既存のキヤノンユーザーならなおさらです。

 なので、こんなに良いカメラなのに、キャッチコピーでやや勇ましいこと言いすぎたんじゃないかな?と思っています。

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 でも、その辺を抜きにして、冷静にEOS M5を眺めれば、デュアルピクセルCMOSの特性をフルに生かしたAF性能を持ちながら、一眼レフでは考えられない小型軽量ボディを実現し、EVFも入っていておよそどんなシーンにでも対応できる万能カメラです。

 そういう意味で、EOS M5はミラーレスならではの特徴を突き詰めた正常進化を遂げた製品だと思います。ただ、私自身にとっは「欲しい」と思うには何かが足りません。それは多分、ちょっとした遊び心と、こだわりと、レンズラインナップの本気度なのではないかと思います。

Canon ミラーレス一眼カメラ EOS M5 ボディー EOSM5-BODY

Canon ミラーレス一眼カメラ EOS M5 ボディー EOSM5-BODY