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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

EOS M5に搭載された「流し撮りモード」を試してみる

 EOS M5は非常に多機能なカメラですが、その中に一つ気になる新機能を見つけました。それは、カタログや商品WEBサイトでも特徴の一つとして謳われている「流し撮りモード」です。DIGIC 7によって実現可能となった新機能と言うことで、単に手ぶれ補正の制御に留まらず、流し撮りを成功させるために様々なアシストをカメラが自動で行ってくれるというもの。


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 流し撮りは成功率が低くていつも苦労するので、もしその歩留まりが上がるとしたらそんな素晴らしいことはありません。早速試してみましょう。


このレビューで使用されている商品はWillVii株式会社が運営するレビューサイト「みんぽす」 が無償で貸与しています。本レビュー掲載は無報酬です。また、WillViiは掲載内容に一切関与していません。(本情報開示と事実誤認時の修正を除く)レビュー商品無償貸し出しサービス 「モノフェローズ」に関する詳細はこちら
(WillVii株式会社みんぽす運営事務局)

流し撮りモードとは?

 試してみる前に、いったい流し撮りモードとは何なのか?が気になります。9月にEOS M5の製品セミナーを受けたときに、簡単な説明があったのを思い出しました。

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 これによると、要はカメラを振る速度に応じて適切なシャッター速度を自動的に設定すると同時に、光学手ぶれ補正を最適に制御する、ということだそうです。が、単にカメラを振る速度だけでなく「画像情報から被写体の動きを検出し...」というところが気になりますね。もしかしたら被写体を認識して、それに合わせて被写体ブレを防いでくれるのかも。だとしたらすごい!

 なお、PowerShot G7X MarkIIの開発者インタビューにもう少し詳しく流し撮りモードについての説明があります。上記リンク先の「撮影アシスト機能」のページです。これによると、やはり画像認識して色々やっているようです。

 EOS M5に搭載された機能がまったく同じものかどうか分かりませんが、同じDIGIC 7を搭載していますし、恐らくほとんど同じか、むしろブラッシュアップされていると期待できます。

設定確認

 では早速「流し撮りモード」に設定してみましょう。

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 まずはモードダイヤルを「SCN」に設定します。これはいわゆるシーンモードで、被写体に合わせて最適な制御をする全自動モード。コンパクトカメラには昔からありますし、レンズ交換式カメラでも中級機くらいまでは搭載している機種が多いです。写真を趣味にしている人はほとんど使ったことがないのではないかと思います。

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 この通りシーンモードには、クローズアップやポートレート、スポーツや料理と言ったシーン別のメニューが並んでいます。ポートレートだと絞りを開け気味に制御したり、スポーツだとシャッター速度を落としすぎないように制御するのでしょう。

 その中に今回の目的である「流し撮り」というモードががあります。

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 シーンモードの一つと言うことで、基本的に全て全自動となります。なので設定変更可能な項目が制限され、AモードやPモードで使いつつ、煮詰めていった設定の多くがなかったことになってしまうのがちょっと残念なところ。

 それでもAFモードは仕方ありません。スムースゾーンでサーボAFに固定されます。これは流し撮りに最適な設定ですし、被写体認識などのためにも必要なのでしょう。しかし、その他多くの設定は変更ができなくなり、基本的にこのメニューにある項目だけがいじれます。記録形式はJPEGのみでRAW記録は出来ません。

 一番問題なのは、連写モードが低速連続撮影しか選べないこと。4コマ/秒ではちょっと遅すぎるのではないかと思います。7コマ/秒に出来ないのはなぜなのでしょうか?

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 「流し撮りモード」特有の設定項目は、「流し効果」です。シャッターボタン周囲の電子ダイヤルで操作することが可能で、弱中強の3段階から選べます。

対応レンズ

 さて、「流し撮りモード」を使うには一つ重要な条件があります。対応レンズが限られているのです。

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 上に貼った製品セミナー時のスライドにもありましたが、対応レンズが現時点で4本に限られています。そのうちEF-MはEF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STMとEF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STMの2本のみ。この2本は動画撮影時にレンズ側とボディ側で強調して手ぶれ補正を行う「コンビネーションIS」に対応した2本なので、恐らくその辺の手ぶれ補正の制御に関わる部分が「流し撮りもモード」でも関係しているのだろうと思います。

 ただし、上記2本以外のレンズを装着した場合、「流し撮りモード」に設定できなくなったりするわけではなく、手ぶれ補正に関する制御が今までと変わらないと言うだけで、自動的に最適なシャッタースピードを選択するなどの機能は動作するとのことです。

 ちなみにEF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STMで「流し撮りモード」のフル機能を利用するには、ファームウェアのアップデートが必要になります。

撮影結果

 ということで、実際に撮ってきました。しかし15-45mmという標準ズームで何を流し撮りできるのか?が問題です。となるとやはり駅のホームから電車を撮るしかなさそうです。

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 流し強度を3段階に変えて撮ってみたものを並べました。上から弱、中、強です。

 見ての通り、駅に停車する直前の電車を撮ったもので、それほど速度速くありません。完全に同じタイミングじゃないのは私の腕の問題です。スミマセン。

 Exifのシャッター速度を見てみるると、弱の場合は1/60sec、中で1/30sec、そして強にするとなんと1/15secまで落ちました。シャッター速度はカメラを振る速度に応じて変化しますが、概ね1段ずつ差が出るようで、流し効果としては弱中強でそれぞれ2倍ずつ変わると言ってもいいのかも。

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 別のシーンです。15mmワイド端で目の前のホームに入ってきた電車です。先ほどよりかなり速度が速いですが、流し強度=中でやはり1/30secとなりました。止まってる部分が車両の先頭ではなく、画面中央に近い「JR」の文字付近になっています。

 そして画像解析して被写体ブレを抑える処理が行われているせいか、天井からぶら下がっている看板の支柱とか、左の方のキャリーバッグを持ってる人とか、流れている部分がなんだか妙な感じになっています。綺麗に一定速度で流れているのではなく、3重のゴーストのような感じ。これは、たまたまなのか、流し撮りモードの画像処理の結果なのか? 時々こういう画像が混ざっているので、恐らく後者なのかな?と思っています。

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 さて、肝心の歩留まりですが、なかなか微妙なところ。何とも判断が付きません。少なくとも百発百中ではなく、それなりの確率で失敗(概ね成功3割、失敗7割)します。なので、被写体ブレを抑える特殊な処理も、当然ながら万能ではありません。ちなみに、AFについてはまったく問題はありませんでした。というか、気になることはありませんでした。

 では、この「流し撮りモードは使えるか?」といえば、正直言ってちょっとこれは難しいのではないかと思います。

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 一番問題なのは連写が遅いこと。秒間4コマという速度そのものよりも、EVFのフリーズ時間が長すぎて、一定速度であっても動いていく被写体を追いかけることは困難なレベルです。まるで一昔前のダメなEVFそのものという感じで、これこそ「ミラーレスで動体は無理だよね」と言われていたおおきな原因の一つだったと思います。

 画像処理が重たくて仕方ないのかも知れませんが、これでは本末転倒というか「流し撮り」は無理なのではないかと思います。

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 これはEF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STMを使って普通に連写したカット。シャッター優先で1/60sec〜1/125sec程度に設定し、高速連写モードでとにかく数を稼ぐ方が、絶対に流し撮りはうまく行くと思います。それに対応できるだけの基礎性能がEOS M5にはあると思います。

 ...と結論づけてしまうのは、ある程度経験があるからなのでしょうか? でも、手ぶれ補正等々はともかく、連写の遅さとEVF表示フリーズの長さは何とかして欲しいところです。

 あと、新しい高倍率ズーム18-150mmは良いとして、ワイド寄りのEF-M 15-45mmが流し撮りモードにいち早く対応した意味はよく分かりません。なにか技術的な理由でしょうか? それよりも実使用上ではEF-M55-200mmのほうが流し撮りするような被写体向きなはずです。そのうちEF-M55-200mmもファームがアップデートされることを期待したいです。

 そして前にも書きましたが、せっかくここまでするのなら、EF-Mでもう少しまともな望遠レンズがやはり必要ではないかと思います。