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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

鈴鹿に再び魔法がかかる瞬間の再来を願ってホンダを応援する:F1 2016 日本GP 観戦記(その4)

 10月9日の日曜日。いよいよ日本GPの決勝です。この時期は例年秋晴れが広がるはずでしたが、今年は秋雨が長引いて、このグランプリ・ウィークエンドもどうにもスッキリしない天気となってしまいました。いろいろな理由でF1の人気は年々下落傾向で、今年の観客動員数は決勝で7万2千人、3日間通しで14万5千人どまりと過去最低だったそうです。でも大きな要因の一つは天候にあったのは間違いないと思います。決勝日に台風が来た一昨年に対し、とても良く晴れた昨年は2万人増えていたのですから。

 そしてもう一つの大きな要因と言えばマクラーレン・ホンダ。昨年の成績はメチャクチャで、アロンソに「こんなのGP2のエンジンだ!」と言われてしまったほどでしたが、それでも久々の復帰をお祝いするムードがありました。そのお祝いムードは年々減っていきます。来年以降は成績が全てとなるでしょう。

 さらにもう一つ挙げるなら、日本人ドライバーの不在は日本GP人気にとっては非常に大きなマイナス要因だと思います。小林可夢偉がいなくなって2年。新しい日本人ドライバーがやってくる気配もありません。ペイドライバーに仕立て上げるだけのジャパン・マネーもない状態ではどうしようもありません。ホンダも今はそれどころじゃないのでしょう。

 マクラーレン・ホンダが表彰台争いくらいは出来るようになり、どこか下位チームへパワーユニットを供給し、そこに日本人を押し込むくらいのしたたかさを持って欲しいと願っています。

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 さて、いきなり結論めいたこと書いてしまいましたが、私にとっては鈴鹿の現地で見る日本GPの面白さと価値はいささかも変わっていません。

初めてのB2スタンド

 決勝の日は逆バンクにあるEスタンド上部で観戦するというのがここ数年のお決まりのスタイルだったのですが、今年は少し新しいことに挑戦してみようと言うことで、今まで行ったことがないBスタンドへ。B2スタンド指定席のチケットは値段も高く、人気の観戦場所ですが写真を撮るにはどうでしょうか?

 Bスタンドは上部がB2、下部がB1と呼ばれ、さらに1コーナーよりからB-3、B-2、B-1と並んでいます。そのB2スタンドの最上段が全てカメラマンエリアに指定されていたのですが、1コーナーにより近く、高さも低いB2-3が狙い目です。朝一で出かけて何とか入ることが出来ました。

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 眺めとしてはこんな感じ。メインストレートエンドから1コーナーが目の前で、2コーナー立ち上がりを見送ってS字まで見通すことが出来ます。写真はともかく観戦ポイントとしては素晴らしい条件で、ここが人気席なのも頷けます。


 赤いカメラマークの位置がB2-3スタンド。残念ながらメインストレートを真っ直ぐ前に見ることはできません。が、その代わり東コースのほとんどが視界に収まります。レースでは1コーナーで何か起こるかもしれないですしね。そして後ほど、ここにいたが故に面白いものを見ることができました。

 この日も予報通り雨は午前中の早いうちに上がりました。雨雲とともに夏は過ぎ去り、急に秋の冷たい風が吹き始めます。鈴鹿の日本GPと言えば暑さ対策にばかり追われていた記憶しかありませんが、この日は久々に寒さを感じ、雨も降っていないのにカッパを着て寒さをしのいでいました。でも熱くてうだるよりは、このくらいの気候の方が過ごしやすくて快適です。

サポートレース&レジェンドF1走行

 決勝のスタートは午後2時に予定されていますが、場所取りもあってB2-3スタンドにたどり着いたのは午前9時前。5時間もただひたすら待つのかと言えばそんなことはありません。コース上では色んなイベントが目白押しで、結構忙しいのです。

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 まず午前中はサポートレースの決勝が行われます。スーパーFJに続きポルシェカレラカップも毎年のおなじみのレース。エントリー台数も多くて結構迫力あるんですよね。こういうツーリングカーはフォーミュラとは違った面白さがあります。

 そしてF1撮影時のシミュレーションも兼ねてスタートを撮ってみたりしました。なるほど、F1のスタートもこんな感じで撮れると良いですね。

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 そして毎年行われているイベントですが、レジェンドF1デモランが今年も行われました。今年登場したのはマクラーレンMP4/5とフェラーリF187です。

 MP4/5は1989年のマシンでホンダの3リッターV10エンジンを積み、セナとプロストで勝ちまくり、鈴鹿では遺恨を残したマシンです。F187の方は鈴鹿の日本GP初開催の1987年にベルガーがドライブして優勝したマシン。V6ターボエンジンを搭載しています。

 MP4/5はバトンに代わって来季マクラーレン・ホンダに乗るストフェル・バンドーンが、F187はなぜか中嶋一貴がドライブしました。どちらも今のハイブリッドエンジンと比べものにならない爆音がします。

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 ちなみにGPスクエアにはホンダだけでなくフェラーリも大きなブースを出して、過去のF1マシンを展示していて、時間によっては人だかりが出来ていました。

ドライバーズ・パレード

 正午になるとそろそろ決勝に向けたF1関連のプログラムが始まります。まずはドライバーズ・パレード。これも決勝日の楽しみの一つです。

 が、その前に面白い事件が目の前で起こります。

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 レースを支えるコースマーシャルの皆さんの挨拶。これも鈴鹿の恒例行事。が、向かって左から2番目の人、格好がおかしいです!

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 と思ったら、実は小林可夢偉でした。いえ、その前から何やらテレビクルーを従えてコースを歩いてやってきたのは知っていたんですが、いつの間にかマーシャル達の列に紛れていました。何を喋ったか覚えていませんが、生声も聞けてなかなか面白かったです。

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 そうこうしているうちに始まったドライバーズパレード。可夢偉はこの隊列をを待っていたようです。

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 というのも、マクラーレン・ホンダのドライバーである、ジェンソン・バトンがクルマを降り...

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 続いてやってきたフェルナンド・アロンソもクルマを降りて、こうして可夢偉にインタビューを受ける、という趣向が用意されていました。アロンソは折り紙の兜まで被らされて、本当に大変ですね。

 何を言ってるかは現地ではよく聞こえなかったのですが、面白いものを見させてもらいました。内容はあとでテレビの録画を見てチェックしなくては。

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 その間もパレードは粛々と進んでいきます。ドライバーズ・ランキングでトップを行くロズベルグは音楽を聴きながらやってきました。もうちょっと愛想よくしろよ!

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 気が乗らないと、ただ助手席に座ってるだけになることもあるライコネンは、この日はご機嫌だったよう。ちゃんと手を振ってます! すごい!

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 木曜日に間近に姿を見ることができたベッテルは、今年もスマホで動画を撮りながらパレード。ベッテルはSNSの類いを一切やってない(公開していない)のですが、この動画はどうしてるんでしょうか? 気になります。

 ちなみにこのベッテルが乗ってるクラシックなフェラーリは、この後オイル漏れを起こして止まってしまったらしく、パレードの残りはリカルドに同乗したとか。そっちも見たかったかも。

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 何度も繰り返しますが、今年が最後の鈴鹿となるフェリペ・マッサ。大歓声でした。

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 今年一番の出世株は間違いなくこのマックス・フェルスタッペン。チャンピオンを取る日がそう遠くない将来に来るのかも。

 ということで超ダイジェスト版ですが、ドライバーズ・パレードは以上です。

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 この後午後1時半にはレコノサンスラップが始まり、いよいよF1マシンがコースイン。グリッドに並びはじめます。その様子も遠目に見ることができました。

決勝

 ということで、午後2時にフォーメーションラップが始まり、いよいよ決勝スタートです。1コーナーの飛び込みは昨年までのEスタンドでも遠くに見えましたが、今回のB2スタンドからはまさに目の前。ポルシェカップで練習していたとは言え、F1はスピードも何もかもが違って、まったくどうしたらいいのか分からず、まともな写真は一枚も取れませんでした(泣)

 スタートのだんご写真については、また来年以降の課題としたいと思います。(失敗作を一応Flickrには上げてあります。これとかこれとか)

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 フロントロウに並んだメルセデスがスタートに失敗するシーンはいったい今年何度目でしょうか? 中でも今回のハミルトンの失速は過去最悪だったかもしれません。偶数グリッド側が微妙に乾ききっていなかったことを差し引いても、ひどいスタートでした。一時は8位まで落ちてしまった順位ですが、その後じわじわと挽回していきます。

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 さて、問題のマクラーレン勢。ホームレースのホンダ。15番グリッドからスタートしたアロンソですが、レースでも特に目立ったところはなく、ポイント圏内にはほど遠く下位でレースを進めます。

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 予選では3番手のタイムを記録したものの、ギアボックス交換により8番グリッドまで落ちてしまった、キミ・ライコネン。調子がよくてラップタイムも良いはずですが、フェラーリの戦略も凡庸でそのスピードを生かせず。結局表彰台争いには絡めませんでした。

 ちなみにこのカット、1/50secで撮りました。試しに1/60secを試しているうちに、前ダイヤルを一クリック余計に回してしまっていたようです。ほとんど全滅だったのですが、このカットだけ奇跡的にギリギリOKレベルで止まっていました。フレーミングが定まらず、前後が欠けてしまったので本当は失敗カットなのですが。

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 ベッテルはスタートもうまくいって、良いポジションでレースを進めていたのに、やはりフェラーリの謎タイヤ戦略で結局表彰台圏外に。メルセデスはともかくレッドブルにやられたのは痛かったかも。

 ここ鈴鹿では何度も優勝し、悪くても表彰台を外したことのないベッテルですが、今回は7番グリッドからの追い上げは4位止まり。もう少しで表彰台tも取れたはずだったのに残念です。

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 そんな中、レッドブルのフェルスタッペンは、気がつけばいつの間にか2番手を走っていました。終盤のハミルトンとのバトルは見応えがありましたね。現地で見ていると次のメインストレートではやられるだろう... と思っていたらしっかり抑えて1コーナーに飛び込んできたりして、なかなか勝負強いところがあります。

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 予選ではQ2までしかいけなかったウィリアムズは、1回ストップ作戦を敢行。ラップタイムが伸びずに作戦失敗かと思えば、終盤にはちゃんと2台揃ってポイント圏内を走るという堅実さ。ウィリアムズは変な作戦をとって自滅することが多いですが、今回は当たったようです。

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 その一方で、決勝でうまくいかなかったのはハース勢。Q3に進出し、フェラーリのペナルティの恩恵も受けたはずなのに、終わってみたらポイント圏外でした。鈴鹿では一発の速さはあっても、レースペースは上手く手に入れることが出来なかったようです。

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 1コーナーの飛び込みは鈴鹿で数少ないオーバーテイクポイント。単なる周回遅れのパスも含めて接近戦がたくさん見られました。どう撮ったら良いのかが分かりませんでしたが、とても見応え、撮り応えのある観戦&撮影ポイントです。

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 そしてやはり問題のマクラーレン。パワーユニットをごっそり交換して最下位からスタートしたバトンでしたが、序盤はタイヤの違いがあったにせよ、マノーをオーバーテイクするのもままならない様子。ホンダのホームレースだというのに、今シーズン最低のレースと言っても、それほど言い過ぎではないと思います。

 結局アロンソは16位、バトンは18位で決勝を終えました。格別波乱があって運が悪かったわけでもなく、純粋にペースがなかったわけで、これで地元レースが盛り上がるはずもありません。

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 危なげなくトップを快走し、そのまま優勝したのはロズベルグ。ポールを取っても勝てなかったここ鈴鹿で初優勝です。ポイント差をまた広げて、まさかと思っていたチャンピオンがいよいよ手に入るかもしれないところまでやってきました。残り4戦が本当の勝負所です。2位に入り続ければとりあえず逃げ切れるはずですから。

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 公式記者会見でもおかしな行動を取ったりして、どうにも精神面で安定していないハミルトンは、スタートの失敗を取り戻し、何とかフェラーリ2台を攻略して3位表彰台を獲得。しかし何もかも不満が残るレースだったことでしょう。そのイライラを引きずってしまうのか、危機感からまた立ち直るのか? 残り4戦はなんとしても勝ち続けなくてはなりません。

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 レース終盤には日も射してきました。金曜日の午前中以来の太陽です。しつこいようですがマッサの最後の鈴鹿。その姿を写し止めておこうと、やってくるたびにシャッターを切っていました。最後にポイントが取れてよかったです。

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 夕日を浴びたF1マシンは美しいですね。今回は曇り空が多かったですが、やはり太陽の下で輝くマシンを撮るのが一番だと再認識。来年は是非晴れて欲しいです。

また来年!

 ということで、長々と続けてきましたがF1日本GP観戦記は以上です。

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 今年はマンネリ気味だったここ数年の観戦&撮影スタイルを少し見直し、ちょっとずつ新しいことに挑戦してみました。新規撮影ポイントを開拓したのもそうですし、流し撮りのシャッタースピードも1段落としてみたり。PENTAX K-1は連写が遅くてこうい撮影向きではないですが、敢えて使ってみると結構快適に撮影できました。その辺についてはまた別エントリーを書くかもしれません。

 とにかく、最初の方で書いた通り、ハイブリッド時代のF1がもっと見直されて、ホンダが優勝争いに絡むようになって、日本人ドライバーとそれを支えるスポンサーが戻ってきて、再び鈴鹿に10万人のファンが詰めかけるような時代が再来することをことを願います。

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 帰りがけにはGPスクエアで始まっていた、小林可夢偉によるレースの振り返りトークショーを聞いていきました。2012年のあの魔法の瞬間を再び!

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